先日凸文字用のマスキングシートを作成しておいたBMW Motorradのブレンボブレーキキャリパー一式です。フロントが左右で二個、リヤが一個の合計三個です。
表面にはアルマイト処理が施されたような黒い不働態被膜があり、これは非常に硬く、またペーパーなど届かないような歪な形をしていますので、
サンドブラストを使って全体を一皮剥くようにして足付け処理を行います。
尚、当初はピストンの周りのみ円形にマスキングしていましたが、接着面積が少なくエアーブローで飛んで行ってしまうので、改めて平面全体を3重のガムテープで貼り直しました(ちなみに一緒に施工したVMAX用のBERINGERキャリパーはピストンが付いた状態なのでそのままで大丈夫でした)。
よくエアーブローし、シリコンオフで全体を洗浄しました。またマスキングをしていたピストン周りの面も#500相当(アシレックススカイ)で足付け処理を行っています。
その後#180~#240のダブルアクションサンダーと手研ぎで表面を軽く研磨します。塗り終わった後に少しでも艶が出るようにですね。
凸文字部は#120~#240を当て板を使って面出しをしておきました。
この後再びシリコンオフで全体を洗い流すようにして脱脂処理をし、マスキングを行います。
続けて車体に固定してトルクが掛かる箇所や、パッド固定のシャフトを差し込む部分にベースコートの黒を塗ります。ここはクリアーを塗らない様にします。
そしてまずはロゴの白(VW社キャンディーホワイト)を塗布します。
しっかりと塗るのは凸文字の天面のみで、その他は下色として全体に軽く塗布します。
ベースコートの白が乾いたら凸文字をマスキングします。予めカットしておいたマスキングシートを、一を合わせて一つ一つ貼っていきます。
石刷り方式で抽出した輪郭だとピッタリになってしまいますが、その後修正したデータを0.2mmオフセット(大きく)しているので、マスキングシートが庇のように少し食み出ているのが判ると思います。
ピッタリに貼ると表面張力の作用でそこに塗料が溜まり、塗り分けした部分がガタガタになってしまうので、それを防ぐようにマスキングシートを一回り大きくしています。
下塗りとして適当な赤と白を足した色(ピンク)を全体に軽くコートします。
色はご指定頂いたこちらの新品のブレンボキャリパーに近い赤を採用しています。
ベースコートの赤が十分に乾いたら凸文字のマスキングを剥がします。
凸文字や凹み文字の塗り分けは他にも色々な方法があって、今回は凸文字の輪郭がシャープだったのでこの方法としました。
ちなみにもっともコストが掛かるのが以下のような方法で、この時は「出来るだけ純正のように」というオーナー様のご希望でこのようなマスキング方法となりましたが、あり得ない程の手間が掛かるので通常こういった事はしません(あり得ません・・・)。
そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!
黒く塗った箇所のマスキングは、二回目のクリアーを塗った直後に剥がしておきます。
リヤキャリパーは当初吊るして塗っていましたが、やはり文字部分を地面と水平にしたかったので、急遽固定が出来る台に変更しました。以前パブリカのステアリングを塗った時に使ったパイプを固定した台ですね。
この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。
それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!
尚並行して作業をしていたBERINGERのキャリパーは打痕が沢山あるので、そちらはエポキシパテ&エポキシサーフェサーで下地を作る為にまだまだ時間が掛かりそうです。こちらももう少々お待ちくださいませ!