BMWアッパーカウル 調色作業

大変お待たせしておりました。BMWのアッパーカウルは作業着手しておりますのでご安心下さいませ。

アッパーカウルは新品ですが、色が車体色と違う為、今回はこちらのフロントフェンダーを一緒にお借りしてこちらの色を基に調色作業を行います。

まずは色がちゃんと見えるよう表面を磨きます。

表面がくすんでいたので良く判りませんでしたが、かなり粗いメタリックが使われているようです。

また粒子自体がゴールドっぽく見えているので、着色メタリック(ゴールド)か、もしくはパールが使われているのかとも思いましたが、恐らくこれは透明度の高いマルーン系原色が使われているからだろうと予測して、取り敢えずそれらは使わない事にしました。ちなみにですが今回の塗色は配合データが存在しません。

メタリックの粒子を選ぶ際にはこういった原色色見本帳を使います。

取り敢えず一番粗いMIX598を使ってみます。

尚、色を見る時には専用の調色ライトを使います。

最初に使った原色の一部は要らなかったようで、途中で一度色を作り直し、また最終的にはメタリックの粒子感(サイズ)を少し抑えたかった為、二段階したのメタリックMIX811を使いました。MIX593では無くMIX812でも無くMIX811だった理由としては、MIX593に特徴が似ているからで、色の変化を大きく崩したくなかったからです(メタリック原色はサイズだけでは無く粒子の形などそれぞれ特徴があります)。

終わってみたら使った原色は少なく5色のみでした。左の原色MIX822はマルーン寄りの茶色で、透明度が高いのが特徴です(故に隠ぺい力は悪いです)。

ちなみ先ほど色を見た方向が「正面」で、こちらが「スカシ」となります。通常は白またはメタリックアディティブ(MIX008)を入れてスカシを調整しますが、今回はそれも必要ありませんでした。

ちなみに白はスカシの粒子感を濁らせたい時に使い、メタリックアディティブ(DUPONTだと4530S)は白くはさせたいけどメタリックのキラキラ感を残したい場合に使います。ただし後者は正面が黒くなると言う特徴もある為、そのバランスも考える必要があります。

また色の見方は調色ライトだけでは無く、自然光の下や他の人工照明など、それぞれ違う環境下でも確認する必要があります。

そしてストライプラインのゴールドです。こちらは「調色」と言うよりかは色の作成といった感じですかね。「似たような色」と言う事で余り作業時間は掛けません。

メタリック粒子は先ほどとは真逆に、一番細かいMIX595を使います。正面の輝きも鈍く、また刷毛目も出難いといった特徴がある為、今回のピンストライプに採用されたのでは、と言う予測も立てています。

先ほどの色だと色味(色相分と彩度)が強かった為、シルバーと黒を足して彩度を落としました。また正面を少し明るくしたかったので、メタリック原色は二つ上の物(MIX590)を足しています。

序でなので実際に色板にスプレーしてみて確認も行っています。スティックで塗った場合だとメタリック粒子は倒れたままなので色は濃く(暗く)見えがちで、スプレーで塗るとメタリック粒子は立つ為に正面が明るく色相・彩度は低くなります。またベースコートはウェットな状態と表面が乾いた状態では色の濃さが大きく変わる為、スティックで色を見る場合はその辺の特徴も踏まえておく必要があります。それぞれビックリするくらい色は変化しますので。

使った原色はこんな感じで、あと画像に写っていませんが黒も使っています。

塗装の調色で難しい事は、一つの原色を入れた場合全体のバランスも崩れるという事で、単に「黄色味が欲しい」といって黄色を入れると全体の明度も上がってしまう為、その分「黒」を入れたり「茶」も入れたりと、色々考えなければなりません。

以前の自動車の塗装をしていた頃のプロフィットで、バンパーを交換して塗装した際にそのオーナー様から「フェンダーと色が違う」と言われた事がありまして、勿論調色作業は行ったのですが、そちらのオーナー様は美術の先生をされている方でしたので色を見る目には非常に厳しく、それであれば「両フェンダーへのベースコート暈し」をお勧めしたのですが、「いや、後微妙に青味が欲しいだけだから」と言う事でバンパーを塗り直す事にしました。

が、私的にその色は難しい事も判っていましたし、彩度調色を行っても良い方向に行くか判らないと申しまして、その結果「一緒に調色を行う」(!)と言う事になりました。勿論通常はお受付もしていません。どうしてもご納得されなかった事と、私的にも是非納得して頂きたいという事で、確か夜の9時からスタートして3時くらいまでやったと思います。

