SHURE Super55マイク塗装 完成

 先日本塗りを終えていたSHUREのSuper55、ガイコツマイクです。その後熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、数日寝かした後に組み付けを行います。

元々は青いウィンドスクリーンが着いていて、今回はこちらを赤いタイプの物に変更も承りました。どの道これを外すと上記のようになってしまうので丁度良かったです。

 装着方法は元の通り接着する事にしまして、ただ一度に接着剤を塗るのは流石に難しい為、最初にセンター部分のみに塗って位置出しをし、その後4方に接着範囲を広げていきます。接着剤は万能且つ、その特徴からして食み出しても何とかフォローが出来るG17を使いました。

 実はこのウィンドスクリーンの貼り付けだけで3日掛けていて、初日は接着剤無しでそれぞれを入れて癖を付け、2日目にセンター部を接着、3日目にして周りを接着、さらに4日目から組み付け作業としています。本塗りから完成まで結構時間が経ったのはこの為ですね。

 外した配線2本を元の通りに半田付けします。

 そして付属品を元に戻し、完成となります。大変お待たせしました!

 赤いウィンドスクリーンは結構派手目かと思いきや、以外にシックな感じで落ち着いて見えます。

 最初の状態も紹介しますね。

元々は未塗装で、てっきりアルミのポリッシュ仕上げかと思いきや、どうやら亜鉛ダイキャストにニッケルめっき仕上げと思われます。

ですので一旦サンドブラストを掛けて足付け処理を行いました。

 色は事前にお貸出しした色見本帳から、ホンダの「ナイトシェイドメタリック」(カラーコード:NH-726M)をご指定頂きました。色見本帳はご依頼が決定された方に無料でお貸出ししておりますので宜しければどうぞご利用くださいませ(ただしキャンディーカラーや結晶塗装等はありません)。

仕上りのコースは【お任せ仕上げコース】となりますので磨き処理はしていません。塗ったそのままの仕上りとなります(画像も全て撮ったそのままです)。

 グリル中央のエンブレムは塗装前に外し、元の通りに戻しています。

 こちらの骸骨マイクは今までも何度かお問い合わせがあったのですが、素材や構造が良く判らなかったのでご依頼にまでは至らなかったのですが、今回はオーナー様の御協力も頂き何とか形に出来ました。

それでは後程完成のお知らせメールを差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

Handrail Bases & Screws

 先日よりお預かりしておりました手摺用の土台部分3個と、それらを固定する為のネジ18本です。艶ありの黒でご依頼を頂いておりました。

スクリュービスの方はネジ穴が多少舐めっていて、表面盛り上がった状態になっていた為、

 表面をダブルアクションサンダー#120で研磨して平滑にし、

 サンドブラスト処理を行いました。右側のビスは未使用品だったのでそのままの状態でブラスト処理を行います。

 ブラスト作業完了です。ちなみに表面だけであればサンダー等によるペーパー掛けで良いのですが、使用を考えるとドライバーを挿し込む+の穴の中まで足付け処理を行いたい為、サンドブラストを使用しています。

 その後良く脱脂清掃をし、

 プライマーを塗布します。こちらはこれで錆びる恐れが無い為、一旦埃の付かない場所に保管しておきます。

 手摺の土台部分はプラスチック製で、素材はPA(ポリアミド=ナイロン樹脂)、それに20%グラスファイバーが練り込まれています。

これを先ほどのネジと同じようにサンドブラスト処理してしまうと、表面が毛羽立って素地が荒れ過ぎてしまう為、こちらはペーパーとスコッチブライト、ナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを使って足付け処理を行います。

 よく脱脂清掃後、まずはプラスチックプライマーを塗布し、

 続けてサフェーサーを塗布します(特に記述が無い限りサフェは2液ウレタン、STANDOXのシステムフィラーです)。

 その後60℃40分程の熱を掛けてサフェを完全硬化させ、全体にドライコートで黒を塗ります。これは研ぎ忘れを防止する為の「ガイドコート」です。

全体を#600→#800で水研ぎし、最後に当たりの優しい(研磨粒子が均一な)布製の研磨副資材(アシレックス)を使ってペーパー目を均します。

よく脱脂清掃し、素地が露出した個所には再度プラスチックプライマーをスポット的に塗布しておきます。

 ベースコートの黒を塗り、クリアーを塗って本塗り完了です。

 面積自体は小さいのですが、形がイビツだったり、塗装する面が多面に及ぶ場合にはその分塗装費用も上がる傾向にあります。

 ネジも同じようにして本塗り完了です。

 その後60℃40分程の熱を掛け、数日寝かしたら完成となります。

 クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」の仕様となります。

 側面は完全な平滑では無く、多少窪んだような形状になっています。裏側を見ると骨のある部分なので、マセラティのリモコンキーカバーと同様、成型時に樹脂の体積が目減りして引っ張られるような感じになるのでは、と思っています。

