アドレスV マフラープロテクター サフェ入れ

 こちらは先日お預りしておりましたスズキアドレスV125の樹脂製マフラープロテクターで、ちょっと早いのですが他の案件でサフェーサーを塗るので並行して作業をさせて頂いております。

 表面は粗い梨地があるので、#120のダブルアクションサンダーで削ります。

 ボルト固定部にはゴム製のリングが嵌っていましたが、そちらは外しておきました。

こういう個所はどうしても足付けがし難い(ペーパーの傷が一方向になり易い)ので、特に念入りに行っておきます。

その他フチなどは#180の手掛けで行います。

 さらに#320のスコッチとウォッシュコンパウンドを使って足付け処理を行います。

十分に乾燥させ、裏側はフチから5ミリくらいのところでマスキングをしてあります。

 こちらも塗料の密着性が良く無いPP(ポリプロピレン)樹脂なので、プライマーを塗る前に炎処理を行っておきます。特に穴の中の谷のラインには有効です。後で塗装が浮くとしたらこういう個所ですからね。

プラスチックプライマー塗布後、サフェーサーを5~6コート程塗ってサフェ入れ完了です。この後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、平滑に研ぎ付けます。

それではこちらも作業進行次第改めて紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

内装シフトパネル 下地処理

 先日お預りしておりましたスズキ純正部品の内装シフトパネル2点です。

 内側に着くパネル(画面右)には「SHIFT」の凸文字がありましたが、それを残して表面のザラザラとした梨地を除去出来ないので、今回はそちらも一緒に削り落としています(ご了承頂いております)。

最初に#120のダブルアクションダンサーで全体を研磨し、その後は#180の手研ぎで削ります。

 さらにその後、ウォッシュコンパウンドとスコッチ(#320相当)を使い、全体の足付け処理を行います。

 ペーパーやスコッチが入り難い個所はナイロンブラシを多用します。

 良く乾燥させ、十分に脱脂清掃を行います。

 この穴には何かが入るかも知れないのでサフェーサーは入れない事にしました(穴の内側は梨地では無いのでサフェは塗らなくても問題ありません)。

 素材はPP(ポリプロピレン)で、足付け処理がし難い形状でもあると言う事で、プラスチックプライマーを塗る前に火炎処理も行っておきます。

火炎処理では専用のガスを使って樹脂の表面に親和力の大きい有機化合物を樹脂の表面にナノレベルで形成し、この後塗るプライマーの密着性を高めます。足付け処理は十分にしていますが、念の為といった任意保険のような感じですかね。

 プラスチックプライマー塗布後、サフェーサーを5~6コート程塗り込みます。

1コート毎に10分くらいのフラッシュオフタイム(コート間の乾燥時間)を設けているので一個の部品だけでも1時間くらいは掛けて塗っています。

サフェーサーは一度に膜厚を着けると塗膜中に溶剤が籠ってしまい、表面だけが固まってしまうと溶剤が上手く抜けなくブリスターやピンホールが発生します。

自動車塗装の場合には熱を入れながらサフェを塗ったりもしますが、小物の場合は場所を取らないので、何個かをまとめて上手くローテーションしながら塗る事で、時間を掛けてゆっくり作業を出来るようにしています。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

シビックメッキモール 下準備

先日お預りしておりました本田シビックのメッキモール5点です。

部品は新品で、裏側には両面テープが貼ってあります。通常であれば塗装の前に剥がしてしまいますが、今回は部品のサイズが大きくそこそこ自重がある事、また取り付けはディーラーにて、これから納車される新車に装着されると言う事で、万が一を考えてこれらはそのまま活かす事にしました。

 だだしそのままだと見た目が悪くなってしまうので、裏側は全面マスキングします。

 モール裏側のフチには段差が付いていて、両面テープはその内側に貼ってある為、下地処理とプライマー~サフェーサー、また本塗りまでもこのフチまではしっかり行うようにします。

 リヤゲートに装着されるモールは薄くてペラペラで、うっかり曲げてしまうとメッキが割れてしまう為、補強として5ミリ径の真鍮棒をテープで固定しておきます。

 その後メッキ素地用の下地処理~プライマーを塗装し、続けてサフェーサーを塗布します。

 素材となるABS樹脂は比較的柔らかいので、今回のような補強の入っていない薄板状の物だと、うっかり端だけを持ったりしてしまうと大きくしなりメッキが割れてしまいます。

ベンツのトランクリッドに貼ってあるスリーポインテッドスター(実際には3箇所の穴にグロメットが嵌って脚が挿さっている)を外す際、一か所だけを持ち上げて外そうとすると細い箇所のメッキが割れてしまうのと一緒ですね(殆ど気付かれないレベルですがメッキ層だけ亀裂が入ります)。