結果としては最初よりはよくなったのですがやはり色は違っていて、ただしその先生も「青くしたくも単に青を入れれば良い訳では無いんですね」とご納得して頂けました。

しかし塗装屋さんなら判ると思いますが、一度入れた色は元に戻せなくても一般の方は「やっぱりさっきの状態に戻したい」と言われますので、最初に作った色からは少しずつ色を残すようにして、延々枝分かれして塗料が増えていくような事となりました。またそれぞれの色には説明書きも加え、最終的に現場はこの世の物とは思えないような光景になりました(笑)。仕事としてはあり得ない(やってはいけない)ような事ですが、今となっては良い思い出です。

と言う訳で色は出来ましたので、次はストライプラインの検証を行いたいと思います。念の為2ミリと3ミリのラインテープを追加で発注しておきました(結構沢山使うかも知れなく途中で切れたら大変な事になりますので…)。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!

PEUGEOT Paddle Shift

 プジョー308純正のパドルシフトです。ステアリングの奥に着いていて、指先で電子的にシフトアップが出来るスイッチ的なパーツですね(間違っていたらすいません)。

 塗装するのはボタンの部分のみなのでそちらを外します。中にあるバネや造りが結構細かく出来ていて、元に戻せるか不安になるような構造なので普通の方は分解しない方が良いかも知れません。

 また本体の塗装とは別に、元々ある「+」と「-」のマークも復元して欲しいと言う事で、予めその位置を確認して記録しています。

 ただし右の「+」に比べると、

 左の「-」が大分上の方にあるので、こちらは違和感の無い様に修正しておきます。

 同じような形でデータを作製し、

 微妙にサイズを変えた物を幾つか印刷して、

 実際の物に合ったものを選びます。

 出来上がったデータを基にしてマスキングシートを作成しておきます。

 本体はザラザラとした梨地の為、「研磨→プライマー塗布→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」といった作業で平滑な下地にします。

 プラスチッププライマーを塗り、

 ウレタンサフェ―サーを塗ったら60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させます。

 固まったサフェーサーを研磨して表面を平滑に仕上げ、

 マスキングを行い、

 ベースコートを塗布します。

色はプジョーの純正色「リオハレッド」(カラーコード:EPY)で、画像だと茶色にしか見えませんが粗めのレッドパールとメタリック、鮮やかなレッドとマルーンで構成されています。

 ベースコートを十分に乾燥させたらマスキングを行います。

 ズレていた位置を修正し、違和感の無い様に配置しました。

 そして白を塗ります。

 最後にクリアーを塗って本塗り完了です。

 その後熱を掛けて塗膜を完全硬化させました。

 さらに数日寝かしたら組み付けて完成となります。

 クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」で、高美観なのもそうですが、耐擦り傷性も高いのでこういった直接手で触れる物にはお勧めです。

 

プジョーステアリングスポークカバー塗装 完成

さらにその後、メッキだったステアリングスポークカバーも同色でご依頼を頂き、

また組み付け後の画像も頂きました。わざわざ有難う御座いました!

ゼンハイザーe935 Wパール&ピンクロゴ塗装承ってます

 先日到着しておりましたゼンハイザーe935ボーカルマイクです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

同時期に同型のマイクが入っていますので判り易いようタイトル名に色と仕様を入れておきました。

 マイク本体の色はホンダ プレミアムホワイト(カラーコード:NH-624P)で、クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーへの変更で承っています。

 予め入れるロゴや色などもご指定頂いておりましたのでイメージイラストも作成しておきました。

実は当初はもう少しロゴを小さくされたいといったご要望だったのですが、デカールへの印刷でピンクを表現するのは難しい為、今回は塗装で行う事を優先し、それにロゴのサイズを合わせて頂いた形となります。色々とお手数を頂き、またご理解も有難う御座います。

 ピンクに関してはマイクと一緒にプリントされた用紙を同梱して頂きましたので、早速それに近い色をPANTONEの色見本から探しておきました。上(画面左)から二番目の、GoeGuide32-2-1となります。

ただしこれらは印刷(染料)の為、ここから塗装(顔料)への変換を行います。もし間に合えばこの色相系でPRO_Fit色見本(仮)を作ってしまおうとも考えています。

PRO_Fit色見本(仮)についてはMIX859(青)が完成していて、現在はバイオレット系(MIX569)を作成中です。詳しくは以下の記事をご参考頂ければと思います。

