日産S20ヘッドカバー塗装 完成

 大変お待たせしました!日産スカイラインGT-R(KPGC10)のS20ヘッドカバー塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

元々はグレーの半艶に再塗装されていた物を、

旧塗膜の剥離~サンドブラスト処理を行い、

「プライマー塗布→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」といった下地処理を行って下地を平滑にし、

 艶々の仕上りにしました。

 色は色はスバルの「ダークグレー」(カラーコード:61K)でご指定頂き、クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」への変更で承りました。

 ヘッドカバーの向きを反対に変えました。

 こういった部品の場合は「当時と同じ様に」といったご要望が多い気がしますが、これらのヘッドカバーが着く車両(ハコスカ)はそういった事を既にやりきってしまわれたようで、今回のように「艶々に」といったご依頼は結構多いです(ただし費用も大きくなるのでご依頼に至るケースは稀です)。

 原色の中では一番粗いメタリック(MIX598)が使われている為、近くで見るとメタリックの荒々しさを感じられます。

 艶が出ると粗が余計に目立つので、鋳造製品をそのまま塗ってもこのようには仕上りません。特にこの型のヘッドカバーはプラグホールとプラグホールとの間に「凹み」があって、それがそのまま残ると格好悪いです。

現在同じように、ランエボ(マグネシウム製)のヘッドカバーと、ランエボⅩの樹脂製ヘッドカバーも「艶々」でご依頼を頂いておりまして、マグ製の方は初のキャンディーピンク塗装で、こちらも業者様からのご承諾を頂けましたので後日紹介したいと思います。

それでは後程完成のお知らせメールを差し上げますね。この度も当店をご利用頂き誠に有難う御座いました!

S20ヘッドカバー 本塗り

 先日サフェ研ぎまでを終わらせておいた日産ハコスカ用のS20エンジンヘッドカバーです。最終脱脂処理を行い、いよいよ本塗りとなります。

 サフェ研ぎの際にはアルミ素地が露出している個所もあるので再びプライマーを塗布します。これは部分的にでも構わないのですが、サフェーサーの上に重なっても問題は無いので全体に塗ってしまいます。ただし肌を荒らすと仕上りに影響が出る為(艶引け)、全体に塗るのは1コートのみとしています。

最初は様子を見る為に適当なベースコート(今回はメルセデスのブルーブラック)を塗り、色が着く事で素地の粗が判りますから、そこからさらに研ぎ作業を行います。ここからが結構長い作業となります(今回で2時間程)。

 研ぎ痕などを除去したら、ご指定頂いた塗色(スバル「ダークグレー」61K)を塗りベースコートが完了です。

 ベースコートを十分に乾燥させたら凸部の周りをマスキングし、研磨します。

 番手は#240から始め、最終#1300相当で仕上げます。

 アルミ素地を光らせる際にはペーパーは新しい物を使う必要がある為(パテや塗装の研ぎと違って傷が残り易いのです)、本塗り中にも関わらず色々と物が溢れます。

 研磨した際の研ぎ粉はエアーブローだけでは落ちないので、タッククロス(不織布に粘着剤が塗布された塗装作業専用の物)を併用して塗装面をクリーニングし、アルミ素地が露出した個所には密着剤を塗って、最後にクリアーを2コート塗ったら本塗り完了です。お待たせしました!

 アルミ素地の個所は塗装後に研磨して光らせるという方法でも良いのですが、腐食して曇っていくなら多少でもそれを遅らせられればと言う事でクリアーを塗っています。クリアー自体に防錆効果はありませんのでご注意下さい。

この後は一晩以上自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を強制乾燥させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせていただきますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

日産S20ヘッドカバー サフェ研ぎ

 先日粗研ぎまでを行っていた日産ハコスカ用のS20エンジンヘッドカバーです。その後#320~#800相当の布状研磨副資材(アシレックススカイ~レモン)を使い、空研ぎ#400のペーパー目を除去しておきました。

