ミントグリーンが続きます

mic100先日、とある業者様(芸能事務所と言うのでしょうか)からマイクの塗装のご依頼を頂きまして、ご依頼の前に実際の色を見てみたいという事で事前に色見本をお貸出し致しました。

尚、画像のマイクはその案件とは全く関係がありません。

standox1こちらがお貸出しした色見本帳の一部で、マイクの一部にこの明るいミントグリーンを入れるようご指定を頂きました。それにしてもポルシェにこんな色あったんですか!と(笑)。

car9 珍しい色なので当店用の色見本としても抑えておくことにしました。

car8 しかしこの色、どこかで見たような気が…。

car10 って!

いや、今回のマイクに塗った色は手前の三個で、奥の二個は全くの別件で塗った色なのです。

画像だと殆ど同じ色にしか見えませんが、実物を見てもパッと見はやはり同じ色としか思えません。

corsair54ちなみに奥の二個は現在仕事の方で作業中のCORSAIR PCケースに採用している色で、こちらはPORSCHEの色では無く、PANTONEの色(カラーコード: 322)を見本として独自に作成した色です。

pantone (1 - 1)-6さらにその後私物として購入したPANTONE UNIVERSEのICE-WATCHがほぼ同じ色!と言う発見もありまして、かなり珍しい色である筈なのに今回のマイクで偶然が3回続いてしまったのです。こんな事ってあるんですね。

car11車の修理をやっていると(今はやっていません)、同じ車種や同じ色が立て続けに入庫して不思議に思うと言う事は良くあるのですが(珍しい事なのでそう気づくだけではあるのですが)、今回の件はさらにそれの上を行くような珍事でした。世の中的にこの色が流行っているというなら判らないでもないですが、普通は使わない色ですしね。

ちなみにポルシェの色は出来るだけ発色を良くしたかったので配合データ上から黒(MIX571)は抜かしてあります。

と言う事は、配合データからその黒を抜けばこのPANTONE FORMULA GUIDEの「322」やパントンファッション、ホーム + インテリア系の「Cockatoo」の近似色が作れる!という事で、322から作った色に関してはその配合データを公表しましたが、違う塗料メーカーでもPORSCHEの「mint gruen」(カラーコード:22R)の配合データを調べれば(そして黒を抜けば)これとほぼ同じ色が作れる!という事に至ります。

と言う事で全然興味が無い方にはアレですが、色(と色見本と配合データ)のマニアとしては今回の事ではちょっと興奮してしまいました。二度ある事は三度あるんですね。

遠心脱泡初実践

enshin59先日注いでおいたシリコーンが固まったのでようなので早速開けてみる事にしました。この瞬間、結構ドキドキしますよね。

enshin42うっかり土台のサイズの事を忘れていて、型がデジケーターに入らない!と言うミスを生じましたが、その後機転を利かしてデジケーターをひっくり返して被せる!と言う作業のお陰で(多分)巣穴は一切無くギッシリ詰まった感じで出来ました。ひとまずは一安心です。

enshin44 原型とスチレンボードの破片を抜き、湯道をカッターで切って通しておきます。

enshin45 先日作成しておいたMDFのプレートにクリアーファイルをカットした物を敷き、台の中心にシリコーン型を乗せます。

enshin46 蓋を被せネジを締めます。

ちなみにこのネジをどれくらいの締め付けトルクにするのかが判らず、取り敢えずシリコーン型が崩れない程度に軽く締め付けましたが、今後はこの辺も精査が必要なようです。実はこの後大変な事になりました。

enshin47 台をポリッシャー改に乗せ、実際に回しながら中心になるよう位置を決めていきます。

enshin48 注型する樹脂は今まで通り120秒硬化のウレタンレジンを使います。

enshin50シリコーン型を回し、真ん中の穴から樹脂を注ぐと、樹脂を注いだ傍からみるみる周りに飛び出してくるという…。

取り敢えずあるだけ注いでいきますが、どうも隙間から漏れているっぽいです。

しかも120秒待っても樹脂が一向に固まる気配が無く、いつもは早く固まって困るくらいなのに、いったいどうして…。

enshin49ちなみに一応普通の型に同じ樹脂を注いでみると、こちらはいつも通り二分程で硬化が始まりました。意味が判りません。

回転したからといって気温が下がる訳では無いので結構不思議です。まさかそこだけ時空が歪んだとか…(または反応熱が逃げてしまうんですかね)。

enshin51 と言う事ですが、5分くらい周し続けたら何とか固まりました。そしてプレートを外してみると下にはジャジャ溢れの樹脂の残骸が(苦)。

結局のところ、注いだ樹脂はかなりの量が零れてしまいました。こんなに零れてしまうなら次はドレンを設けて、零れた樹脂をもう一度上から注げるようにした方が良さそうですね(かなり間違い)。

