マツダアテンザ内装パーツ一式 本塗り

atenza94アテンザの内装パーツの殆どは「研磨→サフェーサー塗布→完全硬化→研磨」といった下地処理を行っていますが、こちらは梨地では無くツルツルした素地の上に「艶消し黒」が塗られた状態なので足付け処理のみで本塗りが可能です。両サイドに付いているスイッチも外すのは避けたかったのでこれは幸いでした(まず水研ぎは絶対出来ませんので)。

atenza100電子部品が着いたままなので裏側もしっかりマスキングしておきます。

時々「液晶モニター」の塗装でお問い合わせを頂くのですが、あれも裏側には熱を逃がす為にフィン上の隙間が設けられていますが、あれを分解しないまま塗るとなると内部に大量の塗料ミストが入るので故障や火災の原因に成りかねません。なので御依頼の再には分解して頂く事が前提なのですが、この辺でハードルが上がってしまうので中々御依頼には繋がらないんですよね。分解すると保障も効かなくなりますし・・・。

atenza93 そして本塗り準備完了です。先ほどのモニターパネルは現状「寝た状態」になっていますがこちらは「立てた状態」にも出来るようにしています。塗装した直後は立てた状態にして、ただ塗り終わった直後にスイッチ周りのマスキングを剥がしたいのでどちらでも安定するようにしています。

atenza95 これらは元々素地がザラザラとした梨地の状態で、それを平滑になるよう下地処理を行っています。一部素地のプラスチックが露出していますが本塗り前にプラスチックプライマーを塗布するので問題はありません。

atenza96 ベースコートはマツダの純正色「ジェットブラック」(カラーコード:41W))を3コート程度塗り、完全隠蔽したら続けてクリアーを塗って本塗り完了です。

atenza97 スプレーガンを用意するところまではかなりの時間が掛かっていますが、いざ塗り始めれば数時間以内で塗装は完了します。クリアーの塗装なんて20分程度しか掛かっていません(というかここは時間が経ってはマズイです)。

atenza98 スイッチ周りは多少隙間がありましたが、そこにクリアーが溜まって固まってしまうとマズイですのでマスキングは塗った直後に剥がしておきます。ちなみフチだけ6mmのテープで貼ってあるのでそこだけ簡単に剥がれるようになっています。この時点でクリアーはトロトロですからちょっとホコリが落ちただけでもくっ付いてしまいますので・・・。

atenza99メーターパネルは他の部品同様全体的に塗り終えていますが、こちらは中央に開いた穴の内側部分を「半艶黒」で承っておりますので、このクリアーが完全硬化後にここは改めて1コートソリッド(クリアー同様の2液ウレタン)の半艶黒で塗装する予定です。何故2コートでは無く1コートなのかは後日紹介させて頂きますね。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きます。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

アテンザ内装パーツ サフェ研ぎ

atenza90 先日サフェーサーが塗られていた各パーツは完全硬化後に研ぎ作業を行っております。こういった粉まみれになる作業は一旦始めると他の事が出来なくなるのでこれらも纏めて一気に行うようにしています。ただ室内からの換気(排気)が上手くいっているので思った以上に粉塵は舞わず、防塵マスクも殆ど装着しないでの作業でもさほど苦にはなりません(というのが間違いなんですけどね)。

2液のウレタンサフェーサーは硬化するとそれなりに堅いのでエアーツール(ダブルアクションサンダー)が使える平面的な箇所は出来る限りこれで研ぐようにします。番手は#320です。

atenza92ただこういった小さいパーツでは殆どが手作業で、こういった奥まった箇所も勿論綺麗に研ぎつけなければなりません。最初は#320で研ぐのでそれの目を消すために#400→#600→#800とこれら全て同じ箇所を研ぎつけます。指紋は意外と無くならないのですが爪はみるみるうちに減っていってしまいます。黒い点々は研ぐ前に塗っておく「ガイドコート」で、これが残っている箇所はまだ研いでいない部分となります。茶色いのはスポットパテで、これはラッカー系なので厚塗りは出来ませんが巣穴や窪みが残りそうな箇所には予め塗っておきます。研いで無くなってしまえばそれはそれで良いですし、ヤバイと思ってから塗るとさらに研がないといけませんから下地を露出させてしまう可能性が高くなるのです。

