イヤホン着せ替えカバー塗装 完成

ear13 大変お待たせしました!WESTONEのイヤホンの着せ替え用カバーの塗装、本日完成となります。

赤い方は見本としてお預かりした物で、今回塗装したのは青い方です。最初の状態も紹介しますね。

ear2こちらのゴールド色だった物を、今回SUBARUのWRブルーに塗装し、「W」のロゴをSTANDOX原色のMIX818シルバーで入れ直しました。ロゴデータはai形式のデータで入稿して頂きましたので今回は塗装費のみで済んでおります。

ear14 「W」のロゴに使ったシルバーは比較的金属感の高いシルバーで、オーナー様が御希望する「明るいシルバー」に合っていると思います(これに関してはお任せ頂いております)。クリアーは半艶クリアーの仕様となっています。

ear15 塗装の費用はサイズなどでは無く「工数」によって決まる訳でして、なので今回も数万円の費用が掛かっている訳ですが、調べてみたらなるほどイヤホン自体がかなり高い物だったみたいです。

ear16赤い方が影になって見えるのですが、実際は「W」のロゴが暗いのでそう感じるだけのようです。

ちなみに今回塗った青い方は通常の2コート塗装ですが、赤い方はキャンディーカラーの一種なので3コート塗装になってしまいますからそちらの方が手間が掛かりますし費用も高くなります。どうかご注意下さいませ。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

アテンザフロントグリル 本塗り(3日目)

atenza30 そしてクリアー本塗り当日です。見切りの境界線については前日に2ミリのラインテープを貼ってあったので、後は塗らない部分を通常の和紙タイプのマスキングテープで埋めていきます。

atenza31 塗装のマスキングは貼るだけでは無くその後の剥がす事も考えなければならなく、塗装屋さんなら判ると思いますが、無理に横方向に引っ張って剥がしたりするとテープの糊が塗装面に残ったりして後々面倒な事になります。ここではもうシリコンオフも使え無いのでベタベタ触る訳にもいきませんしね。

atenza32 塗装する順番でわざわざ面倒な事をしている理由がこの辺のマスキングのライン形状で、先にグリル全体を塗ってからフィンを塗ろうとするとマスキングはこの逆の貼り方になる為、曲線部分の形が悪くなってしまうんですよね。テープを小刻みに貼って見た目的な曲線(実際は多角形)にしても良いのですが、テープが重なるとそこに隙間が出来る訳で(と言っても普通は気にするレベルでは無いと思うのですが)、出来れば切れ目無く一本のテープでマスキングがしたかったのです。

atenza33 実際のところ何が正解なのかは何回か同じ事をやってみないと判らないと思うのですが、今回はとにかく前段階で時間が掛かっても、最もミス無く、スムースに最後まで終わってくれる方法を選んでいます。色々な引き出しを総動員みたいな感じですかね。

ちなみに柱の箇所は最初にはったマスキングテープを貼ったままなのでここで露出していても問題はありません。

atenza34ラインテープは極力継ぎ目無く貼り、美しい曲線になるようにしています。

atenza35 そしてようやく全体にベースカラーとなるマツダジェットブラックを塗布します。順番をこれとは真逆でも勿論出来ますし、多分その方が全然楽だったと思うのですが、塗り終わった今となっては今回の方法で良かったと思います。ただマスキング時間が相当長くなって常に前のめりの姿勢が続いたので、昨日は脚がパンパンになってしまいました・・・。

atenza36ベースコート( ジェットブラック)を良く乾燥させたら全てのマスキングを剥がします。一応は剥がし易いように変な重ね方はしていないので、多少時間は掛かりましたが問題無く剥がす事が出来ました。

atenza37 少々判り難いですが、フィンの部分のみグレーメタリックで、グリル全体と、フィンとフィンを繋ぐ柱の部分はジェットブラックになっています。

atenza40その後昼食の休憩を取り、夕方からクリアーの塗装となりました。

atenza38クリアーはクリスタルクリアーを使い、気温は15℃でしたが肌が荒れるのが嫌だったので硬化剤は15-30を使い(この温度間で使うという目安です)、その代わりシンナーは10-20を使いました。何のことだか判らないと思いますが、小物の塗装であればいつもはもう少し早い仕様(硬化剤を5-25)なので、いつもよりもレベリングに重きを置いているという感じです。ただし当然垂れ易くもなります。

atenza39 単品で塗ったグリルフィンははこんな感じで・・・

atenza41このフロントグリルの最上段に装着されると言う訳です。

パッと見はそんなに派手では無いのですが、結構手間と時間(と費用)が掛かった内容となっています。

強制乾燥は後日熱を入れ、その後一週間くらい寝かしてからの完成となる予定です。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

