LINE6ワイヤレスマイク 本塗り

先日お預かりしておりましたLINE6のワイヤレスマイクです。

タイミングとしては少し早いのですが、既にご使用の日程が決まっているようで、今回は納期指定のオプションを付けていただき、先に作業を進行させて頂きます。

色については見本を一緒にお預かりしておりまして、それを基に塗料を作成します。

既存の色見本を参考に、以下の配合で塗料を作成しました。


・MIX576・・・1.50g

・MIX855・・・0.50g

・MIX570・・・98.50g


今回はラバーコートが施された製品ですので、いつもとは少し違う下地処理を行い、その上で上塗りを行っています。

画像は先ほど作成した塗料=カラーベースを塗布した状態です。

そして今回は前回と同様「ホログラム」も承っておりますので、そちらも重ねます。

ホログラムの顔料は元々こういったパウダータイプの物で、これにスタンドックスのバインダー(樹脂=MIX599)を溶媒とし、ベースコートとして使っています(塗膜構成としてなんら問題はありません)。

本来は事前にテストピースなどを作成したりするのですが、そういった時間を要する作業は別途費用が掛かってしまう為、今回のような場合では本塗り中に簡易的に色の確認を行うに留めておきます。

最初に塗った薄紫の上にホログラムを含有したベースコートを重ねます。

比較的粒子の小さい物を使用していますが(粒子が大きい物はトラブルの原因になるので受け付けておりません)、それでも通常のメタリックに比べるとサイズが大きい為、顔料が突起してザラザラしているのが判ります(ただしこちらは何度か使っていてテストも行っているので問題はありません)。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

画像だと判り難いのですが、スポットライトに当たるとホログラムの粒子が煌めきます。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーとなります。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40℃程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

また完全硬化後はホログラムの粒子で多少艶引けを行うと思いますので、磨き処理も行います。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

AUDIXマイク ファイアーパターン 本塗り

先日お預かりしておりましたAUDIXのボーカルマイクOM11(右)と、SM58をベースに以前当店で作成しておいた色見本用のマイク(左)です。

左のSM58のマイクに比べると、今回ご依頼頂いた右側のOM11の方が長い為、これに合わせてファイアーパターンのデータを修正しました。

右が既存のSM58用で、それの縦幅を15mm伸ばしたのが左側のパターンです。横幅はそのままとしています。

それを利用してマスキングシートをカットしました。

が、PP(ポリプロピレン)製のこのシートはコシが強いので、今回のマイクだと途中にある段差でマスキングが浮いてしまいますから、

今回は2パターン共、通常の和紙タイプのマスキングシート(テープ)を利用する事にしました。カットにはレーザー加工機を使っています。

ただ以前のデータでカットすると台紙も一緒に切ってしまったので、出力を調整します。気温で変わるのでその辺もしっかりデータに残しておかないと駄目そうですね。

微調整をして上のマスキングテープだけをカット出来ました。

それぞれ二枚作りました。

マイク本体は#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)で研磨し、グリルボールはナイロンブラシとウォッシュコンパウンドで足付け処理を行っています。

まずは下色となる粗目のシルバーを塗布します。

グリルボールは黒のベタ塗りだったのですが、勢い余ってそちらもシルバーに塗ってしまいまして、ただこの後黒に塗り直しますのでごご安心下さいませ。

そしてファイアーパターンのマスキングです。予めカットしておいたマスキングシートに、転写用のフィルムを貼り付け、

それをマイク本体に貼り付けます。まずは一つ目です。

この段差部分が鬼門で、コシのあるPP製のマスキングシートだとここで浮いてしまいますから、今回は2パターン共和紙タイプのマスキングシート(テープ)で作成しました。

ただそれを二枚重ねると判り難いので、本来であればそれぞれを別けたかったのです。

「違う色のマスキングテープを使えば良いんじゃ?」と思うかも知れませんが、150mm幅のマスキングテープは特注で作って貰っている物なのでそうもいかないんですよね。

再び台にセットし、

ベースコートの黒を塗布します。グリルボールも黒に塗り直しておきました。

上に重ねたファイアーパターンを剥がし、

さらに薄っすら黒を塗り、もう一枚のファイアーパターンも剥がします。

今回はシルバーの部分を残しつつ、「青」のみのグラデーションで承っておりますので、左側のKK-13 BURPLEを使用します。

尚、こちらの透過性の青はHOUSE OF KOLOR社の顔料(または染料)で、これ単体では塗料として使えませんが、STANDOXのバインダー(樹脂分)に入れる事でキャンディーカラーとして使う事が出来ます(これとは違うUKシリーズは予め樹脂が入ってしまっているのでNGで、どうなるかと言うとクリアーだけが剥がれる層間剥離をお起こします)。

シルバーの部分を残しつつ、青をグラデーションさせます。

そしてクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

ただし今回の塗装ではマスキングの段差が結構大きく出てしまていますので、完全硬化後にこれを研いで均し、もう一度クリアーを塗る事にします。

良く見ると肌が変な風に見えるのはこの塗り分けによる段差が出来ている為で、この後の磨き処理である程度均す事も出来なくはないのですが、下地が出てしまうとかなり面倒な事になる事、他のご依頼品と一緒に塗ればそんなに手間では無いのでそうしようと思います。

グリルボールはこちらで完了ですので、熱を入れた後は本体が終わるまで保管しておくようにします。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

