SHURE BETA58Aマイク 本塗り

先日お預かりしておりましたSHURE BETA58ボーカルマイクです。

本体は#800相当で研磨し、グリルボールはナイロンブラシとウォッシュコンパウンドを使って足付け処理を行っています。

グリルボールは2トーンカラーで承っていますので、まずは網の部分をROVERの「ホワイトゴールド」(カラーコード:GMN)を塗布します。

しっかりと乾燥させ、リング部を残してマスキングを行います。隙間が空いていますが、そこは網のワイヤーが無い部分で奥に何もありませんので問題ありません。

まずは下塗りとして黒を塗ります。

よく乾燥させ、続けてクロマリュージョンカラー(日本ペイントでいう「マジョーラ」)を塗布します。塗料が高価で、また在庫の残りも少なくなってきたので、無駄なく塗れるようエアーブラシを使いました。画像のSATAの口径は0.5mmですが、IWATAのLPH0.4mmよりも効率よく塗れます。

クロマフレア顔料はパールと同様に下地を透かして色を表現しますが、それを多層にする事で複雑な色を表現しています。

クロマフレア顔料についてはこちらのページでも紹介していますので宜しければご参照くださいませ。

ちなみにSTANDOXでこれ系統の塗料は出ていないので、その場合はDUPONTのクロマリュージョンカラーを使うが基本となっています。今はDUPONTもSTANDOXどちらも吸収されてAXALTAという会社のブランドとなっています(DUPONTの塗料は今だとCROMAXと呼ぶのが正解です)。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」の仕様となります。

網の部分はホワイトゴールドで、クリアーも一緒に塗ってあります。

クロマリュージョンカラーは1キロ缶でしか買えないので、今の在庫が無くなると12万円くらい出して買わなければならなく、うちのような頻度ではこれが難しいところであります。

ただ一応対策は行っていて、代替のパウダー顔料を既に手配済みです。

こちらはパウダータイプの顔料で、材料の単価自体はクロマリュージョンカラーと変わらない程ですが、少量での購入(1グラムから)が可能なので、いずれはこちらに移行していこうと思っています。クロマフレア風No.H05についての他の画像はこちらのページで紹介していますので宜しければご参照くださいませ。今までの類似品と違い、本物のクロマフレア同様の深みがあるのが特徴です。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

BMW E30インテークマニホールド 本塗り

先日お預かりしておりましたBMW E30の純正インテークマニホールドです。

その後アルカリ洗浄槽に浸け置きをして汚れを落としておきました。

各部をマスキングし、ブラストボックスに入れ、

サンドブラスト処理を行いました。

この後はリン酸処理をし、綺麗に洗浄します。

リン酸処理後にもよく洗浄し、水気を乾かしたら各部をマスキングして台にセットします。

裏側も塗る為、台にボルトでしっかりと固定しています。

まずは台ごとひっくり返した状態で、

裏側にプライマーを塗布します。

台が固定されているので取り回しは面倒なのですが、以前作成した回転台のお陰で簡単に回せて作業が非常に楽になりました。重量をまるで感じさせません。

その後表面にひっくり返し、こちらも満遍なくプライマーを塗布しておきます。

中央のBMWのエンブレムは白・青・黒で塗装を行うので、

マスキングをしておきます。

この部位は凸が低いので、前回施工した時と同じようここは結晶塗装をしないようにします。

結晶塗装用の塗料(リンター)を塗布し、140℃~170℃程の熱を掛けて本塗り完了です。お待たせしました!

色は以前アルファロメオのヘッドカバーに塗ったようなグレーシルバーとなります。

塗る順番としては、最初のプライマーと同様に先に内側を塗るだけ塗ってからひっくり返し、表側を塗るだけ塗ったら再び裏側をこの状態で塗るといったやり方です。

ヘッドカバーであれば大抵2~5個くらいをまとめて塗っていますが、さすがにこちらはこれだけで体力(と集中力)が一杯いっぱいといった感じです。

この後は台から取り外し、今度は恒温器(乾燥炉)でもう一度140℃20分くらいの熱を掛けて焼き付けます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

