ロータスエキシージヘッドカバー サフェ入れ

 先日エポキシパテ(実際は3Mの構造用エポキシ接着剤パネルボンド)でネジ穴を埋めておいたロータスエキシージのV6エンジンヘッドカバーです。

さらに低い部分に同エポキシ樹脂を盛り、60℃40分程の熱を掛けて完全硬化した後研ぎ付けました。奇跡的に目で見える巣穴はゼロだった為、予定通りエポキシの充填は2回で完了しました。

 その後全体を脱脂清掃し、各部をマスキングします。

今回のヘッドカバーは非常にネジ穴が多いのですが、先日纏め買いをしたM5のイモネジを使ったのでこれは比較的楽に出来ました。それにしても30個くらいは使ったでしょうか…。

 まずはウォッシュプライマーを塗り、

 続けてサフェーサーを塗布します。

サフェーサーは1コート毎に15分程のフラッシュオフタイム(コート間の乾燥時間)をとり、合計6コート塗りました。各コートともウェットに塗り込んでいる為かなりの膜厚になっていますが、フラッシュオフタイムをしっかりとって塗膜中に溶剤が籠るのを防ぎ、またこの後は一日置いてから熱を入れる事でブリスターやワキ(塗膜中の溶剤が抜ける時に出来る極小のピンホール)を防ぎます。

と言う訳で、ここまでは普通の作業なのですが、実はここからのサフェ研ぎ~本塗りまでがかなり大変な内容となります。

一応完成イメージと言う事で以前施工した艶あり仕上げのヘッドカバーを紹介しますね。

当店で紹介している艶あり仕上げのヘッドカバーが綺麗に見えるのは特段塗り方が上手いと言う訳では無く、単に下地処理に時間と手間を費やしているだけです。クリアーを厚塗りしても綺麗になると言う訳ではありません。

さらにはヘッドカバーのように形がイビツな物は塗装後に磨き処理が出来ないので、塗ったそのままで仕上がるのが前提で、それの為にはやはりしっかりとした下地が必要なのです。

しかし果たしてこれのサフェ研ぎをしようとする塗装屋さんがどれくらい居るか、もしくはそれにお金を出してくれる方がどれくらい居るか…と言う感じですかね。勿論今回はそれに関してのコストも計上させて頂いていますので、その作業にも十分時間が掛けられる訳です。非常にありがたい限りです。

それではまた作業進行しましたら紹介させて頂きます。尚こちらと一緒にメッキパーツにもサフェーサーを塗っていますので後程そちらも紹介させて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ロータスエキシージヘッドカバー 素地調整③

 先日に引き続き、ロータスエキシージのV6エンジンヘッドカバーです。

ネジ穴があった個所にイモネジを入れて穴を塞ぎ、さらにその上に構造用エポキシ接着剤を塗布しています。

 その後100℃くらいの熱を掛け、表面を研磨してみました。

穴の周りは周辺よりもかなりラインが低い為、もう一度パテ(実際は接着剤)を盛る事にしました。

 同じく3Mのパネルボンドです。今回はさらに盛りました。

 ちょっと判り難いのですが、ヘッドカバー全体にあった巣穴などにもパネルボンドを塗布しています。数にして10カ所くらいでしょうか。

接着剤は大抵少し余るので、一緒に使いたい(直したい)物などを準備しておいて序でに塗らせて貰います(多分業界の常です)。

こちらはいつも通勤時に使っているミニ三脚で、買う度に脚が折れるので今度は折れる前に周りを接着剤で固めておきました(笑)。

次回再び持ったエポキシを研ぎ付け、可能であればプライマー&サフェーサーの塗布に、巣穴が残ればもう一度パネルボンドを盛る予定です。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ロータスエキシージヘッドカバー 素地調整②

先日ある程度まで素地調整を行っていたロータスエキシージのV6エンジンヘッドカバーです。

ヘッドカバーには平面的な部分が殆ど無い為にサンダー等のエアーツールが使えず、一時作業を停止していました。

その後、塗装後のブツ取り用に使うサンダーを下地で使えるよう、レーザー加工機で専用のぺーパーを作成していました。

元々ペーパーの裏には糊が着いている為、そのままパッドに貼り付けられます。

パッド径が30ミリと極小の為、今までどのサンダーでも入らなかった場所の研磨が可能になりました。

オービットダイヤ(振動の振れ幅)が細かい為、アルミの梨地を削り落とす程では無いですが、隙間に残ったバリも取り除く事が出来ます。

それでも入らない所は多々ある為、ヘラにペーパーを貼り、最後は手研ぎで全面研磨します。

ようやく研磨作業の完了です。

この後リン酸処理を行って全体を綺麗に洗浄し、

穴を埋めるネジ山にプライマーを塗ったイモネジをしっかりと挿し込み、研磨した後に構造用エポキシ接着剤を塗ります。

この後熱を掛けて研磨しますが、恐らく巣穴が出来る為、もう一度同じエポキシ接着剤で埋めます。通常巣穴はポリパテ(もしくはラッカー)で埋めますが、ポリエステルは熱に弱いのでこういった場合には使いません(むしろウレタンの方が熱には強いです)。