enshin52注ぐ時にも大分周りにこぼしてしまい、今更ながらかなりいい加減にやってしまった感が強いです。

そして、どうせ中はスカスカなんだろうなぁ、と。

enshin54 が!中には普通に樹脂が詰まってました(笑)。意味が分かりません。

enshin55 湯口に樹脂が固まってしまい取り外し難い事もありましたが、予想に反して注型自体は普通に出来ていました。と言うか大分良い感じです。遠心注型はスゲェ…と何度か呟いていたと思います。

enshin56 適当にバリから外しただけの状態ですが、湯口以外には巣穴などは全く無く、どこを見ても今までで一番良い仕上がりです。

enshin57下に敷いたPP製のクリアーシートは使い古しだった為にシワや折り目などがそのまま残ってしまいましたが、裏側の面も概ねフラットに綺麗に出来ました。パーティングラインはフチのプレスライン部分なのでこの後の仕上げもこれなら簡単に出来そうです。これはちょっとヤバいかも知れません。

ただ周りに飛び散る量がひどいので(苦)、これはもう少し改良しなければなりません。恐らくはトルク管理とかの問題では無く、もしかしたら板が薄くて圧が均一に掛かっていないか、または回転数が早過ぎて型が歪んで隙間が出来てしまっているのかもです。

今回は事前情報はほぼ無しで挑んでいますので、もう少しネットで先人の方々の作業例を参考にして色々改めてみようと思います。

いやー、それにしても遠心注型、予想以上に凄い威力です。これならもっと細かくて繊細な形状も隅々まで樹脂を行き渡らせらせそうですね。ミニカーではちょっと勿体ない気がしてしまいました。

第20回岡本太郎現代芸術賞展④

okamoto (1 - 1)-29先日に引き続き、現在開催中の「第20回 岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」展に行った時の紹介となります。全4回に分けましたが、今回が最後の紹介となります。

こちらの作品は鈴木伸吾氏の「枯山水 南の島」なる作品で、作者のオフィシャルサイトもありましたので紹介させて頂きますね。

shingo-suzuki.com/

okamoto (1 - 1)-30松の高さは5センチくらいで、これの他に富士山のミニチュアや造花?を張った水盤も飾ってあったりします。

okamoto (1 - 1)-31壁に掛けられている掛け軸には、先ほどの松が生えていた島にセブンイレブンらしき店舗が(笑)。

明確な説明は無いのですが、恐らくは「沖ノ鳥島」を揶揄っているような作品では、と勝手に解釈しています。そこのコンビニに行く人は居ないだろう!みたいな(まあ彼の島の存在意義はまた違う話ですが)。

okamoto (1 - 1)-23そしてこちらは山田弘幸氏の作品、「慾玉」です。

http://www.gyakkyou.com/

出口の直前にあったのと、すぐ傍に係の方が座っていらっしゃるので(恐らく出口から入って来る方を止める為)、他の作品に比べると少々足を止めにくい場所にあったのがちょっと残念だった感じがします。まあ仕方ないですよね。

okamoto (1 - 1)-27一見して全体のイメージが暗いのと、ちょっとおどろおどろしい感じは否めませんでした。怖い系では無いのですが、世紀末感はしないでも無く…。

okamoto (1 - 1)-28って、あんな所にパンが!(笑)。

事前に冊子の説明を見ておけば何てことは無かったのかも知れませんが、あれを発見してから全ての内容が繋がった!、みたいなのが結構面白く、パンの存在に気付いてからのが見ていた時間は多分長かったと思います。しかもパンをわざわざ重厚なチェーンフックで引っかける大げさ感が私的にツボでした。そこに耐荷重の必要は無いんじゃ!と(笑)。

okamoto (1 - 1)-35今回紹介した物以外にも良い作品は沢山あって、やはりと言うか震災や社会問題などに影響を受けた物が多かったように見受けられます。

okamoto (1 - 1)-13この企画展(と言うか美術館全体)は非常にアットホームで、新国立美術館のようなスケールの大きい所だと少々敷居が高く感じてしまいますが、ここに関しては規模や入場者数、雰囲気がとても良くて大好きです。帰りは園内にある古民家でお蕎麦も食べて、半日程度の滞在でしたが非常に有意義な一日でした。

enshin50そういえば紹介が遅れている遠心脱泡は既に初可動も終えていますので、こちらも後日改めて紹介したいと思います。色々ありましたが、とにかくその威力だけは凄かったです(笑)。

