サングラスフレーム 本塗り

porsche12大変お待たせしました!先日分解を終えていたポルシェデザインのサングラスフレームは無事本塗り完了しておりますので御安心くださいませ。上の画像は塗装前の状態で、色が黄味掛かったグレーなのが判ると思います。よく脱脂をしてエアーブローをしたらプラスチックプライマーを塗布しいよいよ本塗り開始です。

porsche13そして無事本塗り完了です。下地が白に近いので隠蔽性はよく、ベースコートの白は3コート、クリアーはいつも通り2コートですがレンズが嵌る箇所や稼動部などは塗膜が付き過ぎないように注意しています。またスプレーガンは通常1.3mm口径を使っていますが(ベースコートもクリアーも)、メガネフレームのような細かい物は大抵1.0mmのガンを使っています。ちなみにクリアーに使うのはどちらも低圧ガンで、これのメリットとしては使用する塗料量を減らせる事と被塗面への塗着効率が良いことです。塗料がスプレーガンのノズルから出て被塗物に届くまでの間に溶剤が揮発する分が非常に少ない(らしい)のです。結果、溶剤分を多く含んだ塗膜はその後のレベリングも良く(平滑になろうとします)仕上がりも良くなるという事です。反面「垂れ易い」という事もあり、特にこれからの寒い時期は一旦流れ出すともう止まらなくなるので見事なナイアガラ(=激しいタレ)を生じるのです。これはクリアーに限らずベースコートでも起こるので注意が必要です。

porsche14ちなみに日常的に「タレ」が生じるのは技術不足だけが原因と言う訳ではなく、やはり「出来る限り良い肌を」と言う事でついついがんばり過ぎてしまうのです(笑)。逆にタレるのを怖がって荒れたような肌で終わらせ、「後は磨きでどうにかすればいいや」といった事だとどうしてもレベルが落ちてしまいます。気付いた時にはもう働く場所が無かった・・・なんて事にならないように、ある程度のリスクはあっても理想の肌を追い求める事は必要だと思います。まあ私の場合は磨き作業が好きでは無いので出来るだけ塗りの時点で肌を作っておきたいと言うだけでもあるんですけどね(苦笑)。

porsche15元の色と比べて劇的に変わった、という事ではありませんが、「一旦気に入らなくなってしまうとどうしようも無くなる」と言うのは判る気がします。昔はこういった事を大きな声で言うと変人扱いされた気がしますが(笑)、最近だとこういった事は周りからの理解もありますし、そこに拘っている自分をむしろ誇らしいとさえ思えたりするのではないでしょうか(私的見解ですが。笑)。

ちなみに今回のクリアーは軟化仕様ですので硬化にいつもよりお時間を頂きたく存じます。既に熱は入れてありますがもう少し時間をおくか、或いは他の被塗物を強制乾燥させる時に一緒に並べられればと思います。

どうぞもう少々お待ち下さいませ!

サングラスフレーム 下準備

porsche10フレームに接着されていたスポンジが無事取れたので塗装前の下地処理として足付け作業を行います。足付けの作業は昔ながらの耐水ペーパーを使う訳ではなく、最近は空研ぎ専用の物があるので今はそれらをメインに使っています。ちょっと前であれば目詰まりして使い物にならなかったのですが最近の研磨材は本当によく出来ていて助かります。画面左側にある黄色いシートが#800相当の物で、その奥にあるオレンジ色の物が#1500相当になります。業界では有名な「アシレックス」なる製品で、これのお陰で水研ぎが必要な場面が相当減りました。こんな卓上で作業が出来るのもこういった優れた副資材製品のお陰ですね。

porsche11よく脱脂して洗浄したら本塗りに備えてセッティングを行います。いつもだったら既存のネジ穴を使いますが今回のフレームは打ち込まれたシャフトのみなのでいつもとは少し勝手が違います。

