TOYOTA 2000GTヘッドカバー塗装 完成

先日本塗りを終えていたトヨタ2000GTのヘッドカバーです。その後二度焼きを行っておきました。

凸部を研磨してアルミ地を光らせ、

よくエアーブローをして研ぎ粉を清掃したら完成です。お待たせしました!

車体に装着されるのは一個ですが、今回は2個(2台分)同時に御依頼を頂きました。

最初の状態も紹介します。

一緒にお預かりしているFRP製のエアークリーナーボックスは現在下地処理中です。

また今回はそれぞれのヘッドカバーで区別がつくよう、特徴のある箇所を記録しておきました。このネジが着く丸い部分に突起が出ている方が左側の物ですね。「Q」としておきます。

仕様はいつもの通り(純正と同じく)結晶塗装の黒となります。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

こちらの方が「Q」ですね。画像の状態で見て「2000」の左側二つ目にあるネジ穴の丸い部分に突起があるのが判ると思います。

こちらは元々白っぽくなっていた方(塗装前の画像の右側の物)です。

「2000」の左側二個目の丸い部分に突起が無いのが判るかと思います。

こちらは白い方で、

こちらは「Q」の方ですね。

一緒に御依頼頂いたFRP製のエアークリーナーボックスの塗装も完了していますので、後ほどそちらも紹介します。

TOYOTA 2000GTエアークリーナーケース蓋 本塗り

先日サーフェサーを塗っておいたトヨタ2000GTのFRP製エアークリーナーボックス蓋部品です。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗っておきました。

前回の粗研ぎ(空研ぎ)である程度のラインは出してあるので、今回は#600~#800の水研ぎで細部のライン出しを行い、その後#1500&布状研磨副資材でペーパー目消しと足付け処理を行います。

その後ブース内の清掃を行い、

最終脱脂処理&エアーブローを行って埃を飛ばしたら本塗り開始です。

まず最初に裏側を塗装します。こちらは事前にスコッチとウォッシュコンパウンドで洗浄&足付け処理を行ってあります。

ベースコートの黒を薄膜で塗装しました。

ひっくり返し、表面にベースコートの黒を塗布します。

今回のパーツはネジが強く締めすぎられていたのか何かに干渉していたのか、全体的に歪んでいます(事前に確認済みで、これを直そうとしても割れてしまうのでそのままとしています)。

ベースコートはウェットで2コート塗ってしっかり乾燥させた後に全体のチェック&中研ぎを行い、その時点でクリアー用のスプレーガンも用意して、再度全体のエアーブロー→最後にベースコートを1コート塗って問題無ければ、

極力身体を動かさないよう(他の物に触れないよう)な状態のまま、半艶クリアーの塗装を行います。ゴミが付いたら塗り直し確定なので、とにかく埃を立たせないよう必要最低限の動きで作業をしています。

が、丁度上面のど真ん中にゴミが付着しました。ボルト取り付けの穴と穴の間くらいの場所です。

車体に装着されれば上面が側面になるのでほぼほぼ目立たなくなる筈ですが、部品単体の状態だとどうにも気になるので、この後一旦強制乾燥~完全硬化させ、

後日改めて塗り直しました。

勿論そのまま塗り直しただけでは無く、肌均し(研磨)、足付け処理を行ってからやり直しとしています。

今回は粗探しをしても目立つゴミは見つけられないかと思います。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。一緒にお預かりしている2000GTのヘッドカバーも同時に完成出来る予定です。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

TOYOTA 2000GTエアークリーナーケース蓋 下地処理

先日エポキシプライマーサーフェサー+ガラスパウダーで下塗りをしておいたトヨタ2000GTのエアークリーナーボックスの蓋部品です。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきました。

全体を#320~#400で軽く研ぐようにして足付け処理を行いました。

現在の被膜が全体にある細かいクラックを防いでくれる筈なので、削り過ぎないように注意しています。

そして今回は、種類は違いますがこちらもエポキシ系のプライマーサーフェサーとなります。今回は骨材(ガラスパウダー)は入れず、そのままとしています。

その後ウェットオンウェット(半生状態で違う種類の塗料を重ねる方法)で通常のプライマーサフェーサー(ウレタン系)を塗布します。

こちらは主にライン出しの為の物なので、しっかり膜厚を充填出来るようウェットで4コート程塗っています。

その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、ガイドコートとしてベースコートの黒をパラパラと塗りました。

色々考えるとそのまま上塗りは難しいので、もう一度サフェを塗る事にします(2度打ち)。なのでペーパー目はデリケートに考える必要は無く、#240で粗研ぎライン出し→#320で曲面を均しています。

よく脱脂清掃し、

3回目の下塗り(中塗り)を行います。

難しいのは平面に見えて実は曲面(変形)になっている事で、研ぐ際にもこのラインに合わせて研いであげないとスジ状に彫ったようなラインが出来てしまう為、サフェの2度打ちでこれを均そうといった作戦です。自動車のボディパネルでも逆アール(凹んだライン)の研ぎが一番難しいのと同じような感じですね。

今回はそこまで研ぐつもりは無いので、ウェットで2コート、最後にシンナーで希釈して2コート塗っています(凸凹とした肌を減らす為)。

この後再び熱を入れて硬化させ、次はいよいよ本塗りとする予定です。半艶仕上げなのでまずはブース内の清掃からですね。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

