R35 GT-R カーボングリル塗装承ってます

日産スカイラインR35 GT-R用の社外品ウェットカーボン製フロントグリルです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

 現状はクリアーゲルコート仕上げで、表面はカーボン繊維の凸凹が出ていますので、まず一旦「研磨→クリアー塗装→完全硬化→研磨」といった工程で下地を作ってから上塗りとします。ご依頼はカーボン地をそのまま活かしたクリアー仕上げなので、サーフェサーの代わりにクリアーを使う方法ですね。

 ゲルコートはポリエステル樹脂の為に耐候性が弱く、紫外線に当たると塗膜を構成する分子が酸化分解などの化学変化を起こします。経年で白くなっているのは(白亜化)、樹脂が劣化してボロボロになってしまっているからです。

 アクリルポリウレタン系の樹脂は耐候性に強いという特徴があり、またその中でも耐候性の良いクリアーを使う事で長期間良い状態を保てるようになります。なので今回もクリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーで承っています。

カーボン製品は型から抜いた後にフチをサンダーでカットしている為に鋭角で、こういった部分もクリアーの二度塗りで自然な感じに仕上げたいと思います。

参考までに以前施工したカーボン製品の塗装事例を紹介します。

DUCATIのアッパーカウルです。今回と同じくウェットカーボン製で、やはりクリアーの二度塗りで仕上げました。

こちらはGIOSの自転車フォークです。素材はドライカーボンですが、元々下地が出来ていた物をGIOSのロゴを削って消してクリアーで仕上げています。またカーボンの接着部分を目立たなくするようスモーク塗装も行っています。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

cannondaleカーボンフォーク塗装 完成

 先日本塗りを終えていたキャノンデールのカーボンフォークです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、磨き処理を行って数日寝かしておきました。そして最後の計量も行いました。

最終重量は「289.2g」で、最初の重量が「301.6g」ですから、今回の塗装では12.4g軽くなりました。元々下に塗ってあった黄緑色の分が軽くなったといった感じでしょうか。

 そして完成です。大変お待たせしました!

最初の状態も紹介しますね。

元々綺麗な状態だったのですが、黒い部分を無くしてフォーク全体をグリーンのパールに、ロゴを改めてcannondaleの黒に入れなおしました。

 フレームの方はこれと同じ色なので、それと変わらないよう剥離する前に調色作業も行っています。

 ロゴの部分は磨き処理をしているので、平滑に仕上がっているかと思います。

 ホイール取り付け部は裏表共に塗装しないようにしています。

 ブレーキ取り付け部も同様に、最初の状態と同じようにしています。

 色の違いが判り易いよう、ストロボでも撮影してみました。

 設定は同じでも環境によって色味が違って見えるのが判ると思います。これは画像を見ているモニターによっても同様で、それについてはこちらの記事が判り易いかと思います。S-WORKSのフレームを塗った時の画像ですね(尚、現在フレームの塗装お受付はしておりません)。

 各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

近くで見ると色々なパールが入っているのが判るかと思います。

 今回は調色作業も行っていて、タッチアップ用(もしくは何かあった場合の補修用)として塗料40グラムもご購入頂いております。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

cannondaleカーボンフォーク 本塗り

 先日サフェ研ぎまでを行っておいたキャノンデールのカーボンフォークです。

 塗装する範囲は、元の状態と同じようにしています。

 ホイール取り付け部もカーボン地をそのままにするようマスキングをして残しています。

下塗り用の色を3コート程塗ってしっかり隠蔽させ、その後調色した色を2コート塗ってベースコートが完了です。

色見本も残しておくことにしました。

ベースコートがしっかりと乾いたら、場所を工場二階に移してロゴのマスキングを行います。

ロゴは同じ位置に入れるよう承っていますので、元のロゴの位置を参考にします。フォークを真横から見て、端の部分から35ミリの位置となります。

他の作業前の画像を確認すると、ロゴは少しアール面に入っているのが判るかと思います。

 正面から見て同じ位置になるよう調整しています。

フォークの中心を通るようにして、

反対側も違和感のないよう対象(な感じ)になるようにします(ロゴは鏡文字では無いので実際には非対称です。

 その後再び工場一階に移動し、ロゴ以外の部分をマスキングします。

 ベースコートの黒を塗布します。

 一部に白い点を発見したので、そこだけ修正します。

通常黒を塗る場合はそれ用のスプレーガンを使うのでこういうケースは殆ど無いのですが、ロゴを入れる場合には口径の小さいエアーブラシ(SATA dekor2000 口径0.3mm)を使う為、こういった感じで前に塗った塗料の影響を受けてしまう場合があります。

