スーパーセブン カーボンフェンダー 下塗り(2回目)

先日一回目の下塗りを終えていたロータススーパーセブンのプリプレグカーボン(ドライカーボン)製リヤフェンダーです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきました。

比較的綺麗に仕上がってそうに見えますが、

よく見てみるとカーボン素地の跡が全体に出ているのが判ると思います。激しく凹んだ箇所などもまだまだ無数にあります。

と言う訳で、ダブルアクションダンサー#240で全体を粗研ぎし、その後#320で目消し&手研ぎで足付け処理を行います。断面までしっかりとですね。

よく脱脂清掃し、

エアーブローを行ったら、

クリアーを塗布します。

この状態ではクリアーを2コート行っていて、肌的には丁度良い感じですが、

下塗りのクリアーはサーフェサーのような充填が役目なので、さらにもう1コート重ねます。トータル3コートですね。

無駄を無くす為にエアー圧を落としているのでデロデロとした肌になっていますが、現時点では凹んだ所を埋める、ラインを整えるという為の塗装なので問題ありません。

ただし4コート目に行くと塗膜自体に問題が起こる可能性がある為(ブリスター等)、3コートに留めておきます。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきます。

しっかりとした下地処理のお陰か、思っていたよりも回数は少なくて済みそうで、あと2~3回の下塗りで本塗りにいけそうです。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スーパーセブン カーボンフェンダー 下塗り(一回目)

先日旧塗膜の剥離~素地調整を行っていたロータススーパーセブンのプリプレグカーボン(ドライカーボン)のリヤフェンダーです。

よく脱脂清掃し、エアーブローを行って埃を飛ばします。

プライマー等は何も塗らなく、そのままトップコートクリアーを塗ります。密着剤等を使う(頼る)と結局最初のような状態になってしまうのでこれは余り意味が無く、また炭素繊維強化プラスチックと言っても使われている樹脂はエポキシ系ですからプラスチックプライマーの塗装も必要ありません(これはポリエステル系のFRPも同様です)。以前「FRP用プライマーサーフェサー」と言う商品を見た事がありますが、通常のプライマーサーフェサーと何が違うのか私には判りません。

下塗りはとにかく膜厚を確保する必要がありますが、一度の行程で厚塗りし過ぎると後にクラック等の原因になるので、3コートまでとしています。

しつこいくらいの下地処理のお陰で(または剥がれた塗膜に離型剤の類がくっ付いていってくれたお陰か)ハジキ等は少なく、大きめの巣穴にはクリアーを筆挿しておきます。

この後60℃40℃程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、再び全体を研磨・足付け処理し、クリアーを塗ります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。引き続きもう少々お待ちくださいませ!

スーパーセブン カーボンフェンダー 旧塗膜剥離

先日お預かりしておりましたロータススーパーセブンのプリプレグカーボン(ドライカーボン)のリヤフェンダーです。

当店で塗装する前に塗られていたクリアー層は、カーボン素地に密着しておらず、ストレスが大きく掛かる所から剥がれて来てしまっています。

ただそれのお陰で塗装の剥離は思っていたよりも簡単で、ヘラとエアーブローでバリバリと剥がれていってくれます。

カーボン素地の凸凹を埋める為に恐らく5回分くらいのクリアーが塗られていて、その上に当店で施工した透明なグリーンメタリックが重ねられています。

出てきた素地は全体に艶が出たような状態で、所々ペーパーが当たった後はあるのですが、もしかしたらちゃんと足付け処理がされていないのかも知れません。

表面は少しヌルヌルするようなベタベタするような感じがします。密着剤は最初の数年は問題無いのですが、経年でそれが劣化すると密着力が低下し、何かのきっかけでペリペリと剥がれて来たりします。ただここまで簡単に(そして綺麗に)剥がれるとなると、使われている材料自体に問題があるのかも知れません(恐らくはポリエステル系かと思います)。

