バイク用ブレンボキャリパー 本塗り

 先日凹み文字部のサンドブラストまでを行っておいたバイク用のブレンボレーシングキャリパー一式です。

サンドブラスト用に作ったカットデータだと塗装には合わないので、改めてデータを修正し、さらに文字毎を分割してピッタリ合うようマスキングを行っています。またマスキング前にはシリコンオフでしっかり脱脂処理もしています。

 隙間は細く切ったマスキングテープで覆います。

 その後キャリパー全体をマスキングします。

場所を一階に移動し、台にセットして本塗り準備完了です。

よくエアーブローし、毛埃等を噛んでいないか確認しておきます。

サンドブラスト作業に比べれば塗装の方はプレッシャーは低く、塗料が食み出てもアルマイト処理された箇所に着いた塗装は簡単に落とせるからです(それ故に被塗面にはサンドブラストを行っている訳です)。

使うのは0.5mm口径のSATAエアーブラシです。

まずはプライマーを塗布します。

側面までしっかり届くよう、角度を付けて全方向から塗り込みます。

プライマーが乾いたら、

 ベースコートの白を塗ります。

色はVW社のキャンディーホワイト(LB9A)を採用しています。白々しくなく(青白く無く)、しっかりとした白といった感じです。

 ベースコートの白が乾燥したら、

クリアーを塗ります。

クリアーはいつも通り2コート塗っていて、ドライコートでは無くここもしっかりウェットで塗り込みます。イメージとしては純正同様濃いネタ(粘度の高い塗料)を流し込んだような仕上がりを意識しています。

 実際の塗装では二回目のクリアーを塗ったら直ぐマスキングを剥がしているので一個ずつ作業をしています。

凹んだ文字の側面までしっかり色(プライマーも)が入っているのが判ると思います。

 実際には色が食み出た部分もあって(食み出るのはOKと当初から考えていました)、そういった箇所は綿棒にシンナーを浸して拭き取っています。

まだ終わっていませんが、今回の塗装はいつものベタ塗りに比べると神経を遣って大変な作業でした(とにかくリスクが高かったです)。

純正の塗装は浮いて剥がれてしまいますが、今回の塗装はキャリパー全体を塗るのと同じようなやり方ですので、実用(レース場でのタイムアタックをするような走り方)をしても問題は起きないと思います。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

バイク用ブレンボキャリパー 素地調整

 先日マスキング作業を行っていたバイク用のブレンボレーシングキャリパー一式です。

現状は黒アルマイトが施されているのでこのまま塗っても上塗りもプライマーも密着しませんから、物理的な足付け処理としてサンドブラストを行います。

また今回はこれの為に新しいメディアを用意しました。

アルミナ#180で、いつも使っているガーネット(#50くらい)に比べて目が細かいのが特徴です。これを直圧用のタンクに入れて使います。

キャリパーをブラストボックスに入れ、

 サンドブラストを行います。

今回直圧を使ってみたのは、エアー厚を抑えてマスキングを飛ばさないようにしつつ、隅まで当てると言う事で試してみています。

とにかくマスキングが飛ぶと(剥がれると)その時点で全てが終了と言う恐ろしい事態になるので(想像すると胃に穴が開きます)、とにかく保険に保険を掛けて確実な道を歩めるよう努めました。

 と言う訳で無事ブラスト作業が完了です。

特段黒い部分を剥く必要は無く、サンドブラストが当たって被塗面が荒れていればOKです。

 マスキングシートが覆いかぶさった角の部分は黒い部分が残っていますが、ブラストはしっかり当たっているので問題ありません。

凹み文字部以外にはブラストが当たらず、無事難関を超えました。

 尚この状態だと少し粉っぽいので、

一旦全体を水洗いし、この後凹み部分を脱脂清掃しておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

バイク用ブレンボキャリパー マスク型作製

 先日お預かりしておりましたバイク用のブレンボレーシングキャリパー一式です。

現状フロントキャリパーの一個の凹み文字部に黒くマジックで塗られた跡があったのでまずはそちらを除去します。

シンナーを使って掃除しましたが、どうやらここだけ黒アルマイトの掛かり方が弱いと言うか、素地が荒れたような状態になっています。元の塗料成分が残ったまま素地調整が行われたのでしょうか。

