F50 bremboキャリパー 素地調整

 先日ロゴ周りのフィンを削り落としておいたF50用ブレンボブレーキキャリパーです。その後いつものブレーキ屋さんに「洗浄→サンドブラスト処理→洗浄」までの工程をお願いして先日戻って来ていました。

そのまま塗装も出来るのですが、さらに全体をダブルアクションサンダー#120→#180で研磨し、エアーツールが使えない部分は手研ぎで行います。こうする事でサンドブラストそのままの状態で塗るよりも艶が出ます。

 また今回はフィンを削り落とした個所の後処理と言う事で、装着した時に見えるキャリパー正面部分の素地を整える作業も承っております。

 素地の状態は研磨しただけでも想定していたより仕上がりが良かった為、予定していたエポキシパテの工程を省く事にしました。

 ただ部分的にサフェーサーを塗る場合、その下に敷く(塗る)ウォッシュプライマーは使い方が少々難しくなる為(フチがチヂれるのです)、今回はエポキシプライマーを使う事にしました。

使ったのは以前BMWのカーボンパニアケースの下地に採用したSTANDOX EPプライマーサフェーサーです。物(性能)はすこぶる良いので常に使いたいところですが、作業性がすこぶる悪いので使用はここぞと言う時に限られます。

 塗膜性能がとても良い反面、余りにも固くて(粘りがあって)研げないと言う特性がある為、私的な使用方法としては最初に2コート程塗り、

 さらにウェット・オン・ウェットでサフェーサーを塗布します。

上に塗ったウレタンサフェーサーはエポキシ系に比べれば切削性が良い為、これを充填して研ぐ事でラインを形成し、金属素地への密着はエポキシの特性を利用すると言う良い所取りの二段構えといった感じです。

ちなみにいつものように下地にウォッシュプライマーを使った場合、全体にサフェーサーを塗って完全にプライマーを覆ってくれれば両者が反応してしっかりとした塗膜を形成してくれるのですが、今回のように部分的にサフェーサーを塗る場合はフチの方でサフェーサーとの反応が不完全となり、見た目は問題無いのですが上塗りをした時にその個所でチヂレを発生します。エッジマッピングの酷いバージョンといった感じですかね。普段サフェの前にプライマーを塗らない塗装屋さんには判らない事ですが、良かれと思ってやった事が思わぬしっぺ返しとなり、凄く嫌な気分になると思います(判ります判ります)。

勿論キャリパー全体にサフェーサーを塗るのであればその方が望ましいのですが、その場合は細部までサフェーサーをしっかり研ぎつける必要があり、そう出来ない場合は(足付け処理だけに留まる場合は)逆に全体のシャープさが損なわれてしまう為、だったらと言う事で今回はキャリパー正面のみに留めています。

それではまた作業進行しましたら紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

F50ブレンボキャリパー 凸部研磨

 先日Ferrariのロゴデータを作成していたF50ブレンボキャリパー一式です。付属品を外しました。

ロゴに関してはオーナー様にご確認頂き、若干ですが修正してこちらで決定となります。

また今回のご依頼ではこのようにキャリパーの一部を加工する作業も承っておりまして、

 今回はこの状態までオーナー様に作業をして頂きました。

板金塗装屋さんなら判ると思いますが、ベルトサンダーは扱いに慣れていないと局所的に削ってしまう為、今回は当て板とペーパーを使って対応して頂くようお願いしました。

結果的にはまだ削り足りないのですが、ここまでやって頂けているだけでも十分助かります。

 ベルトサンダーは局所的に使えるので便利な反面、その特性から傷の入り方も深いので塗装前の作業ではちょっと気を遣います。

昔は3万くらいはしたのですが、今は無メーカー品が安く売っているのでDIYとしては便利な道具ですかね。

 と言う訳で両端の段差だけベルトサンダーで粗研ぎし、

 その後はシングルサンダーを使います。画像の工具は比較的小さなアングルサンダーで、装着しているペーパーは3Mのロロックシステムです。ペーパーと台座が一体になっているのでとても使い易いのが特徴ですかね。ただし嵌め込みが甘いと回転を止めた時に竹とんぼ宜しくビューンと地面を転がって行ってしまうアレですが(元同業者じゃないと判りませんか。笑)。

