ホンダヴェゼルFRPフロントグリル塗装 完成

vezel7 大変お待たせしました!ホンダヴェゼルの社外品FRP製フロントグリル、本日完成となります。

vezel8 元々は白ゲルコート仕上げで、「研磨→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」の下地処理を行い半艶黒の塗装で仕上げてあります。

vezel9メタリックやパールでは無い「ソリッドカラー」は、クリアーを塗らない「1コートソリッド仕上げ」と言う方法でも可能ですが、当店の塗装では殆ど「2コート仕上げ」で行っています。これはベースコートとクリアーコートが分かれるので当然品質的に優れるのですが、一番の理由としては外資系の塗料(外車の塗装)の環境で育ったのが大きく起因していると思います。外車の場合は昔からソリッドカラーでも2コート仕上げが一般的で、逆に日本車は少し前まで殆どが1コートソリッドでした(多分今はベースコートが水性になったので2コート仕上げが一般的だと思いますがどうなんでしょう)。

1コートソリッドの利点は作業性とコストで、塗り方としてはクリアーを塗るだけと殆ど同じですから本塗りは半分以下の時間で終わります。STANDOXの場合この原色は通常のクリアーよりも高いですがそれでも使用量は少なくて済みますし、また塗装費用の殆どは工賃(時間)が費やしますからメリットとしては大きいです。

ただ1コートソリッドの場合「艶具合」の調整が難しく、先日紹介したように塗り方(膜厚)で艶具合が変わってしまったり、塗る時の環境(主に気温)にも左右され安定させるのが大変です。なんといっても「主剤」「艶消し剤」「硬化剤」「溶剤」に、柔らかい被塗物ならさらに「軟化剤」も入れるのでそれらの比率を調整して理想的な艶具合を出すのは非常に困難です。その点最初から「艶消し専用クリアー」(今回は半艶)ならば最初から「軟化剤」も練りこまれているので、特に被塗物特性を気にせず使えるので安定した艶具合の表現が可能です。なんといっても硬化剤とシンナーを入れるだけですからね。時間は掛かりますがベースコートはベースコート、クリアーはクリアーとして分けて考えれば精神的には非常に楽なのです。

その他の利点としては、小物塗装の場合「単品」で塗るケースは少ないですから(採算が取れません・・・)、例えば今回であれば「違う色で同じ半艶仕上げ」または「同じ色でクリアーは別」と言う物も一緒に塗れます。1コートソリッドだと派手にぶちまけますので他の色と一緒になんて塗れません(一気に床が汚れるのはそのせいです)。そして半艶・艶消し専用クリアーは傷も付き難いです。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有り難う御座いました!

ホンダヴェゼルFRPフロントグリル 本塗り

vezel2 先日サフェーサーの塗装が完了していたホンダヴェゼルの社外品FRP製フロントグリルです。先日と同じ様な作業に見えますがあの時はゲルコートを削っていた作業で、今回はサフェーサーを研いでいます。昔はサフェ研ぎは全て水研ぎで行うのが基本だったのですが、近年はペーパー(の研磨粒子)が進化したので比較的細かい番手でも低コストで空研ぎが可能になったのです。ただかなり粉っぽくなりますからそれは覚悟しないとですけどね。使っている番手は#320→#400→#600(実際はアシレックススカイ#320相当)→#800(アシレックスレモン)で、今回水研ぎは一切していません。

ちなみに塗装の現場では作業方法は作業者に委ねられ特にこれといったマニュアルは無く、ディーラーのような結構沢山人がいる現場でも皆やっている事はバラバラなのが普通です。それだけにやり方を聞いても人によって内容が違うので理解するのが大変で、まあでもそれが塗装の面白いところでもあるのでして。