アテンザフロントグリル 本塗り(2日目)

atenza22 初日に下準備を行い、2日目からいよいよ本塗り開始です。準備したガンはベースクリアーとマツダのジェットブラック(41W)、そしてフィンの部分に塗るグレーメタリックのホンダ「ポリッシュドメタルM」(カラーコードNH-737M)です。

この時点で塗るジェットブラックは少量なので口径0.6ミリの小さいガンを用意していますが、後日行った本塗りでは1.3ミリを使っています。口径が小さいガンで広範囲を塗ると肌が荒れるので、スプレーガンはそれ一丁でオールマイティーと言う訳ではないんですよ。今回は5種類使っています。

atenza23 まずは全体にベースクリアーを塗布します。これは色の着いていないベースコートといった感じで、この後に塗る塗料やミストがよく馴染む為の物です。やらなくても構わないのですが、やった方が見切りのラインが美しく仕上がると思うのでそうしています。商品名で言うとSTANDOXはベースコートカラレス、DUPONTだとXB165をシンナーで希釈した物ですかね。各塗料メーカーで必ずある筈です。

その後柱の部分をジェットブラックで塗ります。ここでは口径0.6の低圧ガンを使っていて、例えば0.3mmくらいのエアーブラシでも塗れない事はありませんが、それだと塗料が微粒子化し過ぎて肌が荒れてしまい、密着不良や後の艶引けの原因になるので、こういったケースでそこまで小さい口径のガンは普通使いません。

atenza24 その後しっかり乾燥させマスキングします。比較的簡単な部分ですがしっかりプレスラインの谷の真ん中に貼りたいのでテープは6mm幅のを使い、6枚~8枚に別けて貼っています。

atenza25 その後フィンの部分にグレーメタリックを塗布します。

今回はこの順番を色々と考えたのですが、私的に思う一番仕上がりが良くなる仕様にしています。フロントグリルの塗装にここまで時間を掛けたのはちょっと問題かと思いましたが、これを塗り直しとなると相当大変な事になりそうなので時間を掛けてでも一度で終わらせようと考えています。

atenza26 フロントグリル上段に着くグリルフィンも同じくグレーメタリックで塗布します。

atenza27 その後さらによく乾燥させたら見切りのラインをマスキングしていきます。使ったのは2ミリ幅のラインテープで、これは通常の和紙タイプのマスキングテープとは違い素材がPP(ポリプロプレン)なので塗料がくっ付かず、その性質によって見切りのラインが美しく仕上がると言う優れものです。ただし厚みがあってコシが強いので少し使い難い点もあり、また塗り方を間違えると(厚塗りすると)余計に汚くなる場合もあります。

この辺はケースバイケースで、私的にはこの厚みを使って塗膜の段差にグラデーションが掛けられるので気に入っています(と言っても数マイクロメートルの世界ですが)。

atenza28 上から2番目、三番目のフィンに関しては内側部分で5ミリの隙間を残すようご指定頂いています。最上段に着くフィンと合わせる為ですね。

こういった場合は定規などでは測らず、今回は5ミリ幅のマスキングテープ(伸びるタイプのボディコンテープ)をガイドとして貼り、そのフチに沿ってラインテープをマスキングします。今回は丁度良いサイズがありましたが、無ければカッティングプロッターで自作します。以前別件でご依頼頂いたBMWの内装ボリュームツマミの塗り分けみたいな感じですね。

atenza292日目の作業はここで終了です。本当は全部マスキングしておけば次の日の本塗りが楽になりますが、マスキングテープを長時間貼ったままにするとそれの糊が下に塗った塗膜を侵してしまい(と言うレベルでも無いのですが)、この後の塗装に悪影響を出してしまうので、本マスキングは本塗り当日に行うのが基本となっています。

