TIMEカーボンフレーム&フォーク 素地調整

time8 先日色の検証を終えていたTIMEのカーボンフレームとフォークです。実作業も進行しておりますのでご安心下さいませ。

time17 ちなみに今回は既存の塗膜は剥がさずにそのまま行くので一応重量を計測しておきました。作業内容上今回は重量は増える事しかありませんが、一応何かの目安になればと思います。

初期は1071.5グラムです。

time15現状の状態としては褪色以外にも全体の艶や肌が余り良くは無く(むしろこれが普通なのですが)、私的にはこのまま足付け処理をしただけで塗るのは気持ちが悪いので、一旦はクリアーで下塗りを行う事にしました。

time16細かい文字のインクの凸凹が気になりますが、これを気合入れて平滑に研ぐとクリアー層を突き抜けて文字が消えてしまうので、最初の下地処理では研ぎは程々に行い、ただし足付け処理はしっかりとして全体にクリアーを塗布→完全硬化後にさらにしっかりとクリアーを研ぎ出して平滑に仕上げたいと思います。

time18 素地調整は#600→#800の水研ぎで、基本てきには当て板は使わずペーパーのコシのみで研磨します。この時点で平滑にしようとすると文字の角も露出してしまいますからね(白いTIMEのロゴは塗り直すにしても、下地が露出すると色々厄介なのです)。

time19 フレームも同じように#600→#800で水研ぎ後、

time20 ウォッシュコンパウンドとスコッチブライトで細かい個所まで足付け~洗浄します。

time21 ウォッシュコンパウンドには洗浄剤と研磨粒子が含まれていて、スコッチブライトは不織布に研磨粒子が塗布されているので、細部の汚れ除去や足付け処理に適しています。

time22 ちなみにチェーンガードとして貼られていた透明な保護シールを剥がしたところ、一部のデカール(とクリアー層)が剥がれました。シールをそのままと言う訳には行かないのでどうしようもなかったのですが、何とか後に目立たないように処理したいと思います。

time24 ホイールが装着される箇所はこんな感じに塗装が剥がれているので研磨して均しておきます。

time25リヤディレーラーハンガーは外して数日溶剤に浸け置きして旧塗膜を全部剥がしておきました。

time26良く洗浄し、アウター受け(ワイヤーガイド)等の個所をマスキングしたら台にセットして下塗り準備完了です。

time27 リヤのディレイラーハンガーは装着した状態で塗装します。

time28 ちなみにいきなり色を塗ってもいずれ剥がれてしまいますので、アルミ素地が露出した箇所にはプライマーを塗っておきます。毎度いちいち紹介して少々クドイのですが、色を塗ってしまうとこういう所は誰にも判らなくなってしまいますので、もし作業上で紹介していない場合はやっていないと疑うくらいの方が安全です。

尚、見切りラインのフチにプライマーを飛ばしたくないのでその辺に適当にマスキングテープを貼ってあります。

time29プライマーを塗ったら見切りラインに被せて貼っていたマスキングテープを剥がし、黒のベースコートを塗ります。プライマーと同じ位置でブツ切りマスキングをすると断面からプライマーの色(白に近いグレー)が見えてしまうので可能であればマスク位置はズラすのがセオリーです。

time30 養生紙を剥がすとこんな感じです。剥げた状態に比べるとこれだけでも大分印象が良くなりますよね。

time31 その後全体にクリアーを塗ります。内容自体は本塗りと変わりありませんが、ここで気合を入れて肌を作らなくても良いので50%程に抑えています(クリスタルクリアーは垂れると空気を噛むので極力垂らしたくないのです)。

time32 下塗りですが使っているのはクリスタルクリアーで、新たに白く塗る個所以外も極力褪色が遅らせられればと思います。

time33 ホイール受けの部分も綺麗になりました(ただし後にまた塗りますが…)。

time34 ドライレタリングのせいなのか判りませんがデカールの文字は一つ一つが凸凹していましたが、今回の下塗り大分平滑になってスッキリしたと思います。後にクリアーをもう一度塗るのでさらに美しくなる予定です。

尚現状では傷などはまだそのままで、この後クリアーを筆挿して盛って固めた後、平滑に研いで色を筆でタッチアップして最後にクリアーを塗ります。

time35 フォークも綺麗になりましたが、この後塗膜が完全硬化した後に再度全部研ぎ出して足付け処理も行います。

今回の新車塗膜も恐らくそうだと思いますが、どうも塗装の途中工程で足付け処理が省かれている模様です。確かに途中でペーパーを使うと下地を露出させてしまう等面倒な事態に陥るリスクがありますが、如何せん艶々の上にさらに塗装を塗ってもしっかりと密着しません。コスト上の制約があるのは判らないでもないのですが、10年後の塗装を考えると足付け処理は必須です。新品製造品は仕方ないにしても、再塗装の場合は塗料の性質や密着剤などに頼らず、どうかしっかり下地処理もやって貰えればと願います。

time36フォークの先端も塗装がボロボロでしたが、剥がれ予備軍な個所はカッターで切り取り、ペーパーで均してからクリアーを塗っています。ここは元々塗られていなかったようなのでマスキングしてクリアーは塗らないようにしておきました。

この後は熱を掛けて完全硬化させ、数日(または数週間)寝かしたら再度全体を研磨して足付け処理をし、傷のついた個所をタッチアップしたら次はいよいよ「TIME」のロゴ個所のマスキング作業になります。まだまだ本番はこれからです。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!

