オークリーサングラスフレーム塗装 完成

先日本塗りを行っていたオークリーレーシングジャケットのフレーム2セット分です。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきました。

フレーム上部とテンプルを艶ありのオレンジ (蛍光顔料含有)に、

 フロントのロア部分を艶消しのガンメタに塗装しました。

オレンジに関しては「OAKLEY Team Orange」の近似色で承りましたので、色見本としてそれが塗られたパーツを購入し、

そのオレンジを参考にして色を作成しました。

鼻当てパッドが着く部分はシャフトが打ち込まれているので抜くのは難しく、マスキングでの対応としています。

テンプルとフロントフレームの接続は嵌めこみ式で、

特にコツ等は必要無く、強く押し込む感じで入れます。塗装の剥がれは無く、また可動も問題ありません。

そして完成です。大変お待たせしました!

オレンジ部分は高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

フロント下部はオーナー様から頂いた画像を参考に色見本の中から良さそうな色を選び、それを測色機(アクワイヤー)で読み込んで配合データを取得、色を作成しています。

ガンメタ部は艶消しクリアー仕上げ(2コート塗装)となります。

鼻当ては元々白い物が着いていましたが、こちらは黒いタイプが市販されていたのでそちらに交換しています。

裏までしっかり仕上げています。

塗膜の強度としては、自動車ボディのそれと同様とお考え頂ければと思います。

マネキンに装着してみました。

マネキンの頭は通常の成人男性に比べて一回り小さいサイズとなっています。

フロントアッパーとロアとを固定するアルミネジは艶消し黒に塗装しています。こちらも2コート塗装となります。

こちらは元々蛍光グリーンだったフレームで、

こちらは白いフレームだった物となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

蛍光オレンジ100%に比べると赤味があり、これだけを見ると「普通のオレンジで再現できるのでは?」と思うかも知れませんが、実際には不可能です。

尚、蛍光オレンジ100%だと明る過ぎるので(黄色味が強く明度・彩度が高過ぎる為)、通常の塗料(STANDOX MIX579)を混ぜて作っています。

ストロボを使っての撮影も行ってみました。

ストロボを使った撮影ではカメラの設定を変更していますが(ISO・シャッタースピード・露出)、こちらもサイズの縮小以外は未加工となります。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

オークリーサングラスフレーム 本塗り

先日フレーム下部の艶消しガンメタを塗っていたオークリーレーシングジャケットのフレーム2セット分です。

今回のパーツはチームオレンジをイメージした蛍光オレンジの艶あり仕様となります。

元々の色は塗装では無く樹脂自体に色が練り込まれた物で(着色樹脂)、最初の状態は艶ありでしたが、しっかり細部まで足付け処理されて艶が消えているのが判ると思います。

よく脱脂清掃し、プラスチックプライマーを塗ったら本塗り開始です。

まずは下色として白(VWキャンディホワイト)を塗ります。

続けてこちらも下色となるRAL2004を塗ります。以前メルセデスR129のインマニに採用したオレンジですね。

蛍光色は隠ぺい力が著しく弱く、下色によって色味が変わってしまう傾向にある為、後で同じ色を再現しないといけない場合には今回のようにしっかり下色等を記録しておく事が重要となります。この時点でRAL2004で完全隠蔽させておきます。

そしてチームオレンジの色見本を参考にして作成した蛍光オレンジを塗布します。

蛍光オレンジは2コートとしています。またいずれのベースコートにもハードナーを添加し、ベースコートが厚くなっても大丈夫なようにしています(実際にはトータル5コートだったので入れなくても問題無かったと思います)。

ぱっと見は普通のオレンジにも見えますが、通常の原色のみでは再現が出来ないオレンジとなります(ただ海外にはSTANDOXのラインナップに蛍光色の原色もあるようです)。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

クリアーは通常通り2コート行っていますが、レンズが入るフチや可動部近辺は厚みが付かないよう最初の1コートは掛からないようにしています。

蛍光オレンジのみに比べると断然赤味が増していて、色見本として用意したフレームの色味に近くなっているかと思います。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

オークリーサングラス フレーム下部 本塗り

先日下準備を行っていたOAKLEYレーシングジャケットのレンズ下側フレームと、アルミ製のネジ、それぞれ2セット分です。

よく脱脂清掃し、まずはプラスチックプライマーを塗布します。

プラスチックプライマーは厚塗りをすると塗膜の強度(密着性)が落ちる為、歪な形の物を塗る時は特に小さい口径を利用し(0.4mm)、細部までしっかり満遍なく塗ります。ミディアムコートで途中にフラッシュオフタイムを設け、2回に別けて塗っています。

 そしてベースコートを塗布します。

同型のフレームに元々塗られている塗装は使っている内に擦り切れてしまうとの事ですので、恐らくはクリアーが塗っていないこの色のみの状態なのだと思います。

アルミ製のネジの頭には黒を塗ります。

ベースコート単体だと半艶程度の艶具合となりますが、

それに艶消しクリアーを塗ると、ベースコートのみの状態よりも艶が消えた仕上がりとなります。

フレームにも艶消しクリアーを塗り、

こちらも時間が経つと艶が消えています。

艶消しクリアーは艶ありクリアーと同様2液アクリルポリウレタン系塗料の為、肌に擦れただけで下地が露出するなんて事は無いかと思います。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

