浄化装置メンテナンス

当工場の塗装ブースに使用している水洗式の排気浄化装置ですが、(画像は以前の物です)

フィルター無しでも塗装ミストや有機溶剤を分解してくれるという効果がある反面、弱点もあります。

この浄化装置、普通の塗装なら大丈夫なのですが、

結晶塗装は熱で硬化する焼き付け型タイプ(メラミン樹脂塗料)の為、常温だといつまでもベタベタとしてしまい、

 そのまま循環ポンプ内に入ってしまうと、

 中の回転フィンに塗料がくっ付いてモーターが動かなくなってしまうのです。

ちなみに排気ファンは問題無く動くので仕事(塗装)自体は出来なくは無いのですが、浄化装置が働いてくれないと塗料ミストや溶剤が直で外に出てしまうので、結構大変な事になってしまうのです。

その為、最初にこれが起きた時は販売店の人も呼んでと結構焦っていたのですが、今回は二度目だったので落ち着いて対処が出来ました。結晶塗装はしっかり焼き付ける必要がありますが、モーターの方が焼き付いたら洒落になりませんので(苦)。

まあサーマルリレーが効いてくれるので実際のところモーターが焼き付く事は無いのですが(笑)。

艶消し色 検証

 恐らくどの塗装屋さんも一番嫌なのがこの「艶消し」仕上げで、本塗り時に付くゴミ対策もそうですが、艶が消えた時の色の見え方が普通の艶ありとは違う為、殆どの塗装屋さんは「あれだけ調色したのに!」と言う経験をしていると思います。

上の画像は以前仕事でご依頼頂いたポルシェのメーターフードとその土台で、色自体は良かったのですがその上に塗ったクリアーの艶具合が合わなく一度塗り直しています。↓詳しくはこちらでどうぞ。

ポルシェメーターフード塗装 完成

そしてこちらは先日メガネフレームを塗装した時に一緒に作製した色見本で、下に敷いているのはタミヤのラッカー塗装で全く違う色(塗料)なのですが、上に並んだ樹脂製の注型ミニカーはそれぞれ同じ色です。

違うのはそれぞれの色の上に塗っているクリアーで、奥はいつもの通りの透明なクリアーで、手前は艶消し仕様のクリアーです。繰り返しますが、色はどちらも同じです。

が!

先ほどの艶消しクリアー仕上げの上にシリコンオフ(低溶解の脱脂用溶剤)を塗って艶を出してみると、同じ色でも左側が少し白い(明るい)のが判ると思います。左側が艶消しクリアーを塗った物です。

こちらは右側手前が艶消しクリアー仕上げの物で、やはり奥の艶あり仕上げに比べると白くなっているのが判ります。

結果から言うと、先日STANDOXのデモマンの方と話した内容通り、艶消し剤成分にはシリカゲル=白い粉が使われている為、クリアーが白濁りして色自体も白くなってしまいます。ある意味キャンディー塗装の仕上りに近いかも知れません。

ただこういった事を理解し、また今回のように艶あり・艶消しをそれぞれ見比べられるようになっていれば今後行う艶消し塗装で多少は作業が楽になるのでは?と思っていて、先日も紹介した「艶あり」「艶消し」を同時に見れる独自の色見本を作成しようと思っています。こんなのどこにも無いですからね(ちなみにPANTONEはcoatedとuncoatedがありますが、あれは塗装では無く「印刷」なので全く別物です)。

と言う訳で、早速レーザー加工機でアクリル板をカットしています。

実は少し前に、知り合いのSTANDOXユーザーの方から「3センチ程度あればアクワイヤーで読み込めますよ」との情報を頂いたので、ミニカー型の他にアクリル製の平面で5×5センチ(実際の塗装範囲は5×4センチ)の色見本を作製し、さらにこれも「艶あり」と「艶消し」をそれぞれ並べられるようにしました。プレートは脱着可能にするので直接アクワイヤーに当てれば大丈夫なようにしています(本体の両端にあるスイッチは何かで押せるようにすれば大丈夫との事ですのでその際には型を造りますね)。

