キャノンレンズフード「ET-87」 下準備~本塗り

canon17こちらもお待たせしました!数日前から準備はしていたのですがすっかり紹介が遅れてしまいまいた。

上の画像はレンズフードを分解した状態です。この型のフードはレンズとの装着に「ストッパー」が付くタイプなのでフードは2分割に分解が出来ます。ただしちょっとネジやらバネやらが小さいのでそれを気をつける必要はありますかね。飛んでいったら発見するのは難しいかと・・・。

canon11 そして足付け処理です。この場所はいつも完成品を撮影している一段下の隣の場所で、午前中は日が窓から差し込む光がちょっと強いです。

手前右にある四角くて黄色いものが所謂ペーパー(研磨紙)のような物で、比較的細かい番手でも空研ぎで目が詰まり難く足付け処理には非常に重宝する副資材の一つです。ただこれ一枚で¥100くらいしますから(市販じゃなく業販価格でですよ)コストはそこそこ掛かっています。昔ながらのペーパーでこのサイズなら¥10くらいなんでしょうけどね。

sekainoowariそしてマスキングです。レンズフードの場合はちょっと特殊で、内側に反射防止の「植毛」が施されていますから長時間マスキングテープを貼っておくとそれの影響が懸念されるので(毛が剥がれてしまうかと)、テールレンズ塗装と同じく「塗るその日に準備」が基本となります。なのでタイミングを見計らうのが結構難しいんですよね。のんびりしていたと思いきやバタバタしてしまうのです(故に事前のイメージトレーニングが必要かと)。

canon13そして本塗り準備完了です。途中何度も脱脂作業はしていますがここでも最後にもう一度行います。素手で触れたところは全部拭っておくといった感じで計4回は行っています。

canon12  フードのマスキングは内側に貼ったテープが随分と食み出ていますが、これは「バックテープ」なる手法で自動車の塗装屋さんなら極一般的な貼り方です。なので気にしないでください。むしろフチにピッタリとはって止めるとマスキング際に塗料が溜まってしまうので(表面張力習いましたよね)、空気の通り道に壁を作ってあげるような感じでフチへの塗料溜りを防ぎます。キャノンのレンズフードは植毛がフチギリギリまで来ているので色が飛ばないように配慮が必要なのです。

ただしこの「植毛」のせいでマスキングテープは粘着力が弱くピッタリとはくっ付きません。塗装中のエアーで貼られたテープがヒラヒラと浮いてしまうのです。

なのでフードの内側には円状にカットしたダンボールを嵌めこんでテープの浮き上がりを防止しています。ただしこれも押さえつけたまま放置してしまうと植毛にその跡が残ってしまうので、塗ったら直ぐに外せるように指を差し込む穴を開けているのです。

って事を色々紹介していてある日気が付くと他のサイトでも同じような事がやられていたりとちょっと驚いたりもするのですが、この辺は他の方が心配するほど(何故か良く心配されます)余り気にしていません。

canon14 ちなみに色は以前作成した物で、今回オーナー様から伺っているレンズと、前回合わせて作っているレンズとは同じ物だと確認出来ていますので色ブレの心配もかなり少ないと思いますから御安心下さい。

canon15ベースコート(色)を塗るのは大きい部品の方だけで、ボタンと根元のリング部分はクリアーだけとなります。勿論下地にはプラスチックプライマーも塗布しています。

上の画像はクリアーを塗って少し時間が経った状態ですがまだまだ艶は残っている状態です。ここから数時間掛けてゆっくり艶が消えていきます。

canon16そして熱を入れ終わって(60度40分以上)艶が消えた状態です。マスキングテープがグチャグチャになっているのはクリアーが硬化する前にある程度剥がしておいたからです。完全に剥がすにはリスクがありますが(少しの接触で塗り直し確定ですので)、フチの部分だけ剥がせるようにはしていますのでピンセットで摘んで奥に押し込んでいるのです。

と、レンズフードも何回か塗っているとその癖と言うか注意点などが色々と判ってくるので、同じ物はそれをやる毎に懸念事項を潰していきます。この辺が「塗装作業は消去法の積み重ね」と思うところですかね。ネチネチとした事をひたすら繰り返していくのです(って言う程辛い仕事ではありませんが)。

キャノンレンズフード「ET-87」塗装承ってます

et871すっかり紹介が遅れましたが、先日無事到着しておりましたキャノンのレンズフード「ET-87」です。この度のご依頼、誠にありがとう御座います!