次はフレーム上部とテンプルの蛍光オレンジとなります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

オークリーサングラスフレーム 下準備

先日色の作成をしておいたオークリーサングラスフレームの下側=ロアフレームです。

オーナー様曰く、「元々塗ってある下側のパーツの塗装が弱い」との事ですので、念のため密着性のテストを行ってみる事にしました。

該当のパーツに#800程の番手(アシレックスレモン)で足付け処理を行い、脱脂処理、プラスチックプライマー塗装、適当なベースコート(STANDOX MIX571)を塗りました。クリアーは塗っていません。

新しいガムテープを貼って勢いよく剥がしてを何度か繰り返しましたが、全く問題無い事を確認出来ました。

続けて親の仇のようにプラスチック製のヘラで力強く擦ってみましたが、こちらも問題ありません。フチのミストっぽくなっている箇所で一部素地が露出する程度です。

最後に#500相当(アシレックススカイ)で研磨してみると、しっかり塗膜が食いつているのが判ります。密着性が悪いと塗膜がブチブリと千切れるような削れ方をしますが、綺麗にグラデーションして削れるので、今回の素材は塗料との密着性に問題は無い事が確認出来ました。純正の塗装が弱いのは使われている塗料自体が弱いか(模型用塗料のような物)、またはクリアーが塗っていない=ベースカラーのみで耐摩耗性が低い物と思われます。ちなみに素材は恐らくポリウレタン系で、それに何かしらの骨材(ガラスパウダー等)が入った物と思われます。

ちなみに密着性のテストは今まで施工したオークリーでも何度かやっているので最初から心配はしておりませんでした(触った感じもPAやPP、PEのようなヌメリ感が無いので安心していました)。

まずは#800相当で全体を研磨し、

ヘラが入らないような箇所はナイロンブラシとウォッシュコンパウンド(液状研磨剤)を使って細部まで足付け処理をおこないます。

よく洗浄し、

シリコンオフで脱脂を行っておきます。

鼻パッドが装着される金属製のシャフトは打ち込みなので取り外すのは難しく、マスキングで対応します。

レンズ当たり面のクッション材は剥がすと再利用が出来ないと思われる為、こちらもマスキングで対応します。

塗装時の固定用の治具として、丁度良い薄さのアクリル板の端材に穴を開け、

ネジとナットでフレームに固定します。

可動部に塗装が着くと動かなくなる&塗装が剥がれてしまうので、そういった箇所にはワッシャー等を挟んでネジを固定しマスキングとし、本塗り時はそのネジをワニクリップで掴んで芯棒に固定出来るようにします。

小物の塗装をするようになって気付いたのは、塗装自体よりもそれの前準備に多くの時間と手間が必要で(車体の場合以上にです)、ただそういった事が私の場合特に苦痛に感じない(むしろ楽しい)というのが幸いでした。毎回違う内容で考えながらする事も全く飽きない理由の一つだと思います(毎日が未踏の地への冒険といった感じです)。

この後は再び脱脂処理をし、本塗りのタイミングが来たら台に並べて再び最終脱脂を行ってから本塗りとなります。塗装はとにかく清掃&脱脂・脱脂・脱脂が重要です。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

オークリーサングラス 色作成

先日チームオレンジとなる色の確認を行っておいたオークリーのサングラスフレームです。次はフレーム下側の「つや消しガンメタ」の色で、こちらも頂いた参考画像を基に色を選びます。

最初は艶消しの色見本帳から似た色を探しましたが、良さそうな物が見つからず、

通常のボディカラーの色見本から探しましたが、それでも中々良さそうな色が見つからなくて、

改めて一番色の探しやすい、RMの色見本=カラーマスターを使う事にしました。

ただ頂いた画像はホワイトバランスが青寄りになっていると見受けられ、なので最終的に選んだ3枚の中から一番青味の少ない物を採用する事にしました。

フロントフレーム上部とテンプルは蛍光オレンジの艶ありに、フロントフレーム下部はこちらのガンメタの艶消しになる感じです。

しかしながら選んだRMの色見本から当店が使うSTANDOX社の塗料でこの色を作れませんので、ここから測色機=カラーマスターを使ってSTANDOXの配合データを入手する事とします。こちらの記事が判り易いかと思いますので宜しければご参照くださいませ。

キャブレートを行い、色を測ったらPCに繋いでデータを転送させ、提示された色の中から良さそうな物を選んで配合データをダウンロードし、

実際に色を作ります。ブルーパールとグリーンパールとメタリックが入った黒系の色となります。

そしてチームオレンジの色の作成です。

画像上にある色見本は蛍光オレンジ100%で(下色にVW社のキャンディホワイト=LB9A)、これに赤味を足して下側の色見本用フレーム(私物)の「O」のマークのオレンジ色に近づけていきます。

実際には赤の原色は使用せず、STANDOXのオレンジ(MIX579)のみを足して赤味を出しました。

このような感じでチームオレンジをイメージしたオレンジを作成しました。配合内容としては、


バインダー:蛍光オレンジ(パウダー):MIX579=10:1:4


となります。

ただしこの状態ではかなり隠蔽力が弱いので、まず下色にVWキャンディホワイト(LB9A)を塗り、その上にRAL2004を重ね、最後にこの蛍光オレンジをコートしようと思います。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!