DELL仕様でご依頼頂いているタンブラーは既にプライマーが塗られていますが、その前の素地調整の画像を紹介していなかったので掲載しておきますね。ステンレス素地の表面をダブルアクションサンダー#120で研磨しています。元々塗ってあったクリアーも一緒に剥がれてしまっています。
色についてはカタログを数冊用意して頂き、それを基に色を作成します。頂いた資料からはCMYKの数値も頂いているのですが、それが適用されるのは染料(印刷)の世界でして、顔料(塗装)では再現出来ないのです。顔料は媒体(溶剤)に溶けている訳ではなく単に「分散」されているだけですから目で見ているものは実は3次元だったりするのでそんなに単純に数値化は出来ないのです(というのが私的見解です)。
ただし今回のような「鮮やかなブルー」を顔料で表現するのは実は非常に難しいのです。と言うか顔料単体では物理的に無理なんですよね。
方法としては下地を透かして発色を良くみせる「キャンディー塗装」(3コートによる透過性塗装)がありますが、ソリッドカラー+ソリッドカラーでのキャンディー塗装なんて方法だとブルーを塗り過ぎて隠蔽させてしまえば発色は悪くなりますし、塗りムラも生じ易いなど不確定要素が多いので余り現実的ではありません。せめてメタリックかパールだったらそれも考えますけどね。
もう一つの方法としては前記した「染料」を使う方法で、上の画像の二色の内の一色はその方法で鮮やかな青を出しています。微妙ではありますが顔料ではどうしても出せない青なんですよね。
ただしこの方法はちょっとした弊害もありますので、それを考えて使わないと思わぬ失敗もあり得ます。ただ今回の作業ではそれも理解した上ですので御安心下さい。じゃないと内容も明かしませんからね(笑)。