第20回岡本太郎現代芸術賞展③

okamoto (1 - 1)-34先日に引き続き、現在開催中の「第20回 岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)」展に行った時の紹介となります。

今回はちょっと引っ張り感がありますが、ギックリからまだ復活出来ていないので少し楽をさせて頂こうかと…(苦)。

okamoto (1 - 1)-17今回紹介するのは「岡本敏子賞」を受賞した井原宏蕗氏の作品「cycling」です。

作者のオフィシャルサイトがありましたので紹介させて頂きますね。

http://koroihara.com/

okamoto (1 - 1)-14 パッと見は彫刻っぽい動物が何体か飾ってあるようにしか見えないのですが、

okamoto (1 - 1)-15 実はこの作品、それぞれの動物の排泄物(ふん!)で出来ていて、ふんを漆でコーティングして接着し、元の動物の形に原寸大で復元すると言う手法で制作されています。「ふ、ふんかよ!」と心の中で叫んだのは多分私だけでは無いと思います(笑)。

ちなみに作品からはふんの臭いなどは全くせず、また見た目も艶々と黒光りして綺麗なので、この作品を見ただけではその意図する所は判らなかったと思います。いやー、凄いです。一粒一粒の芯までは漆も浸透していないでしょうから、搬入の際にはかなり大変だったのでは…と要らぬ心配をしてしまいます(実はどの作品を見ても何故かこの心配をしてしまうのでして…)。

okamoto (1 - 1)-18 うっかりしていると見落としてしまうのですが、少し外れた所にはウサギなんかも居たりします。勿論ですがこれもウサギのふんで出来ていて、やはりと言うか他の動物に比べて粒が小さいです。

okamoto (1 - 1)-19そしてこっちにはネズミも!(小さいのでうっかり見逃す所でした…)。

作者の言葉としては、「生き物の生きた痕跡を作品化する、排泄は生き物にとって切り離せない行為である。排泄物は汚く臭く、目を背けたくなるが、それは生き物が生きた証を生々しく表している。”cycling”と言う連作は、そんな動物の「糞」をそれぞれの排泄元の身体に戻すように「漆」でコーティングし接着した作品である。「漆」も木という生物の体内で生成されるが、高級で恒久的な素材と言う点で「糞」とは対極に位置する。「糞」という捨てられる素材を「漆」という高級素材で覆い、「排泄」という一過性の行為を時を超えた存在にした」との事です。

ちなみに冊子には「ハト」の画像もあったのでもしかしたらどこか上の方に展示されていたのかも知れません。うーん、それも見たかったなぁ、と。

okamoto (1 - 1)-20 そしてこちらは加藤真史氏の作品、「Vacancy」です。

賞は逃していますが実は私的に一番気に入った作品で、毎回この企画展では最後に「今回の中でどの作品が一番良かったか」と言う投票があるのですが、私はこちらに一票を入れさせて頂きました。

okamoto (1 - 1)-21 作者の言葉としては、「現在、「風景」はイメージと不可分である。たとえばイヤフォンをつけて歩くと視界は投票動画のように見えたり、月面など行ったことの無い場所を私はイメージとして知ったいたりする。つまり風景はフィクションのように自然と人工物が混交している。自然と人工物の境界は曖昧だが、少なくとも都市で生きる者にとって最も身近な自然は身体である(動かし続ければ眠くなるし、酷使すれば傷んでくる)。風景と身体的実感をリンクすれば、自分に引き寄せることができるのではないか。私はそれを試みている。」との事です。

okamoto (1 - 1)-22一枚一枚の絵は隣と綺麗につながっている訳では無いのでとてもアナログ的なのですが、中に入って周りを見渡すと自分の目で見ているというよりかは仮想現実の世界に入ったような錯覚を起こし、自分の目がカメラのレンズになったような感じが面白かったです。詳しい手法は判りませんが、実際写真を見ながら描いているのかも知れませんね。

okamoto (1 - 1)-26他には、北京生まれで東京育ちの奥村彰一氏の作品「おてんば納涼図」や、

http://oolongcha1206.wixsite.com/okumura-shoichi

okamoto (1 - 1)-25繪畑 彩子さんの作品「人生はひまつぶし」など、会場全体で見ると少々目立ち難いのですが、ジワりと来る物もあって中々面白かったです。

https://www.ayako-ebata.com/

あと一回、紹介出来ますかね。