 裏側は見えませんが、固定した時に隙間が空いても素地の色が見えない様、裏まで周り込む様にして塗装しています。

 ネジが当たる個所はその圧力と捩じれから塗装が剥がれてしまう事は避けられませんが、間にプラスチック製のワッシャーを入れたり油を塗ったりする事でそれらは軽減出来ます。

ドライバーは実は色々種類があって、物によってはピッタリと嵌るようになる為、その選択を間違えなければ塗装は簡単に剥がれないで締められると思います(以前同じようにしてネジを塗装した物を取り付けた業者さんは、かなりのトルクで締めても塗装は剥がれなかったと御報告頂いております)。

この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

GMCホイールキャップ 下準備

 GMCのセンターキャップ上部に打ち込まれている4ミリ径のシャフトです。工場にあったステンレス製のS字フックが同じ径だったのでこちらを遣わせて貰う事にしました。

 元々打ち込まれているシャフトはそんなに長く無いようですが、強度の事も考えてギリギリの長さにする事にしました。14ミリ弱ですね。

 最初はバンドソーでのカットを試みたのですが、やはりと言うか粘りが強くてキリが無いのでワイヤーカッターで粗切りし、グラインダーで面を整えました。

シャフト接合部は#120のペーパーを掛けて足付け処理をし、よく脱脂しておきます。

 高強度なエポキシ接着剤(3Mオフホワイト)を塗り、シャフトを打ち込みます。

デヅラを合わせ、この後恒温器に入れて(他の物と一緒に)熱を掛けて硬化させます。

ちなみにデヅラって業界だと普通に使われている用語なのですが、恐らくは「面一」(ツライチ)から出来た造語なのでは?と思います。面が出ない=ツラが出ない=デヅラ、みたいな感じでしょうか。本来は顔を出したり出席した時に使う言葉のようです。他には調色の時などに、「もう少し赤を殺して」とか「ああ!黄色が死んだ」など、何故か物騒な言葉が飛び交います(苦笑)。

 と言う訳で、接着剤を硬化さえている間に色を確認します。何だかようやく塗装屋らしい画に(笑)。

 赤はフェラーリのロッソコルサ(カラーコード:300)を、

 ガンメタは色見本帳から近似色を探します。画像は信頼性の高いジャパンバリエーション色見本帳で、どれも同じ色(マツダ1H)です。

 透かしと正面の明るさが違いますが、雰囲気(メタリック粒子や色相、フリップフロップ性の癖具合など)が良かったので、こちらのスバル474を採用する事にしました。具体的に言うと、色見本に対してホイールの色は透かしが真っ黒で正面が少し明るいといった感じです。

 予め配合データから黒の分量を減らし、メタリックアディティブ(MIX008)を適当な量入れます。メタリックアディティブは「透かしを明るくする」「正面を暗くする」「メタリックのギラツキ感を高める」という効果があって、通常透かしを明るくするには白を使えば手っ取り早いのですが、それだと透かしが濁ってしまうので今回はそれを避ける為にこれを使っています。別名「フリップコントローラー」とも呼ばれる顔料で、それ自体に色は着いていませんがメタリック系の調色には欠かせない原色です。DUPONTだと4530Sですね。

色見本で見た時は正面が多少明る過ぎるくらいで、そこからさらに黒を減らしたのでさらに正面は明るくなる筈ですが、メタリックアディティブを結構な量入れたので正面からの色は黒くなる過ぎるくらいになったのでさらにメタリック原色(MIX589)を足しています。またそれらにより色味(色相・彩度)が減ったので、青味のある赤(MIX576ブリリアントレッド)も数滴追加しました。

既にサフェ研ぎも完了していますので、タイミングが来たらまずは下塗りとしてこちらのガンメタで一回目の塗装を行い、その後再び全体を足付け処理して凹み部分に赤を塗装、食み出た色を除去して再度全体にクリアーを塗れば完成です(ようやく完成のイメージが繋がりました・・・!)。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!

THERMOS 3コートホワイトパール 本塗り

先程に続き、3本ある内の一本、スターバックス(サーモス社製)タンブラーです。

元々は艶消しの白の上に人魚様のロゴが黒でプリントされていました。

 先程の黄色いタンブラーと同じように、ステンレス素地を極力出さないよう上の黒いプリントだけを削り落とします。

 全体は#800の空研ぎ(アシレックスレモン)で足付け処理を施しています。

 ちなみに底部のマスキングは2重にしてあって、最初に貼ってあるマスキングシートは既存のプラスチック板と同じサイズに、さらにその上に直径を0.3mm大きくしたマスキングシートを中心を揃えて貼っています。

レベリングの良いクリアーは表面張力も大きい為、ピッタリ貼るとそこにクリアーが溜まってしまので、少しだけ(約0.15mmだけ)マスキングシートが飛び出る事によってそこを「庇状」とし、マスキング際にクリアーが溜まらないようにしています。