と言う訳で、全体に#180~#240のダブルアクションサンダーを当て、角やフチは#240の手研ぎで研磨~足付け処理を行います。

その後裏側を清掃します。

続けて表側もスコッチとピンク石鹸で繊維の隙間の不純物(主に離型剤)を掻き出すように擦り、水を流して弾かない状態になるまでこれを何度も繰り返します。新品だと10回以上行う場合もありますが、今回は3回で大丈夫でした(恐らく剥がれた塗装面の方にくっ付いてくれたのではと)。

最後に新しいスコッチ#320とウォッシュコンパウンドで満遍なく研磨・足付け処理を行います。最初からウォッシュコンパウンドを使わないのはコスト的に勿体ないからですね(これ一つに1Lくらい使ってしまうと思いますので…)。

水で弾く箇所が一つもない事を確認したらよく乾かしておきます。

裏側をマスキングします。

これでクリアー下塗りの準備が完了です。先ほどの塗装を剥がした時の状態に比べると艶が無く、全体がしっかり足付け処理されているのが判ると思います。

私が最初に勤めたディーラーの内製工場では、塗装と板金がそれぞれ判れていて、板金屋さんがパテを塗る際、脱脂作業と言うのをしている事は殆ど見ませんでした。手で擦ってエアーブローをするだけです(そういう時代という事もありました)。

それでもパテは十分密着する訳ですが、10年後、20年後にどうかと言うと、何かのきっかけで剥がれたりする事はあると思います。これは塗装も然りで、単に飾っておくだけなら良いのかも知れませんが、実用するとなるとその辺で差が出て来るのだと思います。まあエアーブローなら1分で済むところを、わざわざ1時間以上かけてやってくれるかどうかは難しいのかも知れませんが・・・。

この後は他のご依頼品でクリアーを塗る際にこちらも一緒に塗るようにして、表面が平滑になるまでそれを繰り返すようにする予定です。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スーパーセブン カーボンフェンダー補修塗装承ってます

先日お預かりしておりましたロータススーパーセブンのプリプレグカーボン(ドライカーボン)のリヤフェンダーと、色の見本用にお預かりしたノーズコーンです。この度もご贔屓頂き誠に有難うございます!

こちらは10年前に当店で塗らせて頂いた物で、他店にてクリアー塗装(恐らくはUVクリアー)で下地が作られた物に、当店で透過性のグリーンメタリックを塗装した物となります。

一部に塗膜の割れが生じていて、その周りが白っぽくなっています。

白っぽくなっているのは素地のカーボンから塗膜が剥がれてしまっている箇所で、そこに何かのストレスが掛かって塗膜が割れた物と思われます。

ヘラを挿し込んでみると色が透けているのが判ると思います。

再塗装するには全ての塗膜を剥がさなければなりませんが、幸いにしてエアーブローである程度までは剥がせそうなので、鬼のサンダー掛けはしなくても大丈夫そうです。

ただドライカーボン素地の状態から、今回は当店で下地作りも行うので、かなりの時間と手間が掛かると思います(当店ではUV硬化のポリエステルクリアーでは無く、通常のウレタンクリアーとなりますので・・・)。

参考までに以前ドライカーボンの下地作りを検証した時の画像を紹介します。

こちらは10年前、スーパーセブンのカーボンパーツを塗る前に検証用として用意して頂いたプリプレグカーボンの端材です。

プリプレグカーボンは予め炭素繊維に熱硬化型のエポキシ樹脂が浸透された素材で、成型時にその樹脂が真空ポンプで引っ張られていくので、このように繊維の間に隙間が空いています。