ちょっと前にもキャノン製のレンズフードを塗装しましたがそちらとはちょっと形が違っていて、こちらは所謂「花形」と呼ばれる物です。レンズから外す場合にはボタンもあって、見た目は一個の製品ですが塗る時は分解して行うので合計3点の塗装となります。

et872フード裏側にあるプラスネジ4個を外すと分解出来ます。

このままでも塗れない事は無いですが、継ぎ目が中途半端に埋まったり埋まらなかったりすると格好悪いのでやはり分解しての塗装が基本となります。と言うか新品時に塗装するとして普通組み付けてから塗ったりはしませんよね。

et87 こちらは別件で以前ご依頼頂いた時の案件で、手前のレンズフードは今回のご依頼品と同型のものです。

今回のご依頼では基本的にはこれと同じで、花形のメインパーツの方をグレーベージュで根元部分を黒のままにします。赤いラインは入れません。

ちなみに根元の部分は黒のままですが、グレーベージュの部分と艶具合が違ってしまうのは変なのでやはり一緒に艶消しクリアーを塗っておくのがセオリーとなるのです。

上の画像では奥にあるレンズと手前のレンズでは全然色が違って見えますが、これが所謂「製品毎の色ブレ」でして、同じキャノン製品でもこれだけ色は違ってきます。似たような事で、例えばトヨタ車でも色々な車種で同じ色を採用していますが実はそれぞれかなり違う色だったりします。なので塗装時にはかならず「目調色による微調色」が必要になってくる訳ですね。車体を塗るのに配合データそのままで塗るなんて事は普通有り得ませんので(私的経験ですが)。

ちなみに今回のご依頼では画像手前にあるレンズと同型の物に装着されるので、この時作成した色をそのまま使いますから極端な色違いが起こる可能性は低く、なのでレンズはお預かりしていません。

ちょっと前にご依頼頂いたET-74のオーナー様は「それでも一応見て貰いたいので」という事でわざわざレンズも一緒に送って頂きました。この辺はオーナー様の自由ですのでもし不安に思われる方はレンズも一緒に送って頂いても構いません(確認だけなら費用は掛かりません)。ただし色の確認もいつ出来るか判りませんので基本的には完成時まで一緒にお預かりとなります事をご了承下さいませ(現時点ですと二ヶ月くらいは掛かるかと・・・)。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。改めましてこの度のご依頼、誠にありがとう御座います!

キャノンレンズフードET-74塗装 完成

canon3 大変お待たせしました!キャノンのレンズフードボディ同色仕様の塗装、本日完成となります。

画像は実際にレンズに装着した状態です。ちなみにレンズ本体の塗装をご希望される方も時々いらっしゃるのですが、本体は稼動部などがあるのでこれを塗るにはバラバラの部品単品にしなければならなく、となるとそれ専門の方に分解をお願いし再塗装後にまた組み付けをお願いするといった事になるので現実的では無いですよね。カビが生えたレンズを直すより買い直した方が安く済むというのと同じ事なのです。残念ではありますが・・・。

canon4クリアーの艶に関しては「艶消し」になっています。一度「半艶」で塗った事もありますが余りの違和感なので艶消しに塗り直したといった事例があります。

ちなみに本体の方の塗装は表面に粒々したような塗り方になっています。これについては以前より「NIKONカメラのボディと同じような塗装に出来ないか」といったご要望を頂いておりますので早いとこ試してみたいんですけどね。既に一度テストして方向性は見えていますのでいずれ実現させたいです。忘れている訳ではありませんのでご安心下さい。

canon一応こちらが作業前の状態です。このページから見た方だと何がどうなったか判らないと思いましたので念の為・・・。

canon5黒い部分はベースコートは塗っていません。ただし最後には全体に艶消しクリアーを塗っているので段差は殆ど感じないと思います。

当店で行っている塗装としては全てが手作業となる訳ですが、目指している方向性としては「手作りの味わい」などは一切無く、まるで製造ラインでロボットが作業したような如何にも機械的な「量産品」のようなレベルです。

これを一点ものの塗装でやるには意外と大変なのですが、元々やっていた塗装が「直した事が判らないように」といった補修塗装だったのでむしろ肌に合っているのだと思います。何だかんだ言っても楽しいですし(笑)。

それでは後ほど完成のお知らせメール差し上げますね。この度のご依頼、誠に有難う御座いました!