昔はこのまま一気に作業して塗り終わるまで帰らない!なんて事をしていましたが、さすがにもう体力的に無理ですし、そもそも今の工場は住宅街の中にあるのでそういう事は出来ないのです。むしろその辺でブレーキが掛かって丁度良いんですけどね。

と言う事で3日目に続きます。

アテンザフロントグリル 下準備(1日目)

atenza15こちらは先日下塗りを終えた時の画像で、その後熱を掛け、さらに一週間程度寝かしておきました。今週始めから作業を着手しておりまして、ようやく先ほど本塗りを終えたところです。今回は3日間掛かったのでそれぞれ別けて紹介しますね。

atenza16 先ほどの画像だと塗ったばかりなので艶がありますが、梨地だった箇所はこのように艶が消えた状態です。またペーパーが強く当たった箇所は摩擦熱で毛羽立ってゴミが付着したような状態になっていますので、まずは全体に#800のペーパーで水研ぎを行います。

atenza17 その後全体の足付けにはスコッチ(繊維に研磨粒子を塗着させた副資材)とウォッシュコンパウンドを使い、さらにナイロンブラシで細部にも足を付けていきます。

atenza18 さらに細かい所は布状の研磨副資材(アシレックス)を使い足付け処理を行います。下塗りの前に使ったのは#800相当のイエローの物でしたが、ここでは#1500相当のオレンジの物を使っています。

atenza19 その後全体を洗い流してよく乾燥させ、指定箇所にマスキングを行いました。

atenza20 全体に細かい傷が付いて艶消しのような状態になっています。この後の上塗り塗料を密着させる為ですね。ここをしっかりやっておくとガムテープを貼って剥がしてを繰り返しても剥がれない様な塗膜になり、結果として飛び石にも強い塗膜になる訳です。

atenza21フィンの上部に着くモールも同じように足付けしておき、指定箇所をマスキングしておきます。

ブース内は床と浄化槽を掃除しておき、ここで一日目が完了です。この後二日目に続きますね。

NAロードスターヘッドカバー 結晶塗装 完成

road129 こちらもお待たせしました!NAロードスターのヘッドカバー、黒の結晶塗装で完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

road85ある程度の年数が経つとアルミ素地の表面は酸化して腐食してしまうのでリン酸処理だけでは表面処理が足りず、サンドブラスト作業が必要(お勧め)となります。

しっかりとした下地を御希望の場合には専門店による直圧ブラストと、耐食性の高い浸透型エポキシプライマーを使った重防錆仕様がお勧めとなりますが、今回程度であれば軽めのサンドブラストでも十分だと思います。ちなみに何もしないでそのまま結晶塗装を塗ると後で必ず剥がれます。金属やプラスチックの素地に直接上塗り塗料を塗る事は(普通は)行えませんので、その場合何かしらの素地調整とプライマーは必須です。

または自動車外板の塗膜のように、既にしっかりとした下地の上に良質な塗膜が出来ていればわざわざ剥がす必要は無く、足付け処理だけしてそのまま塗り重ねる事が可能です。作業内容さえ間違えなければ10回塗り重ねようが問題はありません(気分的にどうなのかは微妙ですが・・・)。

road130 程度が良ければプラグホールは塗らずにマスキングするのですが(先ほど紹介したS15シルビアのヘッドカバーがそうです)、腐食が出ている場合は一緒にサンドブラストも掛けてしまい、プライマーも塗ってその後艶消し黒を塗り(これはSTANDOXのベースコートです)、その後マスキングをして結晶塗装は塗らないようにしています。多分大丈夫だとは思うのですが、膜厚が邪魔になってプラグキャップが嵌り難くならないようにしています。

road131ボルト・ビスのネジ山はマスキングしていますが、タッピングの箇所についてはそのまま塗料を塗っています。ロードスターの場合はプラグコードを止めるプラスチックステーが二個付くそこの部分ですね。

road132 凸部は塗装後に研磨して光らせ、最後に2液ウレタンクリアーを筆で塗っています。黒の結晶塗装はアルミ素地との相性が良く無骨に見えるのが格好良いですよね。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!