STANDOX MIX859色見本 完成

 ちなみに塗装(顔料)関連でもピンク色の色見本はありますが、やはりと言うか今回のような淡いパステル系のピンクはありません。他にも色見本は多数ありますが、さすがに車体色や内装色でピンクはありませんでして…。

実は以前にもピンクの色見本は作ろうと思っていたのですが、PANTONEの色に合わせて一色ずつ配合データを作るという事は信じられないくらい大変な作業なのでその後止まっていました。まあ石膏に色を塗っている時点で色の正確性は疑問だったと言う事もありますが…。

なので今回はまず近い色相の物を見つけ、それをベースに前回作成したMIX859と同じく白を加えた色見本を7種類作成し、そこからPANTONE GoeGuide32-2-1に近い色を採用しようと思います。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

BMW K1200GT カウル一式塗装承ってます

 紹介が遅れましたが、少し前から色々届いておりましたBMW K1200GTの外装パーツ一式です。この度もご贔屓頂き誠に有難う御座います!

 どこに着く部品なのかは不明なのですが、取り敢えず届いた順番に紹介していきますね。

 両サイドカウルです。

 傷をタッチアップで直した跡がありますが、こういった処理はいつも通りなので問題ありません。

 もう一方の車体右側に着く部品にも擦り傷や、

 割れ等もありますが、

 部品の一部が欠損してしまっている場所もあります。

 どうやら補修した個所が再び折れてどこかに飛んでいってしまったようですね。

せめて破片があれば・・・。

 と言う事ですが、実はその前にもう一個(実際は左右1セット分)届いていて、ただこちらは余りにも程度が悪くて「ちゃんと直すには新品部品が何個か買える」といった状態だった為に今回の部品を送って頂いたのです。

ただ届いた方もこんな感じですから、だったらと言う事でこちらの部品を切り取って移植する事にしました。

ちなみに白い方がその余りにも程度が悪い方で、見た目はそんなにでもないのですがカウル全体の割れを無理やり修復されたような感じで、もう一個の部品よりもかなり重たくなっています。

 他にも後から追加で部品が届きまして、

 フロントフェンダーは状態が良いので問題はないのですが、

 こちらのロアカウルには飛び石傷防止の為の黒いラバーコートが塗られていて、既に加水分解が始まっているようでベタベタするのですが、これが意外としっかり張り付いていてかなり厄介そうな感じです。

これもかなりの作業になるので、未塗装の新品があればその方が安価で済む筈なのですが、部品を探す作業にもかなりの労力が掛かるとの事でこちらは剥がして塗装する事になりました。まあでも素材がABSでは無く耐溶剤性の高いPA(ポリアミド)なのである程度はシンナーが使えますから何とかなるのでは、と思っています(と言いつついつも大変な目に遭うのですが…)。

先ほどのサイドカウルの真ん中に着くタンクカバーです。大きな損傷は見られませんが、ステッカーが長く貼ってあるとその跡が残るのでやはり表面の研磨~サフェーサーによる下地処理は必要と思います。

ちなみにこちらのオーナー様、以前ホワイトパールでオールペンのご依頼を頂いておりまして、今回はそれとは別にもう1セットを色違いで(!)と言う内容となります。以前の完成画像も紹介させて頂きますね。

こちらが前回ご依頼頂いて組み付けも終わった状態の車体です。今気が付きましたが、このページの上から二番目の画像の部品はアッパーカウルの左右に着く部品だったのですね。そしてこれにはロアカウルは着いていないようです。

完成後の他の画像はこちらのページでレビュー紹介されていますので宜しければご参照下さいませ。

また完成時の記事は以下のページで紹介しております。二回に分けて行っていました。

BMW K1200GTカウルパネル塗装 完成

尚、今回の色に関しては「ブルーメタリックパール」で承っておりまして、ただ詳細についてはまだ検討中ですので、そちらは決まり次第改めて紹介させて頂きたく存じます。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。作業着手も完成時期もかなり先になるかと思いますがどうぞ今しばらくお待ち頂ければと思います。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

ゼンハイザーe935マイク塗装承ってます

先日到着しておりましたゼンハイザーe935ボーカルマイクです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

ご依頼内容は以前施工したマイクと同色のブルーメタリックへの艶あり塗装で、参考を紹介させて頂きますね。

こちらはダイハツムーブの純正色「ディープブルークリスタルマイカ」(カラーコード:B79)で、今回はこれのロゴ入れを無しにした仕様(ブルーメタリックのみ)で承っております。こちらのページに他の画像もありますので宜しければご参照下さいませ。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!