TOYOTA 2000GTヘッドカバー 本塗り

先日旧塗膜を剥離しておいたトヨタ2000GTのヘッドカバー2個です。その後リン酸処理を行い、よく乾燥させておきました。

まずはプライマーを塗布します。

続けて結晶塗装用の塗料=リンターを塗布します。

が、この時はちょっと塗り過ぎてしまい、チヂレ目が荒れてしまったので、

一旦全部シンナーで洗い流し、プライマーからやり直しました(手前がそうです)。その間にもう一個の方(奥)を塗装し、そちらは綺麗に結晶目が並んだので、その感覚を活かして塗り直すようにしています。

ちなみに塗り足りなかった場合=結晶目が細かすぎる場合は、焼き切る前にそのまま塗り重ねる事もあります。先日塗装を行ったRB26のタペットカバーがそうで、日記上では紹介はしていませんでしたがあちらもやはり1度では上手くいかず、その後塗り直す事で結晶目を揃えています。

こちらのヘッドカバーは鋳造素地の状態が良くないので、細かい結晶目だとその粗が残ってしまいますから、それを考えて比較的しっかりとした結晶目を出したい反面、塗り過ぎて結晶目が汚くなってしまう傾向が強いです。塗りながらそれが判れば良いのですが、熱を入れてみないとそれらが判らないのが本当に難しいところです。

一回塗れば大体どのくらいの厚みが丁度良いのかが判るので、塗り直した次は比較的理想に近い結晶目に仕上げられるようになります。

一度目の焼き付けは赤外線ヒーターで、140℃ ~170℃程の熱を30分程掛けています。

2個同時に塗っていたらどちらも塗り直しになっていましたが、順番に行う事で一個分=3回だけの塗装で済んでいます。

全体に満遍なく均一にしっかりとした結晶目が出ているのが判ると思います。

この後は恒温機で120℃30分程の2度焼きを行い、最後に凸部を研磨して光らせます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

TOYOTA 2000GTエアークリーナーケース蓋 下地処理

先日お預かりしておりましたトヨタ2000GTのエアークリーナーボックスの蓋部分となります。

素材はFRPで、この場合表面に塗られているゲルコート=ポリエステル樹脂は柔軟性に欠けますから、ストレスが掛かる場所には亀裂が入ってしまいます。今回の部品は見た目の感じよりかなり酷いです(全体にひび割れが生じています)。

本来であればそういった割れを全部除去し、ガラスマットから貼り直したいところですが、そうなると膨大なコストが掛かってしまうので、今回は明らかに割れが目立つ箇所をリューターでV字に掘り込み、そこに構造用エポキシ接着剤を充填する方法で行います。

目で見えて割れている箇所を彫ったら、全体をダブルアクションサンダー#120~#180で研磨します。先にリューターで彫ったのは割れている箇所が判り易いからですね。

サンダーが当てられない箇所は当て板やヘラを使って手研ぎします(指で研ぐと部分的に凹んでしまうのでNGです)。

その後よく脱脂清掃します。

V字に彫った箇所に、構造用エポキシ接着剤(3Mオフホワイト)を充填します。

オフホワイトは硬化すると研削し難いので、塗布するのは最小限に留めます。

その他深い巣穴にも、奥まで流し込むようにして充填させます。ここで一旦熱を掛けて硬化させます。

ボルトを止める箇所は一部が掛けて無くなっているので、

割れている箇所の周りを研磨して均し、足付け処理と脱脂清掃を行ったら裏側からファイバークロスにエポキシ接着剤を浸透させて貼り、

表側からは窪みに流し込むようにオフホワイトを充填します。ここで再度熱を掛けて硬化させます。

その後盛った接着剤を削って均し、

ボルトの穴を開け直します。

割れて無くなっていた箇所もしっかり厚みが確保出来ているのが判ると思います。

その後よく脱脂清掃します。

ここまでは目立つ箇所だけの修理で、実際には部品全体の表層には細かいヒビ割れが無数に生じています。ただそれら全部を削り落としてやり直すとなると費用は青天井になってしまいますので(と言うより型から作り直した方が安価で済むので)、

今回は(今回も)エポキシプライマーサーフェサーに、

骨材としてガラスパウダーを入れ、しっかした下地の層を一膜作るようにします。パブリカのステアリングを修理した時と同じ方法ですね。ちなみにその後のステアリングを見る機会がありましたが、実使用で何の問題も無い事を確認出来たので、かなり効果があったのだと思っています。

ウレタンやポリエステル樹脂に比べてエポキシプライマーサーフェサーはかなりの強度=網目架橋密度が高いですが、さらにそれに骨材としてガラスパウダーを入れる事で、前者の樹脂等では抑えきれないヒビ割れを抑えるといった作戦になります。添加量は主剤に対して10%としました。

通常の塗膜は厚くなる程弱くなりますが(防水・防錆性は高まりますが割れやすくなる等のデメリットが大きくなります)、今回のような下地剤はある程度しっかり塗る事で強度が高まりますから、ウェットで3コート塗っておきました。

エポキシプライマーサーフェサーはかなり研ぎにくいのと、3コートだけではラインの形成には足りないので、本来であればこのままウェットオンウェットでウレタンサフェーサーを塗りたいところですが、この時点で結構厚く塗ってしまったので、リスク(リフティング)のリスクを考えて一旦ここで終了とする事にしました。

この後は熱を入れて硬化させ、軽くサンディングした後にサフェーサーを塗る予定です。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!