キャノンレンズフード「ET-87」塗装 完成

canon6 こちらもお待たせしました!キャノンのレンズフードの塗装、本日完成となります。

上の画像は組み付け前の状態で、左の本体は勿論、黒いリングの部品とロック解除のボタンにも艶消しクリアーが塗ってあります。

ロック解除のボタンには小さいバネが二本あるので飛ばないように気をつけながらこれを入れて組み付けていきます。

こういった組み付け作業を塗装後に行うのは色々気を遣うので(やはり緊張します)、実は最初の分解時に「分解→組み付け」を三回程度行っていたります。そもそも分解した時の記憶なんて思っている以上に忘れてしまっているのでいざ組み立てようとすると悩んでしまう場合が多く、実際それが一番嫌な事なので事前に組み立て作業を繰り返す事で記憶に(と言うか体に)よく染みこませておくんですよね。

canon7 そして小さなネジ4本を締めたら無事完成です。

ちゃんと伺った事ではないのですが、どうも当店に御依頼頂く前にどこか他で同じように塗装を御依頼されていたようですが、結果は余り喜ばしい事ではなかったようで今回の御依頼に至るようです。

当店の仕上がりが気に入って頂ければ幸いですが、こればかりは私が決める事ではありませんのでこちらから具体的な事は申し上げられない事を御了承下さいませ。いや、時々聞かれることで「綺麗に出来ますか?」「完璧になりますか?」といった御質問があるのですが、作業している本人がそれに答えられる筈は無いと思いますので・・・。

canon8 レンズ本体との装着は、フードを押し付けてスライドする形になるかと思いますので接触する部分は塗らないようにしています。

canon9オーナー様が気にされていた点で「フチも塗って貰えますか」といった事がありまして、いつも特に気にしていませんでしたがフチもちゃんと塗ってありますので御安心下さい。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

キャノンレンズフード「ET-87」 下準備~本塗り

canon17こちらもお待たせしました!数日前から準備はしていたのですがすっかり紹介が遅れてしまいまいた。

上の画像はレンズフードを分解した状態です。この型のフードはレンズとの装着に「ストッパー」が付くタイプなのでフードは2分割に分解が出来ます。ただしちょっとネジやらバネやらが小さいのでそれを気をつける必要はありますかね。飛んでいったら発見するのは難しいかと・・・。

canon11 そして足付け処理です。この場所はいつも完成品を撮影している一段下の隣の場所で、午前中は日が窓から差し込む光がちょっと強いです。

手前右にある四角くて黄色いものが所謂ペーパー(研磨紙)のような物で、比較的細かい番手でも空研ぎで目が詰まり難く足付け処理には非常に重宝する副資材の一つです。ただこれ一枚で¥100くらいしますから(市販じゃなく業販価格でですよ)コストはそこそこ掛かっています。昔ながらのペーパーでこのサイズなら¥10くらいなんでしょうけどね。

sekainoowariそしてマスキングです。レンズフードの場合はちょっと特殊で、内側に反射防止の「植毛」が施されていますから長時間マスキングテープを貼っておくとそれの影響が懸念されるので(毛が剥がれてしまうかと)、テールレンズ塗装と同じく「塗るその日に準備」が基本となります。なのでタイミングを見計らうのが結構難しいんですよね。のんびりしていたと思いきやバタバタしてしまうのです(故に事前のイメージトレーニングが必要かと)。

canon13そして本塗り準備完了です。途中何度も脱脂作業はしていますがここでも最後にもう一度行います。素手で触れたところは全部拭っておくといった感じで計4回は行っています。

canon12  フードのマスキングは内側に貼ったテープが随分と食み出ていますが、これは「バックテープ」なる手法で自動車の塗装屋さんなら極一般的な貼り方です。なので気にしないでください。むしろフチにピッタリとはって止めるとマスキング際に塗料が溜まってしまうので(表面張力習いましたよね)、空気の通り道に壁を作ってあげるような感じでフチへの塗料溜りを防ぎます。キャノンのレンズフードは植毛がフチギリギリまで来ているので色が飛ばないように配慮が必要なのです。

