STANDOXストラクチャー塗装改め 結晶塗装

 業者様からの御依頼で、とある自動車の内装部品の塗装をご依頼頂きました。

詳細については伏せさせて頂きますが、少々変わったご依頼(と言うか相当貴重な品)でしたので、使用した材料や作業内容について少し紹介したいと思います。

ちなみにご依頼頂いた物は既に結晶塗装が施されたばかりの物で、ただ(素人の方が見ても)かなり酷い状態だった為、一旦全て剥がして塗り直す事にしました。

また違う車体から同じ部品をサンプルとしてお預りしたのですが、それを見る限りでは結晶塗装には見えない程の細かい肌で、それの再現となるとかなり難しいと思い、今回は「ストラクチャー塗装」なる方法を選ぶことにしました。

STANDOXの塗装システムには元々そういった専用の塗料があって、未塗装の樹脂バンパーでシボ模様や梨地がある物でもこれを使用して補修する事が可能です。

 当店では車のバンパーを直す機会はもう殆どありませんが、航空機用の搭載カメラや軍用レーダーのケース、よく判らない(知ってはいけない)機密性の高い専用機材など、そういった業界の方から時々ご依頼を頂いて使っています。画像は昔に色見本として作成した時の物です。

使い方としては2Kエナメル(色の着いていないクリアーのような塗料)に混合し、直接硬化剤を入れて使います。艶消しクリアーも混合可能です。

今回使うのは細かい目の「MIX 602 Fine」となります。

 ちなみにSTANDOXも昔は分厚い紙のマニュアルでしたが、今はオフィシャルサイトからPDFで見れてとても便利です。別項では丁寧に塗装方法についても紹介されていて、しかも誰でも見る事が出来ます(逆を言えば勝手な使い方は許されない、という訳ですが)。

 と言う訳で塗ってみました。塗料構成としては、「MIX602:MIX412(黒):ハードナー=「1:1:1」です。敢えて艶消しは入れませんでした。画像は塗装直後です。

その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させるとこんな感じになるのですが、塗られた実物(ご依頼品)を見るとどうも何か違う・・・。

 と言う事で、結局正攻法で結晶塗装を行う事にしました。画像は以前撮影したイエローですが、実際は黒です。

単にシンナーで薄めただけだと綺麗には結晶目が出てくれないので、その辺りは多少なり工夫をして 何とか良い具合にする事が出来ました。実物は当時の純正を再現しつつ、現代風の美しい結晶目に!と言う仕上りに、また今週末に納品予定なので実際に見て頂いて評価も頂きたいと思います。

それにしても最初に塗られていた塗装はかなりの男前で、よくあれで世に出せると羨ましくなりましたが、内情を知っているだけに判る気がしないでもありません。レストア専用の事業部だとしても、普段は結晶塗装などやらないんでしょうね。