BOSE101MM改 Bluetooth⑫ 本塗り

先日内部機器のテストを行っていたBOSE101MMスピーカーです。

いよいよ本塗り工程となります。

現状は純正の状態(未塗装)に見えますが、下塗りとして艶消し黒(1コートソリッド)を塗った上に足付け処理を行ってあります。

 まずは下色としてシルバーを塗ります。

そして透過性の赤を塗ります。ベースコートですが樹脂分の割合が多いのとハードナーが入っているので半艶になっています。

そして艶消しクリアーを塗って艶が消えた状態です。

途中ブルーグリーンのキャンディーカラーにしようとも一瞬考えたのですが、とりあえず一回はやっておきたかったレッドアルマイト風のキャンディー艶消し塗装にしました。

今では普通の事ですが、10年くらい前は使っている材料ややり方などをオープンにしている人(ウェブサイト)は少なく、当時お問合せ頂いたのがこのレッドアルマイト風の塗装でした。

医療関係で使う器具には色で識別しないといけない物があるらしく、プラスチック製のそれを、見本として一緒に預かった赤アルマイトの器具(勿論アルミ製)のように出来ないか?と言うご相談でした。体に開けた小さい穴から差し込んで使う外科用の器具で、規定上それを赤アルマイトにしなければならなかったようです。幸いにしてテールランプを塗る時に透過性の赤=キャンディーレッドを使っていたので、「それを艶消しにすれば同じように見えるんじゃ?」と思い試したのがこの塗装でした。もう30年くらい前だと思いましたが、まだ12年くらいしか経っていない事に驚きました・・・。

これでいよいよ塗装工程が終わったので、後は各機器の組み込み作業です。ついに完成が見えて来ました・・・!

アディダススニーカースプラッシュ塗装

  先日マスキング作業を行っておいたアディダスのスニーカーです。

今回は見本(テスト)を兼ねるので、外側と内側とそれの左右「4面」を全部違うデザインにする事にしました。イメージは判り易く「春夏秋冬」とします。

使うのは前回無印良品のスニーカーを塗った時と同じ、STANDOX VOC 2Kエナメルです。通常は自動車ボディに塗るもので、クリアーの塗装が必要無く、直接硬化剤を入れるタイプです。

各原色を混ぜて色を作り、ハードナーを混ぜます。スプレーガンで塗る時はシンナーを入れますが今回は入れません。

春をイメージした色はこんな感じで、ただこれだけだと見本にならないので、この後もさらに塗り重ねていきます(そこで止めておけば良かったのに・・・と参考にして頂ければと。笑)。

塗料を飛ばすのに特に技術は必要なく、日頃溜まったストレスを発散するかのようにバシバシと振りかけていきます(笑)。

前回使った無印良品のスニーカーはキャンバスだった為に塗料が滲みましたが、今回のアディダススニーカーはシンセティックレザー(合成皮革)の為に吸い込まず、なので塗料は盛り上がった状態で立体的に仕上がります。

滲む感じも良かったですし、どちらが良いかは好みですね。

そして恒温機(乾燥炉)に入れ、60℃40分の熱を掛けて塗料を硬化させます。

本来は単品で入れたりはせず、他の製品(ご依頼品)が溜まったら一緒に熱を掛けるようにしていますが、今回はテストなので塗装後すぐに熱を入れて一時間後に出して確認しました。

結果としては塗料が著しく溜まった箇所はまだ柔らかい所がありましたが、箱に入れればそのまま持ち帰れるレベルに固まっていました。

そして後日撮影も行いました。

この面は「春」をイメージしています。

こちらは「冬」ですね。色の組み合わせは悪くは無いのですが冬と言うとそうとは見えなく・・・。紫とイエローでは無くてブルーグレーとか鈍い色にすれば良かったと思っています。っていうか白と黒とグレーだけの無彩色も良さそうですね(今度やろうと思います)。

