ロードスターフォググリル 磨き作業

先日塗装し終えたロードスターのフォググリルですね。そのままでも綺麗だとは思いますが「標準コース」の場合は磨き処理も基本作業に入っているのでもう少し手を掛けます。探せばやる事はいくらでも出て来るのが塗装の仕事ですので・・・。

ゴミが付いている箇所には#1500~#2000で平滑に均し、その後さらに#3000で目を細かくします。その後ポリッシャーとコンパウンドで磨きます。

磨きが面倒なのは、ちょっとした小さな範囲でも結局全ての道具が必要になるからです。一番最初に磨く為のコンパウンドとバフは切削性が良いものを使いますから「磨き傷」(=バフ目)が残るので、今度はそれを消す作業が必要になってきます。一種類・一工程などでは終わりません。わずか数センチの範囲でも3種類のバフと3種類のコンパウンドが必要となります。バフ目(磨き傷)を消すのはそれくらい大変なのです。

ただこれには裏技があって、コンパウンドにワックスなどのコーティング成分?が入っているタイプの物を使うとそれがバフ目を埋めてくれるようで、磨いた直後は深い艶で非常に綺麗に見えます。触った感じもヌメヌメのツルツルで、もうワックスを掛けなくても十分なくらいの油膜が張られてます。

が、これが一ヶ月くらい経つとワックス分が落ちてきて徐々に細かい傷が浮かびあがり、最初の頃のような深い艶が消えていってしまうのです。中々気付き難いのですが「ああ確かにそう言えば・・・」と言うのは実はそう言う事ですね。

なので本来の磨きでは「ノンシリコン」「ノンワックス」のコンパウンドを使うのが基本で、ちょっと使う材料の種類やら工程が多くて面倒ではありますがワックスに頼らない塗膜本来の艶の方が実は長持ちしたりするのです。コーティングをするならばその下地が出来てから、ですかね。

それでは完成しましたら改めて画像アップしますね。もう少々お待ち下さいませ!

ロードスター外装パーツ 下地処理

フォググリル 空研ぎ

こちらもお待たせしております。先日サフェーサーを塗っておいたロードスターのフォググリルですね。部品は新品ですが表面がザラザラとした梨地だったので表面を研磨、プラスチックプライマーを塗布、そして2液ウレタンサフェーサーを塗って硬化させています。

画像左側が研磨する前の状態で、表面に小さな黒い点々があるのは研ぎ忘れを防止する為の「ガイドコート」です。単に黒を全体に降り掛けただけですが効果は絶大です(と言うかこれをやらないと確実に研ぎ忘れが生じます)。 で、それを研いだ状態の物が右側ですね。 ただしこの状態はまだ粗研ぎの段階で、この後番手を細かくしていき細部を仕上げていきます。

 

フォググリル 水研ぎ

今回のサフェ研ぎの工程としては、

最初に空研ぎ #320→#400→#600

その後は水研ぎ #600→#800

となります。空研ぎでは主に肌落とし(梨地の平滑化)ですが、今回のように形が複雑な部品の場合はコシが強いペーパーだと角が当たってしまったりでスジ状に掘ってしまう箇所が出てきたりします。目で見て解かるようなものでは無いのですがそういった箇所は必ずあり、一つでも見落とすと厄介な事になるので多少やり過ぎな作業になっても一つ一つを万全に仕上げていかないとなりません(って実際にはそんなに難しく考えている訳では無く塗装屋さんなら日常的にやっている事なのですが)。

で、空研ぎでの粗研ぎが終わったらその後は水研ぎでしっかりサフェを削りつつ、細かい番手でソフトな仕上がりに仕上げていきます。 これは慣れの問題もあるかも知れませんが、形が複雑な場合はやはり最後は水研ぎで仕上げる方が間違いは無いと思っています。 平面的なものなら最初から最後までを空研ぎで完結するシステムは出来上がっているのですが、こういったケースではやはり昔ながらの水研ぎが確実ですかね。

ちなみに最初から最後までを水研ぎで終わらせる事は勿論可能で、と言うより元々はそのシステムしかありませんでした。 ただ近年は空研ぎでも目詰まりがし難い細かい番手のペーパーが登場してきたので、塗装の下地作業はここ数年でもかなり変わりました。 もともと空研ぎが使えるのはせいぜい#240くらいまでで、それ以上細かくなるとキレが悪い癖に非常に高価で余り実用性の無いものが殆どだったのです。なのに今では磨き用に使うような#1500やら#2000の細かい番手でさえ空研ぎで出来るペーパーが登場する始末でして・・・。

ちなみに何故「空研ぎ」が進化しているかと言うと、それは勿論「作業性」の向上による作業時間の短縮です。自動車補修塗装は時間工賃が¥7,000~¥10,000とかなり高額な内容なので(それだけコストが掛かるという事なのです)、如何に作業時間を短縮出来るかが売り上げ(じゃなくて存続?)の勝負になってくるのです。  ちなみに私が勤めていた会社はこのレーバーレート(時間工賃)が¥12,000と、恐らく日本で一番高かったのでは・・・と思うような会社でした(故に保険会社といつも揉めていたようですがお陰で良い仕事はさえて貰えたと思います)。

