インプレッサ内装部品 サフェ入れ

 先日お預りしたスバルインプレッサWRX STI(GVB)S206の内装パーツ一式の内、ザラザラとした塗装が施されていて、さらに歪が酷かったリヤドアインナーハンドルパネルです。

表面をダブルアクションサンダーの#120→#180で研磨し、

サンダーが入らない個所は#240の手掛けで研磨します。

 素材は塗装との相性が良く無いPP(ポリプロピレン)の為、さらに全体をウォッシュコンパウンド&スコットで研磨しておきます。

空研ぎのペーパー掛けだけでも足付け処理にはなりますが、PPやPA、PEなどのオレフィン系樹脂は研磨した際の毛羽立ちが激しく、その点では摩擦熱を発生させない水を使った研磨が有効です。またこの際にはウォッシュコンパウンドを使う事により、粗いペーパー目の中にさらに細かい目の足付け処理が出来てこの後に塗るプライマーの密着性が高まる事も期待します。

 良く乾燥させ、脱脂処理を行ったら念の為火炎処理を行い、プラスチックプライマーを塗布します。

続けてサフェーサーを塗布します。ウェットに6コート程塗っておきました。

この後一晩程寝かしたら60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。大抵は何かしら本塗り後の強制乾燥時に一緒に焼かせて貰うという感じですかね。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

BRZ内装パーツ サフェ入れ

 先日お預りしておりましたスバルBRZの内装パーツです。インテリアパネルに貼られたカーボン調シールは予想以上に厄介だった為、裏側から溶着されていた枠は半田ごてを使って外す事にしました。

 てっきりドライヤーで温めればズルーと剥がせると思っていたのですが、

 粘着層がしっかり残り、剥がれるのは表面のフィルムだけ、しかもブツ切れしてしまうのでどうにもなりません。これならいつもの梨地かシボ模様の方がまだマシでした・・・。

 と言う訳で、プラスチック素材としてはあり得ませんがシングルサンダー#60を使ってカーボン調シールを削り落とします。素地まで削ってしまうので通常こういった事は絶対しませんが、ダブルアクションダンサーでは全く歯が立たず、また素材が樹脂の為に溶剤も使えないのでこの方法しかありませんでした(もしくはカーボン調シールをそのまま残してサフェを塗るかですが、私的にはこれこそあり得ません)。

 その後はダブルアクションサンダーを使い、#80→#120→#180で表面を均します。

 メーターパネル(メータクラスター)は通常通りの梨地なので、こちらはダブルアクションサンダー#120→#180、その後は#240手研ぎで全体を削ります。

 ペーパーが入り難い個所はフチなどは#320相当の布状の研磨副資材(アシレックススカイ)、#320相当のスコッチ(赤)、ウォッシュコンパウンドとナイロンブラシなどを使って満遍なく足付け処理を行います。

 良く脱脂清掃し、台にセットします。

 足付け処理は全体にしてありますが、爪部分にはサフェを着けたく無いのでマスキングしておきます。

 カーボン調シートが貼ってあったインテリアパネルはABS樹脂製なので塗装との相性は良いのですが(ぶっちゃけABS樹脂はプラスチックプライマー無しでも大丈夫と言うのが昔から業界での常ですが、コストを考えなければ塗って悪い物では無いので念の為塗っています)、メーターパネルは密着の悪いPP製で、さらに足付け処理がし難い個所などもあったので念の為火炎処理を行っておきます。所謂ガスプライマーですね。

 さらにプラスチックプライマーを塗布し、サフェーサーをウェットに6コート程塗り込みます。

2液のウレタンサフェを6コートとなるとかなりの厚膜になりますが、下手なパテを塗るよりもこちらの方が確実だと思っているので、コート間のフラッシュオフタイムを十分に、2時間くらい掛けてゆっくり塗り重ねていきます。

ちなみにサフェ塗りに二時間も掛けていると気温の高い夏場ではカップの中(主にフチ周り)でサフェが硬化し始めますから、途中で一旦スプレーガンを洗ってサフェを作り直して続きをしたりします。これは硬化の早いポリエステル系スプレーパテの場合と同じですね(あれこそ一度では間に合いません・・・)。

今回はインプレッサの内装パネルも一緒にサフェーサーを入れていますので、後程そちらも紹介致します。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ランエボⅩ樹脂製ヘッドカバー塗装 完成

 大変お待たせしました!ランサーエボリューション10の純正ヘッドカバーの塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

元々は未塗装、樹脂素地の状態で、

表面には格子状の凸凹があり、そのまま艶のある仕上りになるとこれがさらに目立ってしまうので、今回は天面のみサフェーサーを使った下地処理を行って平滑にしてから上塗りを行う事にしました。

 ちょっと角度的に撮影が難しいので、今回は色々な方向から撮影しています。

 製品自体のウネリは残りましたが、酷かった格子状の痕は全く感じられないと思います。

色はダイハツ純正色の「ディープブルークリスタルマイカ」(カラーコード:B79)で、クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」の仕様となります。

 通常の2コートパール塗装ですが、メタリックが入っていないので肌理が細かく、キャンディーカラーのような透明感と深味が特徴です。

 素地は梨地では無くツルツルしているので、サフェーサーを塗っていない所でもある程度は艶のある仕上りになっています(梨地にそのまま艶ありの塗装は気持ちの悪い仕上りになるのでお勧め出来ません)。