TIMEカーボンフレーム&フォーク 色確認

time8先日到着しておりましたTIMEのカーボンフレーム&フォークです。

ご依頼内容としては、全体のデザインはこのままに、色焼けしてしまった「TIME」の白いロゴを真新しい白にするという内容です。ただし作業自体はそう簡単な事では無く、通常通り全体にペーパーを掛けて足付け処理し、TIMEのロゴを手作業でマスキング&塗装、最後にフレーム全体をクリアーで覆うと言う内容です。かなりの手間がかかるので普通に塗り直すよりも当然費用は高くなります。

time9 結果から報告しますと、今回は上の画像の左側、シトロエンの「BLANC BANQUISE」(カラーコード:EWP,249)が良いと考えております。右側はルノーの白です。

time10 最初に色を比較したのは、恐らくもっとも紫外線の影響を受けていない底部分(ダウンチューブ下部)で、ここの白で見ると先ほどの「ルノーの白」が良い具合でした。かなり青いのが特徴です。

time11 先ほどの「ルノーの白」を、ダウンチューブ側面にあるTIMEの白と比べてみました。気分が悪くなるくらい違いますよね。

time12 ただ今回白を塗るのは純粋に「TIME」の大きいロゴのみで、それ以外の白い部分はそのまま残りますから、ちょっとこのルノーの白では他と違い過ぎるのでは・・・と言う事で、それよりも少し黄色味があって明るい「シトロエンの白」を選びました。

上の画像はフレーム上部(トップチューブ)の側面で、ここの白はこのままですから、ルノーの白よりもシトロエンの白の方が違和感が無いと思うのです。ちなみに実物は画像よりも差が激しいです。

time13 こちらはフレーム後方の下部(チェーンステー)の部分で、やはりここの白もこのまま残りますが、ルノーの白(右)よりも、シトロエンの白(左)の方が違和感はありません。

time14こちらはフレーム最上部(トップチューブ上面)で、まあ全然白さが違うのが判ると思います。

尚、新たに塗り直す白に関しては、今後ほぼ褪色は無いと思って大丈夫です。自動車ボディの補修に使われるアクリルポリウレタンはとにかく耐候性が良いのが特徴で、通常こんな風にはなりません。一体どうしてこうなったのでしょう…。

それではまた作業進行しましたら紹介させて頂きますね。気になる点がございましたらお気軽にご連絡くださいませ!

TIMEカーボンフレーム&フォーク塗装承ってます

time 先日到着しておりましたTIMEのカーボン製フレーム&フォークです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

time1塗膜全体の状態としては傷なども少なく、見た目も悪くは無いのですが、どうやら紫外線による焼け(褪色)がひどく、特に白いロゴが黄変してしまっています。

time2 単体で見ても良く判らないのですが・・・

time3 手前のフレーム底部=ダウンチューブの裏側のロゴと、フォーク側面にあるロゴを比べてみると、明らかに白さが違います。奥のフォークのロゴが黄ばんでいますよね。実物はもっとあからさまにひどいです。

time2 ご依頼内容としては、既存のデザインはそのままに、「TIME」の大きいロゴ部分のみを本来の白で塗り直し、全体を耐UV性の高いクリアー(クリスタルクリアー)で塗り直す、と言う作業内容となります。

一見すると簡単そうですが、結構大変です。

time4ロゴは全て違う形状なので、以前行ったようなLOOKのフレームのようにはいきません。今回はフレーム5カ所、フォーク二カ所の合計7種類のロゴをマスキングして白く塗り直します。ある程度塗装の事に詳しい方なら吐き気を催しているのではないでしょうか。

time7 各ロゴには多少なり段差があるので、勝手にラインを変える事は出来ず、各ロゴは左右でも形が違うので今回は全てフリーハンドでのマスキングとなります。勿論塗装面にマスキングテープを貼ってカッターなどで切ったりはしませんので(こういった実使用の被塗物でその方法は極めてナンセンスです)、予めカットしたマスキングテープを各ラインに合わせてピッタリと貼っていくと言う作業になるかと思います。

ちなみに先ほどリンクにも貼ったLOOKのカーボンフレームは今回とは逆の内容で、参考までにちょっとだけ画像と作業内容を紹介しますね。

look46 元々新車だったLOOKのカーボンフレームとフォークの赤い色の部分を、オーナー様が運営するトライアスロンショップのイメージカラーでもある水色にと言うご依頼でした。尚、デザインは元のままでと、この点は今回と同じです。

look22この時はロゴの形が同じだったので、データを作成してそれを反転したりサイズを調整したりして使いまわしました。今回はこれが出来ませんので大変なのです。

look47尚クリアー自体はフレーム全体に塗るので、足付け処理は既存の塗装面全体に行います。

赤い個所以外はクリアーだけとなりますので汚れや傷などは残せず、基本的に新車のみ、またはそれに近い状態か、或いは傷などはそのままクリアーの下に残ってしまう事をご了承頂く事となります。

ちなみに以前同じような内容でご相談があったのですが、残念ながら届いたそのフレームは一部に補修歴があったのでこの方法は出来ませんでした。クリアーを塗るだけで既存の塗膜が「チヂレ」を起こす可能があって、そういった場合は何も出来ないのです。

look58 と言う訳で赤い個所のみをピッタリ水色で塗って、その後全体にクリアーを塗ります。

look33 当然ですが、黒いラインや白いロゴの部分はクリアーのみの塗装となります。

time6今回はLOOKの時とは逆で、ロゴの部分を残すのではなく、ロゴの部分を塗るので、少しは楽かと思っています(多分いつもの様に気のせいだと思いますが。笑)。

ちなみに自転車フレーム関連の塗装は一時お受付を停止させて頂いておりまして、少し前にそちらは解除したのですが、今回のオーナー様はお受付の再開をずっとお待ち頂いていたとの事でした。この度はご迷惑をお掛けして大変申し訳ございませんでした。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。まずは色見本帳より白の色を選んでおきたいと思います。

改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!