先ほどの状態から、最初にクリアーを塗った状態です。過去の記事を見ると4コート塗っているようです(通常は2コート)。

先ほどの状態から「完全硬化→研磨→クリアー塗装」を6~7回繰り返し、ようやくこのような下地が出来上がります。

さすがにこれを一台分全て行うと大変な金額になってしまうので、当時はそれ専用で行っている塗装店(恐らくは家具等を塗っているUV硬化のポリエステル樹脂を使った塗装屋さん)にてこのような下地を作って貰いました。マニュキアやアクセサリーを自作されている方なら判ると思いますが、UVレジンは紫外線に当てれば数分で固まるので、作業性はとても良いんですよね。

ちなみに5年前に追加でボートカバー(トランクカバー)もご依頼頂いておりまして、そちらも紹介させて頂きます。

この時も下地は他店にて行って頂き、ただ仕上がりが余り良く無かったので当店でも下塗りクリアー作業は行っています。この時も大変でした・・・。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

ロータススーパーセブン ドライカーボンボートカバー塗装 完成

lotus85 大変お待たせしました!ロータススーパーセブン用のプリプレグカーボン製ボートカバー(トランクカバー)とその蓋の塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

seven6当店に届いた時には既にドライカーボンにクリアーが塗られていて、本来なら足付け処理だけして直ぐに塗れる筈だったのですが、どうにも塗られている塗装のウネリが酷く、また巣穴も数百個は残ったままだったので、結局当店でも下塗りの工程を行って下地を整える事にしました。

seven19蓋も同じくデロデロ状態で、これらを「平滑に研磨→クリアー塗布→筆指し完全硬化」を二度行って下地を整えました。

lotus86 当初の予定としては下塗りを3工程行うつもりでしたが、幸いにしてそこは2工程で済みました。

lotus87 尚、今回の塗装は通常のメタリックグリーンでは無く、素地のカーボン目を活かした変則的なキャンディー塗装となっています。以前ドライカーボン製品でスーパーセブンの外装一式をご依頼頂いた時と同じ塗装で承っています。

lotus88通常のキャンディーカラーは塗り回数や膜厚に注意して塗装しますが、さらに今回はメタリックの並び方にも注意しなければならない為、ベースコート塗布地はカバーパネルを装着するのと同じ状態にして塗装しています。その後クリアーを塗る時には別々にして塗っています。

lotus89 ですので色自体(透け具合とメタリックの並び方)は全く同じに出来ていると思います。少なくとも私には違いが判りませんでした。

lotus97 下地を透かしたキャンディー塗装な為、見る方向によってくっきりとカーボン目を見る事が出来ます。勿論ですが、部分的に塗り過ぎたりしたらそこだけ透け具合が変わり、また全体もムラムラに見えてしまいます。

lotus90 ラインについては完全に歪が取れた訳ではありませんが、クリアーの下塗りだけでここまでできていれば十分だと思います。勿論クリアーの下塗り~研磨の工程を増やせばさらに良くなりますが、その辺はコストとのバランスもありますので今回はこれで良いと判断しております。

lotus91 しかし大変でした(笑)。

lotus95 一応蛍光灯の下でも撮影しておきました。

lotus96 届けて頂いたショップメカニックの方も最初の状態を見ていますので、是非評価を伺って見て下さいませ。

lotus92 参考までに一緒にお預かりしたノーズコーンも一緒に撮影してみました。

lotus93 土台部分を一緒に並べる程のスペースはありませんでしたので、とりあえず蓋と見比べてみました。

lotus94同時に塗っていないにしては良い感じに出来たと思います。これもしっかりとした配合データが残っていたお陰です(実際は配合データでは無く当時使った塗料が残っていたのでさらに安心でした)。

ちなみに若い頃は「塗装は長くやっていればレベルが下がるだけ」と考えていましたが、以前塗らせていただいたノーズコーンよりは大分仕上がりが良くなっているようで、まだ伸びしろがあった事に一応は安心しました(自分では自分の事が見えないので多少卑屈っぽくなっているくらいの方が良いと思っていまして…)。

それでは後程完成のお知らせメールを差し上げます。この度も当店をご利用頂き有難うございました!