後ろのアディダス部分は筆で塗ろうかと思いましたが、今回はワークショップ用のサンプルなので余計な事は止めておきました。

こちらは「秋」をイメージしましたが、ちょっと密度が高過ぎましたね。そして水色は全く必要無かったでしょう(苦)。

こちらは「夏」をイメージしていますが、うーん微妙・・・。オレンジは要らずもっと濃いグリーンで攻めれば良かったかなと。まあでも今回は見本という事で(笑)。

 合皮の場合は塗料は吸い込まず、立体的に出来ているのが判ると思います。

結構食み出た箇所はあったのですが爪で擦るとある程度取れますし、これなら誰でも出来てしかも実用出来る!と言う点で面白いと思います。

これと同じ内容を11月22日(日曜日)にワークショップ開催予定で、参加費は¥3,000、時間はマスキング30分+塗装30分と考えていましたが、今回やってみてちょっと厳しいと思ったので、合計2時間を想定しておこうと思います。

スニーカー塗装ワークショップ 参加要項

上手く行ったら今後ストアカなどでも募集してみようと思います(多分その時は¥6,000くらいになると思いますのでお試し価格の今のうちにどうぞ)。

エメラルドグリーン調色

 ご依頼を頂いていたマイクの塗装に使った、ロゴを印刷したデカールです。いつものようにALPS社のMDプリンターを使って作成しました。

 下色にシルバーを印刷し、その上にシアン、イエローを重ねています。

今回のご依頼では「このロゴの色に合わせたエメラルドグリーンでマイクのグリルを塗装」といったご指定だったので、この印刷した色に合わせて色を調色する事にしました。

尚、MDプリンターを使ったデカールの作成についてはこちらの記事が判りやすいかと思いますので宜しければご参照くださいませ。

 こういった場合は適当にグリーンとブルーを混ぜて作ってしまえば手っ取り早いのですが、当店の場合「前回依頼した色と全く同じで!」や、「ウェブサイトで紹介しているあの色と全く同じに」といった、まるで背筋が凍るようなご指定を頂く事が多く、なので今回もその場のノリで色を作ったりはせず、しっかりデータとして残すようにしました。念の為ですが配合データが無い場合、全く同じ色を作る事は不可能です。

上の画像はどちらもハウスオブカラーの塗料を使って作った色見本で、左がKK-09オーガニックグリーン100%、右は少し前にお納めした64 AUDIO Fourte Noirのイヤホン塗装の為に作った、KK-09とKK-04を混ぜて作った色見本です。

今回はこれらを参考にして色を作ります。

 実際には「調色」と言う程の作業では無く、先ほどの色見本から大体を予想して配合率を決めて2種類を作っています。

 左がグリーン:ブルー=4:1で、右がグリーン:ブルー=2:1です。

色味的には右の方がエメラルドグリーンっぽくて良いのですが、今回はデカールの印刷色に合わせるので左の色を採用する事にしました。

 こちらがグリーンが多い方です。

こちらがブルーが多い方です。

そして本塗りです。

印刷と塗装を比べる物ではありませんが(そもそも全く違う物なのでどうやっても同じにはなりません)、概ね良い具合にはなったと思います。

 既にマイクはお納めしていて、その後それぞれの色見本もいつものようにプレート化しておきました。

色見本プレートの作成についてはこちらの記事が判りやすいと思いますので宜しければどうぞ。

 塗膜構成は印刷と同じく、下地にシルバーを敷いた3コートキャンディーカラーとなります。

キャンディーカラーの場合、下色を調整する事でも色を変える事は出来ますが、そこに手を出すと天文学的な組み合わせになってしまうので、基本的にはそこは弄らないようにしています。

今回は印刷した色に合わせて塗料(の配合データ)が作れたという事で、これはいずれ役に立ってくれる日が来ると思います。と言うかこういう事にも結構なコストが掛かっているので、役に立ってくれないと困る訳です(笑)。

あ、でも現在入っているマイクの塗装でもこれらが大いに役にたってくれまして、いずれ海外から観光で来られた方が実際にこれらの色見本を見てそこでオーダーし、作業工程はブログで紹介~完成品を国際便で発送する!という日も来るかも知れません。まあ現状既に手一杯なのでそんな事する予定もありませんが・・・。

初心に帰って

先日の休みに多摩川の河川敷で拾って来た石ですが、実はこれも塗装材料の一つだったりします。

小物塗装屋として再稼動したばかりの時は仕事も無く暇だったので、こういった無料で手に入る素材を使って「塗装によって変えられる何か」を造っていたりしました。当サイトのトップページにある石をメッキ調塗装にしたFlash画像がそれですね。

あの時は石の素材感を塗装によって消してしまいましたが、今度は素材を活かせるような塗装をと考えています。

カーボン繊維と同じようになってくれれば上手くいくと思うのですが…。