排気浄化装置レビュー

factory_23 工場を移転して半年くらいが経ちまして、塗装ブースの排気装置として導入した浄化装置についても色々判って来たので報告したいと思います。導入を検討されている方のお役に立てればと・・・。上の画像はその排気浄化装置を搬入している時の画像です。

まずは簡単に長所と短所を紹介させて頂きます。ただし注意して頂きたいのは私が使っている状況と業務内容での話ですので鵜呑みにはしないでください。ただし極力正直な感想で紹介します。

【長所】

・メンテナンスが楽(フィルターはありません)。

・運転コストが低い(フィルターが必要ありません。電気代も安いです)。

・排気ダクトを高くまで上げる必要がありません(地上3メートルの高さでそのまま直に排気しています)。

・それでも都内でも塗装が出来ています(当工場の周りには住宅も多いです)。

・これを使わない場合に比べれば環境汚染は防いでくれています。

【短所】

・音がうるさい

・予想よりも排気しない(自動車ボディの塗装には風量が足りません)。

・これ単体では塗装ブースにはならないので結局導入コストは高くなります。

・やはりと言うか掃除は必要

factory3当初、排気能力としては5kw~6kw程度と大型塗装ブース並の威力があると聞いていましたが流石にそこまではありませんでした。フィルターが無いので排気効率が高いとは言っていましたが、そもそも使っているモーターが1.5kw、さらにそれをインバーターで50Hz以下に抑えているので(それを超えないようにと言われています)、自動車ボディ塗装用として考えるとせめてこれが二機は無いと難しいと思います。まあその分電気代は安いですからコスト的には助かっていますし、うちのような小物の塗装なら問題無いです。ただこれだけで自動車用の本格的な塗装ブースの排気能力を期待していると物足りないと思います。

塗料については確かに色は外には出ていません。フィルターが無いにも関わらず、顔料と樹脂分はこの装置で殆ど止められていると思います。塗装後には塗料カスが水に浮いているので、それを金魚ネットでバケツに掬い乾燥したら可燃ゴミとして処分出来ます。

溶剤臭については、一度に続けて塗ると完全には除去出来ない時も見られましたが、その後塗料を多く使う物(アルミホイールなど)は受付を辞めたのでそれも無くなりました。


(追記→使用してから5年以上経った今でも一度も苦情などありません)。

(さらに追記→使用してから10年が経ちましたが一度も苦情はありません。)


私が以前勤めていた世田谷区の会社はやはり住宅地にあったので、昔ながらの水洗式の浄化装置を導入していましたが、高価な脱臭用の液剤を使っていた割には効果は低く(よく苦情が来ていました)、さらに溜まった水はとんでもない悪臭を放っていました。まるで一年間水換えをしていない亀の水槽みたいな臭いです(恐)。ちなみにこの浄化装置は単に水だけで脱臭剤などは使用していません。苦情も来た事がありませんし隣の大家さんに何か迷惑を掛けているか聞きましたが、全然大丈夫だそうです。

ただ水の交換はやはり必要で、小物塗装の私の場合は二週間に一回、塗装作業にして4ターンに一回といったペースで行っています。自動車ボディの塗装となると二回に一回はした方が良いと思いますのでそれなりに手間は掛かかると思います。

booth私的にもっとも気に入っている事としては、やはり溶剤を使っている事に対しての負い目が軽減されている事に尽きると思います。いくらフィルターを重ねてダクトを天高く上げたとしても実際には何も解決されていませんが、この装置を使っていれば少なくとも何もしていないで塗装していた時よりも環境を汚さずに済んでいるという事です。一時は水性塗料の使用も検討しましたが、そもそもクリアーは今まで通りの溶剤ですし、実際に使っている方なら判ると思いますが、水性で塗った塗膜を乾燥させる為に多くの熱を使っていたら本末転倒だと思います。

factory_65それにしてもこの排気浄化装置、一番の弱点としては「騒音」だと思います。外のダクト出口は普通に風の音だけなのですが、ブース内部では会話が出来る状況ではありません。電話はもちろん聞こえなく、ヘッドフォンで音楽を聴く場合、音量は難聴になるくらいまで上げないと聞き取れません(そこまでして聞く必要があるのかは微妙ですが・・・)。

原因としては途中にフィルターが無いのでファン直結で音が聞こえ、さらにその下にある水槽部分のファンネルのような形状のせいで騒音を増幅させているせいです。もしこれが両側にあって間に挟まれていたら確実に難聴になるというレベルで、ただ外に音が漏れると言うことでは無いので、騒音で苦情になるような事はありませんから、これくらいは我慢すべき点かと思います。

と言うことで、元々塗装ブースがあってそれに増設するという使い方であれば自動車塗装にも十分使えると思います。イオンシャワーブースなどであれば元々排気能力は低いでしょうからこれを付ける事によりパワーアップも望めると思います(ただし給気が間に合えばの話ですが・・・)。ちなみに私の場合はこれで正解でした。と言うのも、都内の今の場所で塗装を行うとなるとこれじゃ無いと到底難しかったと思います。

ちなみにこれを直列で使えば当初考えていた港区でも実現出来たかも知れませんが、ただし土地代を考えると採算を合わせるのは到底難しかったかなぁ、と(屋根なし車庫一台の相場が5万円くらいって・・・恐)。