atenza91 空研ぎ#320の後は#600→#800を水研ぎで行います。空研ぎの#600も勿論ありますが、こちらだと目詰まりし易いので主に#600からは水研ぎがメインとなります。ただボンネットのように平面的で大きい面積の場合は#400&#600もダブルアクションサンダーで行った方が早くできるので、この辺はケースバイケースで対応していきます。

塗装の場合、毎日同じような仕事でもやり方がその日その日で全然変わったりするのが普通で、見習いの時点ではこれが大きな障害となります。「昨日はああ言っていたのに今日は全然違うじゃん」なんて思うのは毎日の事で、ただどうしてそうなのかを聞いたところで「今日はこの気分だからだ」で終了するので余り意味がありません。始めて半年くらいは自分が何をやっているのかよく判らないまま過ごし、その期間怒られない日は無かったと記憶しています。ただ幸いにして当時の私はまだ若かった事と(胃は丈夫でした)、5年勤めたら辞めて独立するのは最初から決めていたので何とか耐えられたのだと思います。まあそのお陰でネチネチとした下地作業も苦では無くなったのだと思いますし(笑)。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!

アテンザ内装パーツ一式 下準備

atenza84サフェーサーを塗る部品が溜まって来たのでこれらを纏めて塗れるように下地処理を行います。画像はアテンザのメーター周りのパネルで、こちらは「シボ模様」が激しく、これをツルツルにする為の下地処理が結構大変でした。

atenza85 素材は切削性の悪いPP(ポリプロピレン)なので#120でも歯が立たず、さらに粗い番手の#80に変更してダブルアクションダンサーで削ります。

atenza86 こちらはウィンドウスイッチパネルで、これらも素材はPPですがこちらはシボ模様では無く「梨地」なのでメーターフードほど大変ではありません(という程楽でもないのですがあちらがかなり大変だったのでちょっと麻痺しています)。

atenza87メーターフードは #80→#120→#180をダブルアクションサンダーで、その後#240を手研ぎで行います。同じところばかり当てていると摩擦熱で絡んでしまうので、極力熱が発生しないようにエアーを落としてペーパーを掛けていきます。

最後は足付け専用の副資材(画像にある青い布状の研磨剤)でフチまでしっかり研ぎつけ、最後に脱脂清掃をしたら素地調整が完了です。このメーターパネルの施工は今回が初めてですがこれは中々骨が折れました・・・。

atenza88u 内装部品は裏側にスポンジや布などが貼ってあったりもするのでそういった箇所は予めマスキングをしておきます。爪などの箇所についてはサフェーサーの時点ではマスキングをしていますが、本塗り時は見た目も考えて一緒に塗ってしまいます。布については接触面の傷付き防止の為に貼ってありますから最後まで塗装が付かないように、サフェ研ぎ後は清掃した後に貼り直しての本塗りとなります。

atenza89セッティングが終わったらよくエアーブローをし、全体に満遍なくプラスチックプライマーを塗布したら2液ウレタンサフェーサーを塗布します。ウィンドウスイッチパネルは成型時の歪み(凹み)が結構強いのでそれの研ぎ修正を想定してサフェーサーはしっかり塗り込んでおきます。今回はウェットで7コート塗っておきました。

何とかサフェ入れまでは完了しまして、ただ先に自転車ホイール等を塗る予定なのでこちらの本塗りはまだもう少し先になるかと思います。ちなみに今回画像に写っていないモニターパネルは下地処理が足付け処理のみですから、こちらは後日サフェ研ぎの時に一緒に行う予定です。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

