NAロードスターテールランプ&フロントウィンカー 本塗り

先日下準備を行っていたマツダNAロードスターの純正テールランプ&フロントウィンカーです。

本塗り前日までにはブース内の壁と床、塗装台を洗浄して極力クリーンな状態にしてあります。

今回はクリアー塗装だけですが、実はその方が誤魔化しが効かないところがあり、世の中の塗装屋さんとしては出来ればこういう作業は避けたいのでは、と思う次第です。実際よくある話としては「新車の状態でクリアー塗装だけをお願いしたい」といったご希望で、絶対やりたくない仕事の一つですよね…。

よく脱脂清掃し、まずはプラスチックプライマーを塗布します。

続けてベースコート用のクリアーを塗ります(ベースコートカラレスでは無くMIX599をシンナーで希釈した物)。

いきなりトップコートクリアーを塗っても勿論良いのですが、その場合修正が出来ないところもあるので、様子を見るという事でレンズ関係での塗装では大抵これを行うようにしています。

ウィンカーレンズも同じようにベースクリアーを塗って各部を点検します。この時点でゴミ等を見つけたらサンディングで取り除き、またその際素地まで露出したらプラスチックプライマーからやり直します。手直しが出来るという点で万が一の予防になる感じですね。

そしてクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

ガムテープの芯が付いているのは転倒防止の為ですね。無くても作業中自体は大丈夫なのですが、大きな地震があった場合でも倒れないようにしています。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

削り落としたレンズ表面の凸文字は綺麗に無くなっています。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

SENNHEISER SKM835 Wireless Microphone

先日お預かりしておりましたゼンハイザーSKM835-XSWワイヤレスマイクです。

既に完成してオーナー様にも発送していますので、施工事例として纏めて紹介をさせて頂きます。

マイクボディにはグレーメタリックの塗装が施されているので、こちらは#800相当の布状研磨副資材(アシレックスレモン)で足付け処理を行っています。

マイクのグリルは艶消し黒(クリアー塗装無し)の塗装が施されていて、この形状だとペーパーや布状研磨副資材(アシレックスレモン)では網の隙間に届かないので、ナイロンブラシとウォッシュコンパウンド(液状研磨剤)を使って足付け処理をしています。

マイクとグリルの間に挟まるプラスチック製のスペーサーは樹脂素地の状態で、こちらも#800で足付け処理をしていますが、素材が不明で不安な所もありますので(削った感じではPP=ポリプロピレンと考えています)、

念のためガスプライマーを使った火炎処理も行っておきます。

ガスプライマーについては以下の記事で紹介していますので宜しければご参照くださいませ。

→>Mazda Diesel Fuel Cap

色については当初はお貸出しした色見本帳からお好みの色を選んで頂いていて、そこから原色のバイオレットの含有量を増やすよう(赤味を出すよう)承っておりましたが、その後参考画像を送って頂きまして、そちらにイメージを合わせる事となりました。

使用した原色を撮影するのを忘れてしまったので、後々の為に以下に記載しておきます。


・MIX598 ブルー(彩度のある標準的な青)

・MIX566 パープル(青味のある赤)

・MIX569 バイオレット(赤味のある青)

・MIX845 サテンブルーパール(粗めのブルーパール)

・MIX821 アメジストパール(バイオレットパール)

・MIX598 ブリリアントシルバー(最も粒子が大きいメタリック)

・MIX811 シルバーダラーコース(輝きの強い中目メタリック)


深みを残したかったので黒や白系は入れず、それ故に隠ぺい力が弱いので下色を使った3コート塗装とする事にしました。

左の色見本が最初に選んで頂いた色で、それに比べて赤味(バイオレット)が強くなっているのが判るかと思います。また色見本に比べると深みがありますが、今回はこの上にガラスフレークを重ねるので、それを想定してメタリックは少なめにしておきました。

まずは下色として、隠ぺい力の高い適当なブルー系メタリックを塗装します。具体的にはVW社のシャドーブルーメタリック(カラーコード:LD5Q )を塗って下地の黒を完全隠蔽させます。

その後今回作ったベースカラーを塗布します。

ちょっと判り難いのですが、先ほどのブルーの上にガラスフレーク=「PP304」を重ねました。

そして最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

 

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

よく見ると青系のキラキラした物(ブルーパール)と赤系のキラキラした色(アメジストパール)があるのが判るかと思います。

さらにその上に白く膜を張ったような物がガラスフレークで、ブース内の蛍光灯ではそんなに目立ちませんが、一点からの光=太陽光やスポットライトでこれが煌めきます。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

そして完成です。

スポットライト下だとガラスフレークが煌めくのが判ります。 この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

ロータスヘッドカバー 本塗り

先日お預かりしておりましたロータスヘッドカバーです。その後アルカリ洗浄層で付け置きし、さらに溶剤層へ浸けて旧塗膜らしき物を剥がしておきました(実際には塗装では無く酸化被膜だったかも知れないのですが念のため)。

腐食していた箇所もあったのでサンドブラスト処理(軽め)を行いました。

その後リン酸処理を行い、よく洗浄して乾かしておきました。

リン酸処理をした後は恒温器に入れ、他の被塗物に一緒に熱を入れてしっかり乾燥しておくようにします。

まずは全体にプライマーを塗布します。

今回は鮮やかな赤の結晶塗装に赤パールの追加も承っていますので、パウダータイプのパール顔料を適量添加します。

そして本塗り完了です。お待たせしました!

