ハーレーアルミフロントフェンダー&FRP製ラジエターカバー塗装 完成

harley66 大変お待たせしました!ハーレー純正のアルミ製フロントフェンダーと、社外品FRP製ラジエターカバーの塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

harley14フロントフェンダーは元々他店にてパウダーコート塗装が施されていた物を下地を整えて再塗装を行いました。

harley67 元々は肌の凹凸が大きいゆず肌でしたが、それらを研磨して平滑に均し、純正塗装のような肌の無い艶々になるよう仕上げています。

harley68 色に関しても現車とはちょっと違っていたようですので、今回は当店にてハーレー純正色の配合データを作成しお預かりした見本部品と色を比べて確認、さらにそれに使われている原色(MIX854)単体での使用としました。並べてみても全く色の違いは感じられないと思います。

harley69 難易度が高かったのは画像手前のラジエターカバーのラインで、山と谷のラインがうねるように組み合わさってこれを自然なラインに繋げるのに時間を費やしました。

harley70平らなラインでは無いのですが、研ぎに使う当て板は平らでなくてはなりません。昔はアール形状の当て板など色々工夫しましたが、結局それだと被塗面に当たる面積は「点」でしかないのでいつまで経ってもラインは出ないのです。

harley71 なので最初は長めの当て板で大まかなラインを作っていき、その後サイズを小さくしていって多角形を徐々に曲線に仕上げるみたいなイメージで研いでいます。最初はカクカクしたポリゴンを、データ量を増やして徐々に滑らかにし、最後にスムースシェービングするような感じですかね。

harley72 自動車やバイクはこういった逆アールのラインが多く使われていて、小僧(見習い)の頃はこういったラインをどうしても綺麗に出せず、泣きながら何度もサフェーサーを塗っては研いだ記憶があります(悔しくてです)。

harley73 フェンダーはライン自体はそのままで、元の凸凹した塗装を研いで平滑にして塗り直しています。

最初の状態も紹介しますね。

harley45 艶はあるのですが、肌が大きく凸凹しているので写り込みが良くありません。ただこういうのを気にしない(気づかない)と言う方も結構いると思いますので、一概に「再塗装が必要」と言うのはこちらでは決められないところもあります。

harley74 今回は細部までの仕上がり要求の高いご依頼でしたので撮影も多めにしました。

harley75 今回の費用は普通の方からするとちょっと詐欺みたいな金額と思われそうですが、基本的には工数(指数×作業時間)から算出となりますので、言い値で勝手に決めている訳ではありません。今回もかなり時間を掛けてはいますが、指数=レーバーレート自体は以前行っていた自動車塗装の時よりもかなり低く設定していますので結果的にはお得だと思います(以前は1時間当たり¥8,000でしたが、今はそれの半分くらいといった感じです)。

harley76 「レーバーレート」は工場の設備や立地条件などで変わり、東京・横浜だと国産車で¥7,000くらい、外国車で¥8,000くらいが相場になります。ちなみに私が最初に勤めていた会社は¥12,000で(世界一高いとアジャスター=保険調査員が言ってましてよく揉めていました)、その後のPRO_Fitはやはり相場と同じく国産車¥7,000、外国車¥8,000でした。

harley77以前の自動車塗装を行っている時にも小物の塗装はしていましたが、それは宣伝・営業的な事も含めて出来ていた事であって(その後の保険修理での入庫を見込んでと言う事です)、あのままのスタイルで小物の塗装だけと言うのは難しかったと思います。

今の工場では車を入れる事は出来ませんが、塗装の対象を小物として特化した事で固定経費を下げ、今のようなスタイルでも仕事が成り立つように出来ています。保険作業無しでSTANDOXのような塗料材料を使えるのは相当恵まれていて、これもご依頼頂ける方々がいらっしゃるお陰だと思います。

