東京マルテーフェア2018

 自動車車体整備(板金塗装)の業界では、新製品の工具などを紹介する催しが結構あって、いつもお世話になっているオートサプライヤーさんからはこういったチケットやお誘いなどを頂いていたりします。

ただ今の小物塗装屋になってからはこの辺の事に殆ど興味が無く、ここ10年以上は行っていなかった気が・・・。

 しかしながら今回は工場から比較的近場の、平和島は東京流通センターで開催されると言う事もあって、試しに先日のワークショップにも来られたアートトイペインターのGUNさんを誘ってみると、なんと行ってみたい(!?)と言う事で、今回超久しぶりに参加してみようと思った次第です。

 紹介されるのは新製品もあれば在庫処分品みたいなのもあって、ただ元々がプロ用の物ですから特別安いという訳ではありません。ただプロ用の工具はとにかく丈夫ですし、もし壊れたとしても最後までメーカーはフォローをしてくれ、また部品単品で取り寄せが可能なので自分で修理と言う事も可能です。電動ポリッシャーのスイッチ一つでさえ普通に買えます(よく壊しました・・・)。

 マスキングテープ一つとっても塗装屋にとっては凄く拘りがあったりして(味がどうとか訳の判らない人も居ます)、ただそうなると一つの製品に固着してしまいがちですから、こういった機会は良いのかも知れません。また、車や電車に乗ってまで・・・と言うのがここ最近の流れだったのですが、今回は自転車で行けるところでやってくれたのが有難かったのです(しかしこの猛暑で本当に大丈夫なのかと少々不安でもあるのですが・・・)。

 私的に興味があるのはこの辺で、とにかくゴミは一つでも減らしたい!と言うのが永遠のテーマですから(病)、何か良い製品が無いか楽しみです。

 一緒に行く予定のGUNさんは、自宅に業務用の乾燥炉や調色ブースを持っていたりする猛者で、しかも最近コンプレッサーやエアータンクまで取り揃えていたりするので、きっとこの辺に興味があるのでは?と思っています。

 この辺は完全に業務用の機器ですが、これは今すぐ買った方が良い!と言うような値段の物も出ています。お金なんて借りれば良いんです(私はまだローンが・・・)。

 車の内装用塗料なども売っていたりするので、これをセットで買って講習(多分無料)も受ければ、そのまま独立出来るんじゃ・・・(なんて簡単な事では無いとは思いますが、副業的な感じなら十分かと)。

一人だったら微妙かと思っていましたが、今回は(何故か)プロ用工具に興味のあるGUNさんが一緒に行ってくれるので、隣で材料の説明をするだけでも面白いかも知れません。

一応カメラは持っていく予定ですが、如何せんSIGMAのDP2Mでは室内の撮影は絶望的ですから(そう言うカメラです)、上手く紹介出来るか判りませんが、後日報告が出来ればと思います。そのままGUNさんが独立起業しちゃったりしたら面白いんですけどね~(まるで他人事のように。笑)。

2018.7.15 サーモス塗装ワークショップ③

 先日に引き続き、7月15日に行ったサーモス塗装ワークショップの紹介となります。

上の画像にあるのは主にG-SHOCKを塗装している塗装屋さんの物で、今回は色々な色見本と、キャンディーブルーに塗装したG-SHOCKを持って来て頂きました。相変わらずキレてますね~(笑)。

 こちらは今回新規で御参加いただいた方で、普段は仕事でUVプリントをされているとの事でそれのサンプルやUVプリントした転写ステッカーを持って来て頂けました。

今回参加している人間であればこれをどうやって、しかもどれだけ面倒な事をして行っているのが良く判っていて皆さん感心していました。実際の印刷屋さんなら判ると思いますが、通常量産品で360度丸々一周にUV印刷ってしない(出来ない)ですよね。業界のイベントでも人山が出来るそうです(恐)。

 こちらはアートトイペインターのGUNさんが塗っているBlackrabbitで、今回も面倒そうなマスキング塗装を施された物を持って来て頂きました。工程を想像してしまうと寒気がしてしまいます・・・。

 左は透明の素体に透明レジンと和柄の端切れを入れて固めた物で、右は蓄光顔料を練り込んだ素体をベースにしている物です。ちなみにこれらのBlackrabbit私も二体持ってます(何故か笑)。

またGUNさんは新しいカメラを購入されたとの事で、この日はそれも持って来て頂き、先日設置したストロボ撮影デスクを試して頂きました。やはりと言うかリモコン制御のストロボに驚いていて(多分今時だと普通だと思うのですが)、そして簡単に撮影が出来る事にかなりテンションが上がっていました。判ります判ります、私も最初そうでした(笑)。

 先程のGUNさんが塗装したサーモスはそのまま持って帰ってしまったのですが、他の物は後から発送と言う事で今回撮影も行ってみました(しかしながら毎回これでは大変なので今回が最後だと思います)。

 分解して塗装していたポッチも組み込んでおきました。

 こちらは普段お仕事で遣っているUVプリンターで印刷~作成した転写シールで、画像だと判り難いのですがかなりの厚みがあるので、エンボス加工したように一段高くなっています。点字とかに応用出来ないかなぁ、と。

