NISMOドライカーボン製導風板 本塗り

 先日下準備を行っていたニスモ社のドライカーボン製導風板です。

用意したマスキングシートを所定の位置に貼っていきます。製導風板自体は各辺が平行になっている訳では無いのでそれを意識しつつ、各ロゴがバラバラになってしまわないよう良い塩梅に配置していきます。事前に一度仮貼りをしておいたお陰で安心して作業が出来ました。

難しいのは食み出た部分で、位置が判り易いよう下にトレース台(光るプレート)を置いて作業をしています。

食み出た部分はカットするのではなく裏側に巻き込むようにして固定しています。フチの部分も塗り分けます。

 カーボン板の裏側はフチより少し内側で全面をマスキングしています。

そしていよいよ本塗り開始です(ただし本塗りといってもこの後の段差取りがあるのでまだ作業は半分にも至っていませんが・・・)。

色は日産純正色のホワイトパール(カラーコード:QT1)で、まずはカラーベース(ソリッドカラーの白)から塗っていきます。

3コートで最も重要なのがこのカラーベースで(調色もこれが最も難しいです)、しっかり隠ぺいするよう4コート塗っています。

その後はパールベースを塗布します。通常は3コート程塗りますが、樹脂分を減らして2コートにしています。車体のように大きい面積の場合はムラや暈しを考慮してコート数を多めにするのが一般的ですが、この面積ならその心配も無いのでコート数を減らす方を優先しています。

そして通常ならここでマスキングを剥がしてからクリアーを塗りますが、

 今回はそのままクリアーを塗りました。

ただしいつものようにテロっとさせずミッドコートで控えめにしています。

 大丈夫?!と思われるかも知れませんが、

以前マイクにファイアーパターンで艶消しクリアーを塗った時に検証していますので大丈夫です。

またこの時はクリアーだけでしたが、

それ以前に黒→クリアーに塗った上に白→クリアーを塗ったテストも行っていて、

きっちり輪郭がシャープに仕上がっているのが判るかと思います。自転車フレームの新車時の塗装などはこの方法だと思います。

  デメリットとしては表面張力でフチに塗料が溜まり「段差が激しくなる」という事で、ただこれに関してはこの後のクリアー(最低2回)で解消する予定なので問題無いと思った次第です。それよりも抜きにした各ロゴのフチのシャープさを優先しました。

この後はこのまま60℃40分程の熱を掛けて塗膜を完全硬化させ、後日マスキングテープを剥がします。糊残りしてもシリコンオフで拭けるので(塗料は溶けないので)問題ありません。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。次はNISMOの「O」を赤で塗る工程ですね。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!

NISMOドライカーボン製導風板 下準備

 先日一回目の下塗りクリアーを塗っておいたニスモ社のドライカーボン製導風板です。その後60℃40分程の熱を5回くらい掛けて塗膜を硬化~締まり切りにしておきました。

 硬化したクリアーの表面にはカーボン繊維の目が出ていて、

  また繊維が重なる部分で無数の細かい巣穴が出来ています。

本来ならここでもう一度下塗りクリアーを行う予定でしたが、今回は先に文字入れ(抜き)を行い、その後それの段差を取る事にしました。

具体的には、

「クリアー→クリアー→ホワイトパール&レッド→クリアー」

と言ったところを、

「クリアー→ホワイトパール→クリアー→レッド→クリアー」

といった順番に変更です。どうしてそうなったかというと、思っていたよりも大きな巣穴が発生しなかったからで(殆ど筆挿しで埋まりました)、この方が最終的に平滑な仕上がりになるからです。

(足りなかったら最後にもう一回クリアーを塗ります)。

  当て板を使って全体を#800で研ぎ、その後フチなどは布状研磨副資材(アシレックスレモン)で足付け処理を行います。

また本来なら#800のペーパー目を#1200~#1500で均しますが、この後はまだ下塗りを何度も行うので、今回は#800のままでフィニッシュとします。#800のままだと硬化後には多少ペーパー目が残りますがいずれ消えるので問題はありません。