ウェットで5~6コート程塗り重ねています。

その後120℃40分程の熱を掛けると結晶目が現れます。

言われないと判らないレベルですが、パールの影響で少しふわっとした色味を感じられます。

パールは光に対して正面で見た時に色味を感じられ、逆に光を背にするとあまり表現されない特徴があります。なのでこちらの画像は赤の色味が濃く感じられます。

こちらも光を背にした位置です。

こちらは光を対角=正面に見た状態ですね。少しふわっとしているのが判るかと思います。

この後は恒温器で二度焼きを行い、後日凸部を研磨してアルミ地を光らせます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

バイク用ブレンボキャリパー凹み文字塗装 完成

大変お待たせしました!先日本塗りを終えていたバイク用ブレンボキャリパー2個の凹み文字部塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介します。

元々は別の色(ハードアルマイトのゴールド色)だった物で、それに黒アルマイトを施した状態でした。

ご依頼としては「黒アルマイトはそのまま残し、bremboの凹み文字部だけを白に」という内容で、

ただしアルマイト処理された被塗面にそのまま塗装を行っても塗膜は十分に密着しませんから、

凹み文字部だけをサンドブラストし、

プライマー塗装後、ベースコートの白→トップコート(クリアー塗装)を行いました。

さらに今回は文字周りの傷が多かったという事もあり、上塗りを2回行ってそれらを目立たなくすることにしました。

よく見ると凹み文字のエッジ部(山のライン)が削れているのが判ると思いますが、これによって白もフチがガタガタになってしまい、なのでそれらを極力目立たないよう2度塗りで対応しました。

一般的な考え方からすると「塗料を流し込む」という感じなので比較的安価に出来そうなイメージがありますが、実際はキャリパー全体を塗るより大変ですしリスクも高いので、そもそも受け付けてくれるショップさんが少ないのでは、と思う次第です(対応してくれるところがありましたら是非ご紹介くださいませ)。

各画像はサイズの縮小以外は未加工です(今回の場合など撮影後の画像加工次第でいくらでも綺麗に仕上げられると思いますので)。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度も当店をご利用頂き有難う御座いました!

GRスープラトランクスポイラ 本塗り

先日お預かりしておりましたトヨタGRスープラ純正のトランクスポイラーです。

裏側には両面テープが貼ってあり、今回こちらは残すようにしますので、

台紙に塗料が付着しないようマスキングをしておきます。

「どうせ剥がすからそのまま塗っちゃっても良いのでは?」と思うかも知れませんが(殆どの塗装屋さんはそれが普通ですよね)、両面テープの台紙フィルムはPP=ポリプロピレン製なので塗料が密着せず、直ぐに剥がすのであれば問題無いのですが、梱包~取り付けまでの間にそれらの塗膜がペリペリと剥がれてカスになるのが気持ち悪いのでこうしています。

そして足付け処理です。予想通り黒いABS樹脂に艶消し黒の塗装が施されていました。

意外と忘れがちなフチのもしっかり研磨しておきます。

台に固定する準備を行います。さすがに今回は手で持って塗れないのですが、塗装中の移動(回転)は出来るようにし、また落下防止の処置も行っておきます。

見える(魅せる)スポイラー天面が地面と水平になるように固定しています。

裏側とフチも塗れるよう、スプレーガンを差し込むスペースも大きめに設けています。

よく脱脂清掃し、エアーブローを行って埃を飛ばしたら本塗り開始です。

念のため裏側のフチにプラスチックプライマーを塗布し、まずはベースカラーの白を塗布します。色はトヨタ純正色の「ホワイトメタリック」(カラーコード:D01)で、所謂3コートホワイトパールとなります。

見えない下側は塗り残しをし易いという事もあり、そういった箇所はスポイラーを斜めに傾けた状態で塗るようにしています。

ベースカラーの白が塗り終わったらパールコートと塗布します。

この時点でゴミが付着したら再びそこにカラーベースの白を塗り、再度パールコートをやり直します。

途中何度かの中研ぎを行い、最終コートを行った時点でゴミの付着が無いことを確認したら、

最後にトップコート=クリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

クリアーを塗る時も斜めに傾けた状態で、

2コート目のクリアーが塗り終わったら地面と水平になるよう元に戻しています。

塗装面を地面とする事で上面の肌=ボンネットやルーフと同じような塗り肌にしています。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!