ワンオフパーツの作成

最近仕事でのお問い合わせに多いのが塗装と余り関係無い事でして、いや、私的にはとても興味深い事なので良いのですが、余り身を乗り出してしまうと経営自体を圧迫しかねないのでジレンマを感じる時が多々あります。工場が賃貸で固定経費が掛かると大きな脱線は出来ないんですよね。

上の画像はエッティンガー用のホイールセンターキャップを制作した時の物で、ホイールを装着した車体がベンツだったのでセンターキャップもそれに合わせたい(?!)と言う事で、この世に存在しないサイズのスリーポインテッドセンターキャップを作って塗る事になりました。現在仕事にシリコーン型を使えているのはこの時の案件がきっかけになっているとも思い、いやはや有り難い限りでした(新たなご依頼を誘っている訳ではありませんので念の為。笑)。

そう言えば一時期興味があった3Dプリンターですが、こちらも「3Dプリントした物を塗って欲しい」と言ったお問い合わせが結構多く、ただそのせいで逆に幻滅してしまった所もあります。そのまま塗装すれば綺麗になると考えている方が結構多いようなのですが、いやいやいや!、あれを綺麗に仕上げるには相当の下地処理が必要です。なので塗装屋の観点からするとあれは塗る物ではありません。ちゃんとした機械(数千万円する製品)で、色付きで出力してそのまま製品として完成させる方法が宜しいかと思います。それ以外は美観とか期待しない方が良いと思います(アセトンで表面を溶かして積層を綺麗にするとかは無理ですよ)。

ちなみに昔は塗装や金属加工などと言えば一般人からは縁遠い、企業間だけの取引が基本でしたが、現在はインターネットの普及で普通にBtoC(企業が個人に対して商品・サービスを提供する取引)が可能となりました。当店も業者様からのご依頼はありますが、多分95%くらいは個人の方からのご依頼です。3Dプリンターで自分で物を作ったり、缶スプレーで自家塗装するのは凄く良い事ですが、クォリティを求めるならばやはりそれを仕事にしている方にお願いする方が確実だと思います(ただし失敗を愉しめるという気持ちがあれば自家塗装はお勧めです)。

ちなみに上のサイトは金属加工を専門に扱っている企業様のウェブサイトで、トップページの見出しから「1個からの部品製作」金属加工の町工場、精密機械加工を法人様、個人様を問わず承ります」といった文言が入っていてとてもお願いし易いと思いました。サイト自体も凄く格好良くて、この後改めて自分のウェブサイトを見たらかなりのショックを受けました(苦)。

お知り合いでも何でも無いのですが、とあるお問い合わせがあって私も初めて知りました。以下のリンクからオフィシャルサイトに行けますので宜しければどうぞ。施工実績のページとかヤバいですよ。

野方電機工業株式会社

私としては3Dプリントよりも「3Dスキャン」に興味があって、「原型」が自分で作れればかなりの人がもっとものづくりを身近に感じて楽しくなると思っています。シリコーン樹脂や塗料が手軽に入手出来るようになっても(昔はそれすら出来ませんでした)、基となる原型を作るのはやはりハードルが高いですからね。色々やりたい事があっても最初の一歩が踏み出せない方が殆どだと思いますので(私も含めて)。

ただ本格的な3Dスキャンとなるとかなり敷居が高い物だと考えていましたが、おおお・・・!と言う記事が上の画像で、以下がそちらのサイトです。

市販デジカメを使って工業レベルの高精細3Dデータを作成

高精度な3Dスキャンが簡単に出来れば、それを3Dプリンターでは無く、CNCフライスなどを使って強度のある部品を作る事でやりたい事の幅がもっと広がると思うのです。自分のフィギアを作っても楽しいのはその時だけですが(私的見解です)、自転車のステムを、サイズと形を自分で決めて鍛造で作って貰ったりしたら一生物になるんじゃないかなぁ、と思いまして(原型は粘土で作って撮影し、ネジ穴だけタップを使って切れば出来てしまいますよね)。

ここ大田区には金属加工の工場が沢山あるので、自分で出力しないまでもデータだけ送って後日通勤途中に出来上がった物を取りに行く!みたい事が出来れば凄く楽しそうです(と言いつつ自前のCNCが欲しいという矛盾もあるのですが)。