 径が小さいサンダーなら細かい箇所を削り易く、ベルトサンダー程局所的に掘らないので安心です。

尚、「o」の上当たりに有る「←」のマークを削らないよう、ガムテープの下には薄い鉄板(ブリキ製の色板をカットし物)を挟んであります。ガムテープだけじゃあっという間に貫通してしまいますので(アルミテープでも同様です)。

 その後は当て板にペーパーを貼り、手研ぎでラインを整えます。番手は#120です。

 最後にダブルアクションサンダーとオービタルサンダーで面とペーパー目を均します。基本としては最初にシングル系のサンダーを使い、最期はダブルアクションと言うのがセオリーですかね。

 ちなみにマスク用にドレン穴に嵌めたネジですが、こちらは前回キャリパーの「赤」を塗った時の塗料がそのまま着いていて、ほぼ今回のキャリパーと同じ色なのが判ると思います。

ただこれでも今回のF50キャリパーの場合は若干朱色(オレンジ)が強く、こういった比較が出来るよう仕事の合間に色の採取をしています。塗装屋は歳を取るとどうしても技術のレベルが落ちてしまいますが、せめてこういう事を拾い上げて少しでも延命していこうかと(苦笑)。

 工場一階での作業光景はこんな感じで、作業場は決して広くはないので大抵は正座をして作業をしています(それが一番腰に負担が無いです)。

と言う訳で凸部は綺麗に削れました。場合によってはエポキシパテの使用も考えていましたが、これなら必要無いと思います。

この後はいつも懇意にして頂いているブレーキ屋さんにて「サンドブラスト処理→洗浄→マスキング」まで行って頂く予定で、その間にロータスのヘッドカバーも進めていこうと思います。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

F50ブレンボキャリパー ロゴ準備

先日から作業をしておりますフェラーリF50ブレンボ用のロゴデータです。

オーナー様のご希望としては、

・「Ferrari」ロゴ(黒)・・・中央凸部に塗れるサイズいっぱいに(上下0.5~1mm空けるくらい)

・brembo brake system」ロゴ(赤)・・・Ferrariロゴより1~2文字分出るくらい
(横幅はセンターの「Ferrari」ロゴをベースに、中央凸部の下側に配置)

と伺っていますので、それらを基準にして幾つかサイズを変えて印刷します。

プリントしたロゴを実際にキャリパーに貼ってみました。

Ferrariのロゴはもう少し大きく出来たのですが、これ以上大きくすると下の文字が入らなくなってしまう為、この辺が限界だと思います。下の文字の上辺は「谷のプレスライン」ギリギリの位置となっています。

実は先にこの小さい文字が入る場所の高さを測っていて、いざPCでデータを作っていると「ここにこの文字は到底収まらないんじゃ・・・」と思っていたのですが、何と幸運な事に「y」の下の部分が丁度出っ張った部分に収まりました。これはもはや奇跡です。

下から見ると小さい文字はアールに差し掛かっているのですが、これはもう仕方ないと思います。平面だけに収めるとなると今の文字の半分以下のサイズにしなければならなく、もはや違うデザインになってしまいますので…。

ただ言われなければ判らないレベルで、私的にはこのサイズが丁度良い塩梅と思われます。

どうぞご確認の程宜しくお願い致します!

F50ブレンボキャリパー ロゴデータ作成

先日お預かりしておりましたF50ブレンボキャリパーです。

本作業の前に、色のサンプルを採っておく事にしました。

以前8ポッドの新品キャリパーをお預かりした時に作成した色見本が画面右側の物で、ただ今回のF50のキャリパーで見るとちょっと赤(青)が濃いように感じます。

と言う事で今回新たに見つけたのが左側の見本の色で、以前の右側の色に比べると朱色(黄)が強く明度も少し高くなっています。次回F50のキャリパーで塗装依頼が来たらこちらを採用してみようと思います。尚、今回のF50のキャリパーはイエロー(フェラーリ純正色のGIALLO MODENA)への塗装なのでこちらは関係ありません。

