RB26→RB27タイミングベルトカバー等エンジンパーツ一式塗装 完成

先日本塗りを終えていた日産BNR34用タペットカバーです。

最初に塗っておいたホースパイプ取り付け部にはマスキングテープの跡が残ってしまっているので、

改めてそこを塗り直しておきます。

黒にオーカー、オキサイドレッド、パールを入れて純正のメッキのような色味にしています。

この後、恒温機で120℃30分程の二度焼きを行いました。

そして後日、外してあった部品を取り付けます。

プラグカバーは両端にシリコーンシーラーが付いているので、同じ種類の接着剤を使って元のように貼り付け~マスキングテープで位置を固定して保管しておきます。

タペットカバーのバッフルプレートは違うタイプのシーラー=耐熱耐油用を塗って固定しておきます。

そして完成です。大変お待たせしました!

最初の状態も紹介します。

元々はこのような状態だった物を、

青味のある黒=マツダ「ブルーブラック」(カラーコード:HQ)を参考にして結晶塗装を施しました。

単体で見ると判り難いのですが、

通常の黒より青味が出ているのが判るかと思います(言わないと判らないレベルかも知れませんが…)。

各画像はサイズの縮小以外は未加工となります。

プラグカバーは一方が新品で、

もう一方は中古で腐食が出ていたのでサンドブラスト処理も行っています。

タイミングベルトカバーは今回初の樹脂製品で、

RB26だった凸文字の「6」を削り落とし、新たに「7」で作り直しています。後で判り易い画像で紹介します。

イメージし易いよう組み合わせた感じに44仮置きして並べてみました。

 

元々はこのように末尾が「6」だったのですが、

それを削り落とし、空いた穴をアルミ板で裏当てし、

新たに作成した「7」を樹脂で複製して貼り付けました。

アルミの場合は最後に文字部の天面を研磨して金属素地を露出させて光らせる場合がありますが、今回は樹脂なのでそのままの仕上がりとなります。

それぞれの文字の厚みが違うのは、元々こうなっているからですね。

継目は全く感じられない仕上がりになっていますので、言われないと判らないくらい自然に仕上がっているかと思います。

それでは後ほど完成のお知らせメールを差し上げます。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!


ちなみにこのタイミングベルトカバーの文字加工は10年以上前からやっていますが、今年はこの御依頼が非常に多く、この後にはまだRB30化を2個、RB28化を1個の作業が待っています。元々ウェブ上では紹介していましたがここまで御依頼が続く事は無かったので、恐らくこれはTwitterで紹介したからでは、と思っています(現在有料の宣伝広告は一切行っていませんが既にやり切れないといった状況です…)。非常に有難い限りです。

RB26→RB27タイミングベルトカバー等エンジンパーツ 本塗り

先日旧塗膜の剥離を行っておいた日産BNR34純正の中古品プラグカバーです。

腐食が出ていたのでサンドブラスト処理を行いました。

その後他の新品パーツも含め、リン酸を使って化成処理を行います。

タペットカバーは新品なのでホースパイプ取り付け部は塗らずにそのままにしようかと思っていましたが、どの道ここは経年でメッキが剥がれて腐食してしまうので、一緒にリン酸処理を行い、こちらも塗っておく事にしました。

その後しっかり乾燥させ、本塗りのタイミングまで保管しておきました。

まずはプライマーを塗布します。

プライマーはホースパイプ取り付け部も一緒に塗っています。

続けて、元々のメッキに近い色合いでベースコートを塗布します。ただこちらはこの後テープを貼った状態で(マスキング)熱を掛けるとその糊の跡が付いてしまうので、後でまた塗り直す事となります。

結晶塗装の色は以前施工したマツダ「ブルーブラック」(カラーコード:HQ)を参考に、結晶塗装の黒に青を混ぜて色を作成しています。

単体で見るとただの黒にしか見えませんが、光に当たると若干青味を感じられます。

タイミングベルトカバーについては、先日サフェーサー代わりにグレーの1コートソリッドを塗っておき、その後60℃40分程の熱を掛けて硬化させておきました。

7以外の文字がザラザラしているのは研磨したPP樹脂素地が毛羽立っているからで、特に問題はありませんのでご安心くださいませ(むしろこれが根っこのようになっていて密着性が向上している筈です)。

水研ぎ研磨してラインを整え、

念のため全体をウォッシュコンパウンドとナイロンブラシで洗浄&足付け処理しておきます。

元の赤メタリック部分の上にもサフェ代わりにクリアーが塗ってあります。

車体に装着された際に文字が正面を向くよう、タイミングベルトカバーの面に対して角度が付いているのが判ると思います。一番左の「R」が高く、一番右の「7」は低くなっています。

そして本塗り完了です。お待たせしました!

