メルセデスGクラス リヤスムージングバッチ サフェ入れ

 先日お預りしておりましたメルセデスベンツのGクラス用リヤスムージングバッチです。裏側には両面テープが貼ってあるので、そこは塗らないようマスキングをしておきます。

 表面をダブルアクションサンダー#120で粗研ぎし、#180&当て板を使ってある程度平らに削っておきます。

元々表面に塗ってあった物はゲルコート(ポリエステル樹脂)で、研ぐと低い場所はそれが残り、高い所は削られて素地の樹脂(こちらもポリエステル系で、タルクまたはガラスパウダー等の骨材入り)が露出します。すると下に眠っていた巣穴が出て来たりするので、この後のサフェでそれも埋めておきます。

 よく脱脂処理をし、

 サフェーサーを塗布します。

FRPは一般的に「強化プラスチック」と呼ばれたりしますが、塗装屋的にはパテや塗料に近い物と考えられますので、通常のプラスチックを塗る際に使うPPプライマー(プラスチックプライマー)を塗る事はありません。塗っても悪いと言う訳ではありませんが(ハジキ止めみたいな効果はあります)、しっかり足付け処理をしていれば塗る必要はないのです。

昔バイトに行っていた町工場ではFRP部品への塗装で密着不良のトラブルが多発したらしく、オートサプライヤーさんからのアドヴァイスでFRP製品にプラスチックプライマーを塗っていました。ただそれは全くの見当違いで、原因は恐らくゲルコート表面に残った離型剤の脱脂不良だったのでは、と思う次第です。FRP製品は型を傷めないよう、まず最初に離型剤(ワックス)をタップリ塗るので、それが出来上がった製品に大量に残っています。シンナーを使っても同じウェスを使い回していたら単に油膜を広げているだけで、ハジキをドライコートで防いでも根本的なところを解決していませんから、後で塗装が剥がれてしまう(もしくは異様に飛び石被害が多いなど)のトラブルが発生します。ドライコートは使い方によっては便利そうですが、そういった肝心なところが隠されてしまうので使うべきでは無い塗り方だと思っています。

装着されると裏側は見えなくなりますが、側面(エッジ部)にも巣穴があるので、そこまでしっかりサフェが入るよう裏まで回り込んで塗っておきます。

この後は一晩以上自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて硬化させます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

レンジローバー アウターハンドルカバー サフェ入れ

 先日お預りしておりましたレンジローバー用のアウターハンドルカバー合計9点です。裏側の両面テープはそのまま残すのでマスキングをしておきました。

自動車部品に多く使われている装飾クロムメッキは汚れや傷が付きにくいと言う特徴がありますが、それ故に塗装も密着し難いので、まずはそれ用の下地処理を行います。

 その後は通常通りでサフェーサーを塗布します。

この後に行うサフェ研ぎで素地のメッキが露出するとマズイので(ただし本塗り前でのスポット的な修正は可能ですが)、サフェは肌を荒らさないようにしつつしっかり塗り込んでおきます。

 一部の部品(2個)には凸状に鍵マークがあるので、厚膜にしてそれを埋めないよう注意します。

サフェーサー、プライマー共にフチから裏までしっかり塗っておきます。

この後は一晩以上自然乾燥させてゆっくり溶剤分を揮発させ、後日60℃40分程の熱を掛けて完全硬化させます。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

ルノーアウターハンドル サフェ入れ

 先日お預りしておりましたルノー純正のアウターハンドルです。可動部にグリースが塗られている為、シリコンオフとウェスで拭き取った後、洗剤とブラシで洗い流しておきます。

 さらに全体を脱脂処理後、可動部(ボディ取り付け部)をマスキングしておきます。

 表面はザラザラとした梨地となっている為、#120のダブルアクションサンダーで研磨後、#180の手研ぎで全体を研磨します。

 フチから裏までしっかりと足付け処理を行ったら、手で持って塗れるように固定して台にセットします。

 見えるのは表面のみですが、塗装(サフェ)はフチまで塗るようにする為、各パーツは裏側を塗れるように固定しています。

被塗物素材はPA(ポリアミド)で、PP(ポリプロピレン)と同様に塗料の密着性が悪い樹脂ですから、念の為ガスプライマーを使った火炎処理も行っておきます。一応マニュアル上ではこれのみ塗れば上塗りも密着するとの事ですが、私的にはあくまでも補助的な物と考えているので、この後はいつも通りプラスチックプライマーの塗布も行います。経験を積めば利益が上がるかと思いきやコストだけが上がる一方です。

そしてサフェーサーを塗布します。

PP・PA・PE(ポリエチレン)等のオレフィン系樹脂は研磨すると表面が激しく毛羽立つ特徴があり、それも含めて平滑に仕上げる際にはサフェーサーのコート数は比較的多めに塗る必要がありますが、一度に厚塗りをするとブリスター等で剥がれのリスクがあるので、コート間の乾燥時間(フラッシュオフタイム)は長めにしっかりとるようにします。具体的には1コート毎に5分~15分くらい開けるので、サフェを塗るだけでもタップリ一時間以上の時間は掛けます(雇われの身でそんな事をしていると普通は給料泥棒と言われてしまいますが・・・)。

この後は自然乾燥で一晩寝かせ、後日60℃40分程の熱を掛けて完全硬化させます。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

ゼンハイザーE935マイク(from愛媛)塗装承ってます

 先日到着しておりましたゼンハイザーE935ボーカルマイクです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

 色は「バーガンディのような色」をご希望との事で、それらしい色を20色くらい選んで色見本帳を送りました。色見本帳は御依頼が決定されましたらお貸出しが可能ですのでお気軽に申し付け下さいませ。

ご指定頂いた色はマツダ「ガーネットレッドMC」(カラーコード:25F)で、マイク本体&グリルボールまで全体をこの色にし、いつものように「SENNHEISER」のロゴをシルバーの塗装で入れます。クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」への変更で承りました。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

(現在E935を二個同時にお預りしておりますのでタイトルに県名を入れさせて頂きました。ご了承下さいませ)。

アウディTT樹脂製エンジンカバー エンブレム接着

 先日結晶塗装の本塗りを終えていたアウディTTの樹脂製エンジンカバーと、シルバーに塗装したフォースターエンブレムです。

 このエンブレムが取れ易いとの事で、今回は接着力の高いエポキシ接着剤(3Mオフホワイト)を使用(併用)する事にしました。

今回のエンジンカバーは素材がPA(ポリアミド)樹脂の為、如何に接着力の高いエポキシだとしてもそのまま塗ると剥がれてしまいます。これはPP(ポリプロピレン)でも同様です。

ですので塗装と同様にペーパー等で足付け処理をし、プラスチックプライマーを塗ってから接着します。

 反対型(表面)に接着剤が食み出るまで盛ったら、エンブレムを装着し、さらに突起部分を半田ごてで溶かして潰します。金属で言うカシメみたいな感じですね。

貼り付けたエンブレム部に布を当て、マスキングテープで押さえつけるようにしてしっかり固定します。後はこのまま寝かしておき、接着剤がある程度固まったらマスキングテープを剥がして熱を入れてしっかりと硬化させておきます(布を当てたままやマスキングテープを貼ったまま熱を入れると跡が残るので注意が必要です)。

尚、瞬間接着剤は便利な反面、60℃程の熱で効果が無くなってしまうので(剥がれてしまうので)今回のような場合にはNGです(まだセメダインスーパーXの方がマシです)。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!