 自然光だとラインが判り難いので室内でも撮影しました。

 全方向から光を当てるとコントラストが弱くなり、シャープさの無い写り方になってしまうのですが、この方が塗装の仕上りは判り易いかと思います。

 先日のS20のヘッドカバーもそうですが、エンジンパーツとしてはちょっとあり得ない艶具合に仕上がっていると思います。

 サフェーサーを入れていない所は骨の跡など素地の粗が残っていますが、車体に装着されればこの辺は余り目立たない筈なので問題無いかと思います。

プラグホール周りは塗装しないようにしていますので、プラグキャップが嵌り難い等のトラブルも起こらないかと思います(大抵は大丈夫のようですが、車種によっては時々そういった事があるようです)。

ちなみに先日紹介しましたフェラーリリモコンキーに引き続き、今回もストロボ機材を使った撮影テストも行っておりまして、後程社外記の方でも画像を紹介出来ると思います(上の画像はストロボを使って撮影した画像の一枚です)。(紹介しました→撮影デスク改⑦ ストロボ実践Ⅱ

紹介しいてる画像はいずれもサイズの縮小以外は未加工で、同じカメラを使って環境だけを変えると塗膜はどう変わって見えるのかが判り易いかと思います(ただ実物はどの画像よりも美しく感じられると思いますのでその点はどうぞご安心下さいませ)。

それでは後程完成のお知らせメールを差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

カワサキバリオス 本塗り

 先日サフェーサーを塗布しておいたカワサキバリオスのカウルパネルです。

ガイドコートとして全体に黒をパラパラと塗ってあります。

 こちらはパテなどの補修はしていないので硬い当て板は使わず、柔らかめのスポンジパッドと#600で水研ぎ、その後#800でペーパー目を均します。

 サイドカウルは新品塗装済み品の為、こちらは足付け処理用の研磨副資材(アシレックスレモン)を全体に当てます。手が入り難い個所はヘラを使い、フチまでしっかり足付けをしておきます。

 台にセットし、良く脱脂清掃を行います。

 塗装前のエアブローは、「自分の体→ブース内全体→被塗物→ブース内全体→被塗物→自分の体→スプレーガン→被塗物」と、結構時間を掛けてしっかり行っています。スプレーガンについていた埃が剥がれ落ち、そのまま被塗面に巻き込まれるという光景を何度か見ているので、ガン自体のエアーブローもかなり重要だったりします。

 また乾燥した日は静電気が発生する為、エアーブロー時には除電ガンなども併用して行います(ただエアー量が制限されてしまうので、私の場合は最初と最後、また途中などに使う感じです)。

 まずは適当な下色を塗っておきます。

 今回は色見本帳から似たような色を選び、その配合データから色を作成していますが、一応色を確認しておく事にしました。

 配合データで作成した色のままだと既存の色(見本としてお預りしたフューエルタンク)よりも彩度が低い為(色が濁っている)、白を抜いて改めて色を作ってみました。配合データそのままよりもさらに良くなったと思います。

 そしてクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

 クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」の仕様となります。

 通常ここまで鮮やかな赤はあり得ないのですが(隠蔽しないので)、世界的にVOC(揮発性有機化合物)を減らそうという傾向にある為、下地の白が透けてしまう「キャンディーカラーのようなソリッドカラー」は近年多く見られます。最近の車は判りませんが、VWビートルなどは酷かったですよね。

 この後一晩は自然乾燥で寝かし、その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

フェラーリ430リモコンキー塗装 完成

先日本塗りを終えていたフェラーリ430のリモコンキーです。その後熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、電池を新しい物に入れ替えて組み付けを行います。

 また今回はキーリング取り付け部の傷付き防止に、フレアー加工を施したステンレス製リングの取り付けも承っていますので、そちらを透明なエポキシ接着剤で固定します。

傷付き防止ステンレスリングの制作については以下の記事で紹介しておりますので宜しければご参照下さいませ。

フェラーリリモコンキー ステンレスリング作成

 接着剤が硬化したらカバーを取り付けて完成となります。大変お待たせしました!

最初の状態も紹介させて頂きますね。

この型のリモコンキーは塗膜の密着が弱い(下地処理が悪い)為、傷が付き易くまた塗装も剥がれ易いのが特徴です。

 跳ね馬の七宝焼きエンブレム部を外す際に開けた穴は、裏側からアルミテープで塞いでありますのでご安心下さいませ。

 色はフェラーリ純正色のロッソコルサ(カラーコード:300)で、クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」の仕様となります。

 また今回は鍵本体部分の黒い部分も同色の赤にしてあります。

 反対側です。

 黒い部分はゴム製で、ここがスイッチになっています。

 シャフトのメッキ部分もコンパウンドで磨いておきました。

 自然光下でも撮影してみました。

七宝エンブレムもコンパウンドで磨いておきました。ちなみに七宝焼きは塗装とは違って表面はガラスになります(なので傷が付き難いです)。

尚今回はテスト的にストロボを使った撮影も試みておりまして、後程社外記の方でも紹介したいと思います(紹介しました→撮影デスク改⑥ ストロボ実践

それでは後程完成のお知らせメールを差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!