それではまた作業進行しましたら紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ロータスエキシージヘッドカバー 素地調整

 先日アルカリ洗浄と作業前準備を終えていたロータスエキシージV6エンジンのヘッドカバーです。

 まずはご指定されている凸部を削ります。

 最初は#120のベルトサンダーで削り落とし、その後は先日F50ブレンボキャリパーでも紹介した小型のシングルアクションサンダーとロロック#120で均します。

 そう言えばイモネジも届いていました。

ネジの種類はM6で、サイズは長さが6ミリの物を3個入れて丁度良さそうな具合です。

どの道エポキシパテ(接着剤)を使うので穴ごと埋めてしまっても良いのですが、万が一後でこのネジ穴を使いたい!と言う時が来た時に使えるように残しておきたいと思った次第です(と言っても塗装を剥がさないと駄目なので使うにしても相当覚悟が要ると思いますが…)。

実際に埋める時には中にプライマーを塗って電位差による腐食(イオン化傾向)になるのも防いでおきます(酸素が供給されないので大丈夫だとは思いますが念の為と言う事で)。

 ちなみにV6エンジンの為、ヘッドカバーは二個あります。

 こちらもご指定の個所を削り落とします。

 最初はこんな感じでベルトサンダーで削り落とし、

 シングルサンダーのペーパー(5センチ径)が入らない部分は金ヤスリを使って平らにしておきます。

 またヘッドカバーの周りには鋳造時のバリがある為、

 ここもベルトサンダー&シングルサンダーで平らにしておきます。

またボルトが着く出っ張り部分は角がアール形状になっている為、そこは丸棒ヤスリでラインを整えます。

 先日のブレンボキャリパーの時と同様、工場一回はこんな感じで作業をしています。

ちなみに横にある塗装ブースからクリーンなエアーを供給して建物内をプラス圧にしている為、風上から作業をしていればホコリは外に出ていくようになっています。

 こんな感じで側面は大体良い感じになって来たのですが、

 上面は形がイビツな為にサンダーが使えず、ここからは手作業がメインとなってくる為、素地調整はまだこれからといった感じです。

と、ここでちょっと思いついたのですが、そう言えば磨き(塗装後のポリッシュ作業)で使っていたブツ取りサンダーがこれに使えるんじゃ…と思い、今日はそれの準備をしておく事にしました。多分ですが社外記で紹介出来ると思います。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ロータスエキシージヘッドカバー 作業前準備

 ロータスエキシージV6エンジンのヘッドカバーです。新品だったのですが全体にオイルが塗られていたのでアルカリ洗浄液で浸け置き洗浄を行いました。塗装の作業をする上で油が付いていると何も出来ないのでこれで一安心です。

 今回は結晶塗装では無く「艶々」の塗装になる為、予めマスキング用の型を作成しておく事にしました。以前同じような梨地のヘッドカバーを艶々のMカラーに塗装したBMW EVOの部品と同じような感じですかね。

 各部を採寸してデータを作成し、

 レーザー加工機で6mm厚のMDF板をカットします。

ボルトで固定すれば動きません。

 同じような個所も、

 こんな感じで塞げます。ちなみに中に粉などが入っても特段問題はありません。既に一度洗浄していますが、本塗りの前にはさらにもう一度洗い直す予定です。

 途中工程ではサフェーサーや下塗り(恐らく黒)も行う為、その都度マスキングテープでネチネチと貼るよりもこの方が早くて確実綺麗に出来ます。

その他マスキングする部分のシートも作成しておきました。多分同じマスキング個所でも3~4回は貼り直す事になるので、先にデータを作っておけば後からの増産も簡単です。

この後はいよいよ素地調整となるのですが、一部ネジ穴を埋める個所に使うイモネジが錆びた物しかなかった為現在新たに取り寄せています。そちらが入荷次第凸部の研磨も開始しますのでどうぞもう少々お待ちくださいませ!