ただしこの「植毛」のせいでマスキングテープは粘着力が弱くピッタリとはくっ付きません。塗装中のエアーで貼られたテープがヒラヒラと浮いてしまうのです。

なのでフードの内側には円状にカットしたダンボールを嵌めこんでテープの浮き上がりを防止しています。ただしこれも押さえつけたまま放置してしまうと植毛にその跡が残ってしまうので、塗ったら直ぐに外せるように指を差し込む穴を開けているのです。

って事を色々紹介していてある日気が付くと他のサイトでも同じような事がやられていたりとちょっと驚いたりもするのですが、この辺は他の方が心配するほど(何故か良く心配されます)余り気にしていません。

canon14 ちなみに色は以前作成した物で、今回オーナー様から伺っているレンズと、前回合わせて作っているレンズとは同じ物だと確認出来ていますので色ブレの心配もかなり少ないと思いますから御安心下さい。

canon15ベースコート(色)を塗るのは大きい部品の方だけで、ボタンと根元のリング部分はクリアーだけとなります。勿論下地にはプラスチックプライマーも塗布しています。

上の画像はクリアーを塗って少し時間が経った状態ですがまだまだ艶は残っている状態です。ここから数時間掛けてゆっくり艶が消えていきます。

canon16そして熱を入れ終わって(60度40分以上)艶が消えた状態です。マスキングテープがグチャグチャになっているのはクリアーが硬化する前にある程度剥がしておいたからです。完全に剥がすにはリスクがありますが(少しの接触で塗り直し確定ですので)、フチの部分だけ剥がせるようにはしていますのでピンセットで摘んで奥に押し込んでいるのです。

と、レンズフードも何回か塗っているとその癖と言うか注意点などが色々と判ってくるので、同じ物はそれをやる毎に懸念事項を潰していきます。この辺が「塗装作業は消去法の積み重ね」と思うところですかね。ネチネチとした事をひたすら繰り返していくのです(って言う程辛い仕事ではありませんが)。

キャノンレンズフード「ET-87」塗装承ってます

et871すっかり紹介が遅れましたが、先日無事到着しておりましたキャノンのレンズフード「ET-87」です。この度のご依頼、誠にありがとう御座います!

ちょっと前にもキャノン製のレンズフードを塗装しましたがそちらとはちょっと形が違っていて、こちらは所謂「花形」と呼ばれる物です。レンズから外す場合にはボタンもあって、見た目は一個の製品ですが塗る時は分解して行うので合計3点の塗装となります。

et872フード裏側にあるプラスネジ4個を外すと分解出来ます。

このままでも塗れない事は無いですが、継ぎ目が中途半端に埋まったり埋まらなかったりすると格好悪いのでやはり分解しての塗装が基本となります。と言うか新品時に塗装するとして普通組み付けてから塗ったりはしませんよね。

et87 こちらは別件で以前ご依頼頂いた時の案件で、手前のレンズフードは今回のご依頼品と同型のものです。

今回のご依頼では基本的にはこれと同じで、花形のメインパーツの方をグレーベージュで根元部分を黒のままにします。赤いラインは入れません。

ちなみに根元の部分は黒のままですが、グレーベージュの部分と艶具合が違ってしまうのは変なのでやはり一緒に艶消しクリアーを塗っておくのがセオリーとなるのです。

上の画像では奥にあるレンズと手前のレンズでは全然色が違って見えますが、これが所謂「製品毎の色ブレ」でして、同じキャノン製品でもこれだけ色は違ってきます。似たような事で、例えばトヨタ車でも色々な車種で同じ色を採用していますが実はそれぞれかなり違う色だったりします。なので塗装時にはかならず「目調色による微調色」が必要になってくる訳ですね。車体を塗るのに配合データそのままで塗るなんて事は普通有り得ませんので(私的経験ですが)。

ちなみに今回のご依頼では画像手前にあるレンズと同型の物に装着されるので、この時作成した色をそのまま使いますから極端な色違いが起こる可能性は低く、なのでレンズはお預かりしていません。

ちょっと前にご依頼頂いたET-74のオーナー様は「それでも一応見て貰いたいので」という事でわざわざレンズも一緒に送って頂きました。この辺はオーナー様の自由ですのでもし不安に思われる方はレンズも一緒に送って頂いても構いません(確認だけなら費用は掛かりません)。ただし色の確認もいつ出来るか判りませんので基本的には完成時まで一緒にお預かりとなります事をご了承下さいませ(現時点ですと二ヶ月くらいは掛かるかと・・・)。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠にありがとう御座います!