スバルフォレスター内装パーツ一式塗装 完成

先日本塗りを終えていたスバルフォレスターの内装部品です。画像はシフトパネル前方のスイッチパネルで、ここに着いていたスイッチやアルミプレートを元に戻します。

一応仮組もしてみました。

モニター枠パネルは剥がした両面テープが残っていたので、こちらも元のように貼っておきました。直ぐに取り付けられます。

 そして大変お待たせしました!スバルフォレスターの内装パーツ12点の塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

元々は未塗装の樹脂部品で、表面はザラザラとした梨地やレコード盤のようなヘアーラインが施してありました。

これら全てを「研磨→プライマー塗布→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」といった下地処理を行い、平滑な下地に整えています。

 コース自体は【お任せ仕上げコース】ですので、磨き処理はせず塗ったそのままでこのような艶にしています(ただしシフトパネルの一か所のみ磨いています)。

 自動車補修塗装では「肌は磨きで出す物では無く塗りで」といった考えで行っていましたが、現在は「艶は磨きで出す物では無く塗りで」といった考え方になっています(同じようですが実はちょっと違います)。

 自動車のボディは鏡面では無く「新車肌」といった凹凸があるので、事故などで損傷したパネルを修理する塗装でもそれを再現する事で「直した事が判らない」といった仕上りにします。ツルツルにすれば良いという事ではありません(ただしベントレーなど一部はツルツルにするハイリフレックスコート仕様(所謂鏡面仕上げ)もありますが)。

 なので実際の車体の塗装はラウンド=肌の凸凹があって、またさらにその凸凹した肌の中には小さなシワのような凸凹があって艶が引けたような状態になっているのですが、今の小物塗装ではそう言った事は気にせず、如何に艶のあるまま仕上がるかを目標にしています。

 と言っても技術的にはそんなに難しい事では無く、要はスプレーガンのノズルから被塗面までの距離を極力近くしてその間でのエアー噛み(塗膜中に空気を呼び込む事)を減らし、且スプレーガンから噴出されたクリアー中の溶剤分を極力揮発させないまま被塗面に到達させ、クリアーのレベリング(伸び)をさらに良くする、みたいな事を考えています(あくまでもイメージで、あと塗装屋にしか判らないですいません)。なのでガンの動きもかなり早いです(気を付けないと上カップの穴からクリアーが飛び出します)。

 ガン距離が近いと少ない塗料(膜厚)で肌の無い平滑な仕上りが可能となる為、一見厚塗りしたような感じでもクリアー表面の発泡=ワキは殆ど起きません。これはむしろガン距離が遠く「じっくり塗り込む」みたいな塗り方をすると起き易いと思います。ちなみに昔はこれで相当悩みました。

 ただしそれらもしっかりとした下地が出来ている事が前提で、例えば下に塗るサフェーサーが上塗り(ベースコート)よりも弱い物だと、その溶剤に侵されてチヂレは起きないまでも艶が引けたような仕上りになります。ラッカーサフェーサーなどが良い例ですね。あと昔にFRP関係の部品には関ペのサフェーサーを使っていた事がありましたが(材料が安いのと柔らかいので研ぎが楽と言う事で)、やはりスタンドックスのサフェーサー(当時はイージーフィラーとシステムフィラー)に比べると同じ条件でも仕上がった時の艶が違いました。サフェ―サー際(塗膜の切れ目)ではエッジマッピング(チヂレの一種)も生じるので、丸塗りが前提のFRP製エアロパーツに限っての使い方でしたが、それでも余りに酷いのでその後は使用を辞めました。

 ただSTANDOXも昔は下塗り塗料が余り良く無かったらしく(確か2Kフィラーなる製品以前の話だと思います)、その後イージーフィラー(今は廃盤で、ただし同じような物が出ているようです)とシステムフィラー(現在はこれの後継でVOCシステムフィラー)が出てから評価は良くなったようです。「上塗りは良いけど下地は駄目だ」と言うのが当時の業界の常識だったみたいですね。ちなみに私はその頃はDUPONTで、ただしサフェはPPGを使っていました。

 クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

 ヌメっとした質感が特徴ですかね。

 助手席のウィンドウスイッチパネルには小物入れ(?)があって、底部分にはこの凸凹した模様があったのでそこにはサフェーサーは塗らず、模様をそのまま活かすように仕上げています。側面への映り込みから判るようにここも艶々に仕上げています。

艶有り黒の内装は指紋などが目立つ筈ですが、それの防止として「コーティング」が有効です。ツルツルするのでも良いですし、それが嫌ならガラス系の物なら大丈夫だと思います。指紋自体は付きますが、拭き取りは断然楽になると思います。

それでは後程完成のお知らせメールを差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

スバルフォレスター内装パーツ 本塗り

先日サフェ研ぎ作業を終えていたスバルフォレスターの内装パーツ12点です。

 各部品はフチまでしっかり塗れるよう、台から離して手で持って塗れるようにしています。

 本塗り前の準備としては、まずブースのファンを回して室内全体をエアーブロー→自分の体のエアーブロー→被塗物のエアーブロー→被塗物脱脂清掃→被塗物のエアーブロー→スプレーガンのエアーブロー→被塗物裏側のプラスチック素地が露出した個所にプラスチックプライマー塗布、といった流れとなります。

 フチまで塗るには被塗物の裏側からスプレーしなければならないので、こんな感じで隙間を多くした状態で固定するようにしています。これも置いた状態で塗るのではなく左手で持って右手でスプレーします。

 まずはベースコートの黒を塗布します。意外かも知れませんが、艶のある仕上りにするにはクリアーよりもベースコートの塗り方が重要で、ここで肌を荒らしてしまうとそれが最後まで影響してしまい、幾ら綺麗にクリアーを塗っても熱を掛けた後に艶が引けたような状態になってしまいます。

