NISSAN S20ヘッドカバー塗装承ってます

先日到着しておりました、日産スカイラインGT-R(KPGC10)のS20ヘッドカバーです。この度もご贔屓頂き有難う御座います!

ご依頼内容は結晶塗装では無く艶々の仕上げで、色はスバルの「ダークグレー」(カラーコード:61K)、またクリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーへの変更で承っております。

尚こちらは業者様からの御依頼で、以前も何度か同じような内容でご依頼を頂いておりますのでそちらも紹介をさせて頂きますね。

NISSAN GT-R(KPGC10) S20 Engine Cover

この形状でサフェーサーを研ぐ作業は非常に大変で、一時腕が上がらなくなってしまったのでお受付を中止させて頂いていたのですが、その後通勤を徒歩に切り替えてからは身体の調子も良くなり、今回のお受付に至っております。

 状態としては新品時の塗装では無く後からグレーの半艶か何かで塗られているようです。

 パッと見は塗装は剥がれていないのですが、点々とした所からアルミの素地が見えています。

こういった状況になっていると実は塗膜は既に密着していなく、自然に剥がれていくのは時間の問題です。現状でも爪で擦ったりテープを貼ったりすると塗膜は簡単に剥がれます。

恐らくはアルミ素地に直接焼き付け塗装か、密着剤を使ってそのまま上塗り塗装を行われているように見受けられます。プライマーが塗られている形跡が見られません。

メッキパーツに密着剤を使って塗った場合もこれと同じような事が良く起きていて、最初の数年は大丈夫なのですが、経年劣化でその効力が低下するとこのような感じで塗装が剥がれてきます。

一旦剥がれかかった塗膜は、全部綺麗に剥がさないと再塗装をしても無意味で(と言うか対処のしようがありません)、今回のように金属製品であれば溶剤やサンドブラストを使った処理が出来ますが、素材がプラスチックだとそれらの作業は難しくなります。手作業でペーパー掛けをすれば何とかなりますが、大抵の場合は新品部品が何個も買えてしまうので現実的ではありません。

ただ何も塗っていなかった場合に比べれば腐食自体は少ないでしょうから、その点では幸いだったと思います(逆を言えばそれだけですが・・・)。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!

NISSAN GT-R(KPGC10) S20 Engine Cover

s2050いつもの業者様からご依頼を頂いておりました日産スカイラインGT-R(KPGC10)のS20ヘッドカバーです。かなり時間が掛かりましたが本日ようやく完成~発送となりました。掲載のご承諾頂きましたので紹介させて頂きます。

s2051 状態としては塗装の剥がれなどは無かったのですが、どうも結晶目が細か過ぎる為か少々地味な仕上がりです。

S2079色については事前に色見本帳をお送りしていて、今回は結晶塗装では無くこちらのホンダブラックアメジストパール(カラーコード:RP37P)の艶々仕様で承りました。

s2052 まずはいつものように溶剤槽に浸け置きして塗装を剥がします。

s2053 その後リン酸を使って被塗面に化成処理を施し、よく洗浄したらマスキングをします。

s2054 まずはプライマーを塗布します。

s2055 続けてサフェーサーを塗布し、一旦ここで熱を掛けて塗膜を完全硬化させます。

s2056 ヘッドカバーのような鋳造製品は一見綺麗に見えても素地が粗く、それらを平滑にする為にサフェーサーを充填して研磨して下地を作ります。ただしヘッドカバー表面は造形が複雑でとても研ぎ難く、また完全硬化した2液ウレタンサフェーサーは簡単には削れませんので、最初は#320から始め、#400→#600→#800といった順番で研ぎ付けます。

s2057#320→#400の空研ぎが終わった状態です。

s2058 ここで一旦アルミ素地を露出させる凸部の面研をある程度まで終わらせておきます。

s2059 その後サフェーサーのペーパー目を均す為、#600→#800で水研ぎを行います。

s2060 ようやく下地が出来ました。

ちなみに結晶塗装であればその特性からしてこういった下地処理をしなくても製品の粗を目立たなくする事が出来ます。

また単に艶が出るだけで良ければサフェーサーの塗装も必要無く、ただし素地の粗はそのまま残り、艶が出るとむしろそれが目立って非常に気持ちの悪い仕上がりになります。

s2061 サフェ研ぎの際に素地のアルミが露出した個所もあるので、再度全体に薄くプライマーを塗布します。

s2062 続けてベースコートの黒を塗ります。これは下塗りとしての役目と下地の粗探しとしての為で、これによってペーパー研ぎスジなどが露呈した箇所を再度研いで修正しています。