あっという間に本塗り完了といった感じに見えますが、実際には事前のテスト塗装(私物)を行い、またブース内のセッティング=結晶塗装用の塗料(リンター)は熱硬化型の為その辺に飛ぶといつまでもベタベタしてしまうので、排気口の左右にビニールの壁を作ったりと準備が結構忙しいです。今日は10時には本塗りスタートして、塗り終わったのが16時でした(なので昼食が17時となりました・・・)。

結晶塗装目は塗膜の厚みや熱をいれるタイミングによって変わるので、全体の膜厚を均一に塗る事が最も重要事項となります。

ただヘッドカバー等のパーツは平面では無いので、何も考えずに塗ると膜厚が着く箇所とつかない箇所が生じ、それに応じて結晶目も変わってしまう為、スプレーガンは被塗面に対して斜めにした状態で平行移動、それを逆側からも往復する事でガタガタした箇所(主にボルト取り付け部の出っ張り)にも全方向から塗れるようにしています。一般的な塗装は「スプレーガンは被塗面に対して垂直に」となるので、セオリーとは全然違った塗り方となっています。

コート数で言うと、3~4コート分の膜厚となっています。通常のクリアーの倍ですね。

上面を塗る場合は垂れるリスクが無い為、むしろここに塗り過ぎてチヂレ目が大きくなってしまう事に注意が必要です。車体を側面通して(フロントフェンダー・フロントドア・リヤドア・リヤフェンダーの4枚)塗る場合は比較的綺麗に塗れるのに、フェンダー一枚だと気負い過ぎてついうっかり塗り過ぎて肌が平滑になり過ぎてしまう(時には垂らしてしまう)のと同じような感じですかね。

ちなみに現在お預かりしている2000GTのヘッドカバーは、当時の砂型鋳造の品質が悪いせいもあり素地がかなり凸凹していて、細かい結晶目ではその粗が隠し切れず目立ってしまいますから、より膜厚をつけ結晶目を大きくするようにします。

そして今回の肝でもあるタイミングベルトカバーです。

樹脂製(ポリプロピレン)のタイミングベルトカバーは熱で変形するリスクがあるので今まではお断りしていましたが、さらに変形し易いPMMA=アクリル樹脂で何度か結晶塗装を行う内に対応出来そうだと感じた為、今回初めてこちらのパーツの結晶塗装をお受付する事としました。

「7」に変更した凸文字も全く問題なく、後は念のため後日もう一度2度焼きを行う予定です。

この後は本塗り前に塗ったホースパイプ取り付け部の再塗装と、剥がしたシーラーを取り付け予定です。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

RB26→RB27タイミングベルトカバー等エンジンパーツ 下準備

先日樹脂製タイミングベルトカバーの「6」を「7」に加工しておいたBNR34純正のタペットカバー(ヘッドカバー)です。

比較的薄い塗膜だったらそのままサンドブラストで塗膜を剥がそうと思っていましたが、やはりと言うかそれだと大変そうだったので、

裏側のバッフルプレートを外し、溶剤槽に浸けて塗膜を剥がす事にしました。

先に溶剤槽に入れておいたプラグカバーを出して、この状態からワイヤーブラシ等を使って塗膜を剥がします。

途中、RB26→RB30への加工で御依頼頂いたタイミングベルトカバーも並行して作業をしています。少し前に行った仕様ですが、まさかこんなに早くリピートが来るとは・・・。

腐食が出ていたプラグカバーは、この後サンドブラストを行い、その後に全部まとめてリン酸を使った化成処理を行います。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

RB26→RB27タイミングベルトカバー 下準備

先日「7」の凸文字を制作していたBNR34純正の樹脂製タイミングベルトカバーです。既存の塗膜(プライマー)がシリコンオフで溶けてしまうので、全体をクリアーで下塗りしておきました。

「6」を削り落として穴が開いた箇所は、裏にアルミ板を当てて構造用接着剤(3Mオフホワイト)で固定しています。

「6」の箇所を研磨して平滑にし、全体を足付け処理しました。

「6」があった箇所に「7」を置いてサイズ等の最終確認を行います。

構造用エポキシ接着剤(3Mオフホワイト)を使って「7」を貼り付けます。タイミングベルトカバー側はプラスチック素地が露出している箇所が無く、また今回作成した「7」は2液ウレタンレジンなのでプラスチックプライマーの塗装は必要がありませんから、そのまま接着しています(PP=ポリプロピレン素地が露出している場合はプラスチックプライマーの塗布は必須です)。

