LOOKカーボンフレーム 下塗り

look51先日旧塗膜の剥離を終えていたLOOKのカーボンフレームです。素地調整を終えたので、ダウンチューブのクリアー下塗りを行いました。

look21ダウンチューブに入れる「LOOK」のロゴは黒では無くカーボン地を活かしたスモーク仕上げなので、この部分にはサフェーサーを入れられませんから、今回はまずダウンチューブのみをクリアーで下塗りを行います。本当はここでスモークが出来れば1工程省けるのですが、やはりと言うかそうしないでよかったです。

look52ちなみにダウンチューブには今回外せないアウターとブラインドナット(ボトルゲージを固定するボルトの固定穴)の二箇所が残っていて、それらの素材はアルミで、旧塗膜はサンドブラストで剥がされていますので、まずはこちらにプライマーを塗っておきます。

look53こちらがブラインドナットですね。ピッタリマスキングする必要も無かったのですが、まあその方が気持ち良いかと思いまして。

look54まずはこんな感じでプライマーを塗布します。

look55その後ダウンチューブに貼ってあったマスキングを剥がします。

look56そしてクリアーを塗布します。先ほどプライマーを塗ったアウターも一緒に塗ってしまいます。見た目的に何か違和感がありますが全く問題ありませんのでご安心下さいませ。

look57やはりと言うか全体的に巣穴があったので画像のようにハジキのような箇所が100個くらいあります。ただ根まで貫通しているのは30箇所くらいなので、それらはクリアーを筆指して埋めておき、次に塗るスモーク塗装でもそれが下塗りになるので大丈夫だと思います。ダウンチューブに関しては「クリアー塗装→完全硬化」の工程は都合3回行うことになりますので、中々手間と時間(と費用)が掛かってしまいます。どうか御理解下さいませ。

次の工程としては、ダウンチューブ以外の箇所にサフェーサーを塗布する予定です。クリアーを完全硬化させて寝かしてからとなりますので少し時間が空くかも知れませんが(早いとチヂレる可能性がありますので・・・)どうぞもう少々お待ち下さいませ!

 

LOOKカーボンフレーム&フォーク 旧塗膜剥離(二日目)

look44 先日に引き続きLOOKのカーボンフレームとフォークの旧塗膜剥離作業を行っています。こちらはフロントフォークですね。

look43 ちなみに通常フォークの先端には出っ張りがありますが、今回のフォークはそちらが既に削り取られたような状態でした。一応その跡は残っていますのでこの辺は研ぎ過ぎ無いように注意して削っています。

look39フレームの方は昨日までに#120のダブルアクションサンダーで粗研ぎを行っていましたが、今日はさらに手研ぎで細部まで塗膜を落とし、さらに全体を#180→#240で均しています。

ここまでやるつもりは無かったのですが、結局殆どの塗膜を削ってしまいました。折角なので最初に重量を測っておけばよかったですね。以前施工したcannodaleのカーボンフレームを参考にすると多分80グラムくらいは削れたのでは無いでしょうか(結局また塗装はするのでトータル的に軽くなる訳では無いのですが)。

look40カーボンフレームの場合は旧塗膜の剥離に溶剤やサンドブラストは使えませんが(どちらも素材にダメージが・・・)、全て手作業で行うと言う訳では無く、とにかくエアーツールを駆使します。

ちなみにカーボン素材は切削性が良い為、シングルアクション系のサンダーでは削り過ぎてしまいますから仕様するエアーツールはダブルアクションサンダーか、ギアーサンダーとなります。唯一使っているシングルアクション系のツールとしては、穴の中の塗装を削る為のリューターですね。

look41ラグの谷の部分にはヘラにペーパーを貼って削り、穴の中はリューターの先の砥石にペーパーを巻いて使います。

ペーパーは裏側に糊が付いているので当て板やヘラにそのまま貼り付ける事が出来、また手研ぎでも指にくっ付くので使い易いです。

look42イメージ的には硬い方が削れ難い感じがしますが、実際のところは硬い為が切削性が良い場合があり、カーボンフレームなどはサンダーで削ろうと思えば幾らでも削れてしまうので注意が必要です。サンドブラストの場合も柔らかい物には全然効かないのに、陶器などに当てると簡単に穴が空いてしまう!と言うような感じですかね。

ちなみにシートチューブ周りのラグは塗膜の密着が甘い部分があったので一応全部剥がしておきました。継ぎ目の部分には若干残っていますが全く問題ありませんのでご安心下さい。

ボトムブラケット周りのラグは多少塗膜が残っていますが、こちらはしっかりしていますので無理に剥がす必要もありませんからこれ以上は行いません。元々剥がれていた一層目のクリアーは全て剥がしてあります。

と言うか全体的にここまで剥がす必要は無かったのですが、やってもいないで「大丈夫」と言うのも何か嘘っぽい感じがしたので、一応やるだけやってからそう説明したかった次第です。

この後はワイヤーガイド(アウター)に残った塗膜をサンドブラストで除去し、その後まずはダウンチューブをクリアーで下塗りし(そこはカーボン地を活かした文字抜きですので)、そして全体にサフェーサー(とアルミ部分にはプライマー)を塗る予定です。

そこまで行けば一旦寝かしとして休憩となりますので、その他のご依頼品を進行させる予定です。来週半ばまではこちらに付きっきりになると思いますがどうぞもう少々お待ち下さいませ!