s2063 そして本塗り用のベースコートを塗布します。

s2064 フィンの部分に貼ってあったマスキングテープを剥がし、凸部の最終仕上げです。

s2065 凸部を#240→#320→#400で研磨し、最終#800で仕上げて光らせます。

s2066 アルミ素地が露出した個所に密着剤を塗布し、クリアーを塗って本塗り完了です。

s2067表面は当然ですが、プラグホールの内側も艶々です。

s2068その後熱を掛けて塗膜を完全硬化させたら完成です。

s2069暗い所で見ると黒にしか見えませんが、光に当たるとパールが輝いて紫色に見えます。

s2070s2071s2072s2073こちらは室内の照明下で撮影した物です。

s2074s2077s2075この度も当店をご利用頂き誠に有難うございました!

NISSAN S20ヘッドカバー塗装 完成

s2040 大変お待たせしました!日産スカイラインGT-R(KPGC10)のS20ヘッドカバーはブルーメタリックパールの艶々仕様で完成となります。最初の状態も紹介しますね。

s2021元々の状態もオリジナルの塗装では無く、グレーメタリックの艶消し仕様になっていました。これを剥離して、サフェーサーで形を整えてから塗り直しています。

s2041凸部は面研して光らせ、全体にクリアーで覆っています。

s2042 最初はこのヘッドカバーにブルーメタリック(パール)はどうかと思ったのですが、なるほど非常に格好良いです。全くレトロな感じがしません・・・。

s2043以前の塗装では凸部の研ぎ方がちょっと悪かったようですが、今回かなりしっかり研いでいるので変な歪みも感じられなくなったと思います(と言っても普通は気にならないレベルだったかも知れませんが・・・)。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度もご贔屓頂きありがとう御座いました!

NISSAN S20ヘッドカバー 本塗り

s2033 先日下準備を終えていたスカイラインGT-R(KPGC10)のS20ヘッドカバーです。今回は結晶塗装では無く艶々の仕様で承っておりますので塗装方法もいつもと少し違います。

現状としては「プライマー→サフェーサー→研ぎ→プライマー→凸部面研」までの作業が終わっていて、よく脱脂洗浄をしたらフィンの部分を適当にマスキングしておきます。ここは後で研ぎ出すのでそのままでも構わないのですが、予めマスキングテープ貼っておく手間と、そのまま塗って研ぐ手間を比べると前者の方が楽なのでこうしています。本塗り中の作業は極力減らしたいですしね。

s2034 一旦こんな感じでベースコートを塗布します。色はオーナー様(元請様)よりご指定頂いた、比較的濃い目のブルーメタリックです。

s2036 ベースコートを十分に乾かしてテープフリーな状態になったら面研する凸部の周りをマスキングします。ある程度の研ぎは完了しているので後は細かい番手(#400~)からですから、ガムテープでは無くマスキングテープだけで大丈夫です。

s2037 いつものように研ぎ終わったら、全体をよくエアーブローをして研ぎ粉を飛ばします。

が、こういった粉は意外としつこくて、単にエアーブローをしただけでは取り切れませんから、この場合は場合はタッククロスを使って綺麗に掃除します。これは塗面をクリーニングさせる為の物で、不織布(ホコリの出ない繊維)に粘着剤が塗布されたような専用の物です。使い方を間違えるとスジとかが出てしまいますが(判りますよね)、これも塗装作業には無くてはならないアイテムです。

各メーカーで微妙に(と言うかかなり)具合が違うので、自分のスタイルに合った物を見つけ出すのが一般的かと思います(画像のはDUPONTのです)。

s2038 アルミ素地が露出した箇所には密着剤を塗布し(もうそれ以外方法がありませんので)、全体にクリアーを塗って本塗り完了です。

s2039クリアーを塗る順番はケースバイケースで、目立たない箇所から最初に塗る場合と、一番目立つ所から塗って最後に重ねる場合があって、今回の場合は装着されれば確実に見えないプラグホールの穴から最初に塗っています。と言ってもそこもテロテロに仕上がっていますのでご安心ください。