今回の仕様はこちらとなります(尚、イメージイラストの作成は【標準コース】以上となりますのでご了承くださいませ)。

 白については「真っ白」と承っていますので、これ以上白くは出来ない(ならない)と言う事で白の原色(MIX570)をそのまま塗っています。

 ただし先程の3コートイエローパールと同様、カラーベース(下色)が明る過ぎるとその上に塗るパールベースが目立たなくなる為、パールは粒子が一番粗い「MIX826」を、さらにパール感(ギラツキ感)を高める為、同量のメタリックアディティブ「MIX008」(フリップコントローラー)を入れています。

ちなみに通常の3コートパールは下色に多少なり黒や黄色などを入れて色味を出してその上に塗るパールを際立たせていたりします。またSTANDOXのホワイト系パール原色は4種類あって、それぞれ「極細目・細目・中目・粗目」となります。

 そしてロゴ入れの準備です。

 こちらのロゴはある程度サイズがあるのでマスキングによる塗装で対応可能です。

 予めセンターの位置を出しておき、そこに合わせてマスキングシートを貼り付けます。

 ロゴの位置は「底から1.5cm辺り」に合わせました。

 その他の部分を養生し、

 ベースコートの黒を塗ります。

 マスキングによる塗装で手間が掛かる点としては、貼ったシートを一度に剥がせないという所です。

 ピンセットや爪で剥がそうとすると塗膜を傷付けてしまうので、最初にデザインカッターの刃先でシートの端を持ち上げ、そこをピンセットで摘まんで一つ一つ剥がしていきます。

これでようやくベースコートが完了となります。

 最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

この後一日(一晩)以上は自然乾燥とし、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させたら最後に磨き処理を行います。

完成次第改めて紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

THERMOSイエロー3コートパール 本塗り

先程に続けて、3本あるタンブラーの内の一本 です。

元々はこちらのヤギでデータを作製していましたが、

 その後ご要望があってこちらのヤギのデザインに変更となりました。

 色に関しては「現在のボトルの地色」で、さらにこちらを「3コートパール」の仕様で承っています。色はかなり鮮やかな黄色で、STANDOX原色MIX884が比較的似ていたのでこれをこのままカラーベース(パールベースの下色)として採用する事にしました。

塗膜は剥がしませんが、その上にプリントされた絵柄をそのまま残すと痕が出てしまう為(耐溶剤性が弱いらしくチヂレ気味になり、エッジマッピング宜しくそのまま延々残ります)、ステンレス素地を出さないよう注意してそれだけ削り落とします。

スタートは3本同時ですが、色が違うのでベースコートは1本ずつ行い、終わった物は恒温器(乾燥炉)に入れて保管しておきます。特に今回はデカール作業があったので2日に分けて本塗りを行っています。

底のプラスチックプレートは剥がす事が出来ますが、穴が空いているとそこから内部の中空部分に空気が入ってしまい、真空でなくなってしまう為に保温効果が落ちてしまいます。なのでこのタイプはマスキングで対応し、結果既存の塗膜もそのままで本塗りを行うようにしています(ですのでこの方法だと新品以外は対応が出来ません)。

色に関しては今回は「3コートパール」で承っていますが、鮮やかなイエローの上にパールを塗り過ぎると彩度が落ちてしまう為(白っぽくなる為)、事前に検証しながら色を決めていきました。

こちらは「イエローパール」ですが、鮮やかな黄色の上にこれを塗っても効果は少なく、むしろ彩度が落ちて逆効果になる為、

今回はこちらのゴールドパール(パウダータイプ)をメインに使う事にしました。

これらの顔料をバインダー(樹脂)に混ぜると、

こんな感じになります。下色の鮮やかなイエローを損なわないようにしつつ、パールの存在感を出すような感じでしょうか。

 カラーベース(MIX844)→パールベース(先ほどのパール)を塗り、十分に乾燥させたらデカールの貼り付け作業を行います。

 木工用ボンドを溶かした水にデカールを浸して台紙を剥がし、

専用の接着剤(マークセッター)を使って所定の位置に貼り付けます。「底部から2cmくらい」の位置にしました。

 その後恒温器の中に一日保管して十分にデカールを乾かし、

 クリアーを塗って本塗り完了です。

 ここまで小さいサイズは塗装(マスキング)では出来ませんが、デカールであれば対応は可能です(データの作成や調整、デカールへの印刷と貼付けには別途費用が必要となります)。

ちなみに当初「yagijapan」の部分は塗装で、左右のヤギのみをデカールで、とも考えていたのですが、そのまま繋げて貼った方がズレる心配が無いので今回は全てデカールで行いました。ボトルが少しでも曲線(円錐状)になっていたらこの方法は出来ませんでしたが(シワが寄ってしまうので)、今回は完全な円柱形だったのでこれが出来ています。

それでは続けてホワイトパールの仕様も紹介しますね。