そうだ、小物塗装屋になろう(仮)⑧

factory4 少し前に「小物塗装屋になるには」みたいな事で色々紹介していましたが、そう言えば具体的に必要な設備や費用などを紹介していなかったような気がするので、改めて年末の連休中にそれらを紹介出来ればと思います。

ちなみに上の図は当工場の見取り図で、左の一階が18坪、右の二階が22坪で、合計40坪=約130平方メートルくらいが床面積となります。これの他に車一台分の車庫とベランダ、そして屋根裏(!)とエレベーターがあります。今回はこの工場を借りるにあたっての事を紹介しようと思います。

sea_1 工場を探す事で一番のネックはやはり「臭い」で、これをクリアーする為に東京で工場を借りるのはとても大変でした。当初は海沿いとか川沿いなら大丈夫だろうなんて軽く思っていましたが、条件に当てはまるような物件は全く無かったのです。

ちなみに上の画像はどこかのリゾート地みたいですが、我が大田区が誇る(?)人工の砂浜「大森ふるさとの浜辺公園」です。今の工場からも普通に自転車で行けるくらいの距離にこれがあるんですよ。

factory_10コスト面でネックとなるのはやはり家賃で、小物塗装は車の塗装と違って「保険修理」と言う物がありませんから、今までやって来た塗装をそのまま小物でもやるにはとにかく固定経費を抑える事が必要でした。

で、物件を探していて比較的家賃が低いと気が付いたのがこの「二階建て」といった構造で、これならある程度の床面積を確保しつつ条件内の賃料で収まるので、その中でほぼ理想的な条件だったのが今の工場と言う訳です。とてもじゃないですが一階平屋の物件は借りれませんでした。

ちなみに画像が白黒なのは壁の化粧板的な木目が嫌で、実はそれが「理想的では無い部分」の一つだったのです。見た目が工場っぽく無いのがとても嫌で、ただその後は壁を塗り直す事で払拭出来ました。

factory_11 参考までに、大田区で工場を借りるとした時の坪単価は大体一万円前後が相場で、広くなればそれだけ単価も下がり、小さくなれば単価は上がるのが一般的です。私的な見解だと今の工場では一坪¥8,000くらいが相場だと思います。ただ駅から結構近いのでもう少し高くなるかも知れません。

しかしながらそんな金額では小物の塗装では直ぐに破綻しますので(苦)、今の工場はそれよりも全然お安く借りる事が出来ています。本当に¥8,000/坪だったら月々の家賃は32万円で、それで小物の塗装は到底無理ですよ。なのでとりあえずは23万円と仮定しておきます。

factory_9当然物件を借りるには最初に「敷金」と「礼金」が必要で、大抵の場合は3か月分×2=6か月分、さらに前家賃と仲介手数料で一か月分ずつとなりますから、先ほどの家賃を元にすると23万円×8=184万円が最初に必要となります。しかし都内で塗装工場を始めるにはこれでも十分安いくらいで、工場探しは考えていたより結構大変でした。

上の画像は工場を二階に上がったところのベランダで、なんとここは家賃には含まれていません!これが本当に良い場所で、こういうのも物件探しの条件に含めると良いかも知れません。どうやら壁がない所は家賃には含まれないみたいですね。

factory_16そしてこちらが当工場自慢(?)のエレベーターで、賃貸条件に入っていませんでしたが自己責任と言うことであれば好きに使って構わないと言う事で、断線などを直して使えるようにしました。乗ろうと思えば勿論人も乗れます(誰も乗りませんが・・・)。

factory_262階建ての不便さを埋めてくれたのがこのエレベーターで、小物の塗装といっても作業に必要な物は結構ありますから、このエレベーターの存在は本当に助かりました。荷物の搬入は勿論、依頼品や完成した製品の荷物を安全に運ぶのにも大いに役立っています。レーザー加工機とかサンドブラストキャビネットとかはクレーンでも呼ばなければ絶対無理でしたよ!

factory_67これでも引越ししてから結構経った頃で、ただとにかく現場作業を優先していましたから工場の二階に手を着けるのは大分後からになったと思います。この木目の化粧板が本当に嫌だったのでこの頃の画像は余り残っていないのです。

factory_64ちなみにここの工場の家賃が安い理由としては「現状渡し」、「フォロー無し」と言うのが条件なので、こういった残物も自分らで始末しなければなりません。ただどれも直して現役で使ってます(笑)。

factory-35その後は工場の二階を間借りしてくれる方々が来てくれたりして、見た目がボロかった内装などはみるみる綺麗になっていきました。

賃貸でこういう事を勝手にやったら駄目だと思いますが、この辺は(この辺も)かなり自由です。

factory-97えええ~!?ってくらい壁を塗るだけで全体の雰囲気が変わりますよね。壁を塗ってくれているのはカッティング屋さんの抹茶★んです。

factory-108当工場の固定経費を軽減する方法の一つとしてはこの「間借り」のシステムがあって、以前は私が知り合いの工場に間借りして家賃を払っていましたが、逆に今は私が工場を借りてそこに人に入って貰う「間貸し」で負担を軽くさせて貰っています。最近だとシェアオフィスとか言うんでしょうか。

factory-2以前から結構苦労していたのが撮影で、今はIKEAで買った大きな白いテーブルをそのまま撮影スタジオとして使えるようにしていますが、最初の頃はこんな風に簡易スタジオを使って撮っていました。本当に小物であれば大丈夫なのですが、ヘッドカバーとかこれじゃ無理です。

factory-98壁を白く塗ったお陰で、後は大きなテーブルと、上から蛍光灯を吊るせばもうそれだけで十分撮影スタジオとして使えています。さらにこの後大き目のトレース台を壁のように立てて横からも光を当てられるようにして、これ(ここ)のお陰で大分ストレスから開放されました。

road92残物だったボール盤(卓上の電動ドリル)は配線を直してチャックを新しい物に交換し、さらに画像のクロステーブルを備え付けて今では簡易旋盤として使えるようになっています。捨てて欲しかった物が今ではかなり活躍してくれて一石二鳥ですよ。

laser-59歳を取っていけばそれなりに作業効率や売上げは落ちますが(特に塗装の仕事は顕著に現れます)、この環境ならばこのまま歳をとっても何とか塗装を続けていけそうな気がします。ミニマリズムじゃないですが、大分理想的な形に近づけたのではないかと思ってます。

次回は塗装の仕事に必要な設備や工具などのコストについて紹介しようと思います。ちなみにお金は無くても工場を借りる事は出来まして、私の場合は東京都の中小企業融資あっせん制度で結構なお金を借りる事が出来ました。勿論無担保無保証人で、どこの区町村でもそういった物はあると思いますから、銀行や国庫から借りる前に是非調べてみると良いかと思います。