フィアットテールランプ オレンジキャンディー塗装

先日下準備をしておいたフィアットの純正テールランプです。

最終的にはこのようにレッド+オレンジ+スモークとなりますが、これらを一度には出来ないので、まずはウィンカー部分を透過性のオレンジに塗装します。

またオレンジとレッドは重なる部分がある為、それ用に0.5mmサイズを大きくしたマスキングシートを用意しています。

その0.5mm大きくしたマスキングシートの、まずはガイド用のそれを貼ります。位置を調整出来るよう水を使っています。

それに合わせて雌型のマスキングシートを貼ります。

ガイド用として貼った雄型のマスキングシートを剥がします。わざわざこうしているのは位置を出し易いようにです。

オレンジに塗る箇所以外をマスキングし、最終脱脂処理をしたらプラスチックプライマーを塗布します。

続けて「イエロー:オレンジ=5:1」にしたキャンディーカラー(ベースコート)を塗布します。

画像だとイエローにしか見えませんが、これを塗り重ねていくと・・・、

鮮やかなオレンジになります。

場合によってはさらにオレンジを足して赤味を強くさせますが、レッド&オレンジにする場合は敢えて黄色寄りのオレンジにしています。

現状赤味が足りないと感じていても以前から施工しているデータがありますので、私的にも安心して出来ている所があります。これを「長年の経験が」というと、どうしても記憶に頼っている感が否めませんので、私的にはそういう表現は控えるようにしています。思い込みは本当に恐ろしいです。

そして再びプラスチックプライマーを塗布し、最後にクリアーを塗って下塗り完了です!

ちなみに「クリアーを塗らず、オレンジを良く乾かしてからマスキングして、そのままレッド&スモークじゃ駄目なの?」と思う方もいらっしゃるかと思いますが(もちろん出来ないことはありません)、今回塗っているオレンジにはハードナーを添加しているので、余り時間が経ちすぎるとその上に塗るクリアーが密着しなくなってしまいます。これは同じSTANDOXを使う知り合いの塗装屋さんから聞いた話ですが、「海外のTDSで、ハードナーを入れたベースコートの場合は、最高の接着を得る為に 20℃ 8時間以内と明記してある」という情報を頂いたので、それに倣うようにしています(ただし「日本のデータシートには書いてないので何が正しいのかは良く分かりません。」という後述もあるのですが)。TDS=テクニカルデータシート(使用説明書)の事です。

塗装の場合、「効果は良く判らなくてもとりあえずやっておいた方が良い」といった事が余りにも多く、普通は経験を積めばその分仕事も早くなる筈なのですが、そういった事から実際にはこれが全く逆になってしまいます。深く知れば知るほどそれらをやっておかないと気が済まなくなってしまうので、塗装屋(現場の人間)は貧乏暇なしを絵に描いたような終末が待っています。まあそれも塗装の楽しいところではあるのですが・・・。

この後は熱を掛けてしっかり塗膜を硬化させ、再び足付け処理を行ったら他のテールランプと共に本塗りを行います。作業進行しましたらまた紹介をさせていただきますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

モーガンメーターパネル塗装 完成

こちらもお待たせしました!先日本塗りを終えていたモーガン用のステンレス製メーターパネルの塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

元々オーナー様が自家塗装をされていたとの事ですが、どうも上手く出来ないという事で、既存の塗膜を剥がした状態で当店にご依頼を頂きました。

色は艶消しの黒で、通常の艶あり塗装と同様、ベースコートの上につや消しクリアーを塗った2コート仕上げとなります。

また今回の塗装後には、このメーターパネルに文字入れなどを行う予定もあるようです。

以前施工したオーディオパネルのように「デカール」で文字を表現する事も可能ですが、デカールの厚みの段差を消すなら2度塗りが必要ですし、また文字の数も多いと非常にコスト高となってしまう為、現代であれば「UVプリント」が有効かと思います。

 元々のステンレスがレーザーでカットされているとすると、既にこの枠の形をしたデータはある筈ですから、それに合わせて文字を配置していけばズレ等の心配もなく、確実に印刷が出来ると思います。一つ一つをデカールやドライレタリングでやる場合、水平を出すだけでも冷や汗を掻きながらの作業ですから、UV印刷の方が絶対にお勧めです(笑)。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

インターフォンカバー塗装 完成

 大変お待たせしました!先日本塗りを終えていたパナソニック社製のインターフォンの外装パーツ2点の塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

元々はシャンパンゴールドに塗装されていた物を、

つや消し黒に塗装しました。

 家の外装に合う既製品が無かったとの事で今回のご依頼に至っています。

ベースコートの黒の上に2液ウレタンのつや消しクリアーを塗った2コート仕上げなので、塗膜の強度は自動車車体の物と同等と考えて頂いて大丈夫です。

耐候性はもちろん、耐擦り傷性、耐薬品性に優れています。

こういった建築・インテリア関係のご依頼は業者様からも結構あって、換気扇やスイッチパネル、カーテンレールや手摺など色々塗っています。ただ自動車補修塗装がベースだとどうしてもコスト高になってしまうので、余程の高級志向に限られているところはあります。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!