それでは後程完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

ハーレーフェンダー&ラジエターカバー 本塗り

harley53 先日二度目のサフェーサーを塗布しておいたハーレー用の社外品FRP製ラジエターカバーです。

全体に黒をパラパラとスプレーしてそれを研ぎの目安とし(ガイドコート)、まずは#320の空研ぎでラインを出します。

harley54 一回目のサフェは#180→#240での空研ぎでしたが、今回はこのまま本塗りとなるので#320からのスタートで、その後当て板を小さくしたり柔らかい物に変えながら#400の空研ぎで仕上げます。

harley55 その後は#600→#800の水研ぎで、被塗面に映り込む背景を見ながらラインを整えていきます。

harley52 最後は研磨粒子が均一な足付け用副資材(アシレックス)を使ってペーパー目を均し、綺麗に清掃して本塗り準備完了です。ここまでの作業は先日までに終わらせておき、一旦保管しておきました。

harley50先に下地処理を終えていたフロントフェンダーをセットします。

harley51 吊って塗る場合はどうしてもスプレーのエアーで被塗物が揺れてしまうので、今回は天井から5方向、下側にウェイトを吊るして極力振れないよう安定させています。

harley56 ラジエターカバーは白い部分(ゲルコート)が残ると格好悪いので(装着されれば見えない筈ですが)、先にベースコートの黒を塗っておきます。

harley57 裏側に塗った黒のベースコートが乾いたら台に固定します。

harley58 フェンダーは吊るした状態で裏表全体にベースコートの黒を塗布し、さらにクリアーを塗って本塗り完了です。

harley59 色はハーレー純正色の「VIVID BLACK」(カラーコード:DH)ですが、一緒にお預かりした部品の色から確認したところ、スタンドックスの原色MIX854単体の方が近かったのでそれで対応しています。

harley60 オーナー様が気にされていた肌も良い具合に出来ていると思います。ただ今回はご希望される仕上がり具合もシビアなようですので、この後完全硬化したらフルポリッシュも行います。

harley61 少々クドイですが全方向から塗装しておきました。今回のご依頼は既に塗られた物を(恐らく一度も装着せずに)再塗装ですからね。

harley63 裏側については表とは別工程で塗る方法もあったのですが(当然その方が仕上がりは良いです)、さすがに裏側はある程度塗られていればと言う事で今回は表面と一緒に塗っています。

harley62 そして問題のFRP製ラジエターカバーです。

harley64 さすがにサフェーサーを二度打ち(2工程分)していますので、粗が出易い複合逆アールのラインも美しく表現出来ていると思います。

harley65手前の方は富士山型の末広がりですが、途中から端が山なりになってきて、最後はさらに谷ラインが消えると言う複雑な形をしています。

単に山・谷の二次元的なラインであればそんなに難しくは無いのですが、狭い範囲でこれらが融合していると普通の当て板ではどうしても角が当たってしまうので、使う当て板とペーパーを徐々に小さくしたり、エッジの当て方を工夫して表面を削ぐような感じで削っています。

この後熱を掛けて硬化させ、こちらも磨き処理を行ってからの完成となります。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ハーレーフロントフェンダー 下地処理

harley14中央のアルミ製フロントフェンダーは現状パウダーコートにて塗装された状態ですが、オーナー様的にゆず肌が気になるとの事で今回こちらの塗装をご依頼されました。

harley45 パウダーコートとの事なので恐らく粉黛塗装だと思うのですが(詳しくは知りません)、通常のリキッドタイプ(液体)の塗料で塗った場合を例にすると、入れなければならないとシンナーを入れ忘れて塗ったような感じでしょうか。

harley47 通常肌均しは手研ぎか柔らかいスポンジ製の当て板を使いますが、今回はそれでは足りないようなので固い木片を使って肌を落とします。

harley48 固い当て板を使うと表面のラインは多角形のようにカクカクとなりますが、その後ゴムやスポンジの当て板を使って研げば緩やかなラインになります。

最後は手研ぎでラインやペーパー目を均し、裏側も足付け処理をしておきます。

harley49今回は表側と一緒に裏側も塗装する予定で、本塗り時の固定方法については色々考えたのですが、結果としては画像のように番線を使って吊って塗る事にしました。通常吊って塗ると被塗物が揺れて塗り難くなるのですが、番線はかなり太くてしっかりした物を、さらに多方向(多分4方向)から引っ張る事で安定させようと思います。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