サーモス 本塗り

先日お預かりしておりましたサーモスJNS-451です。底のシールにマスキングシートを貼り、ラインを入れる中心が判るように印をつけておきました。

全体を#800相当(アシレックスレモン )で研磨、足付け処理してあります。

ただしこのまま色を塗ると矢印が見えなくなってしまうので、この上にもう一枚丸いシートを重ね張りしておきます。

そして本塗り開始です。まずはカラーベースの白を塗布します。STANDOXの原色MIX570そのままとなりますが、配合データ通りとなります。コート数が多くなるのでハードナーも添加しておきました。

そしてパールコートを塗布します。今回ご指定頂いているベースカラーは、フェラリー純正色のビアンコフジ(カラーコード:226027)となります。ちなみに先日別件で塗装したフェラーリ488のリモコンキーカバーに塗った「ビアンコイタリア」もこちらと同じ色です。「違う色だ!」と思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、カラーコードが同じ以上、メーカーとしては(フェラーリとしては)同じ色としての扱いとなります(車体毎に色が違うのはそれは所謂「色ブレ」です)。

グリーンに関しては、以前と同じく画像を参考にして簡易的に色を作成しています(非調色作業でこの場合は無料で対応出来ます)。

使用した原色はこちらの3色で、以前の記事にこの辺りの情報も残っていたので助かりました。

そしてマスキングシートの作成です。

予め作成しておいたイメージイラストは実寸となるので、そのデータをそのまま利用してマスキングシートをカットします。

それをセンターに貼り付けます。

周りを養生し、まずはグリーンを塗布します。

グリーンが乾いたらそこもマスキングし、レッドを塗布します。赤はフェラーリ純正色のロッソコルサ(カラーコード:300)となります。

マスキングを剥がし、タッククロス&エアーブローしたら、

クリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

二回目のクリアーを塗り終わったら直ぐに底のマスキングシートを剥がしておきます。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スバルエンブレム 下準備

先日お預かりしておりました、スバル純正の前後エンブレムです。

剥がした両面テープは、先日同じような物をレーザー加工機でカットしておきました。

動画も撮影していたのでそちらも紹介します。PCを介さずとも、スマホで撮影してそのままアップロードが出来るので超絶お手軽な事に気づきました。

ちなみに厚い両面テープをカッターで切るのは難しく、なのでレーザー加工機を使ってカットしています。ゴム系(熱硬化型)の両面テープをレーザーで切ると断面が炭化してかなり面倒な事になりますが、樹脂系(熱可塑性)の素材だと綺麗に切れるのでこの方法が気に入っています。

そしてアクリルプレートの塗装とメッキ剥がしです。

当初は薬品(エッチング液)を使ってメッキを剥がそうとしましたが、二度に渡る失敗を踏まえ

時間は掛かっても確実な方法で行う事にしました。母材にダメージの少ないIPA=イソピロピルアルコールや、n-hexane=ノルマルヘキサン(シリコンオフ)を使っての、ネチネチとした被膜剥がしです。

使われているメッキが予想以上に弱く、ペーパーが当たるとそれを簡単に突き破ってアクリル樹脂に傷を付けてしまう為、平面部分はプラスチックのヘラをメインに、角はピックツールで地道に被膜を除去していきます。

ここまで一個当たり一時間、二個で二時間以上は掛かっています。

出来るだけアクリル樹脂を傷つけないようにして被膜を除去したら、

エッチング液を入れたジップロックに浸し、お湯に入れて温めます。暖かくなると分子の動きが活発になり、エッチングの効果が増す為ですね。

メッキが綺麗に取れたら、窪みの部分をウォッシュコンパウンドとナイロンブラシで清掃&足付け処理を行います。

角の奥までしっかり除去出来ている事を確認したら、

よく脱脂清掃し、台にセットします。

プラスチックプライマーを塗布し、

下塗りとしてクリアーをコートします。

丁寧に作業をしても被膜・メッキを剥がした所にはどうしても深い傷が入っていますので、それをクリアーで均す作戦です。

濁って見えるのは表面も足付け処理がしてあるからで、全部塗れば最終的にしっかり透明な仕上がりになります。

この後は熱を掛けて塗膜を硬化させ、再び足付け処理、そして「蛍光オレンジ→近似色オレンジ→白→研磨→黒→クリアー」の行程で、星の部分をオレンジにし、背景を黒の仕様とします。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スイフトスポーツテールランプ 本塗り

先日下準備を行っていたスズキスイフトスポーツZC33Sの純正テールランプです。

クリアーレンズ部は薄いスモークにしますので、予め作成しておいたマスキングシートを貼り付けます。

プラスチックプライマーを塗布し、ベースコート(スモーク)を塗り重ねていきます。

「あともう少し」と言う所で、クリアーレンズ部のマスキングシートを剥がします。

再びプラスチックプライマーを塗布し、

さらに全体にスモークを重ねていき、御指定の濃さに近づけます。

スモークの濃さは被塗物の構造によって見え方が変わって来る為、これを数値化するのは難しく、なのでコート毎にスモークの含有量を変えながら微調整を行っています。

そして濃さが決まったら最後にクリアーをコートして本塗り完了です。お待たせしました!

 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

テールランプの角が台に当たっているように見えますが、そこには使い終わったマスキングテープの芯を貼ってある為、3センチくらい浮いた状態になるようになっています。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!