大変お待たせしました!先日本塗りを終えていた日産フーガの純正テールランプ塗装、本日完成となります。
最初の状態も紹介します。
元々はこの様な状態だったレンズに、
クリアーは高品位なタイプのクリスタルクリアーの仕様となります。
この状態だけで見ると元々こういった物だとしか思えない程度の濃さで、
先日お預かりしておりましたアルファロメオ147GTA用のワイパーアームです。
シフトノブに関しては先日下塗りを終えていて、今回一緒に本塗りも行っているのですが、作業内容が多いので個別に別けて紹介させて頂きます。
ワイパーアームは中古品ですが程度が良いのでサンドブラストを行う程では無く、
ただし一部塗装がされていない箇所に錆が出ている所があり、今回は重曹を使ったウェットブラストを行う事にしました。ペーパー等では足付け処理がし難い場所もこれなら安心です。
と言う訳で、ウェットブラストを使った全体の足付け処理が完了です。その後よく洗浄してエアーブローで水気を飛ばしておきました。
錆びていた箇所と、その周りの塗膜が剥がれているのが判ると思います。
その他ペーパー等では届かない入り組んだ箇所もしっかり足付け処理がされています。
尚、スプレーでは入らないような影になる箇所には先にタッチアップ&エアーブローでプライマーを塗ってあります。
続けて隠れてしまう可動部と、シャフト取り付け部にベースコートの黒を塗布します。
部分的に塗ったベースコートの黒が乾いたら、全ねじとナットでワイパーアームを固定します。吊るして塗ろうとするとスプレーガンのエアーで揺れてしまって塗り難い為ですね。
画像だと台に挿した状態ですが、塗っている時は片手で持ってスプレーしています。
この後ベースコートの黒が乾いたらトップコート=今回御指定の「半艶クリアー」を塗りますが、
今回は今年発売された新しいSTANDOXのマットクリアーシステムを使う事にしました。
これの購入自体は発売前から予約をして直ぐに届いていたのですが、艶消し具合の調整は非常に難しくデリケートな為、その後ずっとシステム替えの機会を伺っていました。
尚、今までのスタンドックスの艶消しクリアー=スーパーマットでは、アジテーターカバーをつけて使うとトラブルが出たので(ワキ)それを避けていましたが(毎回缶の蓋を開けて攪拌棒で混ぜていました…)、今回はマニュアルに「アジテーターカバーの装着可」と、先日行ったオートサービスショーでメーカーの方に「最初に攪拌棒で底の塊を取ったらその後はアジテーターカバーで問題無い」とのお墨付きを頂いたので、今回こちらを導入して装着してみた次第です。まあ考えてみれば2Kエナメル(1コートソリッド用塗料)もアジテーターカバーを着けて使ってますし、とにかくこの方が断然楽ですからね。
「艶消し」については既に検証して色見本も作成しているのですが、今回は「半艶」を目標にするので、改めて色見本を作成しています。
完全硬化した状態で、左奥は半艶クリアー「K9140」を100%、右が半艶クリアーと艶消しクリアー「K9150」を1:1にした仕様です。ハードナーとシンナーも規定値通りに入れています。
結果としては半艶クリアーだけだと艶が出過ぎてワイパーアームだと違和感がある為、今回は1:1の仕様で行く事にしました。
と言う訳で半艶=1:艶消し=1仕様にしたワイパー仕様のクリアーで本塗り完了です。お待たせしました!
1コート目を塗ってからのフラッシュオフタイムは規定が15分になっていますが、全く艶が消える気配がなく表面もヌルヌルの状態で、そのまま重ねると艶にムラが出てしまう恐れがある為、30分近く待つ事にしました。もしかいて1.5コート吹きと勘違いしたのかと思いきや、やはりマニュアル上では2コートになっています(と言うより艶消し・半艶で1.5コートはムラ・ダマの大きな原因なので普通しません)。
事前に艶具合の確認もしていたので、一応は安心して待つ事が出来ました。
作成した見本の通り、良い感じの艶消し具合になっていると思います。
ちなみにディーラー(メーカー内製工場)で働いていた時は、こういった半艶黒はラッカー缶スプレーで塗っていました。私が進んで手抜きをしていたという訳では無く、そもそもそこのやり方がそういた方法だったのです。
ディーラーというと完璧な仕事をしているように思う方もいらっしゃるかと思いますが、実際には作業性が優先され、良い仕事をしようとすると逆に「出来ない奴」と思われたりします。またそれ一台に対して一人で向き合う訳では無く、多人数が関わっての「分業」といった形態となる為、どうしても責任感が薄れてしまいます。極端に言うと「後でトラブルが出ても誰がやったか判らないから個人が責任を負わなくて大丈夫」という感じです(勿論履歴は残りますがそこまで重責を感じません)。
また内製工場に入庫されるような車体は比較的年式が新しく、長く乗られている躯体というよりは定期的に買い替えるようなユーザーが方多いという感じで、後で問題が起きても表に出ないといったケースが殆どだと思います。
それ故に作業的にとても楽でやり直しも簡単な「1液ラッカー半艶黒」が重宝され、会社としてもそれを問題としていない面があったのです。まあ外資系ディーラーの内製工場でワイパーを塗り直すという事自体殆ど無いので(基本的に交換です)、大抵はバンパーやミラーカバーに使っていたのですが。
この後は一晩自然乾燥させ、後日60℃40分程の熱を掛けて塗膜を硬化させます。
また一緒に塗ったシフトノブのプレートは別の記事で紹介させて頂きます(明日になるかも知れません)。
それでは完成次第改めて紹介をさせて頂きます。どうぞもう少々お待ちくださいませ!
先日本塗りを終えていたフォルクスワーゲン純正のGTDエンブレムです。
「T」を加工して「I」に変更し、艶消し黒の塗装を施しています。
元々着いていた両面テープは塗装の際に剥がす必要があり(剥がさなくても出来ない事は無いのですが見た目が悪くなる事と、メッキと同様プライマーを全体に覆うようにしたいのでそうしています)、その前にスキャナーで形をPCに読み込んでベクトルデータを作成しておきます。
これくらいの形ならカッターとハサミで切る事も出来ますが(むしろその方が早いです)、
純正と同様、エンブレム本体より一回り小さく、そして美しくカットされていると気持ちが良いのでそうしています。
尚、この時の両面テープは作業前に作成した物で、元々貼ってあった両面テープより若干厚く感じましたから、
完成後はもう少し薄いタイプの両面テープに変更しています。いずれも3MまたはNITTOの自動車補修用で使う物なので製品については信頼でき、また貼る前にはプライマーも塗っていますのでご安心くださいませ。
最初の状態も紹介します。
元々はこういった「GTD」と「T」のエンブレムだった物の「T」を「I」に加工し、
元々あった装飾クロムメッキは薬品で剥がしてから加工・塗装を施しています。
「T」と「D」はメッキは剥がしておらず、ただそのままだと上塗りは密着しませんので(密着剤の類は経年で劣化する為に当店では使用しませんので)、素地調整と下地処理を行ってからの上塗りとしています。
VWに詳しい方でも、まさか後から作ったとは気付かないかと思います。
ちなみに「わざわざメッキを剥がさなくても良いのでは?」と思うかも知れませんが、素材となるABS樹脂と装飾クロムメッキは密着はしておらず、全体を覆う事によってその形を保持しているだけなので、一部をカットして断面を露出してしまうとそこからメッキが浮いてきてしまうのでNGなのです。今回のように何かしら加工をするなら全部剥がし、残すなら下地を露出させないように注意が必要です。