vezel3 と言う事で、最終の脱脂作業を終えたらブースを回してよくエアーブローをし、いよいよ本塗り開始です。

vezel4 御依頼頂いているのは「半艶の黒」で、ベースコートの黒はいつもの艶有りと変わりは無く、ただクリアーを半艶専用の物にしています。こちらも艶有りクリアー同様ウェットに塗りこむ事でツルっとした半艶(または艶消し)の仕上がりになるようにしていて、例えば塗り方で艶を変えようとするとムラっぽくなったり汚れ易かったり傷付き易くなったりするので私的に宜しく無いと思います(と言っても使う材料で限界がありますからその辺は仕方無いところもあるのでしょうけどね)。

vezel5 そして30分くらいするとこんな感じに徐々に艶が消えていきます。一見乾いている(硬化している)ように見えますがまだベタベタだったりするのでブースは止めないで回したままにします。また当初私は勘違いをしていたのですが、早い段階で熱を入れた方が艶の消え方が安定すると思っていましたが、実際は自然乾燥で徐々に乾かすことで均一な艶具合になるそうです(とマニュアルのどこかに書いてありました。そういう事はちゃんとマニュアルがあるのです)。なので今は実際そうしています。

vezel6さらに30分くらいするとさらに艶が消えて丁度良い半艶になっていました。表面も指触乾燥しているのでここでようやく熱を入れられますが、FRPの場合普通どおりに熱を掛けると内部に残った空洞が膨張してブリスターが発生したりしますので、いつもよりは少し遠めにしてその分長めに熱を掛けるようにします。まあサフェーサーの時点である程度熱を掛けて確認はしていますから取りこぼしが無い限りはここで発生したりはしませんけどね(ただ苦い思いでは何度もあります)。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。もう少々お待ちくださいませ!

ホンダヴェゼル社外品FRP製フロントグリル 下準備

vezel こちらも大変お待たせしておりますホンダヴェゼルの社外品FRP製フロントグリルも作業着手しておりますので御安心下さいませ。

素地調整としては、表面に塗られた白ゲルコートを#180→#240のダブルアクションサンダーで平滑に均し、入り組んだ場所やプレスラインは#240で手研ぎします。この後のサフェーあs-塗布の足付け処理も兼ねているので、とにかくペーパーが当たっていない箇所は無いという状態にまで行います。

vezel1表面に塗ってあるゲルコートは後から塗っている物では無く型に塗っているのであって、製品を型から外す為には離型剤が塗られていますから、塗装の際にはとにかく脱脂処理を念入りに行います。逆に「新品塗装済み品」と言うのは、余程の事がなければワックスなどは塗られていませんから、その点作業が楽なので塗装費用も安く済んだりします。自転車のフレームなども一度組んでしまうと油だらけにされてしまいますのでたとえ新品でも手間は増えてしまうのです。

上の画像はサフェーサーが塗布された状態で、熱を入れて完全硬化後さらに全体を研いだら次は本塗りとなります。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

ホンダヴェゼル社外品FRP製フロントグリル塗装承ってます

vezel先日到着しておりましたホンダヴェゼルの社外品FRP製フロントグリルです。この度のご依頼、誠にありがとう御座います!

vezel1現状は白ゲルコート仕上げで、FRP素材にしては製品の出来具合は非常に良く見た目も美しいのですが、やはりと言うか肌目は残っていますし巣穴やペーパー目もありますので一旦はサフェーサーで下地を作る事にします。塗色は半艶黒でご依頼承っております。

vezel2ちなみに先日こちらの日記で紹介したTREKのカーボン製自転車フレームへのブラインドナットの取り付け方法ですが、その時に「締め付けは一歩手前で留めておき、あとはエポキシ接着剤を併用して」と紹介したのはこういう事でして、金属ならある程度の力を掛けて締めて良いのですが(勿論山が潰れない程度に)、FRP(CFRP)の場合は力を加減してあげないとこんな感じに割れてしまいます。

ただ今回はナンバープレートで隠れる部分で、むしろこれが普通ですから不安にはならないで大丈夫です。逆に留め方が甘くてネジと一緒に空回りする方が問題ですからね。自転車のフレームとは全くの別物ですので気にされなくて大丈夫です。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠にありがとう御座います!