アルファロメオ樹脂製エンジンカバー塗装 完成

先日本塗りを終えていたアルファロメオの樹脂製エンジンカバーです。

塗装前に外しておいたクッションシートを取り付けます。

そして完成です。大変お待たせしました!

最初の状態も紹介します。

元々は未塗装の樹脂素地状態だったこちらの物に、

凸部を輝度感のあるシルバーメタリックに、

その他の部分をGM社の「Dark Argent Charcoal Met」(カラーコード:6270)で、

最後に全体を艶消しクリアーでコートしています。

通常こういった凸文字を、「如何にも手作業で塗り分けた」ような仕上がりにならないようマスキングで塗装を行うのは難しいのですが、

シルバーを塗った後に一旦クリアーでコートしてシンナーで溶けない塗膜を作り、全体にグレーを塗って凸部天面を拭き取る(削り落とす)という方法で、まるで大量生産用に作ったマスク型を使ったかのような仕上がりに出来ています。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

車体に装着された時の向きはこうなるかも知れません。

ザラザラとした梨地もは、艶消しクリアーでシットリとした高級感のある仕上がりになっているかと思います。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

アルファロメオ樹脂製エンジンカバー 本塗り

先日凸部にシルバーを塗って全体にクリアーをコートしておいたアルファロメオ用樹脂製エンジンカバーです。その後60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させておきました。

現状艶あり仕上げなので素地の粗が目立ちます。

凸部は予め研磨して表面を均していますが、それ以外の部分はザラザラとした梨地なので、クリアーを塗ってもそれがそのまま残った状態となっています。むしろ変な仕上がりですよね。

まずは全体を軽く水研ぎし、

 

その後スコッチとナイロンブラシ、ウォッシュコンパウンドで足付け処理を行います。

よく洗浄し、大体な感じで凸部をマスキングしておきます。後で凸部についた塗膜を除去する際の手間を少しでも楽にする為ですね。

 全体に今回のベースカラーとなるGM社の「Dark Argent Charcoal Met」(カラーコード:6270)を塗布します。

よく乾燥させたら、

マスキングテープを剥がします。

凸部の周りを汚さないように養生し、

余分をシンナーで拭きとって、当たりの柔らかい布状研磨副資材(アシレックスオレンジ)を使って研磨し、凸部天面に乗った黒メタリックを除去します。

同じ様にフィンも処理します。

AlfaRomeoの凸文字は流石にマスキングは出来ないので、この状態から黒メタリックを除去していきます。

下地には完全硬化したクリアーが塗ってあるので剥がれる事は無いのですが、周りの黒メタリックにはちょっとでも触れただけで駄目になってしまうので、ここの作業ではある程度時間掛かってもミスの無いようじっくり行います。一か所1時間くらいで3~4時間くらいでしょうか。

凸文字全ての処理が終わったら全体をタッククロス(粘着剤が塗着した不織布)で拭き取りながらエアーブローを行って埃を飛ばします。

そして全体に艶消しクリアーを塗布します。

ウェットで艶がある状態だとどうしても素地(素材)の粗が目立ちますが、

艶が消えると梨地が目立たなくなります。素地の凸凹が光を反射せず吸収してくれる為ですね。

画像だと黒メタリックが明るく見えますが、原色に使われている粗いメタリックは光に当たると輝きが強くなる傾向にあり、これがエンジンルーム内=ボンネットの下に装着される状態であれば丁度良い感じになると思います。梨地のザラザラ感と相まって金属的な質感は鋳鉄のような風合いでかなり格好良いと思います。

凸凹だった素地は予め研磨して均しておいたので、ピシッとした感じが表現出来ていると思います。

マスキングではかなり難しいAlfaRomeoの塗り分けも、

今回の「二度塗り」の工法であれば、

自然な感じでしっかりとした塗り分けが出来ているかと思います。2度塗り自体も結構な手間ですが、各凸部のマスキングシート(データ作成)を行う事を考えればこれでもかなりコストを落とす事が出来ています。

この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。

それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

アルファロメオ樹脂製エンジンカバー 凸文字部下塗り

先日下準備を行っておいたアルファロメオの樹脂製エンジンカバーです。

何も変わっていないように見えますが、凸部を研磨して平滑に整え、全体に足付け処理を施してあります。

最終脱脂清掃し、ブースのファンを回したらエアーブローを行って埃を飛ばします。

フチや凸文字の根本など谷・溝状になっている箇所は足付け処理がし難くなる傾向があり、また今回の素材は塗料の密着性も比較的悪い部類のPA=ポリアミド(ナイロン)の為、ガスプライマーを使った火炎処理も行っておきます。ガスプライマーについてはこちらの記事が判り易いかと思いますので宜しければご参照くださいませ。

