NBロードスターヘッドカバー 凹み文字部マスク型作成

 先日よりお預かりしておりますNBロードスターのヘッドカバーとカローラフィールダーのヘッドカバーです。どちら新品で、全体的に油分が凄かったので一旦シンナーで洗い流して脱脂洗浄をしてあります。

ヘッドカバー本体はどちらも「結晶塗装」なのですが、こちらのロードスターの凹み文字部には結晶塗装は塗らず、ヘッドカバー上部に着く可変バルブ機構と共に艶消しのシルバーで承っています。

今までは凹み文字も含めて全体に結晶塗装を施していましたが、今回はこの凹み文字部には結晶塗装をしないという事で一気に難易度が上がります。

 と言う事で考えたのが以前フェラーリのリモコンキーの跳ね馬部分のマスキングで使った熱可塑性の樹脂で、熱湯に浸けて柔らかくした物を、

 こんな風に凹み文字部に埋めます。予想通り上手くは行きました。

が!

 結晶塗装は塗装直後に140℃程の熱を掛ける為、それを想定してドライヤーで熱を掛けてみると、やはりと言うか100℃くらいでフチが丸まって来てしまいます。これだと結晶塗装が隙間に入り込んで取り返しのつかない事態に成り兼ねません(まあ大体予想はしていましたが)。

 と言う訳でB案です。

凹み文字部の周りをマスキングし、

 文字の窪みに離型剤を塗ります。

そしてポリパテを押し込むようにして窪みに充填し、

 固まったら表面を削ります。

ただこのパテが予想以上に食いついてしまった為(そう言う特徴のパテな為)、一つ一つを取り出すのに一苦労でした。

 なのでこちらは削る前に一旦外して取れ易いようにし、再び元の位置に戻して削る事にしました。

 その後削って隙間にエアーを入れるとパカっと外れます。

と言う訳でこんな感じでマスク型が出来ました。

ただ取り外す時にエアーブローの勢い余って「-」(ハイフン)が飛んで行ってしまい、探しても見つからなそうなので

こちらだけ再度作り直す事にしました。

同じようなミスはしないよう、先に一旦外して元に戻してから削ろうと思います。

また出来上がったマスク型はそのままだとピッタリ過ぎてまた抜けなくなってしまう為、少し周りを削って入り易く&取り易いようにしておく予定です。

ロードスターのヘッドカバーは凹み文字部に離型剤を塗ってしまったので、もう一度シンナーで洗い流すようにして脱脂清掃をしておく予定です。

どうぞもう少々お待ちくださいませ!

NBロードスターヘッドカバー結晶塗装承ってます

先日到着しておりましたNBロードスターのヘッドカバーとそれに着く可変バルブ機構のパーツです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

ご依頼内容は、本体を以下ページにあるような鮮やかな赤の結晶塗装に、

ロードスターヘッドカバー 結晶塗装 完成

そして可変バルブ機構のパーツはパイプ以外の部位を艶消しのシルバー(クリアーを塗らない【激安コース】仕様)で承っております。

以下ページに同型部品の施工例がありますので宜しければご参照くださいませ。

NB2 Roadster Engine cover

 さらに今回は凹み文字部分の塗装もご依頼頂いておりまして、通常こちらは結晶塗装後に上から色を重ねますが、今回は先ほどの可変バルブ機構のパーツと同じくアルミ素地にシルバー(同じくクリアーを塗らない艶消し)を塗装します。勿論その間にはリン酸処理とプライマーの塗装を行います。

凹み文字のマスキングについては一応検討をつけていて、以前フェラーリのキーカバーで行った熱可塑性樹脂を埋め込む方法で挑んでみようと思います。

以下ページに作業詳細を紹介しておりますので宜しければご参照くださいませ。

http://pro-fit.ne.jp/wordpress2013/wordpress/2017/07/13/%E5%87%B9%E3%81%BF%E9%83%A8%E3%81%AE%E3%83%9E%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%B3%E3%82%B0/

ただし結晶塗装の場合は塗装直後に140℃程の熱を掛ける為、80℃程で変形する樹脂粘土が果たして耐えられるか、と言う点が少し心配でもあります。

もしくは凹み文字部に離型剤を塗って液状の樹脂をそのまま流し込む→固まったら取り外してそれをマスク型に使うと言う方法も出来るのでは?、と考えています。固まると数パーセントの収縮率があるリゴラックなら多分丁度良いと思うのですよね。何にしてもまずは先にそれらのテストを行いたいと思います。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