ハーレーフェンダー&ラジエターカバー 色確認

harley14先日よりFRP製のラジエターカバーの作業を開始しているハーレーのパーツですが、今回は色の確認も承っておりますので、そちらも早速行っておきました。

尚、画像中央のフェンダーは既に他店にてパウダーコートが塗装されていて、今回はこれを塗り直しますから、色を合わせるのは画面右側のパーツとなります。

harley40 カラーコードは「DH」で、まずは配合データそのままで作成して色を確認します。

先ほどの画像の一番右側にあった見本の色と比べると、若干黄色くて明るい感じです。ただバイクのパーツであれば車のように同一角度上にパネルが並ばないのでこのまま塗ってもほぼ色違いは判らなく(塗装屋でも判らないレベルです)、許容範囲内で納まる方だと思います。まあ一応ちゃんとした配合データですしね。

harley39 尚、先ほどの色の配合データでは、黒の原色(MIX854)に対して黄土色(MIX581)と白(MIX570)が入っていますが、どうせならと言う事で新たに黄土色と白を抜いてMIX854だけで確認してみました。尚MIX854(黒)の原色の特徴としては、「M/Pカラー専用ブラックでM/P原色と混ぜると正面に黄味、スカシに赤味」といった内容が記されています。ちなみに「M/P」はメタリックとパールの事で、今回はソリッドカラーですが余り気にしなくて大丈夫です(いつもの事でして問題もありません)。

STANDOXの原色特性についてはこちらのページから確認出来ます。専門的な物ですが誰が見ても大丈夫ですので問題ありません。

harley41 MIX854の原色黒のみを色板に塗って見てみると、こっちの方がより近いです。

harley42色板の位置を変えてみました。塗ってある色は先ほどと同じ物です。

harley43少し気になってパウダーコートで塗られたフロントフェンダーの色も見てみると、なるほどこちらは色見本(実車)の黒と比べてかなり黒いです。恐らくオーナー様はこれが判っていたので、今回配合データがあったとしても一応色を確認して欲しいと言う事だったのだと思います(もちろん費用は掛かります)。

先ほどリンクを貼ったSTANDOX原色表を見て頂くと判るのですが、スタンドックスは黒の原色で7種類あります。恐らくですが、今回フェンダーの塗装に使ったパウダーコートではそこまで黒の原色に種類が無い事、また実車(4輪車・バイク)の配合データなどは存在しないので、そのまま塗った黒がハーレーの黒(DH)よりも黒かったと言う感じでは無いでしょうか(粉黛なのでそう気軽に色も見れないと思いますし、そこは塗料の性質上もう仕方ない事だと思います)。

一応色を確認した結果を改めてメールでお知らせいたします。

ハーレーフェンダー&ラジエターカバー塗装承ってます

harley14 先日到着しておりましたアルミ製のフロントフェンダーとFRP製ラジエターカバー、そして色見本用としてお預かりした外装パーツです。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

harley15 現状は既にパウダーコート塗装をされたとの事ですが、細部の仕上がりや全体のゆず肌が宜しく無いとの事で、今回再塗装のご依頼を承りました。

上の画像はエクボの個所との事ですが、普通の方は見つける事も出来ないと思います。

harley16パッと見は綺麗なのですが、確かに全体的にゆず肌が酷く、ただこれも殆どの方は気にしない(気づかない)レベルだと思います。

尚このゆず肌についてはこのまま上から塗り重ねても改善はされませんが(ですので当初は剥離までご希望されていました)、下地処理として#600→#800で肌目をカットしてあげれば問題無いかと存じます。ただご希望される仕上がりのレベルが高いようですので、最後は#1000~#1500で仕上げ、細部までチェックした後に本塗りを行う予定です。

harley17ラジエターカバーは社外品のFRP製品で、こちらはいつものように全体を#120~#240で研磨して均し、「2液ウレタンサフェーサー塗布→完全硬化→研磨」の工程で下地を作ってからの上塗りとなります。

harley18穴を開けた個所はヤスリが当たって削れている個所もありますが、この辺は面取りをしてからのサフェーサー塗布となりますので問題ありません。

色はハーレー純正色のVIVID BLACK(カラーコードDH)で、配合データはありますが、念の為と言う事で実際に色を作ってから色板にスプレーし、今回一緒にお預かりした部品で事前に色を確認します(有料となります)。その時点で色ブレが強ければさらに調色作業を行うかどうかを再度検討致します。

ちょっと型は違うのですが、以前施工したハーレーの前後フェンダーの画像がありますのでそちらも紹介させて頂きますね。

harley19 今の工場に移る前で、5年くらい前の案件となります。こちらはスチール製なので裏側の錆が酷く、ブラスト屋さんにお願いして塗膜を全部剥離してからやり直しています。丁度良いので後日まとめて施工例として紹介したいと思います。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きます。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!