そうだ、小物塗装屋になろう③(仮)

stone (1 - 1)-2今回は小物塗装屋になりたかった「動機」の話ですが、これについては「小物の塗装なら一人で全て出来る」が一番の理由だったと思います。自動車を扱う業務ではどうしてもそれなりの規模が必要ですが、対象が小物であれば必要最小限の固定経費で好きな塗装が出来る!、という所ですかね。

ちなみに本来これは老後に行うつもりだったのですが、幸いにしてか途中で体が壊れてしまったので(単なる腰痛ですが結構大変でした・・・)、そんな体でも出来る事はと言う事で早い段階で踏ん切りがついたのです。

上の画像は元々天然の石だった物をパテとサフェーサーで下地を作ってメッキ調の塗装を施し、自然の中に人工的な物を紛れ込ませた、みたいなイメージとして撮影した物です。傍からみたら何かのオカルト的な行動に見えるかも知れませんから、とにかく人気の居ない河川敷の奥に分け入って行ったのを良く覚えています。ここで通報されていたら終わっていましたね(苦笑)。

hyoutan (1 - 1)先ほどの金属質な石を作製した元となったのがこのひょうたんでして、一見ふざけて見えますがこれが私の人生の転機になったと思います。勿論これもれっきとした仕事の一つで、ただ私としてもこういうのはこの時が初めてでした。

最初はオーナー様のVWパサートの板金塗装を御依頼頂いたのですが、その後「もしかしてタカハタさんだったら塗ってくれるんじゃないか?」と言う事で相談を受けました。どこかで聞いたような話ですが(笑)、今も昔もうちに来るお客さんは余り変わらないようでちょっと普通じゃないですよね(笑)。

これを御依頼された方はパッケージ関係のデザイナーをやっておられる方で(超プロです)、この時のコンセプトは確か「自然にある物を超人工的に!」みたいな感じで(違っていたらすいません)、本物のひょうたんに塗装を施す事によってピアノのような状態に仕上げて欲しいとの御依頼でした。ただそもそもの形が想像以上に凸凹で、パテを盛っては研いでを繰り返している内に画像のように高い部分に穴が開いてしまいました。ちなみにこの後内部にポリエステル樹脂を流し込んで無事穴は埋めまして、しかもおきあがりこぼしみたいなおまけまで付いて来たりして(笑)。

hyoutan1その後ひょうたんは無事完成し、パッケージ関連のデザイナーさん達が集まって開いた個展のような催しで飾られる事になりました。周りのデザイナーさんからの評判も凄く良かったようです。
この仕事をするまで私が行っていた塗装は常に実用的な物と考えているところがあって、飾られていたこれを見た時は結構衝撃的だった記憶があります。自動車とは全く関係の無い方々が、私が塗った物を見て感激してくれたのも嬉しく、こういった小物の塗装を仕事として出来れば毎日が凄く楽しいんだろうなぁ・・・と考えたと思います。この時に大分やられちゃっている訳ですね。

cabinet1ただ自動車部品以外で塗装にお金を掛けると言う方はやはりそんなに多くは無く、この状態でいきなり自分の工場を構えるとなるとかなり無理があったと思います。塗料のSTANDOXだけは手放さずに持っていましたが、固定経費で一番掛かる部分は「家賃」ですから、どうにかそこを抑えなければならなかったんですよね。

cabinetそこで考えたのが「間借り」といったシステムで、以前から知り合いだった自動車板金塗装工場の社長に御願いしてそこで新たに「小物塗装のプロ・フィット」が立ち上がる訳です。
これなら敷金・礼金といった形は無く、相場よりもかなり低い家賃で塗装に必要な設備(主に塗装ブース!)が使えますから、比較的高コストな塗装の仕事を、小物の塗装屋としてスタートする事が出来たのです。いやはや本当にありがたい限りでした。

上の画像は初期の頃の依頼品で、本来は医療用だったスチールキャビネットを、綺麗にレストアーして事務所で使うと言う事で御依頼頂いた案件です。外側の古い塗装は全部剝がし、動きの悪くなったキャスターは全部新品に交換しています。昔の事務用の製品は値段が高い分元々の造りも良かったりするので、新たに安物の新品を買うよりもこんな感じで綺麗にしてあげた方が長く使えてお得なのかも知れませんし。
こういう考えを持った方は全体的に見ると少ないかも知れませんが日本全国で見れば結構沢山居るのでは?という事で、当時は楽観的に考えていたところもあります。既に車の板金塗装ではネットからいらっしゃって来た方が殆どでしたから、ある程度の可能性は既に感じていたんですよね。

と言う事で、ちょっと今までは私事の紹介みたいになってしまいましたが、次からは「だったら私も!」みたいに独立を考えている人にも役立つ情報を紹介出来るればと思う次第です。ただ前に同じようなパターンで本当に独立してしまった方が居ましたから(!)、あまり本気で受け止めず、適当に流して読んで頂ければと思います。私に責任は負えませんので(笑)。