ベースコートの塗り方としてはとにかくウェットで、被塗物が大きかったり気温が高い場合には揮発の遅いシンナーにして対応します。ただしその分乾燥も遅くなる為にゴミは付き易く、またベースコートなのに垂れる(垂らす!)と言う事態にもなります。

 そしてクリアーを塗って本塗り完了です。

 クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」の仕様となります。

 ちなみに現行の同社「イージークリアー」はもう廃盤になるみたいですね。同レベルの製品として販売される新製品は一斗缶(ペール缶?)での供給となるようで、気分が重いです。かといって今のイージークリアーは買い溜めする程良い物でも無いですし(旧イージークリアーは値段の割にとても良くて、実はまだ在庫があるので当面は大丈夫なのですが)。

 助手席のウィンドスイッチパネルは穴の中の奥まった部分が塗り難いのですが、こういう物も片手で持ちながらであれば何とかなります。

 塗り始めは表からでは無く裏からで、その後側面(フチの断面)、表面といった順番で塗っています。

この後一日(一晩)は常温で自然乾燥させ、翌日以降に熱を掛けて塗膜を硬化させます。最初に余熱を掛ける二段階の強制乾燥の方法は勿論知っていますが(と言うか本ブースはそれが基本です)、さらにゆっくりと塗膜中の溶剤分を抜いてあげるようにした方が強制乾燥後の艶は綺麗に保たれていると思います。

ただし以前使っていたDUPONTのS696では、速乾・即硬化型のHC(ハイパーキュアテクノロジー)のせいか、湿度の高い状況下に置いたままにするとクリアーがカブる(ブラッシング=表面が白くなる)事があったので、そういった点には注意は必要だと思います(と言ってもSTANDOXにしてからはそんな事は一度も無く、私的な見解としてはHCの促進剤が駄目だと思っています。今の製品はどうなったか分かりませんが、当時の物では高温多湿な日本での使用を想定していなかったのでは、と思いまいた)。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スバルフォレスター内装パーツ一式 サフェ研ぎ

 先日素地調整を行いサフェーサーを塗布しておいたスバルフォレスターの内装部品12点です。

ガイドコートを塗り(後の場合もあります)、固定していたボール紙棒から外しました。

 恒温機に入れて60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます(実際は40分後も入れっぱなしにしてファンは回しているので、この後さらに2時間以上は50℃以上の熱をキープし続けます)。

 サフェ研ぎは最初は空研ぎで行う場合もありますが、今回は全て水研ぎのみで行っています(ケースバイケースですが、今回は埃を出したく無いと言う気分的な感じで)。

 樹脂素材、特にオレフィン系のポリプロピレンは成型時の型崩れが強く、表面が凸凹していたりします。裏に太い骨がある個所が顕著に低くなっているので、恐らく成型後に熱が冷める過程で樹脂の体積が縮小していると思われます。

なので最初は固い当て板と#320~#400程のペーパーでライン出しを行い、

 その後#600~#800で細かいラインの修正と深いペーパー目の目消しを行います。画像の溝はヘラが入らないので薄いブリキ板(鉄板)を使って研いでいます。

 入り組んだ個所もいきなり手研ぎでは無く、ヘラなどを使って肌を落とし平滑なラインを整えてから目消しを行います。

 左が作業前で、右が研ぎ終わった状態です。ガイドコート(黒い点々)を塗っておくと研ぎ作業の一つの目安になります。

この後水を切ったら埃が被さらない場所に保管し、本塗りのタイミングが来たら再びボール紙棒に固定して直ぐに台にセット出来るようにしておきます。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スバルフォレスター内装パーツ サフェ入れ

 先日素地調整を行っていたスバルフォレスターの内装パーツ12点です。

フチまでしっかりサフェーサーを塗りたいので、それぞれの部品は片手で持って塗れるようにしています。

 十分に脱脂をし、

 プラスチックプライマーを塗ったら、

 サフェーサーを塗布します。

 1コート毎のフラッシュオフタイム(コート間の乾燥時間)を十分に設け、5~7コートを塗り重ねます。

このまま熱を入れる事も可能ですが、念の為常温で一日掛けて塗膜中の溶剤をゆっくりと揮発させ、その後60℃40分程の熱を掛けて強制乾燥硬化させます。

この次はサフェ研ぎで、ただしこちらの本塗りの前にロードスターとジムニーのヘッドカバーの結晶塗装を本塗りする予定です。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

スバルフォレスター内装パーツ 素地調整

先日よりお預かりしておりましたスバルフォレスターの内装パーツ一式です。

シフトパネル前方にあるスイッチパネルを外し、さらにぞれぞれのスイッチとX-MODEのアルミプレートを外しました。この手のスイッチは比較的簡単に取れる筈ですが、今回のは中々面倒でした。X-MODEのアルミプレートは両面テープだったのでドライヤーで温めてヘラを隙間から挿し込み外しています。

 各部品の表面はザラザラとした梨地と、レコード盤のようなヘアーライン仕上げになっていて、これらをそのまま塗っても綺麗にはなりませんのでまずは被塗面を研磨します。

 平面の部分はダブルアクションサンダーを使い、#120で素地を削り、#180で均します。

サンダーが当たらない(当てたくない)個所は#240のペーパーを使って手研ぎで行い、さらに残った個所を#320で足付け処理します。さすがに12個もあると結構な時間が掛かりました(そして爪が・・・)。

この後はこれらを脱脂清掃し、それぞれ台に固定出来るようにしたら再び脱脂をしてプラスチックプライマー&サフェーサー塗装となります。どうぞもう少々お待ちくださいませ!