その後60℃15分程の熱を掛けて接着剤を半硬化させました。

いつも行っている「8」のアルミ板と違い、ウレタンレジンで複製した7は柔らかいので被塗面の形状にも馴染むと考え、接着剤の塗布は少量にしています。

なので食み出しも最小限で済んでいますから、

このまま再度熱を掛けて本硬化させます。

その後周りをマスキングし、食み出た接着時を研磨して均しておきます。

そして当て板とペーパーを使い、全ての凸文字を研磨して高さを合わせました。

よく脱脂清掃し、マスキングを行います。タイミングベルトカバー全体は下塗りのクリアーで覆われているので、再度全体に塗装を行う必要はありません。

PP素地が露出した「RB2」の部分にプラスチックプライマーを塗布します。ちなみに「7」の周りもPP素地が露出しているように見えますが、こちらは下塗りクリアーで覆われているので(そしてその下には既にPPプライマーが塗られているので)、ここにプライマーを塗る必要はありません。

ちょっと信じられない事ですが、プロの塗装屋さんでもFRP製品(ゲルコート仕上げ)にプラスチックプライマーを塗る事が当然と思っている方も居て(昔アルバイトに行っていた会社の塗装屋兼社長)、「タカハタくん!エアロパーツは塗装が剥がれ易いからちゃんとプライマー塗って貰わないと困るよ!」と言っていましたが、その塗装屋さんが塗った物が剥がれるのは単なる脱脂不足で、被塗面に残った型から剥がす際に使う離型剤がしっかり取れていない事が原因なだけだと思います。念のためですが、ゲルコート=不飽和ポリエステル樹脂にプラスチックプライマーは必要ありません。恐らくプラスチックプライマーを塗るとその後の塗装が弾き難くなるので、それのおまじない的に塗っていたのではと(ただ商売は上手で、その後その方の会社は大きくなっていきました。塗装は剥がれる事になるのですが…)。

そしてグレーの1コートソリッド=STANDOX VOC 2Kエナメルを塗布します。

通常であればサーフェサーを塗るところですが、サフェはそれ自体が凸凹とした肌になってしまいその後の研ぎが必要ですから、その作業を省けるよう肌が平滑になるトップコートをサフェ代わりに使っているといった感じです。または途中の下塗りで使ったようにクリアーを使っても良いのですが、下地(フェザーエッジ)の模様が見えない方が凸文字を確認する際のバランス感が判り易いと思い、色のついた(顔料が入った)1コートソリッドを使ったという訳です。サフェを使う程では無い梨地を艶ありにする場合の「2度塗り」と同じような感じですね。

「RB2」の部分がザラザラしていますが、こちらはPP樹脂を研磨した際に出来る毛羽立ちで、これは問題ありませんのでご安心くださいませ(むしろ樹の根っこみたいで密着性が上がると思っています)。後の研ぎで均しておきます。

この後は60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、細部を研いで足付け処理を行ったら本塗り前の準備が完了です。

残るアルミパーツも作業着手しておりますので、そちらも進行次第紹介させて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

RB26→RB27タイミングベルトカバー 凸文字作成

 

先日レーザー加工機から切り出したPMMA=アクリル樹脂製の「7」の文字です。これをこのまま貼り付けても多分問題は無いと思ったのですが、今後同じような御依頼もありそうなので今回はこれを基に型を作成し、複製出来るようにします。

端材のアクリル板に両面テープを貼り付け、真ん中辺りに「7」を配置し、周りをブロックで囲います。

使うのはこういったシリコーン樹脂で、いつも使っている塗料と同じく主剤と硬化剤を混ぜて固めます。

ブロック型にシリコーンを流し込み、気泡を除去する為に真空脱泡を行います。

真空脱泡はそれ専用の機器が売っていますが、構造としては非常にシンプルなのでデシケーターは自作しています。

型取り用のシリコーン樹脂は粘度が高い為か、凄い量の気泡が噴き出てきます。

その後24時間程寝かしておくと固まっています(熱は掛けていません)。

ブロックを外して固まったシリコーンを取り出します。

今度はそこにウレタンレジンを流し込みます。余分を削る作業を軽減できるよう、クリアーファイルを切った物を蓋としておいておきます。クリアーファイルの素材であるPP(ポリプロピレン)はそのままでは塗料や接着剤がくっ付かないのでそのまま置くだけでOKです。

最初はエポキシレジンにしようかと思いましたが、今回は被塗物=タイミングベルトカバー自体が樹脂製と言う事で、結晶塗装もそこまで熱を掛けない方法を想定しますから、ウレタン樹脂でも問題無いかと思った次第です。

型から取り外し、これで今回貼り付ける「7」の完成です。この後はこれをタイミングベルトカバー本体に接着します。

それでは作業が進行しましたらまた紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!