RB26→RB28タイミングベルトカバー 凸文字加工

金属加工屋さんに頼んでいた切り文字が届きました。

初期の頃はこれを自分でアルミ板からカットして作っていたのですが、その後対応してくれる業者さんが見つかったので、今は纏めて御願いするようにしています。

ただそのままだと切り口にバリが残っているので、

ヤスリでそれらを均しつつ、元の凸文字と同じ様にテーパーをつける感じで断面を斜めに削っておきます。

接着面にはペーパーで無尽蔵に研磨傷をつけて足付け処理を行っていますが、切断面にそれを行うのは難しいので(研磨傷が一方向になりがちなので)、そういった箇所も密着性が良くなるよう、リン酸を使った化成処理を行っておきます。ペーパー掛けやサンドブラストが物理的な足付け処理だとすると、こちらは化学的な方法(エッチング)ですね。

同じく先日サンドブラストを行っておいたタイミングベルトカバーもリン酸処理をしておきました。

接着には構造用エポキシ接着剤=3Mオフホワイトを使います。エポキシ系の接着剤は耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性において最も優れている物ですが、さらにそれらの中でも耐衝撃性と耐疲労性を高めるために強化された製品です。

貼り付けるだけなら少量でも構わないのですが、防錆も兼ねて全面にタップリ塗っておきます。

位置を決めたら、

それがズレないようにマスキングをして固定し、このままの状態で60℃30分程の熱を掛けます。

フチには溢れる程接着剤が食み出ているので、裏側にはしっかり接着剤が行き渡っているのが判るかと思います。

このまま冷えると固くなって歯が立たなくなってしまうので、

熱々で柔らかい内にカッターとピックツールで食み出た部分を除去しておきます。

ちなみに凸文字がある面は緩やかにカーブしていて、カットしたアルミ板をそのまま貼ると斜めの方向を向いた状態になります。

なので真っ直ぐに研ぐと8の右側と左側とでは厚みが違うようになります。その辺も意識して研ぐと無用に削り過ぎなく済みます。

この後はウレタンサーフェサーを塗って全体のライン出しを行いますが、

その前にフチにエポキシサフェーサーを塗り、さらに継目が自然な感じになるようにしておきます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

RB26→RB28タイミングベルトカバー 素地調整

先日より溶剤槽に浸けて旧塗膜を剥離しておいたスカイラインGT-R RB26エンジン用タイミングベルトカバーです。まだ塗膜は残っていますが、後はサンドブラストで除去出来る程度なのでこの時点ではこれでOKです。

今回はこの「6」の 凸文字を「8」に変更するよう承っていますので、

まずは砥石を使ったグラインダーで粗研ぎし、

その後#120のシングルサンダーで平滑に削り落とします。

ただそのままだと表面は凸凹としているので、固い当て板を使って#120でライン出しを行っておきます。このタイミングベルトカバーに使われているアルミは比較的柔らかい種類なので手研ぎでも簡単に研げます(逆に固いのは日産のFJ20エンジンパーツのアルミですね)。

その後ブラストボックスに入れ、

サンドブラストを行います。

裏側も同様に、

ワイヤーブラシでは擦り難い箇所も綺麗に落としておきます。

この後はリン酸処理を行い、新たに作成した「8」を貼り付けます。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

浸け置き洗浄~剥離

昨年の暮れにお預かりしておりましたスカイラインGT-R RB26エンジン用タイミングベルトカバーです。その後アルカリ洗浄槽に浸け置きをしておきました。

元々艶消しの黒に塗られていて、剥がれたその下から純正のガンメタリックが見えます。元々の素地調整が悪く、またプライマーが塗っていない事もあってRB26のエンジンパーツは経年で腐食が出易い傾向にあり、現在は新品でも塗装前にはサンドブラストを推奨しています。

シーラーを切り取り、この後は溶剤槽に浸け置きします。

こちらは同じくらいの時期にお預かりしておりましたトヨタセリカXXのヘッドカバです。先に溶剤槽に浸け置きしておいたので、入れ替わりで剥離作業を行っています。窪んだ所の塗膜は取れ難いので、もう少し浸け置きして剥がれ易くしておこうと思います。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

RB26→RB28タイミングベルトカバー凸文字加工&塗装 完成

先日本塗りを終えていた日産R34GT-R用RB26エンジンタイミングベルトカバーです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、見本としてお預かりしたプラグカラーに合わせて確認しました。実際に見るまではどうしても心配でしたが、色は問題無いようで安心しました。

最後に塗装前に剥がしておいたシーラーを取り付けます。

シーラーはシリコーン製なので、同じ性質の接着剤(カーコーク)を使って接着します。

シーラーが浮かないようマスキングテープで固定し、接着剤が固まるまで数日寝かします。

そして完成です。お待たせしました!