 よく脱脂清掃し、マスキングの準備を行います。

マスキングシートから不要な部分を除去しました(カス取り)。

マスキングシートを作成する時に意外とやりがちなのが、必要な部分も一緒に剥がしてそのまま捨ててしまう事で、

例えばこの「’」も、うっかりしていると一緒に剥がしてそのまま忘れてしまう事があります。

今回は塗り直しという事が出来ないので(カーボン地を活かすので)、念を入れて3回以上のチェックを行いました。

またNISMOの「O」の部分は赤(フェラーリロッソコルサ:300)で塗るので、こちらはこの時点ではマスキングはせず、一旦一緒にホワイトパールで塗ってしまいます。この辺もウッカリしているとやってしまいそうなので何度もメール(作業内容)を見返しました。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

NISMOドライカーボン製導風板 下塗りクリアー

 先日ロゴの準備(確認)をしておいたニスモ社のドライカーボン製導風板です。

  最初に勤めていたディーラーの内製工場では、基本的に扱うものは純正品である事から、ドライカーボン素材といった物を扱う機会は全く無かったのですが(そもそも当時は流通していませんでしたし)、その後独立して構えた工場の真ん前にチューニングショップがあって、そこからのご依頼でR34ドライカーボンのフロントバンパーを何度か塗らせて貰い、毎回大変な思いをしている内に重要な事に気が付きました。とにかく最初の段階でどれだけ脱脂が出来るかが肝心なんですよね。繊維が重なった箇所に出来る巣穴に残った離型剤をしっかり除去する必要があります。

 最初はシンナーやシリコンオフ、アセトンなどの溶剤を使って脱脂清掃し、その後はスコッチとウォッシュコンパウンドで研磨・洗浄を行います。

ある程度やったら水を流してみて確認をし、このように水が弾いてしまうのはまだ全然ダメな状態です。最終的にこれが完全になくなるようにまでします。

その前に、一旦足付け処理の為に#400で足付け処理を行います。ちなみにドライカーボンは固いので#800程度のスコッチでは足が付きませんから、ある程度の番手が必要です。

その後は再びスコッチ&ハジキシラズです。

しかし弾く弾く!(恐)。

そんなこんなを繰り返していく内にしっかり親水性になったらようやく下塗り準備完了です。

ちなみに今回はまな板くらいのサイズだったのでハジキシラズを使いましたが、ボンネット程のサイズとなるとかなりの使用量となるので、そういった場合は工業用石鹸(ピンク石鹸)を使ったりもします(握りこぶし二個分くらいは使いますので)。

 その後よく水気を取り、台にセットして下塗り準備完了です。

 最後はシリコンオフでしっかり脱脂をし、

トップコートクリアーを塗ります。

画像で2コート塗った状態で、カーボン繊維の凸凹は出ていますが、巣穴は比較的少ないです。さすがNISMO製といったところでしょうか。

この時点で残っている巣穴にはクリアーを筆挿しし、

 最後に3回目のクリアーを塗って下塗り完了です。

カーボン繊維目は残っていますが予想よりは断然良い状態です。

この後は60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、表面を研いで平滑にし、もう一度下塗りクリアーを行うか、または先にロゴ入れ(ロゴ抜き)を行う予定です。完全硬化後の様子を見てからですかね。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

また今回一緒にバイク用カーボンフォークも一緒に塗っていますので後ほどそちらも紹介いたします。

NISMOドライカーボン製導風板 ロゴ準備

  先日お預かりしておりましたニスモ社のドライカーボン製導風板です。

  その後「EXPERTSHOP」のロゴを追加頂き、改めて細部も修正しましてこちらの内容に決定となりました。

そのまま実作業に入っても良いのですが、2次元→3次元に変換すると多少なりブレが生じる筈なので、念のため各ロゴを実際にカットして実物に貼ってみます。

高校に通っていた頃は授業中を含め一日中机に突っ伏して熟睡している事が多かったのですが(さすがに心配になった先生が「おいタカハタ、先生そういう病気知ってるぞ?」と言ってくれました。笑)、数学だけは塾に通っていて、その時の先生が予習と復習の大切さを教えてくれて今でもその習慣が残っているのがありがたいです。