またベースコートが水性になったらプレートを重ねてそのまま継続して使えるようにもしています。

イメージとしては「平面で色を合わせ、曲面で完成形の色をイメージする」といった感じで取り敢えずこれを300種類程、最終的にはPANTONE色見本を超える2000枚くらい作れればと思っています。まあその前に寿命が来ますか(笑)。

300枚のプレートを作るとするとアクリル板は600枚で、これはそんなに面倒では無いですが、さらに注型ミニカーを600個も使うとなると、これはもはや手作りでは製造が追いつかない気が・・・(苦)。

新☆色見本テンプレート

塗装のSTANDOXの色見本については、

元々ある程度の量は揃っていて、

他にも使えそうな他メーカー(RM)の色見本なども取り揃えているのですが、

小物塗装になってからは自動車用の色見本よりも、

 パステルカラーっぽい色や、

艶消し色の需要が増えて来た為、

色見本のテンプレートを一新する事にしました。

と言うのも、近々STANDOXの原色を使ってPANTONE色見本帳のような物を作ろうと思っているのですが、折角作ったそれがいずれ水性ベースコートに移行した時に無駄になるのは困るので、そうなっても対応出来るようにと以前からデザインを何とかしようと思っていました。

また作る量も相当の数になるのでテンプレートの作成も簡略化出来るようにしています。配合データは記載せず、台紙に貼るテンプレートは無記入で全て同じ物にしてしまいました。

。平面の色見本も作っておけば後でアクワイヤーで読み込む事が出来るのでアクリル板をレーザーで切り出しておきます。

こちらは先日チタン製のメガネフレームを塗った時に作った色見本ですが、ベースコートは同じ色でも、上に塗っているクリアーが違うだけでここまで違って見えます。もはや不安になるレベルですが、各色こうやって並んで見れれば安心と言うか、これからの小物塗装には役に立つと思うんですよね。

勿論今までのように使う機会の多い色や、

特殊な色については色見本の作成を続けますが、それと並行して艶あり&艶消し仕様の色見本も増やしていこうと思います。

PRO_Fitカーボンエンブレム 完成

 先日二度目のクリアーを塗っておいたPRO_Fitオリジナルドライカーボン極小エンブレムです。その後熱を掛けて塗膜を完全硬化させておきました。

 今回はキーホルダーとして承っておりますので、端に2ミリの穴を開けます。結構緊張しました。

 最後にステンレスワイヤ―を輪っか状にしてアルミクランプでカシメて完成となります。

今回こちらのエンブレムをご注文いただいたのは先日TOYOTA86のブレンボキャリパーの塗装をご依頼頂いた方で、色見本キーホルダーの制作も一緒にご依頼も頂いていましたので今後は恐らくこういった使い方になるのでは?と思っています(画像のは当店用の物です)。

キャリパーの塗装については以下記事で紹介しておりますので宜しければどうぞ。

TOYOTA86ブレンボキャリパー塗装 完成

実は最初に「カーボンエンブレムはもう無いのですか?」と聞かれていまして、その時にはまだ構想しかなかったので代わりにこちらの色見本キーホルダーのご注文となったのですが、その後ドライカーボンをカットした記事を見て頂けて今回追加でご注文を頂けました。

まずはシルバータイプを量産して、ある程度したらキャンディーカラーのバリエーションも増やしていこうと思います。

尚、こちらのカーボンエンブレムは出来上がり次第ウェブショップにて紹介しますが、ご購入に関しては今までも含め「PRO_Fitに塗装のご依頼された方のみ」の限定製品となっております。また色見本ミニカーについては「塗装のご依頼をされたついで」のみの制作・販売となっております。申し訳御座いませんが何卒ご理解頂けますようお願い申し上げます。