そうだ、小物塗装屋になろう(仮)⑩

そうだ、小物塗装屋になろう(仮)⑨

以前紹介した、小物塗装屋になるまでの経緯とか方法とかを紹介した記事の続きみたいな事になります。今回は「自宅編」みたいな感じですかね。

自宅には10坪程度のガレージと言うか土間のような作業場があって、

STANDOX原色塗料(本体)と、それを設置するミキシングマシーンが置いてあります。

ミキシングマシーンは単に塗料を置くだけの棚では無く、これに塗料をセットしておけばスイッチ一つで全ての塗料を攪拌をしてくれると言う優れものです。また15分くらいすると自動的に止まります。

自動車のボディカラーのように厳密な色の作成(復元)には計量調色が必要で、ただしそれは塗料中の顔料がしっかり混ざっている事が前提となるので、正確な色を作る為にはミキシングマシーンは必要不可欠なアイテムです。

ちなみに工場にあるミキシングマシーンは自宅の物の半分のサイズで、置いてあるのは同じSTANDOXの塗料ですが、こちらは自宅とは違う種類の塗料=1コートソリッド用の「STANDOX VOC 2Kエナメル」の原色となります。

これはクリアーに直接色が入ったような塗料で、対応色はソリッドカラー(パールでもメタリックでも無い色)のみ、これに硬化剤を50%(MSハードナーの場合)入れればそのまま艶のある塗装が出来ます(ただしデメリットもあるので私的には殆ど使っていません)。

尚これらミキシングマシーンについては、以前アートトイペインターのGUNさんが工場に遊びに来た時に動画を撮影していて、以下のサイトページでは実際に稼働している姿が見れるのでどういった物なのかが判り易いかと思います。

にんにき日記→■プロの塗装屋さんに遊びに行ってきました。

業界ではもう一般的な物ですが、普通の方からするとこの動きはちょっと想像出来ないみたいですね。

ちなみに工場で使う分はわざわざ小分けボトルに入れて持って行っていて、これが少々面倒な事ではありますが、今の工場にはもうこのミキシングマシーンを置くスペースが確保できない事、また最終的には自宅のこの場所で仕事をするつもり(!)なので、このスタイルは多分最後まで続くと思います。

自宅の作業場にはSTANDOXの色見本帳が一式あったり、コンプレッサーにエアードライヤー、排気には業務用の換気扇を2機(一個はダクト&フィルター付き)も設置しているので、ここで直ぐに小物塗装屋を始める!と言う事も実は可能です。

今は自転車用とカブの車庫、またちょっとした軽作業を行う程度になっていますが、いずれ今の工場を引き揚げて、マイクやリモコンキー、タンブラーなど極小さい物だけをここで塗装しようと思っています。

今の工場は賃貸で、当然それなりに固定経費が掛かっていますから、このまま歳をとっていけば仕上がりのレベルが落ちたりペースが遅れたりと、今の状況を維持するのは難しくなっていくと考えています。これは車を塗っていた時にも感じていた事で、それ故に今の形態となった訳ですが、さらに歳をとれば次の段階に行く必要があるという訳です。

または今現在工場の二階の一部を間借りしてくれているK氏のように、工場全体をシェアスペースみたいにして家賃収入を得るという事も考えられない事は無いかも知れませんが、それこそ歳をとってから自分の仕事をしつつ工場全体を管理するなんて事は難しいと思うので、やはり段階を踏んでミニマルな形態に移行していくのが理想だと考えています。

私自身、元々は「机一つあれば出来る仕事」と言うのを理想にしていたのですが、さすがに今やっている塗装でそれは難しく、ただ対象物を限定していけばこれくらいのスペースでも塗装の仕事は続けられると思っています。車体の塗装では到底無理でしたが、これなら最期まで塗装の仕事を続けていけるだろう!と言う感じですかね。塗装は難しい事ばかりですが、それだけに飽きずにいつまでも続けていきたい仕事でもあります。

今後AIの進歩やIoT化がどんなに進んでも小物塗装の需要は無くならないと思うので(下地処理はどうやっても無理ですよ)、取り敢えずあと20年くらいは今の形で、その後はプレッシャーの無い塗装をやって楽しく余生を過ごせれば理想的だと思っています。

って、プレッシャーの無い仕事なんて存在するのかどうかは微妙ですが(怖)。