 一緒に塗装した車型の色見本にはヒートンを挿し、キーホルダー化しておきました。

 一部膜厚が付き過ぎて発泡(ワキ=小さいブツブツ)が発生していますが、初心者としては十分綺麗に仕上がっているかと思います。

ちなみに今回使ったクリアー(クリスタルクリアー)は塗り過ぎるとこういったワキが発生し易く、これはキーホルダーの方にある微妙なタレ部分にも見つける事が出来ると思います。クリアーによっては同じ塗り方をしてもこれが出ない物もあるので、今回は気にしなくて大丈夫だと思います(美観はとても良いクリアーなのですが、そういったリスクから使用を諦める塗装屋さんが多いです)。

例えば今回使うクリアーが、同社STANDOXのイージークリアー(旧)であればそういったワキや泡噛みは生じなかったと思います。「イージーですから!」と言うのが当時のデモマンの口癖で、ただしイージークリアーの方が肌が出来難く垂れ易くはあります。ある意味イージーではありません(苦笑)。

ちなみに今回はこちらのウォッシュコンパウンド(ハジキシラズ)もご用命頂ましたので、後日サーモスと一緒に送らせて頂きます。

今までずっとハジキに悩んでいて、先日紹介したこちらの記事を読んで「まさにこれだ!」と思ったらしいです(笑)。ウォッシュコンパウンドは各社から出ていますが、私的にはこれが一番バランスが良くて気に入っております。

尚、調子が良くてもしこれが気に入られましたら次は是非メーカー市販の4キロ(!)のボトルをご購入頂ければと思います。メーカーの方が一生懸命開発した物を、あたかも自社製品のようにして売ったりはしておりませんのでご安心下さいませ。

 そしてこちらは今回二度目の参加の、私の従兄弟が塗装したサーモスです。

 生まれたばかりの赤ちゃん用にと、敢えて淡い色をチョイスしていました。

 下側には自身のブランドのオリジナルロゴとイラストなどを配していて、デカールは若干シワが残りましたが、剥がれたり浮いたりするような事は無く、また今回はクリアーが垂れていません。明らかに前回よりも上達したようです(相当イメージトレーニングを重ねていたのではと・・・)。

 先程までの画像だとソリッドカラーに見えますが、こうやってみるとパールが効いているのが判ると思います。まるで市販品のよう(笑)。

 練習用に塗装した車型の色見本は、一つは裏側に磁石を埋め込んでマグネット化し、もう一つはヒートンを挿してキーホルダーにしておきました。

折角綺麗に塗ったサーモスが使っていて傷が付くのは忍びない・・・。」

「だがしかし、折角のオリジナルカラーに塗装したサーモスを隠すのも勿体無さすぎるぜ!」

と言う場合はこんな感じにすればと思った次第です(ソフトケースは自分で買って下さい・・・)。

尚、他に私が塗ったサーモスもあるのですが、そちらは後日改めて紹介したいと思います。

取り敢えず今回のサーモスワークショップの紹介はこれで終了で、皆さま当日は暑い中大変お疲れ様でした!

次回は涼しくなったら開催するかも知れませんので、ご希望の方は是非ご参加頂ければと思います。

STANDOXストラクチャー塗装改め 結晶塗装

 業者様からの御依頼で、とある自動車の内装部品の塗装をご依頼頂きました。

詳細については伏せさせて頂きますが、少々変わったご依頼(と言うか相当貴重な品)でしたので、使用した材料や作業内容について少し紹介したいと思います。

ちなみにご依頼頂いた物は既に結晶塗装が施されたばかりの物で、ただ(素人の方が見ても)かなり酷い状態だった為、一旦全て剥がして塗り直す事にしました。

また違う車体から同じ部品をサンプルとしてお預りしたのですが、それを見る限りでは結晶塗装には見えない程の細かい肌で、それの再現となるとかなり難しいと思い、今回は「ストラクチャー塗装」なる方法を選ぶことにしました。

STANDOXの塗装システムには元々そういった専用の塗料があって、未塗装の樹脂バンパーでシボ模様や梨地がある物でもこれを使用して補修する事が可能です。

 当店では車のバンパーを直す機会はもう殆どありませんが、航空機用の搭載カメラや軍用レーダーのケース、よく判らない(知ってはいけない)機密性の高い専用機材など、そういった業界の方から時々ご依頼を頂いて使っています。画像は昔に色見本として作成した時の物です。

使い方としては2Kエナメル(色の着いていないクリアーのような塗料)に混合し、直接硬化剤を入れて使います。艶消しクリアーも混合可能です。

今回使うのは細かい目の「MIX 602 Fine」となります。

 ちなみにSTANDOXも昔は分厚い紙のマニュアルでしたが、今はオフィシャルサイトからPDFで見れてとても便利です。別項では丁寧に塗装方法についても紹介されていて、しかも誰でも見る事が出来ます(逆を言えば勝手な使い方は許されない、という訳ですが)。