そしてここからが本番で、まず実作業(現場作業)の前にロゴデータを作成します。

元々bremboのロゴがありますが、今回はここをかなり変えます。

サンプルとして頂いた画像がこちらで、これを基に「Ferrari」のロゴを作成、またその下にある文字を「brembo brake system」として新たに作成します。

bremboのフォントについては参考画像を頂いておりまして、それを基にデータを作っていきます。ちなみにこの画像はJPEGで、恐らくこちらのページで紹介している物と同じ物だと思います。

尚、こちらの画像はJPEG(ラスター画像)なので、塗装用のマスキングシートとして使うにはベクトルデータに変換しなければなりません。なのでまずはこれをライブトレースで輪郭を抽出します。

Illustratorを使う方なら判ると思いますが、JPEG画像をベクトルデータに変えるのはそんなに簡単な話ではありません。

元のJPEG画像が畳一畳分くらいあれば小さくした時に誤魔化しは効きますが、今回程のサイズをライブトレースで変換すると上記のようにフニャフニャになってしまう為、ここから微調整が必要となります。

と言っても先ほどのフォントもオリジナルでは無いので、だったらという事で既存のbremboロゴから新たにフォントを作成していきます。

上の画像は「o」の文字に、「b」の縦棒と同じサイズの物を作成して重ねてパス化をすると、

こんな感じに「a」が出来ます。下のフニャフニャライブトレース物を修正するよりは断然こちらの方が早く正確です。

そして「k」も同じような感じで既存の「b」と「m」を利用して、

こんな感じで作っていきます。と言うかこういう作業、もうAIが勝手にやってくれる時代に来ていると思うのですが…。

こちらの「s」については元のフォントが酷過ぎるので、新たに似たようなフォントを見つけて太さやら長さやら隙間やら角度を調整して作りました。

続けてFerrariの文字も完成です。ちょっと判り難いのですが下には基の白いロゴがあって、それに合わせて黄色のロゴが重なっています。

ちなみにキャリパーのロゴは通常のFerrariのロゴと違って太字なのだそうでして、やはりこちらも今回新たに作成しています。簡単そうにやっていますが現場作業が終わってから夜な夜な作業して二日掛かりました…(そもそもこれが専門では無いのでして…)。

と言う訳で取り敢えず基となるベクトルデータが作成出来ましたので、次はこれを実際のキャリパーに合うよう配置やサイズを修正~決めていこうと思います。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!

F50ブレンボキャリパー塗装承ってます

 先日到着しておりましたbrembo F50キャリパー一式です。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

状態は新品で、一部オーナー様が加工されている個所もあります。

今回はロゴも新たに作成しますので後日イメージイラストを紹介する予定ですが、取り敢えず現時点での概要を紹介したいと思います。

・キャリパー本体色・・・・フェラーリ純正色のGIALLO MODENA

・「brembo brake system」の色・・・フェラーリ純正色「ロッソ・スクーデリア」

・ 「Ferrari」ロゴの色・・・黒

・「brembo brake system」の「s」の文字を修正

・各ロゴのサイズについて
「Ferrari」ロゴ(黒)・・・中央凸部に塗れるサイズいっぱいに(上下0.5~1mm空けるくらい)

brembo brake system」ロゴ(赤)・・・Ferrariロゴより1~2文字分出るくらい(メール添付画像参考)。
(横幅はセンターの「Ferrari」ロゴをベースに、中央凸部の下側に配置)

といった感じで、加工されている個所以外の下地処理に関してははいつも通りブレーキ専門の方にサンドブラストをお願いする予定です。


加工されている部位はキャリパー全面にあるフィン状の突起6か所で、まだ多少出っ張っていますのでこの後こちらでさらに研磨し、必要であればエポキシパテ、もしくはエポキシプライマー、またはウレタンサフェーサーを使って跡が判らないようにします。

色に関しては新たにイエローになりますが、丁度先日別件で塗装したブレンボキャリパーがあったので、今回のキャリパーの色と見比べてみました。奥の二つが当店で塗装した物です。

こちらの赤は以前ブレンボの8ポッドの新品キャリパーから採取した色ですが、今回のF50キャリパーの赤と比べると若干黒い(青く濁りがある)ように見受けられます。

この辺の色ブレは普通の事なので、折角の機会なので時間があればこちらの色もうちの配合データとして今後活用出来るように採取しておきたい思います。ブレンボの塗装はどうしても色焼けしてしまうので、本来の色が見れるのは新品時だけですからね。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!