シビックメッキモール塗装 完成

 こちらも大変お待たせしました!シビック用ホンダ純正メッキドアロアモール&バックドアロアモールの塗装、本日完成となります。

最初の状態も紹介しますね。

元々はABS樹脂に装飾クロムメッキが施された物で、通常はそのまま塗っても十分な密着性を保持出来ませんが、メッキ素地専用として行っている下地作りにより、従来の塗装と同様の仕上りに出来ているかと思います。また密着剤の類は使用していませんので、経年による密着力の低下も考えられないかと思います。

 色はソリッドカラーの黒で、クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」の仕様となります。

 取り付けはディーラーさんで、これから納車の新車に装着される模様です。

自動車ボディとの塗装とは違い、小物の塗装の場合は極力「塗り肌」を残さないように塗っています(その方が高級に見えます)。

 車体の補修(事故などの補修)は「元の状態に戻す」事が基本となる為、ボンネットなどの平面でも塗り過ぎたりすればアウトで、新車時の肌に近い仕上りになるように塗る必要があります。

小物の塗装の場合はこの「塗り肌」を極力無くしたい為、ガン距離を近づけてスプレーします。

被塗面までの距離が短ければ、それだけスプレーガンから出た塗料中の溶剤の揮発する量が少なくなる為、塗着したクリアーが十分にレベリングしてくれる事になります。先日行った模擬ワークショップでも知り合いの塗装屋さん方々は驚いていましたが、ガン距離を近づける事によって粘度の高い塗料でも綺麗に塗る事が出来ます(希釈された塗料は塗り易い反面、艶が引け易くなります)。

 一件タップリ塗られているような肌ですが実際はそうでは無く、溶剤分を揮発させないまま被塗面に到着したクリアーは、少ない量でも十分にレベリングして美しい肌になると言う事です。

裏側の両面テープは通常剥がして塗りますが、取り付けがディーラーさんとなると「純正以外は脱落等の保障が出来ない」と言うケースがあるかも知れませんので、

 今回はこれを残して塗装する事にしました。私もディーラ―勤務(正規サービスセンター)だったのである程度判りますが、外で行われた事には排他的な傾向になる恐れがありますので、考え過ぎかも知れませんが念の為のような感じです。

ただし今回は両面テープの貼り付け位置がしっかりと内側にオフセットされていたのでそのまま出来たと言う事もあり、この辺の貼り方が綺麗では無い場合は、やはり一度剥がしてからの塗装になるかと思います。特にメッキ素地用の下地処理は作業内容が激しくなりますので、残す方が面倒になったりもするのです。

それでは後程完成のお知らせメールを差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

シビックメッキモール 本塗り

 先日メッキ素地用の下地処理を行い、サフェーサーの塗装までを行っておいたシビックのドアロアモール4点とバックドアモール1点です。

 その後60℃40分程の熱を掛けて完全硬化させ、ガイドコートとして黒を全体にパラパラと塗っておきました。

 #600→#800で水研ぎ後、さらに布状の研磨副資材(アシレックスレモン)でペーパー傷の目消しを行います。昔は最後の目消しに使い古しのペーパーや、さらに細かい番手(#1200程度)を使っていましたが、近年は傷の付き方が均一で、且つ切削能力も十分な足付け処理用の副資材があるのでとても便利です。

 裏側のマスキングはフチを全部貼り直しました。

 手で持って塗れるよう、芯棒を取り付けます。

 芯棒は主にガムテープでの固定となりますが、部品の中心に固定する事でテープの粘着力に依存せず、落下の危険性を低下させます。逆にこのバランスが悪いと、熱を入れた時にテープの粘着力が落ちて外れたり、次の日に出勤して見てみると部品が落ちていた!なんて事になる訳です。

 良く脱脂清掃し、エアーブロウ&タッククロスで拭き上げ、

 まずは裏側にベースコートを塗布します。

台に挿したままでも塗れますが、置いて塗った方が確実なのでこうしています。

 表側にもベースコートの黒を塗り、クリアーを塗って本塗り完了です。

 クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」の仕様となります。

 リヤゲートのロアモールは横幅が大きいので持って塗るには難しく、台に挿した状態でクルクル回しながら塗装しています。横に棒が飛び出ているのは、回転させる時の持ち手となるようにです。

 こちらも比較的長いですが、ドアモールは全て左手で持って右手でスプレーして塗っています。

クリアーを塗る時は裏側から周り込むように塗っていて、また一回目と二回目で塗り方を変えるようにしているので、角にクリアーが入っていない!なんて事が起きないようにしています。

この後一晩は自然乾燥で寝かし、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させ、最後に磨き処理を行ってさらに数日寝かしたら完成となります。どうぞもう少々お待ち下さいませ!

シビックメッキモール 下準備

先日お預りしておりました本田シビックのメッキモール5点です。

部品は新品で、裏側には両面テープが貼ってあります。通常であれば塗装の前に剥がしてしまいますが、今回は部品のサイズが大きくそこそこ自重がある事、また取り付けはディーラーにて、これから納車される新車に装着されると言う事で、万が一を考えてこれらはそのまま活かす事にしました。

 だだしそのままだと見た目が悪くなってしまうので、裏側は全面マスキングします。

 モール裏側のフチには段差が付いていて、両面テープはその内側に貼ってある為、下地処理とプライマー~サフェーサー、また本塗りまでもこのフチまではしっかり行うようにします。

 リヤゲートに装着されるモールは薄くてペラペラで、うっかり曲げてしまうとメッキが割れてしまう為、補強として5ミリ径の真鍮棒をテープで固定しておきます。

 その後メッキ素地用の下地処理~プライマーを塗装し、続けてサフェーサーを塗布します。

 素材となるABS樹脂は比較的柔らかいので、今回のような補強の入っていない薄板状の物だと、うっかり端だけを持ったりしてしまうと大きくしなりメッキが割れてしまいます。

ベンツのトランクリッドに貼ってあるスリーポインテッドスター(実際には3箇所の穴にグロメットが嵌って脚が挿さっている)を外す際、一か所だけを持ち上げて外そうとすると細い箇所のメッキが割れてしまうのと一緒ですね(殆ど気付かれないレベルですがメッキ層だけ亀裂が入ります)。

この後60℃40分程の熱を掛け、サフェーサーが完全硬化したら全体を水研ぎして平滑にします。

他にも一緒にサフェーサーを塗布している案件がありますのでそちらも続けて紹介しますね。どうぞもう少々お待ちくださいませ!

シビックメッキモール塗装承ってます

 先日到着しておりましたシビック用のホンダ純正メッキモール一式です。この度のご依頼、誠に有難う御座います!

一番手前がリヤテールゲート用のモールで、上の4個はドアのロアモールとなります。

色は艶ありの黒で、クリアーは高品位なタイプの「クリスタルクリアー」への変更で承っております。

取り付けは両面テープで行うようになっていて、今回は脱落防止の事も考えてこちらはマスキングをしてそのまま残すようにします。

またメッキ素地に直接上塗りをしても十分な密着性が得られませんので、いつものようにメッキ素地用の下地を作ってからの塗装とします。

ちなみに車体はこれから納車と言う事で、恐らくは塗装の事についてディーラーさんにも相談されたのでは?と思いましたが、少なくとも私がディーラー(のサービスセンター)に勤めていた時にメッキを塗装すると言う事は一度も無かったので、もしかしたら断られていたのかも知れません。塗っても剥がれてしまうと言う事で、恐らくフロントで受付自体していなかったのだと思います。

それでは作業進行しましたらまた紹介をさせて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠に有難う御座います!