一部のロゴは折り目に差し掛かるのでちょっと貼るのが難しく、この辺の対処方法も本番前に判っておく事が後々役に立ってくれます。

と言う訳でイメージイラストの2次元から実際の3次元に転換が完了しました。

 大体の正面から見た感じです。 少し手前から寝かした状態です。

実際には各ロゴの部分がカーボン地として残り、その他の部分がホワイトパール(カラーコード:QT1)となります。

これでロゴの配置が決まったので、ここからはようやく実作業となります。まずはクリアーの下塗りで巣穴を埋めていきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

NISMOドライカーボン製導風板塗装承ってます

 少し前に到着しておりました、ニスモ社のドライカーボン製導風板です。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

ご依頼内容としては、こちらに日産純正色のホワイトパール(カラーコード:QT1)の艶あり仕上げで承っているのですが、

 今回は一緒にお預かりしたこれらステッカーのロゴを、カーボン地を活かしたクリアー抜き(カーボン抜き)でご依頼を承っております。

同じような内容では、以前ご依頼を頂いたLOOK自転車フレームの画像が判り易いかと思いますのでそちらを紹介させていただきます。

この時はカーボン地をそのまま残しているだけでは無く、敢えてそれが目立たないようスモークも入っています。

 先ほどの自転車フレームと同じように艶々に仕上げるには、まずカーボン素地にある巣穴を埋める作業が必要となります。ぱっと見は綺麗に見えますが、ドライカーボンは穴だらけですので・・・。

 特にこの穴に離型剤が残っているので、一番重要な事としては最初の洗浄です。溶剤での脱脂は勿論、その後ウォッシュコンパウンドや工業用洗剤を使ってワックス分を取り除きます。水を流して完全に親水になったら、クリアーの下塗りを何度か行ってこれらを埋めていきます。

 そしてカーボン地で残す各ロゴについてですが、それぞれのサイズや配置についてもご指定を頂いていますので、まずそれらをデータ化します。

ロゴに関しては既存のステッカーをスキャナーでPCに読み込み、Illustratorなるドロー系のソフトを使ってベクトルデータを作成しますが、本体となる導風板はスキャン出来ないので、紙の上に置いて枠をボールペンでトレースするというアナログ的な作業となります(こういうのも新しいiPad Proに着いているLiDARの機能で正確に3Dスキャン出来るのでしょうか)。

 細部は後にPC上で修正するので、ここはあくまでも大体の形としています。

 そのままだとスキャナーに読み込めないので(A4サイズまでです)、分割して結合する為のラインを引いておきます。

それを基に、2次元の展開図を作成します。それらしく見えるよう、カーボン柄のスウォッチも作ってみました。

 ロゴ用のステッカーはそのままスキャン出来る物は再利用が可能ですが、台紙から剥がせない物(または同系色)は、透明なアクリル板に貼り付けてスキャナーに入れます。

 こんな感じで透明なアクリル板に貼り付け、

 スキャナーで画像を取り込みます。

手書きの画像などであればそのまま自動的にトレースしてくれる機能などもあるのですが、今回のようにカチっとした物でそれは難しい為、手作業でトレースしていきます。

こんな感じで一つずつをトレースしてきます。

こんな感じで全てのロゴをデータ化しました。

それぞれのロゴをご指定の位置に配置し、とりあえず最初のイメージイラストが完成しました。

ここからさらに各ロゴのサイズや位置などをオーナー様のご希望に沿って修正・変更していきます。

またこの後さらに追加でもう一つロゴステッカーが届いておりまして、現在はそれのデータ化を行っているところです。

ちなみにサイズの変更が無ければ元のステッカーをそのままマスキングとして使えるのでは?と思う方がいらっしゃるかも知れませんが、ステッカーのそれと、マスキング用のシートでは素材が違います。カッティングステッカー用のシートは主に塩化ビニル樹脂製で、また糊も「剥がれ難い」材質になっています。

対してマスキング用のシートはPP(ポリプロピレン製)で、使われている糊も適度に剥がれ難くまた剥がれやすい材質となっています。糊残りもし難く、耐溶剤性も高くなっています。

私も当初これを知らず塩ビのシートをマスキングとして使っていたのですが、自動車補修用塗料(ウレタン)だとその溶剤が塩ビシートを侵してしまい、糊が被塗面に残ってしまったり、マスキング際が同化して汚い仕上がりになってしまったりします(どちらも地獄のような状況です)。その後そういった専用のシートがある事を知り、仕上がりを向上させる事が出来ました。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!