 

BMWカーボン製パニアケース蓋 下準備

bmw41 先日塗っておいた軽量エポキシのZ-1パテは、常温で一日置いてある程度固め、その後60℃40分(実際は100℃くらい)の熱を掛けて完全硬化させました。

bmw42  少し前に、NBロードスターのヘッドカバーでこのパテを試した時にはとても削り易いと感じたのですが、実はそれは塗ってから熱を掛けて直ぐの作業だったのでそうだったみたいです。通常使う#120では中々削れないので(と言うかカーボン本体の方がみるみる削れていってしまって・・・)、#80を使っての粗研ぎとなりました。その後クッションパッドを着けた#120でペーパー目を均しています。

bmw43 序にエッジの立ったフチも削っておきます。FRP製品は型から抜いた後に余分をカットするのですが、大抵は切ったそのままなのでこれがちょっと不自然なんですよね。

bmw44ちょっと判り難いのですが、外側と内側の角を面取りしてあります。純正部品などの金属・プラスチック製品はこういったフチが滑らかなので同じ様にしておくと後で自然に見えるのです。

standox4 そして今回使うのはこちらのSTANDOXのエポキシプライマーサフェーサーです。久しぶりに使うのでちょっと調べてみたらどうやら廃盤になっていたようで、現在は3:1の物にモデルチェンジしていました。まあどちらにしても使っている人は少ないと思いますが・・・。

順番的にはサフェでは無く「パテ」になるのですが、今回の作業ではちょっと下地が信用出来なかった事もあって、ポリエステル(パテ)に移る前にもう1工程でエポキシを使っておきたかったのです。

bmw45エポキシ樹脂の特徴としては分子間の結合がとても強固と言うことで、その性能はポリエステル(パテ)やウレタンの比ではありません。ただ耐侯性が良く無いので(カーボン製品がボロボロになるのはそのせいです)、使うのはもっぱらこういった下地に限られます。

元々この塗料を使うきっかけになったのは、古いベンツの新車塗膜で下地からクラックやらチョーキングが発生していた物に、本来なら問題のある塗膜は全部剥がさなければいけないところを、(お金が出ないので)仕方無しにこれで封じ込める!みたいな効果を狙っていて、万が一下地で何か問題が起きてもこの層があれば抑えられるんじゃ・・・といった事を期待しています。まあ無駄に終わるかも知れませんが(苦)。

ちなみに本来はこのままウェットオンウェットでスプレーパテを塗り重ねる予定だったのですが、さすがにここまでタップリ塗ってしまうと異種塗料間での硬化速度や伸縮率の違いでクラックやチヂレが生じる恐れがあるのでそれは止めて、一旦熱を掛けて固める事にしました。本当はそれが出来れば「強制乾燥→研磨→脱脂」の工程が1度で済むので早かったのですが、さすがに色々とやり過ぎだろうという事で(笑)。

と言う事で、また作業進行しましたら紹介させて頂きます。どうぞ今しばらくお待ち下さいませ!

BMW カーボン製パニアケース蓋 下準備

bmw33 こちらも大変お待たせしました!BMW R1200RTに装着予定の社外品薄型カーボン製パニアケース蓋も作業着手しておりますのでご安心下さいませ。

まずは裏側のマスキングですね。飛び出た金属製のフック部分も傷が付かないようガムテープで補強しておきます。

bmw34 ちなみに今回の作業では色々と試す予定で、予め熱を掛けてブリスターなどが出ないかを確認しておきます。出来の悪い(失礼を申し訳御座いません・・・)ファイバー製品の場合、樹脂の浸透が悪く内部に空洞が出来ていて、熱を掛けるとそこが膨らんで大変な事になるケースがあるのです。板金塗装屋さんなら判りますよね。私も何度も煮え湯を飲まされて来ました。