MAZDA MX-5 Engine Cover

マツダNBロードスターのヘッドカバーです。

こちらのオーナー様からは以前にも同型のヘッドカバーをご依頼頂いていましたが、今回はその時とは違う色と、また凹み文字を凸文字にする加工を承りました。

 上段の「DOHC 16-VALVE」については凹み文字を埋めてフラットにし、下段の「MAZDA」の部分を凸文字に改造します。

 数日間アルカリ洗浄液に浸け置きして全体の油分を除去し、サンドブラストを掛けます。

 アルミ表面にあった腐食を取り除きました。

 リン酸処理を行い、凹み文字の周りを削って一段低くしておきます。

 まずは軽量エポキシパテを使って凹みを埋めます。

主剤にポリメタクリル酸メチルを使い、密着性と超軽量を両立させたパテです。とても高く、硬化後は研ぎ難いので余り多用はされません。

 塗布後、完全硬化したら粗研ぎをし、

続けてエポキシ接着剤で巣穴を埋めます。こちらは3Mのパネルボンドですね。

そしてここからは凸文字の作成です。

凹み文字を石刷りの方法でトレースした物を、

 スキャナーで読み込んでIllustratorなるソフトでベクトルデータを作製し、

 レーザー加工機でMDF板をカットします。

 それを組み合わせて鋳造用の型を作製し、

 離型剤を塗って、

金属を加熱して溶かした物を、

 型に流し込みます。

 綺麗に出来ているように見えますが、仕事で使うとなるとちょっとした巣も気になる為、

何度も試行錯誤し、巣が出来易い箇所に湯道を作る事でそれも解消しました。

そして今度は出来上がった金属の塊を、

 クロスバイスとボール盤を使って簡易的なフライス加工のようにして表面を削ります。

裏表共に平滑に削り出しました。

 取り付ける箇所は曲面になっているので文字を研磨して形を合わせ、

 高強度に接着出来るエポキシ接着剤を使い、

 指定の位置に貼り付けます。食み出した余分はカッターの刃で削り落とします。

さらに指定の高さになるよう表面を削り落とします。

 そしていよいよ本塗りです。

 まずはプライマーを塗布し、

 色を作製します。

今回は日産風のドス黒い赤をベースにパウダーパールを入れてアクセントを加えます。

 結晶塗装用の塗料を塗布し、

 140℃程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

元々文字が凹んでいたとは判らないと思います。

 最後に凸文字部を面研して光らせたら完成です。

 しつこいですが、まさかこの凸文字が手作りだとは誰も判らないと思います。

 継ぎ目も隙間無く、またチヂレ目も綺麗にに並んでいると思います。

 さらにこの時はPRO_Fitオリジナルカーボンエンブレムを無料配布していて、そちらの装着も承りました。

 完成納品後、オーナー様から装着した画像も頂きました。

言われなければパールが入っているとは判りませんが、微妙な色変化が普通の赤とは違って面白いと思います。

NB2 Roadster Engine cover

road82 最近ようやくロードスターの種類が判って来たので、以前施工したNBロードスターのマイナーチェンジ後のヘッドカバーを結晶塗装した時の内容を纏めてみました。

road81 現状は新品なのでとても綺麗で、ただこの後アルミは酸化して全体が黒ずんできますから、ヘッドカバー本体と一緒に上部に着いている部品(可変バルブタイミング機構との事です)をシルバーの塗装でご依頼頂きました。

road80 パイプは塗りませんがステーなどの小物は塗装します。

road70最初の状態よりも汚くなったように見えますが、これは素地調整として使用するリン酸によってアルミの表面にリン酸被膜が出来た為です。

road71同じく上部に着いていた製品もリン酸処理を行い、よく洗浄して各部をマスキングしています。

road72まずはいつも通りプライマーを塗布します。

road76小物の部品にはベースコートのシルバーを塗布します。

road74ヘッドカバーの方はいつも通り結晶塗装を行います。

塗ったばかりの時は艶ありですが、この後150℃程度の熱を掛ける事によって結晶目が現れて来ます。

road77 そして完成です。

road79 アルミ無垢の状態では経年劣化で表面が酸化(錆)してしまいますが、塗装が施されていれば長年に渡ってそれを防ぐ事が出来ます。

road78これの他には上部に着いている部品を違う色の結晶塗装でご依頼頂いた案件があったり、凹み文字の内側を違う色に塗装したケースもあります。お好みでどうぞ。