ハーレーラジエターカバー サフェ入れ(2回目)

harley32 先日塗っておいたサフェーサーが完全硬化したので砥ぎつけます。

harley33金型を使った射出成型品に比べ、マスター型と雌型の作成、さらにそこに繊維と樹脂を貼って作製していくFRP製品の場合はその殆どが手作りとなりますから、この場合どうしてもラインが崩れてしまいがちです。さらに今回の部品は両サイドが逆アールや山なり状となって複合した複雑なラインとなっている為、一度のサフェ研ぎで自然なラインを作るのは難しく、今回はサフェーサーの二度打ちを行う事にしました。通常は#320から始めますが、今回は通常サフェ研ぎには使わない#180からのスタートとなります。

ただ後から気づいたのですが、それだったら最初はサフェーサーでは無くスプレーパテを使っていた方が楽だったかも知れないんですけどね。スタンドックスのスプレーパテは切削性が非常に良いので今回のような複雑なライン出しにはとても向いているのです。

harley34スプレーパテの使用やサフェーサーの二度打ちは逆アールが多用された複雑なラインでも比較的簡単に美しいラインを出せるのが特徴ですが、強制乾燥時間なども含めるとかなり余計な時間が掛かってしまうので、そう気軽には出来ないところでもあります。

もしこれを雇われの身でやっていたら、「あいつ、一回じゃラインも出せないのかよ」と周りからの視線はかなり厳しいですし、また会社にとっても余計に時間を掛けられれば不利益でしかないので歓迎はされません。時間を掛ければより良く仕上げられるなんて事は誰でもわかっている事で、ただ実際にそれをやりたい場合は雇われだと結構難しいんですよね。もしそれをやらせて貰えているのであれば相当良い環境だと思います。

harley35 本塗りであれば最終は#800~#1300程までに仕上げておく必要がありますが、今回はサフェーサーをもう一度塗るので最終番手は#240でOKです。

harley36再びサフェーサーを5~6コート程塗り、十分に溶剤が抜けてから(大抵は1日以上置いてから)熱を掛けて強制乾燥~完全硬化させます。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ハーレーフェンダー&ラジエターカバー 色確認

harley14先日よりFRP製のラジエターカバーの作業を開始しているハーレーのパーツですが、今回は色の確認も承っておりますので、そちらも早速行っておきました。

尚、画像中央のフェンダーは既に他店にてパウダーコートが塗装されていて、今回はこれを塗り直しますから、色を合わせるのは画面右側のパーツとなります。

harley40 カラーコードは「DH」で、まずは配合データそのままで作成して色を確認します。

先ほどの画像の一番右側にあった見本の色と比べると、若干黄色くて明るい感じです。ただバイクのパーツであれば車のように同一角度上にパネルが並ばないのでこのまま塗ってもほぼ色違いは判らなく(塗装屋でも判らないレベルです)、許容範囲内で納まる方だと思います。まあ一応ちゃんとした配合データですしね。

harley39 尚、先ほどの色の配合データでは、黒の原色(MIX854)に対して黄土色(MIX581)と白(MIX570)が入っていますが、どうせならと言う事で新たに黄土色と白を抜いてMIX854だけで確認してみました。尚MIX854(黒)の原色の特徴としては、「M/Pカラー専用ブラックでM/P原色と混ぜると正面に黄味、スカシに赤味」といった内容が記されています。ちなみに「M/P」はメタリックとパールの事で、今回はソリッドカラーですが余り気にしなくて大丈夫です(いつもの事でして問題もありません)。

STANDOXの原色特性についてはこちらのページから確認出来ます。専門的な物ですが誰が見ても大丈夫ですので問題ありません。

harley41 MIX854の原色黒のみを色板に塗って見てみると、こっちの方がより近いです。

harley42色板の位置を変えてみました。塗ってある色は先ほどと同じ物です。

harley43少し気になってパウダーコートで塗られたフロントフェンダーの色も見てみると、なるほどこちらは色見本(実車)の黒と比べてかなり黒いです。恐らくオーナー様はこれが判っていたので、今回配合データがあったとしても一応色を確認して欲しいと言う事だったのだと思います(もちろん費用は掛かります)。

先ほどリンクを貼ったSTANDOX原色表を見て頂くと判るのですが、スタンドックスは黒の原色で7種類あります。恐らくですが、今回フェンダーの塗装に使ったパウダーコートではそこまで黒の原色に種類が無い事、また実車(4輪車・バイク)の配合データなどは存在しないので、そのまま塗った黒がハーレーの黒(DH)よりも黒かったと言う感じでは無いでしょうか(粉黛なのでそう気軽に色も見れないと思いますし、そこは塗料の性質上もう仕方ない事だと思います)。