リヤキャリパーは以前作製したデータがあったので、まずはそちらを使って合わせてみます。

ピッタリではありませんが、マスキング用として使うには十分な感じです。

 こちらは分割された反対側です。こちらも普通なら使えそうですが、今回はサンドブラストで使うと言う事でここからデータを修正していきます。

 そしてフロントキャリパーです。

こちらは一部で彫りが浅い箇所と、なんとプレスラインに差し掛かっている!と言う事で、普通にマスキングシートを貼ってもコシが強くて反発=剥がれてしまいますから、今回はいつもと違う方法で行います。

まずは基本となる輪郭のデータ化からです。ここはいつもの通り石刷りの方法でロゴの形を紙に写し、

それを剥がしてスキャナーでぱPCに読み込みます。

それを基にベクトルデータを作製します。以前使ったデータを応用出来るのではと思っていましたが、良くみると全然形が違うので一から作る事にしました。

何度かの修正を行い、大体良い感じになりました。

今回は色々考えたのですが、まず両面テープを貼り、その上にマスキングシート(PP製)を重ねるのが良いと判断しました。

基本的にはサンドブラストのマスキングにはこの緑色のマスキングシート一枚だけで大丈夫ですが、それだと粘着力が足りないので、それの補強&厚みを確保する為に間に両面テープを入れるという作戦です。ほぼ一か月間毎日考えてこれが良いと判断しました。

ただしその場合普通のカッティングプロッターでは切れないので、レーザー加工機を使ってカットします。カッターの刃で切るのと違ってレーザーが当たった箇所は消失してしまう為、その分を考えてデータを修正&テストカットを何度も繰り返しました。少しでも食み出たらアウト(アルマイト処理屋さんでのやり直し)な為、どんなトラブルが起きても100%上手くいくようシュミレーションを行いました(お陰で胃が・・・)。

カットデータが出来たら接着面をよく脱脂し、シールを石鹸水に濡らして位置を合わせます。

各パーツへのマスキングが終わったらそのまま自然乾燥させる為に一日置きます。

そして翌日、曲がって浮いている部分を指で押さえてピッタリ貼れた事を確認します。現時点では素晴らしく良い感触でした。

さらに一日寝かしてマスキングシートが浮いていない事を確認し、周りを養生していきます。まずはマスキングテープで糊が残らないようにします。

 その後補強の為にガムテープを貼ります。

これでサンドブラスト作業の準備が完了です。さらに一日寝かしてマスキングシートが浮いたりしないかを確認しておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

バイク用ブレンボレーシングキャリパー塗装承ってます

 先日到着しておりました二輪車用のBremboレーシングキャリパー (GP4-RR) 一式です。

こちらのオーナー様は少し前にカーボンフォークの塗装をご依頼頂いた方で、それよりも昔、およそ3年前にこちらのキャリパーについてご相談を頂いておりまして、この度も当店をご利用頂ける事になりました。ご贔屓有難うございます!

尚、現状は黒アルマイトが施された状態で、一番最初の状態(3年前にお問合せを頂いた時)の画像がありましたのでそちらも紹介をさせていただきます。

元々もアルマイト処理が施されていて、凹み文字部に赤の塗料が流し込まれたような仕上がりとなっていました。

ただアルマイト被膜に直接塗られた上塗りは密着しず、以前施工した隼のキャリパーのようにいずれ剥がれてしまいますから、そういう事もあって3年も掛かったという所があるのだと思います。

と言う訳で新たに黒アルマイト処理が程されたキャリパーですが、今回のご依頼はこの「凹んだロゴ部のみ」の塗装となります。

そのまま塗っても純正の塗装と同様いずれ剥がれてしまいますから、周りをマスキングして被塗面のみサンドブラスト、プライマーの塗装を行って白(VW社キャンディホワイト:LB9A)の塗装で承っております。