と言う事でガッツリ100℃で30分程熱を掛けておきます。

bmw35 幸いにしてブリスターは出なかったのですが、何だか余計にボコボコが酷くなったような気が・・・(苦)。

ちなみにブリスターが出た場合はマイナスドライバーなどで抉って表面の層を剥がしパテを充填します。少々強引な感じがしますが、本塗りが終わった時にブリスターなんて出たらもう立ち直れませんので、予め大きめのストレスを掛けて問題は出し尽くしておく方が結果的に楽です。

bmw36と言う訳で全体を#120のダブルアクションサンダーで研いでみました。削れていない部分が凹んでいる箇所で、比較的湾曲したパネルでこれはちょっと信じられない光景ですよね。

bmw37 しかもダブルアクションサンダーの振動で蝶番部分のプレートが剥がれました・・・(酷)。

外れたプレートの裏を見るとちゃんと接着剤で付いているみたいですが、試しに他のもヘラを差し込んでみたら簡単に取れてしまいました。ただこれがあると作業の邪魔だと思っていたのでこれはむしろ歓迎です。

bmw38 凹んでいる部分には本来ペーパーの面は当たらないのですが、これからパテを塗るので足付け処理の為にそこも削っておきます。

bmw39 最初に使うパテは先日社外記でも紹介したZ-1パテです。非常に軽くて密着性は良好、そして凄く高いパテです(笑)。この量で国産のポリパテが1缶買えるかも知れません。

bmw40まずは凹みの激しい部分にパテを塗ります。

本来であればここで60℃以上の熱を掛けるのですが、最初の段階で熱を掛けた時に変な動きが見られたので、とりあえずこの時点では熱を掛けないようにしてある程度固まってからしっかり熱を掛けるようにします。イメージとしては板金して絞りが足りない(延びてしまった)高張力鋼板みたいな状態でしょうか。とにかく極力自然な状態で形が定まるようにしておきます。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!

BMWパニアケース用カーボンエンブレム

bmw4先日先に届いていた、BMWの社外品カーボンパニアケース蓋に取り付ける「カーボンプレート」です。
パニアケースの方はボディ同色と言うことでブルーメタリックへの塗装で承っていますが、こちらはカーボン地を活かした塗装で承っておりまして、しかも当店のロゴを入れさせて頂く事になっています。この度もご贔屓頂き有難う御座います!

bmw5早速パニアケースに仮合わせをしてみまして、この状態だと同じカーボン同士なので全く目立ちませんが、本体の方がブルーになればカーボン柄のプレートが活きてくると思います。

ちなみにパニアケースの方は普通のFRPウェットカーボンですが(しかも出来がとてもひどい・・・)、プレートの方は本物のプリプレグから作ったドライカーボンです。仕上がりもとても良く非常に硬いです。

bmw6カーボンエンブレムの出来上がりイメージとしてはまさにこの極小エンブレムを大きくしたような感じで、比べてみると縦横比も悪く無いので本当に丁度良さそうです。よく見つけましたね・・・(恐)。

bmw8と言う事で早速試しにデカールを作成してみました。実は色々と懸念するところがあったので、これを先にやっておきたかったのです。使ったのはいつものALPSのドライプリンターです。

bmw9パッと見は綺麗なのですが、よく見るとプリントした部分に細い線状の「スジ」があるのが判ると思います。「R」の足の辺で、言われなければ判らないレベルなのですが、私的に最初からこれを懸念していたのでまずこれを確認したかったのです。

bmw10デカールの作成は昔ながらのドライプリンターを使用していて、これの弱点としては「インクリボンの幅」を超えるとそこで継ぎ目が生じてその部分に線が出てしまう事で、最初に購入した時に準メーカーさんにオーバーホールを御願いしていますが、構造上この辺はもう仕方ないみたいです。

bmw11と言う訳でジャジャーンと!(何だか社外記みたいなノリになってすいません・・・)。

ダースベイダーと四角い板は以前作成しておいた色見本で、これに塗っておいたSTANDOXの原色MIX818の色と質感がこのインクリボンのシルバー箔にそっくりなのです!

と言うか多分これはそうだろうと前から思っていたので、後は実際に今日テストプリントして答え合わせをしたかったと言うだけなんですよね。とにかく予想通りだったのでこれで一安心です。

bmw12と言う訳で、今回は大きい文字の「PRO_Fit」をシルバーの塗装で、小さい方の「Creative Paint Shop」と「®」の文字はデカールで行うと言う「ハイブリッド型」の方法で対応する事にしました。これは初めてですかね。

と言うのも、通常の色でこれをやろうとすると色合わせの作業が激しく大変で、そもそも印刷と塗装で色を合わせる事が出来るとも思っていませんから、お受付はしていないのです。
基本的にはデカールはデカールで、塗装は塗装で行う場合のみの対応としていますので、どうかこれに関してお問い合わせをされないよう御願い申し上げます。

bmw13そしてこんな感じでデカールとマスキングシートのそれぞれが準備出来ました。
実際の作業はまだ先になりますが、いざやろうとして出来ないとなるのが不安だったのでこれだけ先に確認しておきたかったんですよね。

ちなみにどうしても駄目なら顔料プリンターでデカールを作って貰うか、或いはUVプリンターを使って直接カーボンに印刷を依頼しようと考えていたのですが(どちらかと言うとその方が断然スマートでしょうし)、ただ自分のところのロゴを他人に任せるって言うのはどうかと思っていたので、何とかしてうちの工場の中だけで完結させたかったんですよね。一応先が見えて本当に一安心です。

それでは作業進行しましたらまた紹介させて頂きますね。もう少々お待ち下さいませ!