一応色を確認した結果を改めてメールでお知らせいたします。

ハーレーFRP製ラジエターカバー サフェ入れ

harley33 先日到着しておりましたハーレーのラジエターカバーです。一緒にご依頼頂いているフロントフェンダーは既存の塗膜はそのままで素地調整のみとなりますが、こちらは白ゲルコート仕上げなので先に下地処理を始めておきます。

harley38色が白だと判り難いのですが、FRP製品の場合は多少なり窪みやペーパー目、巣穴などがありますので、最初の段階でそれらを削って処理しておきます。

harley34平面は#120→#180のダブルアクションサンダーで平滑になるよう研磨し、その後角や曲面ラインはクッションパッドを付けたダブルアクションサンダー#240で研ぎつつペーパー目を均していきます。最後は#240で手研ぎ、角の面取りなどを行います。

harley35 よく脱脂清掃し、フチも塗れるよう少し浮いたような状態で台にセットします。

harley36 サフェーサーはウェットコートで6~7回、ただし一度に塗ると溶剤が塗膜中に籠ってブリスターなどを発生しますので、コート毎に10分程のフラッシュオフタイム(乾燥時間)を設けてじっくり塗り重ねていきます。

ちなみにサフェーサーに予め促進剤が含まれたような製品だとこの間にガンの中(大抵は蓋の周り)で硬化が始まってしまうのでサフェは二回に分けて作ったりして対応します。昔の話ですが関ぺのJUSTなどはこれで対応していました(余り良い思い出が無いのでもう使う予定はありませんが)。

harley37FRP製品でよくありがちなのが断面の巣穴で、2液のサフェーサーなら大抵は埋まりますが、大きい物は最後まで残っていたりします。こういうのは先ほどの画像にあるように筆を指して埋めておきます。

尚今回の製品は比較的しっかりしている事と、ご希望内容も仕上がり重視ですので、この後はきっちり60℃の熱を掛けて完全硬化させ、もし製品の不具合でブリスターなどが生じたらそこをドライバーなどで抉ってパテ埋めして虱潰していく予定です。

元々サフェーサーは二度打ちも想定していますので、このままサフェーサーを研いだら本塗りと言う事は無く、恐らく同じことをもう一工程行う予定です。まだお時間掛かりますのでどうぞもう少々お待ちくださいませ!

ハーレーフェンダー&ラジエターカバー塗装承ってます

harley14 先日到着しておりましたアルミ製のフロントフェンダーとFRP製ラジエターカバー、そして色見本用としてお預かりした外装パーツです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

harley15 現状は既にパウダーコート塗装をされたとの事ですが、細部の仕上がりや全体のゆず肌が宜しく無いとの事で、今回再塗装のご依頼を承りました。

上の画像はエクボの個所との事ですが、普通の方は見つける事も出来ないと思います。

harley16パッと見は綺麗なのですが、確かに全体的にゆず肌が酷く、ただこれも殆どの方は気にしない(気づかない)レベルだと思います。

尚このゆず肌についてはこのまま上から塗り重ねても改善はされませんが(ですので当初は剥離までご希望されていました)、下地処理として#600→#800で肌目をカットしてあげれば問題無いかと存じます。ただご希望される仕上がりのレベルが高いようですので、最後は#1000~#1500で仕上げ、細部までチェックした後に本塗りを行う予定です。

harley17ラジエターカバーは社外品のFRP製品で、こちらはいつものように全体を#120~#240で研磨して均し、「2液ウレタンサフェーサー塗布→完全硬化→研磨」の工程で下地を作ってからの上塗りとなります。

harley18穴を開けた個所はヤスリが当たって削れている個所もありますが、この辺は面取りをしてからのサフェーサー塗布となりますので問題ありません。

色はハーレー純正色のVIVID BLACK(カラーコードDH)で、配合データはありますが、念の為と言う事で実際に色を作ってから色板にスプレーし、今回一緒にお預かりした部品で事前に色を確認します(有料となります)。その時点で色ブレが強ければさらに調色作業を行うかどうかを再度検討致します。

ちょっと型は違うのですが、以前施工したハーレーの前後フェンダーの画像がありますのでそちらも紹介させて頂きますね。

harley19 今の工場に移る前で、5年くらい前の案件となります。こちらはスチール製なので裏側の錆が酷く、ブラスト屋さんにお願いして塗膜を全部剥離してからやり直しています。丁度良いので後日まとめて施工例として紹介したいと思います。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!