 マスキングをし、そこだけスポットで黒を塗りました。

 養生を剥がし、エアーブロー&タッククロス(塗装に影響の無い粘着剤のついた専用の不織布)で清掃を行います。

 そしてクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

 ブレーキが装着される箇所も元々マスキングをして何も塗られていなかった為、同じように同じ径でカーボン地を残すようにしました。

 ホイール取り付け部も同様にカーボン素地をそのまま残しています。

 上側(画像だと下側)は山のラインを超えて3ミリくらいのところでバツ切りになっていたので、これも新車時と同じようにしておきました。

今回は元になる色(塗膜)が無いので色の確認が出来ませんが、調色時に作成しておいた色板にクリアーを塗っておいたので、本塗りが終わったばかりの見本とそれを見比べて色の確認をしておきます。問題ありませんので、車体(フレーム)の色とも違和感は感じられないかと思います。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

その後は磨き処理を行い、最後にもう一度重量計測を行います。

それでは完成次第改めて紹介をさせていただきます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

cannondaleカーボンフォーク 下準備

 先日旧塗膜の剥離を行ってサフェを塗っておいたキャノンデールのカーボン製フォークです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、再び重さを量ってみました。

 旧塗膜を剥離した後が「272.4g」で、この時点での重さは「289.9g」ですから、今回塗ったサフェの重さが17.5gとなります。

 その後全体を研磨します。最初は固い当て板を使い、その後スポンジパッド、最後は手研ぎでラインとペーパー目を均します。

 一応サフェ研ぎ後の重さも量っておきました。

本塗りを行う前のこの時点で「283.7g」となります。研いで残った分のサフェの重さが11.3gと言う訳ですね(研いで無くなった分が6.2gです)。

最初の状態が「301.6g」で、これから行う上塗りではそれほど重さはありませんから(サフェは比重が重いのです)、作業前よりは軽く出来そうです。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

cannondaleカーボンフォーク 剥離~サフェ入れ

 先日調色作業を終えているキャノンデールのカーボン製フォークです。

旧塗膜剥離の前に、重量を量っておく事にしました。

 作業前の状態は「301.6g」となります。

 カーボン素材の剥離作業には溶剤(剥離剤)やサンドブラストが使えない為、この場合は全て手作業となります(エアーツールは使います)。

 最初はダブルアクションサンダー#120で使い粗研ぎを行います。

何故か下から鮮やかなグリーンが出てきました。

まだまだ塗膜は残っていますが、無用に素地を削らないよう番手を落としていきます。ここからは#180のダブルアクションサンダーで削ります。

元々違う色だったからか、結構な量の塗膜を削る事になりました(これの倍以上はあると思います)。

 その後は#180→#240の手研ぎで塗膜を削ります。

 カーボン素地の上のグレーは恐らく成型時のエポキシ樹脂で、その上の黒がプライマー、さらにその上のグレーがサフェーサーになるかと思います。これより上の塗膜は足付け処理していないまま塗られていた層もあったので全部剥がしましたが、現状残っているのは低い部分でもあるので、無理に削ろうとするとラインが崩れてしまいますから、剥離作業はここまでとします。

 剥離後にも重さを量ってみました。

 この時点で「272.4g」なので、今回剥離した塗膜の重さは「29.2g」となります。

 よく脱脂清掃し、台にセットします。

 ホイールを固定する箇所(クイックレリース当たり面)はカーボン素地のままになるようマスキングをしておきます。マスキングする円は元と同じ径(20mm)としています。

 カーボンも一応はプラスチックにはなるのですが(炭素繊維プラスチック)、塗装においてこの場合はプラスチックプライマーは必要ありません。このままサフェを塗ってOKです(ただ念のためエポキシプラサフも一層だけ塗っておきました)。

 サフェはウェットに5コート程塗り、最後のコートが終わったらすぐにマスキングを剥がしておきます。

この後は一晩以上自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。またその際に重さも量っておきたいと思います。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせていただきます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!