最初の状態も紹介します。

元々はこの様に艶消し黒に塗られていた物を、

既存の塗膜を剥がし、サンドブラストで素地調整を行い、「6」の部分を削り落として新たに「8」を取り付け、サフェーサーで下地を整えてから上塗りを行いました。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

色は日産純正色「アルティメイトシャイニーオレンジ」(カラーコード:EBG)で、

測色機を使って得た配合データを基に、2時間程の調色作業(有料)を行いました。

凸文字部分はベースコート塗装後に研磨してアルミ地を光らせ、

最後に一緒にクリアーをコートしています。

「8」は単に貼っただけでは無くフチ周りの処理もしているので、粗を探そうと思って良く見ても、

後から貼り付けたとは思えないような仕上がりに出来ているかと思います。

今回のアルティメイトシャイニーオレンジはオレンジ系着色メタリック(MIX895)が多く使われている為、

光に当たるとそのギラツキ感が強く現れます。

元の凸凹した箇所は、サーフェサーの塗布~研磨でラインを整えています。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

RB26→RB28タイミングベルトカバー 本塗り

先日調色作業を行い、さらにその前にサーフェサーを塗っておいた日産GT-R用RB26エンジンタイミングベルトカバーです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗っておきました。

まずは#320→#400を使って空研ぎします。こちらのパーツは平面部分が結構凸凹している為、このサフェ研ぎの段階でこれらを整えておくようにしています。そもそも「6」を「8」に換えるだけならそんなに難しくは無く(削って貼るだけですので)、それ以外の部分に手間と時間が掛かっていたりします。

粗研ぎが終わったら再び全体にガイドコートを行い、今度は#600→#800で水研ぎを行います。特に時間が掛かるのが凸文字周りで、文字の隙間には普通の当て板は使えませんから、厚さ1.5~3.0mmのアクリル板を当て板に使って研ぎ作業を行っています。

最後に#1500と布状研磨副資材(アシレックスレモン)でペーパー目を均し、フチなど下地が出易い箇所の足付け処理を行います。

「RB28」の凸文字部分は後でまた研磨するので、この時点では#120の粗研ぎに留めています。

台にセットし、よく脱脂清掃をしたら本塗り開始です。

研ぎ作業ではどうしても角の部分で金属素地が露出してしまうので、

こういった箇所には、

プライマーを塗布しておきます。

プライマーは全体に塗る場合もありますが、今回のように平面メインの物であれば下地が出ている箇所は判り易いので、スポット塗り=部分的な塗装に留めています。塗って悪い物では無いですが、コート数が増えればそれが艶引けの原因となったりするので、無用な事は極力減らしたい感じですね。

まずは裏返して、

ここはいつも通りベースコートの黒を塗布します。

マスキングをしたら元に戻し、

まずは下色として、隠ぺい力の高い無機物系顔料(STANDOX原色だとMIX567で、鉛丹やベンガラ等が含有された原色)を使って、明度差が少ない似たようなオレンジゴールドで下地を隠ぺいします。

続けて配合データ通りに作った日産純正色「アルティメイトシャイニーオレンジ」(カラーコード:EBG)を2コート程塗り、最後に調色済みの同色を同じく2コート程塗布します。

ベースコートをよく乾燥させたら、凸文字を研磨してアルミ地を光らせます。

小さい面積ですが金属の研磨は傷が残り易いので、#120→#180→#240→#320→#400→#500→#800→#1300と番手を小刻みに、またこれらは全て新品のペーパーを使って研磨しています。

アルミ地が光ったらマスキングを剥がし、タッククロス(粘着剤が塗布された不織布)とエアーブローで研ぎ粉をしっかり除去します。

アルミ地が露出した箇所に密着剤を塗布し、最後にクリアーを塗って本塗り完了です。お待たせしました!

クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。

単に塗っただけとサフェで下地を整えている塗装とでは、全然違った仕上がりに感じられるかと思います。

新たに取り付けた「8」は、特にフチの処理に気を遣っていますので、

これだけを後から貼り付けたとは感じられないと思います。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!