全体にプラスチックプライマーを塗装後、凸部にSTANDOX原色 SPFシルバー(JLM-906)を塗布します。SPFはスペシャルファイン、JLMはジャパンラインメタリックの略でしょうか。

JLM-906は粒子が非常に細かく輝度感の高いのが特徴です。

フリップフロップ性のコントラストの強さ=正面が明るくて透かしが黒いだけで見れば、同社原色のMIX891=シルバーダラーブライトコースメタリックの方が良いのですが、

今回は粒子感を無くしたいのでこちらの仕様としています。

ネックとしてはちょっとした傷でも目立ってしまうので、今回も一度塗り始めてから手直しを行っています。

凸部をシルバーで隠ぺいしたら、全体にクリアーをコートして下塗り完了です。デロデロとした汚い肌ですが、素地がザラザラとした梨地にそのまま塗っているのでこれはどうしようもありません(この後の艶消しクリアーでそれらは目立たなくなりますのでご安心くださいませ)。

塗り方はいつもの本塗りと同様、ウェットに2コート塗っています。

この後60℃40分の熱を掛けて塗膜を硬化させ、再度全体を足付け処理→今度はエンジンカバーのベースカラーとなる黒系メタリックを塗り、凸部の塗料を除去して全体に艶消しクリアーを塗る!という算段となります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

アルファロメオ樹脂製エンジンカバー 素地調整

先日裏のスポンジシートを外して洗浄&足付け処理をしておいたアルファロメオの樹脂製エンジンカバーです。凸部をシルバーにしますが、そのままだと射出成型時の歪が残って格好悪いので、こちらを研磨して平滑にします。

その前にフチにあるバリも削り落としておきます。PA=ポリアミドは粘りのある樹脂=切削性が悪い為、細かい番手では削れなく、なので#120→#180→#240→#320→#400→#500→#800と、粗い目から順番に研いでいく必要があります。

未塗装の状態だと判り難いのですが、

平らな当て板を使って研ぐと凸凹なのが判ります。

凸凹を均しつつ、エッジをシャープにする事で、この後の塗り分けを美しくする効果があります。

ただ前記したように#120から始めないとまるで歯が立たなく、かといってその目の傷を残すと後に影響が出てしまいますから、結構面倒な作業です。

こういった箇所は大抵裏側に骨となる部分があって、冷却する際に体積が収縮して凹む、所謂「ヒケ」と呼ばれる現象ですね。

この作業が地味に大変で、ただこういった地道な作業が塗り上がった時に全体のバランスの見た目を良くしたりします。

#400まで空研ぎを行ったら、その後は#600→#800→#1500の水研ぎでペーパー目を均します。

次はいよいよ凸部のシルバー塗装ですね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

アルファロメオ樹脂製エンジンカバー 下準備

先日お預かりしておりましたアルファロメオの樹脂製エンジンカバーです。

裏側に着いているクッションシートは外さずそのまま作業しようと思っていたのですが、マスキングテープがくっ付かないので外す事にしました。

その前に全体の脱脂作業をしておきます。黒い着色樹脂あるあるなのですが、劣化すると表面が白っぽくなってみすぼらしくなってしまうので、新車の段階で油が塗ってある事がよくあります。これを触れた後にドアや工具を触るとそっちに油分が移ってしまうので、作業前員にある程度とっておくようにしています。

外さずに作業しようと思ったのはこういった嵌め込みの抜け止めワッシャー(プッシュナット)が使われているからで、場合によってはピンが折れたりワッシャーが割れたりしますから、予備部品が無い場合は嫌なんですよね。

クッションとワッシャーの間にクリップ外しを差し込み、

力が掛かり過ぎないように注意しながら4方の爪を引き上げていきます。

結果としては全て破損無く外れてくれました。部品自体が新しい(劣化していない)というのと、素材自体が粘りのあるPA=ポリアミド樹脂だったのが良かったですね(ABSは割れやすいです)。

その後ウォッシュコンパウンドを使って二回目の脱脂と足付け処理を行います。

全体をスコッチ(不織布に研磨粒子が塗布された物)で研磨し、凸文字周りなど凹んだ角は当たり難いのでナイロンブラシを使います。

 

その後水を流して弾くところがなければ下地処理が完了です。

この後はまず凸文字部の表面を研磨して平滑に均し、文字色となるシルバーを塗ります。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!