 と言う訳で塗ってみました。塗料構成としては、「MIX602:MIX412(黒):ハードナー=「1:1:1」です。敢えて艶消しは入れませんでした。画像は塗装直後です。

その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させるとこんな感じになるのですが、塗られた実物(ご依頼品)を見るとどうも何か違う・・・。

 と言う事で、結局正攻法で結晶塗装を行う事にしました。画像は以前撮影したイエローですが、実際は黒です。

単にシンナーで薄めただけだと綺麗には結晶目が出てくれないので、その辺りは多少なり工夫をして 何とか良い具合にする事が出来ました。実物は当時の純正を再現しつつ、現代風の美しい結晶目に!と言う仕上りに、また今週末に納品予定なので実際に見て頂いて評価も頂きたいと思います。

それにしても最初に塗られていた塗装はかなりの男前で、よくあれで世に出せると羨ましくなりましたが、内情を知っているだけに判る気がしないでもありません。レストア専用の事業部だとしても、普段は結晶塗装などやらないんでしょうね。

空調服(ファン付き作業服)作製

工場一階には工業扇風機があるので、その場に留まって作業をする分には真夏もこれで十分だったのですが、先日の塗装ワークショップで、まさかこの前に陣取る訳にも行かず、しかし当日は35℃と言う予報の為、これはどうしたものか・・・と思い、知り合いの塗装屋さんがお勧めの「空調服」を手配する事にしました。

 と言っても一流メーカーの物は2万円~5万円と高額で、かといって出来合いの安いカモフラ柄とかはちょっと避けたかったので、自分で材料を寄せ集めての半自作みたいにする事にしました。

 ファンはそれ専用の物があって、こちらはamazonで¥1,680でした。電圧は3~9V、 電流は0.1~0.5Aで動くそうです。

 バッテリーもそれ専用の物があるみたいですが、スマホ用のモバイルバッテリーが安くて高性能なのでそれにしました。容量10000mAhでUSBポートが二つ、同じくamazonで¥1,399でした。随分とお安くなりましたよね~。

 付属のケーブルをファンに繋ぎ、

 もう片方をバッテリーへ・・・!?と思ったら、どうやらそのままでは付かないようDEATH・・・。

(後に判明しましたが、USB用の端子付きの物が殆ど変わらない値段で売っていました)。

 仕方ないのでUSB端子を切って配線を剥き、

 一応電圧も計って、

 念の為ファンを回してみると、おおぉ・・・。予想以上に勢いよくファンが回って期待が膨らみます。

 ファン側の配線もカットし、半田付けをしてしっかり抜けないようカシめたらヒシチューブで覆っておきます。

 USB端子を挿し込むか、スイッチをオンにしてファンが動くのを確認出来ました。切るのはそのまま端子を抜くか、スイッチボタンを3秒長押しで止まります(最初は切り方が判りませんでした)。

 ファンを取り付ける服は適当な物に穴を開けて自作する予定でしたが、これを思い立った時が既にワークショップ2日前!と言う状況だったので、結局こちらもamazonで購入するに至りました。余計に高くついたのではと・・・。

しかし専用の物は何が良いかって、最初から穴が空いていて、しかもその周りが補強されています。

 ファンは枠が外れるようになっているので、

服を挟むようにして枠を着ければそれで完成です。なんて素晴らしい(笑)。

 内側はこんな風になっていて(間違えていなければ)、バッテリー用のポケットと、それの配線も止められるようになっています。意外にも良く出来ていました。

モバイルバッテリーはUSB端子が二個挿せるので、こんな風に充電しながらスマホを使えたりもします。主に現場で音楽を聴く時に使っているiPodは内臓バッテリーが駄目なので、実はこれが重宝していたりします。

実際に使ってみた感想としては非常に素晴らしく、今までは絞れるくらいのTシャツの汗がかなり軽減されました!

室温自体が高いと余り意味が無いのでは?なんて思っていましたが、汗が乾く時の気化熱で十分な涼しさを感じられます。

多分袖まであった方が効果は高いと思うのですが、エアーバック作動時(もしくはマシュマロマン)みたいな姿が嫌過ぎたので、今回は無難そうな袖なしをチョイスしてみました。原理自体は単純なので、要らなくなった服などを改造して今後はもう少し見た目を何とかしてみようかと思っています。

 ちなみに実はその前にはこんな物も買っていました。

ズボンのウェスト部分に引っ掛けられるようになっていて、Tシャツの中に新鮮な空気を取り込んでくれます。

amazonで¥1,480と金額も凄く安くて手ごろだったのですが、悪い評価の通り全体が傷だらけで、3分くらいすると自動的に止まってしまうという中々のジャンク物でした(苦)。

まあネットで買う物なんてそんな物だと割り切っているので(昔のバルク品はそう言う物でしたよね)、返品はせず、先程の汎用ファンと同じようにモバイルバッテリーを繋いで使えるようにしようと思います。威力は空調服には敵いませんが、休日の普段着時にどうしても!、と言う時に役に立ってくれると思っています。多分、ですが(笑)。