ツル(サイドフレーム)は丁度良いサイズの精密ドライバーを穴に差込、フロントフレームの方は数ミリ出ているシャフトをワニクリップで掴みます。ちょっと不安定そうに見えますが4個しっかり掴んでそれを広げるように間に詰め物をすると良い感じに固定できました。ブンブン振ってみて取れないようならOKです。

メガネフレーム程度なら二階作業場でも塗れそうですが、まだビニールカーテンが用意されていないので周りのホコリを集めてしまいそうですから今回は塗装ブースで塗ることにします。と言うか工場の現場を使っているのは私一人ですから塗装ブースはいつも空いているのでわざわざ二階で塗る必要も無いのでして・・・。

色は「白」で承っておりますので今回はSTANDOXの原色の白そのままで塗ります。一応は「ニュートラルな白」と言う事ですかね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

カーボンフレーム&フォーク データ取り

project 二ヶ月程前にお預かりした時にちらっと紹介したのですが、メーカー名は出ない方がとのオーナー様の御配慮によりそちらは一旦取り下げる事にしました。目ざとい方なら「あれはどうなったのか」と気になっていたかも知れませんね。あれからちゃんと続いていたのです。

project1 依頼品は新車の状態で、オーナー様のご意向としては「元通りに」(?)といった内容になっています。細かい箇所を見ていくとオーナー様的にはちょっと気になる箇所がいくつかあるようでして、デザインや色はそのままに(ただ一部変更や追加はありますが)「品質を高くして欲しい」といった内容になっています。

ただこういった内容は塗装する側としては一番厄介な内容でして(塗装屋さんなら判ると思います・・・)、修理内容としては一旦全ての塗膜を剥離する事になるので既存の色やロゴ、デザインが判らなくなってしまうのです。同じ物が横に並んでいればまだマシなのですがそうもいきませんからね。余程新たなデザインへの塗り替えの方が作業は楽なのです(費用も全然安く済みます。故に今回は凄い金額になっています・・・)。

project2という事で既存の色やデザインを数字や文字列などのデータに変換します。まずはアナログ的に既存の形をマスキングテープで転写し、それをスキャナーで読み込んでベクトルデータで作成します。ただし今回は既存のガタガタしたラインを修正する必要があるのと、一部のデザインは変更となるのでこのデータを基に色々と変更させていきます。またマスキングシートを作成するには「データ修正→カット→貼り付け→修正」を何度も繰り返す必要があります。これが結構大変なのです。

project3剥ぎ取る際には広めのテープを貼ってから歪まないように注意して転写しましたが、それでも3次元ラインに貼ってあった物を一旦剥がすと歪みが生じている筈ですから大抵は何度も修正が必要になってきます。ただ片側だけ作れば反対側はデータを反転させるだけで済むのでその点は楽ですね。しかも完全に左右対照の物が出来ますから気分的にもスッキリします(ただしフレーム自体が左右対照では無いと思いますが・・・)。

各部のロゴもかなりの数があるのですが、これはステッカーを用意して頂けましたのでそれをそのままスキャナーで読み込み、やはりこれもIlustratorなるソフトを使って一つ一つトレースしてデータ化していきます。本日は夜半までこの作業になるかと思いますが、工場二階の机周りも無事整備が整ったので集中して作業は出来ると思います(好きな音楽も流せますし)。

 

工場移転業務はほぼ完了しました

garageまだ未整備な点もありますがとりあえず工場の主な部分は無事稼動する事が出来ました。お待たせしておりました方々には大変お待たせしました!

既にお預かりしている案件は順次作業を着手していきますので作業進行しましたらこちらで随時紹介していきたいと思います。

新規御依頼も勿論問題ありませんが、溜まってしまった作業がまだ多数あるので内容によってはかなり遅れてしまう場合が御座います。例えば自転車フレームに関しては一台大物の御依頼があるので年内は難しいかと思われます。それ以外の小物製品に関しては今からの御依頼であれば余程複雑な御依頼で無ければ年内には完成出来ると思います。

ただ工場が稼動してまだ間も無い所でもありますので、今後設備面などで何かしらの不都合が生じる場合も考えられますから、もしその場合には予定よりも作業が遅れることがある事を御了承頂ければと思います。

色々と不都合をお掛けしましたが、どうぞ今後とも宜しくお願い致します!