この後60℃40分程の熱を掛け、サフェーサーが完全硬化したら全体を水研ぎして平滑にします。

他にも一緒にサフェーサーを塗布している案件がありますのでそちらも続けて紹介しますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

メガネフレーム 本塗り

 先日キャンディーレッドでの下塗りを行い、足付け処理までをしておいたnoegoのメガネフレーム一式です。

 下塗りで塗装したクリアーは熱を入れて完全硬化している為、そのまま色を塗っても塗料は密着せず、さらに塗装を重ねる為には再び全体に足付け処理を行う必要があります。

 ただ普通にペーパーを掛けるとエッジなどで簡単に下地が露出してしまう為、今回はかなり丁寧に足付け処理を行いました。

 フロントに着くこちらのフレームはキャンディーレッド単色なので、前回の下塗りを行った時点で完成としても良かったのですが、折角なのでこちらももう一度クリアーだけ塗る事にしました。

 まずは塗装の見切りラインが綺麗に仕上がるようにベースクリアーを塗布します。

STANDOXの場合は専用の「ベースコートカラレス」なる製品があって、主にベースコートのボカシを行う自動車補修塗装では必ずこれを最初に塗ります(しかし何故か色の着いたベースコートよりも高かったりするのですが・・・)。

 ベースクリアーが十分に乾いたらマスキングを行います。

塗り分けはプレスラインの「山」の部分で、見切り部分にはコシのあるラインテープを使って極若干飛び出るようにして貼付け、

開いた部分を普通のマスキングテープで塞ぎます。

裏側はマスキングテープが食み出るようにバックテープで貼り付けます。

 難しいのがこちらのフロントフレームの湾曲部分で、ここをラインテープやマスキングテープで綺麗に貼るのは自信が無かった為、予めラインをトレースしてIllustratorで修正→マスキングシートを作製しています。

 微妙な個所は小さくカットしたラインテープを貼って修正し、最後にバックテープでフレーム全体の裏側をマスキングをしています。

 こういった作業は非常にストレスが大きい為、快適に作業が出来る工場の二階スペースで行っています。

 再び工場の一階に戻り、2色目のゴールドを塗布します。ゴールドはアイアンマンに使われている色を参考にしています。

マスキングを剥がしました。

 フロントフレームの方は4ヵ所ありますが、一度に塗らず、一か所ずつマスキングをして塗装していきます。

 注意する点としてはそれぞれの色が全く同じになるよう完全隠ぺいさせておく事でしょうか。

尚キャンディーカラーの場合は「塗れば塗る程色が濃くなる」と言う事から、目指すのは完全隠ぺいでは無く「同じ膜厚」で、下塗り後に仮組みをしたのはそれを確認する為の事でもあります。結果は問題無く、同じ色にしか見えないように出来ていると思います。

 キャンディーレッドの上にはクリアーが塗ってあるので、万が一色が食み出てもシンナーで拭けば大丈夫です。

耐久性を要する塗装ではプラモデルのように弱い塗料(通称「エナメル」と呼ばれる物)は使えないので、色を塗り重ねる場合には、上に塗る塗料の溶剤に侵されない下地を作る事が必要となります。なのでラッカーサフェとかも使えません(極稀に使う事はありますが、ここで紹介している案件に使う事はありません)。

2色目となるゴールドのベースコートが終わったら、最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

 クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」となります。

この後再び60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、出来ればもう一度、さらに一週間程寝かしたら組み付けを行おうと思います。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

テスラ ハンドルカバー塗装承ってます

 先日お預りしておりましたテスラ(恐らくはモデルS)用の社外品アウターハンドルカバーパネルです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

素材はアルミ製で、表面にはカーボン柄が水圧転写され、クリアーが塗ってあります。

パッと見の雰囲気が悪いのは、ハジキの跡やウネるような歪のせいで、

 またクリアーが艶引けしたような状態だからです。クリアー自体も余り良い材料では無いように見受けられます。

ご依頼内容はこちらをボディ同色の「ディープブルーメタリック」(カラーコード:PPSB)で、クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」への変更で承っております。

製品は新品ですが、両面テープのフチがちょっと汚いので、塗装前に一旦剥がして最後に新しく貼り直す予定です。

テスラモーターズについては、以前購入したクリスアンダーソン氏著書の「MAKERS」に紹介されていて、その革新的な製造方法に驚いたのを覚えています。

実車は見た事がありませんが、いつか機会があれば仕事にも!と思っていたところ、この度の御依頼となり私的に嬉しくもあります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!