サフェ研ぎ完了後、凸部の周りをマスキングし、最初はダブルアクションサンダー#120でフィンと文字の天面を粗研ぎし、

 その後当て板を使って手研ぎします。

 凸部はクリアーを塗る前にも研ぎ出すので、ここでは#240までの仕上げとしておきます。

一日中サフェ研ぎをすると腕が痛くて上がらなくなり、深爪もひどいので、数日に分けてここまで仕上げました。

よく脱脂清掃し、フィンの天面を適当にマスキングしておきます。どの道ベースコート塗装後にはペーパーで研ぎ出しますが、テープを貼る手間とどちらが楽か(またリスクが少ないか)を考えるとこの方が、と言う感じです。ベースコートはそれ単体だとペーパーに絡みやすいですしね(STANDOXは良い方で、DUPONTのセンタリ6000とか最悪では無いでしょうか)。

それではまた作業進行しましたら紹介させて頂きますね。次はいよいよ本塗りです!

NISSAN S20ヘッドカバー サフェ研ぎ

 先日プライマー&サフェーサーを塗布していた日産ハコスカ用のS20エンジンヘッドカバーです。フィンの部分はマスキングをしておいたので、それを剥がしてアルミ素地が露出した状態となります。全体にはガイドコートとして黒をパラパラとドライコートで塗ってあります。

 平面を研ぐのは難しいのですが、こういった歪な形状を、しかも見た目以上に粗の多い鋳造製品を研ぐのはかなり大変です。

 下手に手研ぎをすると素地の凸凹がそのまま残ってしまったりするので、最初は硬い当て板と#320~#400のペーパーを使って、平行四辺形を描くような動きでひたすらネチネチと研ぎます。

 また同じ動きをするとそこだけ掘ってしまうので、違う方向から違う動きでサフェを研ぐ必要があります。ちなみに2液のサフェ(特に外資系)は硬いので最初から#600とかでは歯が立ちません(サフェの塗り肌が残ってしまう程です)。

と言う訳で一日掛かりで粗研ぎが概ね完了し、この後は後日目消しの作業となります(と言うか深爪でこれ以上作業が出来ないという・・・)。

作業進行しましたらまた紹介をさせていただきますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

NISSAN S20ヘッドカバー 下準備

 先日お預りしておりました日産スカイラインGT-R(KPGC10)のS20ヘッドカバーです。作業が遅れておりますがサフェ入れまで完了しておりますのでご安心下さいませ。

お預りしてからはアルカリ洗浄槽に数日浸けて油分を洗浄し、その後溶剤槽に浸け置きをして旧塗膜を剥がしています。今回は元々塗られていた塗膜の密着性が悪かった為、ワイヤーブラシ等を使わずともそのままズルっと剥がれてくれました。

尚、奥にあるのは別の業者様からご依頼頂いたインマニで、本件とは関係御座いません。

 素地の状態は悪く無かったのですが、念の為サンドブラスト処理(軽め)を行う事としまして、まずは裏側をマスキングしておきます。

 ブラストボックスに入れ、

 全体にサンドブラストを当てます。

ちなみにこちらのヘッドカバーは昔からご贔屓頂いている業者様からの御依頼なのですが、先日「塗装済み品」のヘッドカバーを購入したら色々と酷かったらしく、やはり中身が判らない物は駄目だと言う事でした。いくらサンドブラスト済みと言っても、元々あった酷い腐食を綺麗に取り除いてくれているという訳では無いので、残念ではありますがこの辺は裏を読まないと駄目なのかも知れません。

 その後全体を洗浄し、リン酸処理を行っています。

ここまでの作業の流れとしては、「アルカリ洗浄液浸け置き→洗浄→溶剤槽浸け置き→洗浄→サンドブラスト→洗浄→リン酸処理→洗浄」と、各工程毎に洗浄作業も行っているので乾燥も入れると結構時間が掛かっています。

 そして全体にプライマーを塗り、

さらにサフェーサーを7~8コート程塗り重ねます。

今回は結晶塗装では無く「艶々」でのご依頼で、こういった鋳造製品は特に粗が多い為、サフェーサーはかなりの膜厚を塗り込み、この後の研磨で素地を平滑に仕上げます。

ただ塗装屋さんなら判ると思いますが、この形状でのサフェ研ぎとなると、丸一日か、それ以上の時間が掛かるのでとても大変です。手研ぎでは綺麗なラインが出ませんので(と言うかそれではサフェの肌すら取れません)、これを全面当て板を使ってサフェを研ぐと言う・・・。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせていただきますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!