塗るのはロゴの部分だけですが実はこの方が面倒で、また今回はロゴの部分にプレスラインが掛かっているので通常の方法(マスキングシート)では対応出来そうもありません。

作戦としてはコシの柔らかい和紙タイプのマスキングテープでマスク型を作成し、それを何重かにして貼り付け、さらにサンドブラストのメディア(砂)も細かいタイプを取り寄せてピンポイントに当てようと思っています。ワンミスで取り返しが付かなくなるので相当慎重に行う必要がありそうです。

その他の部分には傷が付かないようマスキングテープで保護し、準備が出来るまでは保管しておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

SUZUKI GSX1300R Hayabusa brembo calipers

 brembo27以前ご依頼頂いた案件で、作業内容と画像を纏めて再編集して紹介しています。内容はちょっと薄いですが一連の流れで紹介しますので、文章を読まずともどんな事をしているかは理解出来ると思います。「既に知ってる!」と言う方はどうかご容赦下さい・・・。

ブレーキキャリパーの塗装は主に四輪車用が多いのですが、稀にバイク用キャリパーの塗装もご依頼頂きます。ただそういった場合は大抵内容が普通では無いと言うケースが多いようです。まあこれはいつもの事ですか・・・(苦)。

brembo28現状としてはキャリパーに彫られたbremboのロゴの塗膜が浮いていて、ご依頼内容はキャリパー本体の塗装と、このbremboロゴにも色を入れたいとの御希望です。しかもこんな風に文字部分の塗装が剥がれないようにですね。そもそも「後から塗料を流し込む」なんてやり方で剥がれない方が不思議なので、今回はこういった問題が起こらないような塗装にします。

brembo29まずはコピー用紙をキャリパーに当ててクレヨンを擦り凹み文字部を転写します。所謂「石刷り」ですね。

brembo26 ただそのままではどうにもならないので、一旦スキャナーでパソコンに読み込み、Illustratorなどのベクトルデータを作れるソフトで修整して新たにデータを作成します。

brembo28 旧塗膜は全て剝がし、アルマイト素地にもサンドブラストを掛けて下地からやり直します。一番最初の洗浄~旧塗膜剥離作業はブレーキ専門でやっている方に御願いしています。

brembo32 データからマスキングシートを作製し、実物に合わせてさらに微調整を行います。

brembo38 下準備が終わったらいよいよ本塗り開始です。

brembo39 まずはプライマーです。これを塗らないと折角の塗装も剥がれてしまいますし、金属は腐食してしまいます。

brembo40 御指定頂いた色はSUZUKIのDAYTONA YELLOW」(デイトナイエロー。カラーコード: YMF)で、ただ非常に隠ぺい力が弱い色なので最初に下色を塗ります。

brembo43 その後ベースコートのデイトナイエローを塗り終わったら、作っておいたマスキングシートを使って凹んだ部分を黒く塗装します。

brembo44 クリアーを塗って本塗り完了です。

brembo45 塗膜の構成は「ベースコートイエロー→ベースコートブラック→クリアー」と基本通りに行っているので経年で塗膜がパリパリと剥がれるような事はありません。

brembo46 そして完成です。

brembo47万遍なく艶のある仕上がりに出来ました。

brembo48 バイクの場合は裏側も見えるので・・・と言う訳では無く、いつもこんな感じで裏側も表同様綺麗に仕上げています。

brembo49最初の塗装とは根本的にやり方が違うのでもうロゴ部分の塗装が剥がれるといった心配はありません(ただブレーキフルードが付いたらよく水で洗い流しておきましょう)。

hayabusa3後日オーナー様から頂いた画像です。なるほど、今回のキャリパーカラーはボディーのカラーリングとお揃いにする為だったのですね。凄くお洒落で目立つと思います。

ちなみに色は幸いにしてSTANDOXの配合データがありましたからそのままで同じ色が作れました。二輪車の場合はで配合データが存在していない場合が多々あるので、お問い合わせの際には色名と色番号(これが重要です)を用意しておいて頂ければ事前に調べます。どうぞご利用下さいませ。

次はエッティンガー用のホイールセンターキャップの作製~塗装を紹介したいのですが、あれは相当内容が濃いのでちょっと時間が掛かるかも知れません。マスター型の作製~シリコン型による複製については仕事外の作業として社外記で紹介していましたが、そちらも纏めて紹介したいと思います。