アテンザ樹脂製エンジンカバー塗装 完成

atenza81大変お待たせしました!マツダアテンザの樹脂(プラスチック)製エンジンカバーは本日完成となります。

今回塗装したのはグリーンの部分で、中央のグレーの部分は当初からある樹脂の素地そのままです。グリーンはKawasakiバイクの定番でもあるライムグリーンとなります。エンジンルームでこういった色は中々見かけませんから塗っている時は少々不安ではありましたが、こうやって出来上がった物を見ると凄く良いと思います。グレーとの相性(面積比)が良いんでしょうね。

最初の状態も紹介します。atenza28元々はこんな感じで未塗装の樹脂素地そのままでした。

atenza82前方にあるロゴもこれがあるのと無いのではかなり違うと思います。色がシルバーなことも含めバランスが取れていますよね。

atenza83エンジンカバーの素材は不明なのですが、裏に付いている断熱材と溶着されていましたから恐らくはPP(ポリプロピレン)だと思います。こういったエンジンカバーには通常PA(ポリアミド)が使われますが今回の場合はちょっといつもとは違うような感じがしましたので。

ちなみにグリーンに塗った箇所の表面はザラザラとした梨地になっていて、通常そのまま塗装しても美しい仕上がりにはなりませんが、今回のような「艶消し」であればその辺りも目立たず「単に塗るだけ」といった仕様でもこのように見れる仕上がりになります。塗られている艶消しクリアーは通常使っている艶々のクリアーと同様の2液ウレタン(2:1)ですので耐久性(この場合は耐汚性ですか)も安心出来るかと思います。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度も御贔屓頂き有難う御座いました!

アテンザ内装パーツ 下準備

 

atenza76 アテンザのメーターパネルには人工皮革が付いていて、これがそのままだと下地処理の段階で汚れてしまいますから外しておく事にします。こちらはシボ模様が強いので下地作業ではかなり粉っぽくもなりますし、水研ぎもする予定ですのでさすがに付けたままではどうにもなりません。ただ付き方が嫌がらせと言うか何と言うか、皮のシートに開いた穴にメーターパネルから出た突起を通して溶かして固定しているんですよね。何かもっと他に良い方法があったような気がしないでも無いのですが・・・。

atenza77 人工皮革は決して丈夫ではないので無理に引っ張ると切れてしまいそうです。かといって熱に強い訳でも無さそうですから(少し触れるだけで裏地が焦げます)、半田ゴテは固定された箇所の中央を突いて固定している頭の部分を捥ぎ取る、といった感じですかね。いつまでも熱していると表側にまで熱が行ってしまうので(そんな事は無いと思いますが)、多少プラスチックが解けたらピンセットで摘み取ります。

atenza78 取り除いた物を見ると余りスマートには見えませんがこれはもう仕方ありません。ちなみにこちらは再利用はせず、固定する際は新たにABS樹脂棒を使って溶着しておきます。これを使う意味は特にありませんので。

atenza80そしてナビモニターパネルの上に付いているメッキモール?も取り外します。以前アテンザのカップホルダーの蓋を塗った時のイメージが残っていた為か、こちらはプラスチックの部品が刺さっているだけかと思いきや、凄く柔らかいゴム状のモールが両面テープで貼ってあるだけでいた。ただ無用に強力な両面テープで・・・(苦)。

atenza79無理に剥がそうとするとモールが千切れてしまいますので(そういうレベルです)、表裏からドライヤーを当てて熱を掛け、両面テープの粘着力が弱くなっているうちに隙間にヘラを差し込んでスライドさせていきます。余り曲げると今度は表面のメッキ?っぽいコーティングが割れてしまいそうなのです。

幸いにしてモールは綺麗に取れまして、両面テープも貼り直しておきましたから後は塗装後に貼り付ければOKです。今回は部品自体が新品?で、劣化は殆ど見当たりませんでしたから問題なかったですが、古くなった場合はちょっと怖いかも知れません。塗装屋さんは要チェックかと思います(出来れば避けた方が良いかも知れませんが・・・)。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!