自動車の補修塗装は「新車肌の再現」がメインとなるので塗れば良いという訳では無く、場合によってはわざと肌を荒らして後で磨きで肌を作るという事もあります。また敢えてチームな材料(塗料)を使って輝きを減らすなんて事もあります。古い車のレストアなんかはそうですよね。

今の小物の塗装は単に美しくあればそれで良いので(これは楽しいです)、クリアーは親の仇並に塗って、もうまさに垂れる寸前!(と言うか時々垂れます)と言うところまで塗り込むのが普通になっています。

ただしこれは膜厚を付けると言うのとはちょっと違っていて(専門的な話になってすいません)、例えば車体を塗る場合であればSATAのような高いエアーを掛けてガツンとぶつけて肌を作る塗り方が私的に理想だと思うのですが(当時3.4キロでした)、今の小物の塗り方はエアー圧を下げて、またクリアーは低圧ガンを使って、とにかくスプレーガンから出たクリアーの溶剤分を如何に揮発させずに塗面に到達させるか!と言う事に重きを置いています。溶剤分が残っていれば塗装面はみるみるレベリングしてくれるので、膜厚自体は薄くても肌が伸びてくれる、と言う算段です(あくまでもイメージですが)。
SATAの低圧ガン(NR)を使ってベースコートを塗っている方なら多分判ると思うのですが、塗った直後はダマダマなのに、徐々に伸びていつの間にか綺麗にメタリックが並んでいる!と言うアレと同じ様な感じです。昔は如何に微粒子化すればよいのかと考えていましたが、あの塗り方を知るとまさに目から鱗ですよね。
ただしこれはクリアーを延ばす為の方法なので車の新車肌とは違いますから自補修には当て嵌まりませんのでご注意くださいませ。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。もう少々お待ちくださいませ!

NISSAN S20ヘッドカバー 下準備

s2027 先日プライマー&サフェーサーの塗布が完了していたスカイラインGT-R(KPGC10)のS20ヘッドカバーです。今回は結晶塗装では無く「艶々仕上げ」で承っていますので、下地は通常の塗装と同じく「研磨→プライマー塗布→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」といった工程を行います。

黒い点々は研ぎ忘れ防止の為のガイドコートで、缶スプレーの塗料が無くなる寸前だったので塗り方が汚いですが、まあこれは全体的に飛んでいればOKなので問題ありません。

s2028平面は側面くらいしかないので、とにかく小さく切ったペーパーを使って角を立てないように注意して研ぎます。文字の隙間も勿論きっちり平らに研いでいきます。

深い傷は入れなく無いので本当は細かいペーパーで研ぎたいのですが#600くらいでは歯が立たないので#320から始めています。

s2029 超ハイペースで作業して3時間くらいで完了です。ただこれでも昔に比べると研磨作業用の副資材や石(研磨粒子)の質が良くなったので全然楽になりました。水研ぎがメインの時代だったら8時間くらいは掛かっていたのではないでしょうか…。

s2030角などアルミ素地が露出している箇所があるので再度全体にプライマーを塗っておきます。いつもならばこれは本塗り直前に行うのですが、今回は本塗りの途中で凸部を面研して光らせなければならないのでちょっと変則的な工程にしています。今度は穴だけをマスキングして、凸部には一緒にプライマーを塗ってしまいます。

s2031こんな感じで丸々プライマーを塗りました。そしてここから凸部を研いでいつもの結晶塗装の仕上げ並みに光らせます。周りに傷が付いたらマズイのでペーパーが当たりそうな箇所はマスキングしておきます。

s2032今回のヘッドカバーは、以前の塗装の時にシングルサンダーを多用されたらしくて歪みが非常に強く、いつもは使わない#80から始めて#120のダブルアクションサンダーで粗研ぎを、その後は固い当て板を使って#120→#180→#240→#320→#400の空研ぎで光らせています。

さらにその後は布状の研磨副資材(アシレックス)を使ってさらに光沢を出しますが、今回はこの後の本塗りで一旦凸部にも色を塗る事になるので(文字の部分のマスキングは物理的に難しいので)、とりあえず凸部はこの状態で終わりとして、この後は全体を#800で足付けしておきます。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ちくださいませ!