 

フロントグリル足付け処理

こちらはちょっと前の画像なのですが、折角撮っておいたので紹介させていただきますね。同じくロードスターのフロントグリルで、いつもの如くネチネチと足付け処理をしていきます。

塗装する物にはこうやってかならず「足付け処理」を行いますが、これは塗装する箇所に無数の傷を付けることにより表面積を増やし、また投錨効果(アンカー効果)により塗装の密着性を高める効果があります。塗料自体には接着剤のような効果はありませんから(実は全くないのです)、ツルツルした面に塗装しても密着不良を起こし塗装はペリペリと剥がれてきますので。

またはこれをやらなくても「密着剤」なる便利な塗料もあったりするのですが(私的にはプライマーとは呼べません)、初期性能は確かにいいのですが塗って数年経ってからの性能についてはちょっと疑問です。そもそもその性能が保障されているならばわざわざこうやって時間を掛けて足付け作業をする必要は無いって事ですからね・・・。全ての塗装マニュアルから消えても良い筈ですし。

ちなみにこの素材はPP(ポリプロピレン)なので、実はその足付け処理も「プラスチックプライマー」の塗布が無ければ全くの無力です。また「脱脂処理」も同じことが言えて、例えばこの被塗物表面に油膜があったとしたら前者の二つの作業をやっていたとしてもやはり密着不良は起こります。 なので面倒ではありますが、これら「足付け処理」「脱脂洗浄」、そして素材によって「専用のプライマー」を行う事は下地処理では必須な作業になるのです。 飾りだけの物であればここまで考えなくても良いのですが、用の塗装となるとこれらがちゃんと出来ていないと幾ら綺麗に仕上がっていても意味が無いですからね。

来週中には本塗り出来る予定です。もう少々お待ち下さいませ!

デミオのフォグリング 本塗り前

デミオのフォグリング

諸々のパーツは昨年中に本塗りが完了していたのですが、この部品を追加でご依頼頂いていたので続けて塗装します。

現状はシルバーに塗られているようですが実は樹脂(プラスチック)そのものの色だったりします。素材はPP(ポリプロピレン)で昔では樹脂自体をこういった色にするのは考えられない事でしたが最近よく見られますよね。ただ質感的にはやはりプラスチック剥き出しな感が否めないようで、今回その他の部品が綺麗に仕上がったのでだったらこれもと言うことで追加でご依頼頂きました。

こちらは去年アップした画像ですが参考までにもう一度紹介させて頂きます。上記のリングがこの部品の穴の開いた箇所に装着されます。

この部品はもともと表面がザラザラとした梨地で、やはりサフェーサーで下地を平滑に仕上げてこのように艶々に仕上がるようにしました。中々大変ですがそれに見合った質感は得られるのが良いですよね。

そして本塗り完了です。色は同じくマツダの「ベロシティレッドマイカ」(カラーコード:27A)で、ソリッドカラーに見えますがパールが結構入ってます。ボディカラーは上で紹介したグレーメタリックですから紅一点、ワンポイントのアクセントになりそうです。

これでご依頼頂いた物は全て本塗り完了です。後日組み付けた完成画像アップしますね。もう少々お待ちくださいませ!

ロードスターの外装部品 下地処理

足付け処理

こちらもお待たせしております。作業着手しておりますので御安心下さい。

画像右側に写るバンパーグリルはそのまま塗れるのですが、その他の小物パーツは表面がザラザラとした梨地になっている為、これは一旦サフェーサーで平滑な下地を作る事とします。そのまま塗っても特段剥がれるなどはありませんが(勿論足付け処とプライマーの塗装は行うとして)、ただ仕上がった時に素地のザラザラがそのまま残った仕上がりになるのでとても変な状態になってしまうのです。「艶々」とは縁遠い質感ですかね。

サフェーサー塗布完了

ちなみにプラスチック素地に直接サフェーサーを塗っても十分に密着しません。その前には必ずプラスチック用プライマーの塗布が必要です。

もし今回のようなPP素材(ポリプロピレン)にプライマー塗装無しでサフェーサーまたは上塗り塗装を行うと、塗った直後からパリパリと簡単に剥がれてしまいます。なので「うっかり忘れてしまった」という事は100%有り得ないのです。

昔勤めていた会社で、結構お歳を召した方(直接の上司では無い塗装屋さん)がこれを忘れたり、さらにはクリアーに硬化剤を入れ忘れて塗ってしまったりと結構凄い光景を目の当たりにする事もありました。 硬化剤を入れないで塗ったクリアーは当然永遠硬化しない塗膜になるのですが、その方はなんとその上にさらにもう一度クリアーを塗ったのです(今度は硬化剤を入れた物を)。パワープレイにも程がある気がしますが・・・。

ちなみに当然そんな事をしてもまともな塗膜になる筈も無く、余計収拾のつかない事態に陥ってました。まあ当たり前ですよね・・・。

 

という事で、この後は熱を掛けてサフェーサーを完全硬化させますが(勿論2液硬化性ですので)、これ単体で熱を掛けるのは少々勿体無いですので、アウディのカーボンパネルを強制乾燥させる時にこれも一緒に行うとします。

作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!