FT-86 内装パーツ一式 本塗り

ft865業者さんからの依頼以外ではこれが移転後の初塗りですかね。塗装ブースはまだ完成という訳では無いのですが、通常使用は問題ありませんのでFT86の内装部品一式は早速本塗りしてみました。テストではありませんので御安心下さいませ。

ft866 塗装自体のスタイルは今まで通りにやるようにして極力違和感が無い状況で作業が出来るようにしています。

ちなみにこちらの部品はお預かりしてから約二ヶ月ですが、作業着手をしたのは昨日からですからやろうと思えば2日で塗れるのです。

「では何故そんなに時間が掛かったのか」ですが、これはこちらで何度も紹介しているように塗装は技術や材料以前に「環境」が必要だからです。と言うか私的にはこれが一番大事なのではと本気で思っています。技術は毎日やっていれば徐々に上達する物で、材料は安い物から高い物までピンキリですが「知らなければ」安い物でもそれなりに見れるようには出来るのです(当然色々と知ってしまうと上はキリまで見えなくなるのですが・・・)。

ただ設備だけはどうにかして用意してあげないと塗装はまともに仕上がらないのです。がんばってその場だけ綺麗にしたとしても後から問題が起きたりもしますし、そもそも「綺麗」の基準もどこまで求めるかで全然違ってくると思いますし。

ft867 という事で無事本塗り完了です!流石に結構緊張しましたが仕上がりは今まで通りに出来たと思います。ちなみに今日気がついたのですがやはり塗装する機会が減っていたのでガン距離が今までより離れていた気がします。気にしてやっていないとリスクを回避する為にガン距離は徐々に離れていってしまうんですよね。今回で修正しました。

ft868 照明は想定していた以上に取り付ける事が出来たので「暗くて見え難い」という事は皆無でした。コンプレッサーからのエアーもクリーンでハジキは一つも出ません(当然ハジキ止めも使ってません)。ゴミの付着も殆ど無くノンポリッシュ(磨き無し)で納められるレベルに仕上がっていると思います(ゴミの付着が完全にゼロと言う事は有り得ませんので)。

ft869 ちなみに今回の御依頼品の中にあった「シフトノブ」ですが、こちらは取っ手部分には皮が巻かれた状態でそこは剥がす事は出来ませんのでマスキングで対応しています。ただ塗装屋さんなら判ると思いますが、こういった箇所のマスキングは結構厄介です。見切りのラインが皮に埋まってしまっているような感じなんですよね。なので隙間はゼロなのです。

ちょっとした隙間があればそこにマスキングテープを差し込むようにするのがマスキングのセオリーなのですが今回はそれが出来ませんからこういった場合はいつもとはちょっと違ったマスキングテープを使います。業界では有名?な「ボディコンテープ」です(ただのビニールテープと言う噂もありますが・・・苦笑)。

ft8610ボディコンテープの使い方としては「とにかく引っ張って貼る」でして、それによって生じる内周と外周との伸縮率の違いを利用します。上手くいくと(いかなければならないのですが)このようにマスキングがし難い箇所でも比較的綺麗に仕上げる事が出来ます。ただしこれには当然一回目のクリアーは隙間に余り入らないようにとか、マスキングテープは塗り終わった直後に剥がすなどの努力は必要なのですが。

難しかったのは皮を止めている赤い糸部分で、普通は余り気にしなくても塗装となるとこの段差ですら結構嫌な感じだったりします。幸いにしてこの箇所も上手くクリアー出来たと思います。

それでは完成しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!