先日サンドブラスト屋さんから戻って来たメルセデスベンツのヘッドカバーです。強力な直圧サンドブラストで腐食も根こそぎ削り落としてくれています。
ベンツやBMWで面倒なのが裏側に塗られた塗料で、古くなってくるとこちらもペリペリと剥がれて来ているのでこれもそのままでと言う訳には行きませんから、ここまでしっかりやって貰うには専門の方にお願いしてしまう方が確実です。自分でも何回かやった事はありますが、これが本当に大変でして・・・。
先ほどの画像と比べると全体的に黒ずんでいますがこれは燐酸処理を行ったからですので御安心下さい。ちなみにこの時点までは昨日行っておき、本日は朝から本塗りを行いました。
と言うのも今回のマグネシウム系のヘッドカバーは腐食し易いのでプライマーも通常の物では無く耐蝕性の高い物を使いますから結構手間と時間が掛かります。ウェットオンウェットで一度に塗れない事も無いのですが、電食の為か巣穴が多く出来ているのでそこを筆で埋めていく作業も必要なのです。これによりかなり塗膜が厚くなる部分もあるので一度に上塗り(結晶塗装)まで行ってしまうと何かしらのトラブルが出る可能性が高いんですよね。
今回のパーツはかなり程度の良い物ですが、それでもこういった感じで巣穴が空いていたりササクレている場所が結構あります。こういった所にはスプレー塗装では中まで塗料が入ってくれないのでそこから腐食が再発してしまいますから強制的に筆でプライマーを押し込んであげる必要があるのです。また巣穴じゃ無くともスプレーでは入り難いところも同様にタッチアップしていきます。
こちらはプラグカバーの裏側ですが、画像のようにヒビが入っている箇所も何箇所かあります。と言ってもこの部品ではいつもの事で宿命みたいな物ですから心配しても仕方無いかと思います。多分どの車を見てもこうなっている筈で、逆に私はこうなっていない物を見た事がありませんので・・・。
こういった箇所も同様にプライマーを流し込んでおきます。塗料が入り難いその下の辺もですね。
先ほど塗ったプライマーはエポキシ系なので一旦ガツンと焼いて完全硬化させ、続けて上塗りを行います。今回はヘッドカバーを結晶塗装の赤で、プラグカバーはグレーシルバーといったフェラーリエンジンの色の組み合わせで御指定いただいています。
そして熱を掛けて結晶目が出たら本塗り完了です。オイル注入口は最後に当たり面を面研しますので御安心下さい。最初の頃はマスキングしていましたがどの道段差を削るのと内側はキャップと干渉しない事が判ったのでだったらこの方が格好良いと思って今はこうしています。
そしてプラグカバーです。白っぽく見えますがグレー色にメタリックが入っています。完全なシルバーと言うよりはグレーに近い濁ったシルバーですが、実物は画像で見るよりも発色が良くて綺麗です。ちょっと隣に並べて見てみましたが良い感じの組み合わせでした(まあ実際にフェラーリのエンジンパーツに塗っている色なので当たり前ですか。笑)。
取り外したバッフルプレートは洗浄して取り付けずに同梱しておきますが、プラグカバー内側に貼ってあったスポンジパッキンは元に戻しておきますね。来週半ば~週末までには完成出来る予定です。もう少々御待ち下さいませ!