キャノンレンズフード 本塗り

canon こちらもお待たせしました!無事本塗り完了していますので御安心下さい。レンズも一緒にお借りしているのでGW連休前に完成出来ればよかったんですけどね。まあそんな軽く出来る作業では無いのでご理解頂ければと思います。

ちなみに色板は前回のご依頼で作っていたんですよね。うっかり忘れていました・・・。

canon1 ちなみに当店でスタンダードにしている仕様は、この型のレンズフードを一番最初にご依頼頂いた方が作ってくれたものを採用させて頂いております。上の画像の右の方に写る仕様書がまさにそれの写しで、今も有り難く使わせて頂いております。確か千葉から3時間掛けて来て頂いたんですよね(恐)。

作業工程としては、最初に根元付近をマスキングします。簡単そうに見えますが真っ直ぐなラインを出すのに10回以上貼り直していたりします。先端も3mm幅でマスキングしています。

canon2 で、まず最初にベースカラーのグレーベージュを塗布します。勿論プラスチック素地にはプラスチックプライマーも塗布しています。

canon4ベースカラーを塗ってから数十分放置してテープフリーな状態になったら赤ラインを入れる為のマスキングをします。ここの作業が異様に神経を使うところで胃液が逆流して来ます。

最初に塗ったグレーベージュの部分には極力手を触れないようにして作業をしますが、完全に触らないでと言うのも難しいので途中何度も手を洗いながら作業しています。

canon3  赤ラインの入れ方としては、最初にガイド用として幅が1mm程度のマスキングテープを貼り、それに沿って回りのテープを貼っていきます。ちょっと面倒ですがそうしないと真っ直ぐ同じ幅のラインは引けないんですよね。上に写っているのがそのテープです。センチメートル単位では無くインチサイズだったので20分の1インチ?でしょうか。

canon5 そしてこんな感じで赤ライン塗装の準備が出来ました。こういった作業は他の仕事と一緒には出来ないのでどうしても単価が高くなってしまいます。ベージュに塗るだけなら¥12,000ですが、黒い部分残して赤いラインを入れると2万円は越してしまいます。

canon6 マスキングが出来たら予め作成しておいた赤のベースコートを塗布します。赤と言うよりは朱色っぽいですかね。

canon7 そしてマスキングを全て剥がします。見た目だけならこれで終わりでも構わないのですが、このままだと耐久性は缶スプレーと変わりないので続けてクリアーを塗ります。手垢とか付いて落ちなかったら嫌ですし塗装が簡単に擦り切れても困りますしね。

canon8 黒い部分はプラスチック素地になるので忘れずにプラスチックプライマーを塗布し、最後に艶消しクリアーを塗って無事本塗り完了です。本塗り作業自体は一日で出来るのですが、他の作業は全く出来なくなるので前もって「この日に塗る」と予定を立てるのは難しいのです。

canon9そして一時間くらい経つとこんな感じに艶が消えてきて、完全硬化するとさらに艶は引けて来ます。

現時点での見た目としては、とても塗装して仕上げたとは思えない仕上がりに出来ていると思います(段差やラインのブレなどの違和感などは感じられないかと思います)。

それでは完成次第改めて紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!

CANONレンズフードの色 確認

canon1キャノンのレンズの色は以前作成しておいた物が二種類あって、ただネタ(この場合液体の塗料を指します)のままだと色の確認が出来無いので、実際に色板にスプレーして色味を確認します。

canon2統計を取って来て判ってきましたが、同型のレンズでは感じられる程の色ブレは無いと思います。こちらは70-200mmのレンズですが、今までのご依頼でもこの型のレンズはどれも同じ色っぽいですね。

これ以外だと70-300mmとか、レンズを支える土台部分とかではかなり大きな色ブレでしたから、それぞれの製品毎に色を作成しておけば大きな色違いは起きないと思います。

ただこの色も残り少なくなって来ましたから、そろそろまた新たに作り直さないとならないタイミングに来ていたりします。

実は一番最初にご依頼頂いた方からは調色費を頂いていて、その方のお陰で調色をせずとも今この色が残っているのです。ラーメン屋の秘伝おタレよろしく、大事に取っておいて来たんですけどね。あと二本分くらいですかね(赤は沢山あるのですが・・・苦笑)。