ハーレーエンブレム 下塗り

先日お預かりしておりましたハーレーのエンブレムです。

その後溶剤浸け置きで既存の塗膜を剥がしておきました。

こちらの製品は鉄に装飾クロムメッキが施されている物で(下地に銅メッキ)、そのまま塗装をしても塗膜は十分に密着しませんから、

足付け処理としてサンドブラストを行います。

ちなみにプラスチック(ABS樹脂)に装飾クロムメッキが施されている物にこのサンドブラストを行うとメッキが剥がれて浮いてしまうのでNGです。

裏側にもしっかり当てておきます。

被塗面が凸凹になる事でこの後に塗る塗料(プライマー)がしっかり密着してくれるようになります。ちなみにメッキの上にスモークを塗ると「ブラックメッキ風」になりますが、あの場合今回のような足付け処理が出来ない事になりますので、その場合はスプレー糊のような密着剤(私的にはプライマーとは呼べない)なる物頼りになり、ただこれだと点でななく「面」で抑えているだけなので十分に塗膜は密着はしていません。最初の頃は良いのですが、経年で密着剤の効果が下がるとペリペリと剥がれてくるので、当店では対応しないようにしています。

よく脱脂清掃し、

プライマーを塗布します。

表側が乾いたらひっくり返して裏側にもプライマーを塗り、

さらにベースコートの黒を塗っておきます。固定する際に隠れてしまう部分にプライマーのグレー色が残るのが嫌なのと、ベースコートをウェットに塗って肌を均しておき、最後に貼る両面テープがちゃんとくっつくようにですね。

ベースコートの黒が乾いたら芯棒に固定します。

塗装する際にはどうしても固定箇所が必要なので、その部分にプライマーが残らないようにしています(まあやらなくても良さそうですが…)。

そしてベースコートを塗布します。

今回の塗装(下塗り)では最終的に凸面の部分の色を塗っていて、こちらはトヨタ「グレーメタリック」(カラーコード:1G3)となります。

フチまでしっかり、裏側まで回り込むようにして塗布します。

完全隠蔽したら、

最後にクリアーを塗って下塗り完了です。

こういった形状で2色に塗り分ける場合、マスキングでの作業では現実的では無く(時間が掛かるのと仕上がりもそれに見合わない)、なので2回に塗装を別ける事でそれを表現します。

一度全体をクリアーで覆う事で簡単に下地が露出しない被膜が出来ますから、この後全体に黒を塗り、その表面を削り落とす(拭き取る)事で今回のグレーを露出させ、2トーンカラーを表現します。

模型などでは、エナメル塗料(フタル酸=ペンキのような強くない塗膜で、STANDOXの2Kエナメルとは全く違う塗料)を重ねて拭き取るような作業でこれを行いますが、それだと比較的弱い溶剤=ガソリン等で簡単に溶けてしまうので、今回のように屋外暴露下での使用は出来ませんからNGです。そもそも足付け処理無しで塗膜を重ねても全く密着しないので、これも実用する塗装(自動車車体補修塗装)では絶対にやってはいけない事の一つです。

この後は60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、再度全体を足付け処理してから黒の塗装となります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!